平成13年10月29日
1 調査の概要
(1) 調査の目的
児童福祉施設等における遊具での事故防止を検討するため、都道府県・指定都市・中核市を通じて児童福祉施設等における過去5か年で1か月以上の加療が必要とされた受傷事故の状況を調査。
(2) 調査対象
児童福祉法に規定する児童福祉施設等(具体的な施設種別は以下のとおり)。
(3) 調査期日
ア 児童福祉施設等が設置する遊具で発生した事故調べ…………平成8年度〜平成12年度の各年度
イ 箱型ブランコの設置状況…………平成13年4月1日現在
(4) 調査の方法
各都道府県・指定都市・中核市に調査票を配布し調査。
2 調査の結果
(1) 調査施設数(平成13年4月1日現在)
施設種別 | 施設数 | 施設種別 | 施設数 | 施設種別 | 施設数 |
か所 | か所 | か所 | |||
児童養護施設 | 547 | 保育所 | 22,151 | 知的障害児通園施設 | 233 |
児童自立支援施設 | 57 | へき地保育所 | 1,215 | 盲ろうあ児施設 | 31 |
母子生活支援施設 | 287 | 児童館 | 4,497 | 肢体不自由児施設 | 135 |
乳児院 | 115 | 児童遊園 | 4,975 | 重症心身障害児施設 | 108 |
情緒障害児短期治療施設 | 19 | 知的障害児施設 | 275 | ||
総合計 | 34,645 |
(2)事故件数
ア 施設種類別の事故件数
施設種別毎に5年間の事故件数の2,613件を見ると、保育所2,319件、次いで児童館213件となっている。
(単位:件) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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※ 「件数」は「1ケ月以上の加療が必要」とされた受傷事故件数(以下の表において同じ)
※ 在所者数は各年10月1日現在である。「児童館」「児童遊園」は、利用施設であるため、在所者数という概念はない。
※ 「その他」とは、児童養護施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設、乳児院、知的障害児施設などをいう。
イ 遊具別の事故件数
遊具別の5年間の事故件数を見ると、「滑り台」が514件(19.7%)、「鉄棒・登り棒」が401件(15.3%)、「雲梯」が282件(10.8%)となっている。
(単位:件) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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3 事故の内容
(1) 事故の原因
原因別の5年間の事故件数を見ると、滑り台やジャングルジムからの「転落」や鉄棒・登り棒・雲梯から手が離れて「落下」する事故が1,478件(56.6%)と半数以上を占め、「転倒」が346件(13.2%)、遊具と「衝突(接触・強打を含む)」が335件(12.8%)、遊具から飛び降りて負傷する「飛び降り」が272件(10.4%)と続いている。
箱型ブランコで踏み板と地面(床)やブランコと支柱に挟むなどの事故は92件(3.5%)であった。
(単位:件) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(2) 年齢・性別
事故時の年齢を5年間の事故件数で見ると、4〜6歳が1,849件(70.8%)、1〜3歳が584件(22.3%)、7歳以上が180件(6.9%)となっている。
これを、各歳毎に見ると1歳49件(1.9%)、2歳133件(5.1%)、3歳402件(15.4%)、4歳584件(22.4%)、5歳814件(31.1%)、6歳305件(11.7%)、7歳以上180件(6.9%)となっている。
男女別の事故件数は、男子63.1%、女子36.9%となっており、男子が女子の約2倍となっている。
(単位:件) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(3) 受傷内容
受傷内容では、5年間で3件の死亡事故があった他、骨折が1,926件(73.7%)、脱臼・挫傷・捻挫を含む「脱臼等」が126件(4.8%)となっている。
「その他」の主な受傷内容は、裂傷、挫創、硬膜下出血、靱帯損傷、腱断裂、内臓損傷、打撲、切断などがある。「死亡」の事例は、滑り台によるもの1件、箱ブランコによるもの2件であった。
(単位:件) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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4 事故後の対応・改善策
事故後の対応・改善策を見ると、遊び方の指導をしたり使用時に職員が付き添うようにした「遊び方指導」が1,530件(58.6%)、箱ブランコの踏み板と地面との隙間にマットを敷くなどの「遊具の改善」が292件(11.2%)、「遊具の撤去」が155件(5.9%)、「特に対応なし」が87件(3.3%)、「使用を禁止」が25件(1.0%)であった。また、回答がないものが460件(17.6%)あった。
(単位:件) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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II 児童福祉施設等が設置する箱型ブランコの事故状況(概要・再掲)
1 箱型ブランコの設置状況
平成13年4月1日現在の「箱型ブランコ」の設置状況を見ると、34,645か所の児童福祉施設等のうち6,199か所で設置(設置施設比率17.9%)しており、その台数は7,053台であった。
施設種別の設置台数を見ると保育所が4,426台、児童遊園が1,519台となっている。
施設総数 | 設置施設数 | 設置台数 | 設置施設比率 | ||
総数 | か所 34,645 |
か所 6,199 |
台 7,053 |
% 17.9 |
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再掲 | (保育所) | 22,151 | 3,974 | 4,426 | 17.9 |
(児童館) | 4,497 | 190 | 205 | 4.2 | |
(児童遊園) | 4,975 | 1,275 | 1,519 | 25.6 | |
(その他) | 3,022 | 760 | 903 | 25.1 |
2 事故件数
箱型ブランコによる5年間の事故件数は146件であった。
これを施設種別毎に見ると、保育所126件、児童遊園8件、児童館2件であった。
「その他」の10件は児童養護施設5件、知的障害児通園施設2件、肢体不自由児施設2件、へき地保育所1件である。
(単位:件/人) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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3 事故の内容
(1) 事故の原因
事故の原因を見ると、箱型ブランコの踏み板と地面に足や体を挟まれた事故や、ブランコと支柱の間に手や足を挟まれる事故が66件(45.2%)となっている。
(単位:件) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(2) 年齢・性別
受傷時の年齢を見ると、4歳児と5歳児はともに42件で、次いで3歳児が30件とな
っている。
また、性別を見ると男子75件、女子71件であった。
(単位:件) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(3) 受傷内容
箱型ブランコによる死亡事故件数は2件であった。
1件は箱ブランコから落ちブランコと地面に頭を挟まれたもの、他の1件は大揺れを防止するために支柱に張られていたビニールロープが首に巻き付いたものであった。
受傷内容は「骨折」が101件(69.2%)と大半を占めた。
(単位:件) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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4 事故後の対応・改善策
事故後の対応・改善策は、「遊び方指導」が56件(38.4%)、「遊具の撤去」が55件(37.7%)、「使用の禁止」23件(15.8%)、「遊具の改善」12件(8.2%)となっている。
(単位:件) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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資料1 | 児童福祉施設等が設置する遊具で発生した事故の代表的な事故内容(遊具別・原因別) |
資料2 | 児童福祉施設等が設置する遊具で発生した事故調べ(死亡例抜粋) |
資料3 | 児童福祉施設等に設置している遊具での事故の調査結果について(通知) |
照会先 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 総務課 児童福祉調査官 宇佐美 岩夫(内7813) 育成環境課 課長補佐 上村 雅規(内7903) 保育課 課長補佐 高橋 吉則(内7922)