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2017年10月27日 中央社会保険医療協議会 総会 第366回議事録

○日時

平成29年10月27日(金)10:15~10:48

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
菊池令子専門委員 横地常広専門委員 丹沢秀樹専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果への対応について

○議事

 

 

 

 

 

○田辺会長
 それでは、定刻でございますので、ただいまより第366回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は榊原委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
 猪口委員におかれましては今、おくれて御参加と思われます。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうお願いいたします。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 初めに、次期診療報酬改定に向けた議論といたしまして「選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果への対応について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○迫井医療課長
 お手元の総-1に基づきまして御説明をさせていただきます。「選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果への対応について」でございます。これは本文中書いてございますが、先立ちます7月5日に本総会におきまして、選定療養に追加すべき事例等に関する提案・意見募集の結果、その当時は速報でありましたけれども、これは総-1参考1の資料をつけておりますが、改定の作業の中で選定療養に導入すべき事例等について提案・意見募集を行うということを前回改定から行っております。
 総-1参考1を見ていただきますと、記載していますとおり3月から一定の期間につきまして意見募集を行いまして、速報ということで7月5日に御報告しましたけれども、内容的には変わっておりません。10月27日、きょうの資料、参考1で1枚目に件数、概略をまとめてございます。寄せられた意見は82件であります。新たな選定療養の追加に係る提案56件、既存の選定療養の見直しに係る提案26件ということでございまして、後ろに一覧表でつけてございます。
 ※に書いてございますけれども、別紙で同様な意見につきましてまとめている関係で、件数のカウントが合っておりませんが、それは同じような意見をまとめたということでございまして、詳細の御説明は避けますけれども、このような内容でございました。
 総-1本文に戻っていただきまして、このような意見につきまして事務局で精査をいたしまして、次のような対応とさせていただきたいということでございます。
 まず1点目でありますが、既存の選定療養の対象の範囲を見直すという御提案につきまして精査をいたしまして、ここに記載がございますけれども、1点対応してはどうかということでございます。それは選定療養の類型として「入院期間が180日を超えた以後の入院及びその療養に係る世話その他の看護」というものが定められております。これは一般病棟入院基本料等について、その費用を徴収することができるという制度になっております。これは制度の概略です。
 その次の○ですが、趣旨でございます。これは入院医療の必要性が低いのですけれども、患者側の事情により長期にわたり入院している方に対する対応を図るということで認めているということでございます。
 参考2をごらんいただきたいと思いますが、参考2にそれに該当する制度の説明と、参考2の2ページ目、3ページ目に17の類型がございます。これは例えば今、御説明したような趣旨でやっておるわけでございますけれども、一方で重度の肢体不自由者と17の類型につきましては、この制度の趣旨にはそぐわないので、こういったケースにつきましては費用の徴収は禁止していますということでございまして、それが参考2の2ページ目、3ページ目、17の類型ということでございます。
 これにつきまして、先ほど参考1で見ていただきましたが、10ページ目の16番目に記載されておりますとおり、造血幹細胞の移植後または臓器移植後の拒絶反応に関する治療というのは、長期にわたるケースもございますので、こういった場合についての費用の徴収を禁止するという対象としてはどうかということでございます。これが1点目であります。
 2点目でありますが、本文の総-1の2ポツでございます。療養の給付と直接関係のないサービスに追加をするものということで精査をさせていただいております。これはまずそもそもたてつけといたしましては参考3でございますけれども、ここにその制度の概略の御説明がございます。本文の総-1の一番下の○ですが、治療、看護とは直接関係のないサービスあるいは物といったものにつきまして、患者側からの費用の徴収をすることについては、不透明な運用と不適切な運用を避けるために今、御紹介しました取り扱いについての通知、これは参考3に記載させていただいておりますけれども、こういった取り扱いをしているということでございますが、裏面おめくりいただきまして、患者の求めに応じまして、これは御提案の中の参考1の3ページ目の10番目の御提案、それから、同じく参考1の6ページ目の4の御提案でありますけれども、患者さんの求めによって画像とか動画の情報を提供する場合、あるいは公的な手続を代行するような場合、病院に入院されている場合でどうしても関係する手続あるいは別の手続かもしれませんけれども、代行することについて費用が一定程度発生するわけですが、それは患者さんの求めであるという場合については、直接関係のあるサービスという整理で費用徴収が可能である。これは現時点でもそういったことは可能だという理解なのですが、明確にしておきませんと現場の運用が適切になりませんので、そういったことで明記してはどうかということでございます。
 最後の2ページ目の○ですが、ただ、これは一定程度適切に運用しないと療養の給付と関係するものについては本来、給付されるべきでありますので、なお書きでありますが、画像・動画情報を提供する場合について、患者が他の医療機関の医師から助言を得ることを目的とする場合は、療養の給付と直接関係ないサービス等に含まれていないことを明記するということを、これは通知等で明らかにするという趣旨でございます。
 事務局から以上でございます。
○田辺会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
 では今村委員、お願いいたします。
○今村委員
 賛成ですけれども、これは確認です。2ページ目に2つ○がありまして、2つ目の○に患者が他の医療機関の医師から助言を求めることを目的とする。1つ目の○に患者の求めに応じる場合と違いますよと書いてあるのですが、例えば医療機関同士の医療連携ではなくて、患者さん個人の意思で、例えばかかりつけの先生は特に何かを求めているわけではないのだけれども、患者さん自身が自分のかかっている先生にぜひこの画像を見て詳しく説明してほしいから、病院でこの画像をくださいと言った場合は、これはいわゆる選定療養の対象にはならない。患者の求めであってもこれはあくまで医療の連携の中で使用されるという理解でよろしいですか。ちょっと細かい質問で恐縮です。
○迫井医療課長
 一般論の御質問で、しかし、かなり具体的な事例でないと区別はつきがたいだろうと思いますけれども、あえてお答えをさせていただくと、ここに現に記載しているとおりでありまして、療養の給付に関することはちゃんと給付の中に入るべきであって、そこの線引きは個々の事例によってという判断になろうかと思いますが、今、御紹介いただいたようなことにつきましては、本来の治療の範囲に入っているということでありましょうから、それは当然ながら別途負担というのはおかしいですよという話になるのだろうと思います。いずれにしましても、これは個々の具体的なケースで御判断いただくことだと思います。
○今村委員
 ありがとうございます。
○田辺会長
 では松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
 保険局長も審議官もおられるので少しお聞きいたしますけれども、9時に始めて12時を過ぎる、1時近くまでなる。10時に始めても12時半を過ぎる。一体、事務局は、もちろん議論が伯仲してなかなか収拾がつかないということも当然あり得ると思いますが、中医協が水・金の週2日になって、3時間を使うのにどういう議題を持ってくるかということをいかに考えているのか、教えてくれませんか。
○田辺会長
 医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
 ある意味、厳しい御指摘だろうと思って重く受けとめております。これは委員の皆さんもそうですし、委員を支えておられます関係者の事務局の方々、傍聴の方々にも同じような負担と拘束を強いておりますので、事務局としましては当然、効率的な時間運営を心がけているつもりであります。
 具体的にどういうマネージをしているのかという御質問でございますけれども、議題をなるべく均等にといいますか、時間配分につきましては有効活用できるように分散をさせる、あるいは場合によっては調整させていただいているつもりであります。一方で年末に向けまして一定の作業をし、その後のさらなる作業を念頭に置いて、並行作業でやっております。ですので事務局のそもそも御提案の時点で、時間配分についてでこぼこがあり得るというのは私どものある意味、調整不足のところもありますので、これは平に申しわけございません、なるべく改善するようにしたいということでございます。
 その一方で、事務局の予測がつきがたい議論の経過といいますか、時間のかかる案件もございます。そのあたりも我々としてはなるべく円滑な御審議をいただきたいと思っておりますが、特に延長するケースにつきましては議論がある意味、充実した結果であるということも言えますので、そのあたりにつきましては議事全体の運び方という中で、これは私どもとしてはいかんともしがたいという言い方をしますと言いわけになってしまうわけでありますが、そういったこともなるべく予測しながら、今後ともなるべく委員の皆様方に御負担をかけないように、時間配分についてはなるべく均等な審議ができるように努めていきたいと思っております。
 とりあえずは言いわけで申しわけございませんが、以上でございます。
○松本純一委員
 苦しい言いわけとしてお聞きいたしました。
○田辺会長
 ほかいかがでございましょう。間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
 患者の求めに応じて画像・動画情報を提供する場合というところなのですけれども、患者側からすればお金がかかってしまうという話だと思うのですが、もともと画像も動画も患者の情報であって、それを受け取る権利はもちろんあるわけで、それがセカンドオピニオンのためだったらお金は余りかからないことになるけれども、患者が直接助言を求めるためではないということで求めた場合は徴収するというのは、何か合わないかなと思っていて、直接そのときというか、画像が欲しいときにすぐ直接セカンドオピニオンを受けるわけでなくても、後で確認することだってあるわけですし、最初にも言いましたけれども、もともと患者自身のデータなわけですから、余り費用徴収という方向に行くというのはやめてほしいなと思いますし、費用徴収ということになると結構多額な設定をする場合が結構あると思うので、このあたりは考え直してもらいたいなというところと、あと参考1のその他のところに、セカンドオピニオンにおける料金上限額もしくは定額の導入というものがありますけれども、実際に定額はどうかは別として、セカンドオピニオンを受けやすい環境を整えるというのが大事だと思うので、このあたりは検討事項に入れていただきたいなと思います。
 以上です。
○迫井医療課長
 間宮委員の御指摘につきまして、大きく2点あろうかと思います。
 まず1点目は、費用負担を適切な形でということだろうと思いますけれども、事務局の認識をお伝えしておきますと、情報自体が患者さんのものであるというのは疑いの余地のないまず前提であります。その前提で、その情報を活用する際に、今回の事例でありますと具体的に恐らくCD-ROMとか、あるいはいろいろな媒体、紙かもしれませんけれども、情報を活用するには当然、一定の経費が生じますので、これは保険の給付であろうがなかろうが、その経費をいかに負担するのかという問題が生じます。
 その次に、医療保険が適用できる場合には、療養の給付として医療保険からお金をお支払いするということでございます。ですから今回整理をさせていただいているのは、療養の給付に入っているものはその費用負担は医療保険からちゃんとやってください。逆に言いますと、そうでないものについて費用が発生したときに、患者さんが負担しないということは医療機関に負担をさせることになりますので、そうすると言ってみれば本来、費用を負担すべき方はどちらになるんですかということを明確にさせていただいたということでございますので、情報の所有という部分と、それに伴って生じる費用の負担というのは、逆に言いますと適切にしなければいけないのではないかというのがまず1点目、事務局の認識でございます。
 そのことを妥当な金額にするべきであるという御指摘はそのとおりでありまして、これは参考3に実際にそのような記載をさせていただいておりまして、参考3の2ページ目でありますけれども、(2)の4行目であります。徴収する費用については社会的に見て妥当、適切なものとすること。当然これは患者さんと医療機関との合意を前提といたしておりますので、不当なそういった費用負担を求めることは、基本的には私どもとしては了解をしていないということでございます。
 2点目の適切なセカンドオピニオンを始めまして、適切な診療の言ってみれば情報を得られる、さまざまな診療の機会をしっかり得られるような努力をするべきであるという御指摘は、そのとおりだろうと思います。それにつきましてはむしろ診療の内容といいますか、セカンドオピニオンも含めてでしょうけれども、適切な診療の機会を確保するようなさまざまな報酬設定もそうでしょうし、連携体制をつくっていくことにつきましては御指摘のとおりでありまして、中医協の審議においてもそういったことを念頭に御審議いただきたいと思っております。
 事務局から以上でございます。
○間宮委員
 適切な料金、金額設定というのは大事なのですけれども、ただ、診断書1枚書いてもらったって数千円かかるとか、結構高い場合もあるわけで、実際にいわゆるCD-ROMだの紙もそうなのかもしれませんが、そんなに今の時代、高くないわけで、そのあたりの料金設定をもしするのだと、お金をとらないほうがもちろんいいと思うのですが、料金設定をするにしても本当に実費レベルでやってもらいたいなと思っているのです。
○田辺会長
 どうもありがとうございました。
 ほかいかがでございましょう。万代委員、お願いいたします。
○万代委員
 確認でございます。総-1の1ページ目の上のほうの○がございますうちの2つ目の○ですが、寄せられた意見について以下の対応方針のとおり、平成30年度診療報酬改定に合わせて対応してどうかということで、対応方針が書いてございますが、そこで確認ですけれども、ここの対応方針にはどちらかというと先ほど医療課長が御説明されたような具体的な提案がひもづけられていると考えますが、それ以外の提案、具体的には私どもといたしましても多くの提案をさせていただきましたので、その提案についての取り扱いは方針のもとに類型化されて対応していくのか、あるいはこの対応方針のもとに掲げられている今、御説明があった具体的な項目のみに限って対応するのかについて確認させていただきたいと思います。
○迫井医療課長
 万代委員の今の御指摘といいますか、御質問について後者、すなわち基本的にいただいた御提案は全て精査いたしまして、結論としてこの2点について対応させていただきたいという御提案でございます。
○万代委員
 そうしますと、きょう提案いただいたばかりということになりますので、もう一度、本当にこの提案を事務局で整理していただいたということで、その労は多といたしますけれども、もう一度これについてはいろいろな現場からの要望でございますので、その要望についてもう少し対応したいという意見を述べたいと思っておりますので、その機会を設けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○迫井医療課長
 委員の皆様、この会議全体としての総意であればそのようにさせていただきたいと思いますが、私どもといたしましては先ほど御説明しましたとおり、このリストは既に7月5日の中医協にお示しをしておりまして、関係団体からいただいたということをまとめてございます。以降、作業をさせていただいて、ひと通り整理をしておりますので、本日の御審議で基本的には結論いただきたいというのが事務局の気持ちでございます。
○田辺会長
 万代委員、いかがでございましょう。
○万代委員
 確かにおっしゃるとおりの経緯で進んできたことは理解いたしますので、次回改定までの時間も必ずしも多くはない。本日は時間がたっぷりあるようでございますが、ないということも理解いたしますので、そうしますともう一度、定義としましてより具体的に議事録には残っていると思いますけれども、文書として先ほど医療課長が言われました対応方針の1と2に書かれているそれぞれの○の項目について、どういう形の提案が該当するかということについては整理して提示していただければと思いますが、いかがでしょうか。
○迫井医療課長
 資料の中に例えば先ほど、口頭で御説明しましたけれども、例えば1つ目の既存の選定療養の対象範囲を見直すもの、これにつきましては整理をさせていただきました参考1の一覧表でいきますと、一番最後のページの16番目の事項に該当するわけですが、10ページ目の16番目の事項ですという明記はないわけでありますが、内容的にはこれを指しております。
 同様に1ページ目の2つ目、2番目の項目でございますけれども、これにつきましては裏面にまたがって書いておりますが、2つの点でございまして、参考1の一覧表でいきますと3ページの10番目の事項、6ページ目の4番目の事項、カウントの仕方にもよりますが、3つの事項あるいは2つの大くくりの事項につきまして、いただいた募集提案の結果といたしまして、今回改定につきましてはこの3つについて対応させていただきたいということでございます。資料のつくりとしてそこが明記されていなかったというのは申しわけございません。少し修正の余地があったかもしれません。
 事務局からは以上でございます。
○万代委員
 そうしますと、議事録だけで参照しろということでよろしいのでしょうか。
○迫井医療課長
 総-1の資料自体に、本文中に今、記載はございますので、この総-1の資料自体を御了承いただけるかどうかというのが事務局の提案でございます。
○万代委員
 内容につきましては了解いたしますけれども、具体的な項目についてこれが選択された、これが選定されていないというような内容を参考資料としてでも構いませんので、それを御提示いただきたいということですが、それも不可能ということでございましょうか。
○迫井医療課長
 次回以降にもし必要がありましたら、そのようにさせていただきます。基本的には参考1の一覧表に○×をつけることになろうかと思いますけれども、それでよろしければ、そのようにさせていただきます。
○万代委員
 いずれかの形でしていただければ、提案された方にそれなりの説明をしなくてはならないと思いますので、より具体的な明示があるほうがこちらとしてはありがたいかなと思っておりますので、その方向でぜひお願いしたいと思います。
○田辺会長
 ほかいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
 本日の議題は以上でございますけれども、万代委員が本日をもって退任となりますので、一言、御挨拶をお願いいたします。
○万代委員
 それでは、少し時間をいただきまして、中医協退任に当たりまして一言、御挨拶と御礼を申し上げたいと思います。
 平成23年10月に就任以来、3年6期を何とか無事に務め上げさせていただきましたこと、ひとえに関係者の皆様の御支援、御鞭撻の賜物と考えております。
 初めに委員就任のお話をいただいたとき、私ごときではとても務まらないと固辞いたしました。しかし、私の恩師である故出月康夫東京大学名誉教授並びに元全国社会保険連合会理事長の伊藤雅治先生から背中を押していただき、意を決して就任いたしました。
 委員の就任の辞令をいただいた当時の小宮山洋子厚生労働大臣からは、報道を通じてではありますが、医療現場に精通しており、広く医師の意見を代表していただける方であることなど、総合的に勘案して任命したとのコメントをいただきました。もとより多くの病院団体が参加する日本病院団体協議会からの推薦による就任でありましたので、中小病院も含めました病院医療の立場から審議に参加し、意見を述べたいと表明いたしましたし、その立場を貫いてまいりました。ただ、当初は「○○をしてはどうか」との文言で検討項目が決まっていく審議の手順、進行に戸惑い、何も発言しなければ何も変わらないとの思いを強くいたしました。
 さて、来るべき少子高齢化社会と、その後の人口減少社会に向けて、社会保障の持続性、中でも医療の持続性へ向けての論議は待ったなしの状況であることは間違いありません。地域によっては既に高齢化社会から人口が減少。医療需要の減少が見られ、これまでの競争から協調へ否応なく対応を求められており、現場では英知が発揮され、係る状況に良好に対応している事例もよく見受けられます。
 さらに私の属する東京都新宿区に存立する病院においても、東京でも既に高齢化で疾病構造と需要の変化が起こりつつあるというのが直近の皮膚感覚であります。奇しくも私の委員就任時は、鈴木康博医療課長と迫井正深企画官の2人が改定の議論を引っ張る最中でした。その後、二人はそれぞれの地位を得られて、私の退任時に再び次回改定を担当されることとなり、人の縁を感じているころではあります。しかし、そのような感傷に浸っているときではないことも重々承知しております。
 ところで、立ち去り型サボタージュの言葉で医療崩壊、中でも病院医療における崩壊が叫ばれたのは、ほぼ10年前になります。その後、累次の改定で医師を初めとする医療従事者の負担軽減に1号側委員も含めて御理解をいただき、診療報酬上でも対応いただいたことは大変印象深い出来事であり、かつ、感謝もしております。
 一方で、病院運営の立場からは、繰り返し強調させていただいておりますように、ノーマージン、ノーミッション、すなわち利益なくして果たせる使命なしであります。医療も経済活動の一面を持つ点では利益の確保は必須であり、それを統制経済の側面のある診療報酬制度の中で何とか工夫して運営してきているのが現状であります。
 ここでは社会保障制度改革国民会議の報告書にもあるように、一部を長くなりますが、引用させていただきますと、すなわち「提供体制の改革は、提供者と政策当局との信頼関係こそが基礎になるべきである。日本の提供体制への診療報酬・介護報酬による誘導は、確かにこれまで効き過ぎるとも言えるほどに効いてきた面があり、政策当局は、過去、そうした手段に頼って政策の方向を大きく転換することもあった。だが、そのような転換は、医療・介護サービスを経営する側からは梯子を外されるにも似た経験にも見え、経営上の不確実性として記憶に刻まれることになる。それは、政策変更リスクに備えて、いわゆる看護配置基準7対1を満たす急性期病院の位置を確保しておいた方が安全、内部留保を十二分に抱えておかなければ不安、など過度に危機回避的な行動につながり、現在の提供体制の形を歪めている一因ともなっている。政策当局は、提供者たちとの信頼関係を再構築させるためにも、病床区分を始めとする医療機関の体系を法的に定め直し、それぞれの区分の中で相応の努力をすれば円滑な運営ができるという見通しを明らかにすることが必要であろう」と書かれてございます。
 次回改定、さらには将来に向けての議論が財政の論理だけでなく、まさに現在、今この中医協の場でその方向をもってなされていることは、大変評価したいと思いますが、これまで築き上げてきた我が国の良好な医療提供体制の生かすべきところは生かすべく、国民会議報告書にある方策を堅持すべきと考えております。
 我が国の社会保障制度をどのように考え、さらに十分な国民的コンセンサスを得ながら将来に向けてどのように構築していくかについては、傍聴の方々も含めてここに参加の全てのステークホルダーにとっての最終ゴールは不変のはずであり、今後の皆様の御活躍を祈る次第です。
 最後になりますが、現在、進められている働き方改革とは無縁とも見受けられます厚生労働省保険局医療課の皆様を中心とする行政職の方々を応援する立場は、これまでに退任された委員の誰にも引けをとるものではありません。また、森田前会長、田辺現会長を初めとして応益側、1号側、2号側の委員の方々には、いろいろ学ばせていただいた点で大変お世話になり、深く感謝申し上げます。あわせて朝早くから苦労して参加されている報道陣を初めとした傍聴の方々にも、これまでの御協力に感謝申し上げます。
 今後も今しばらくは病院団体の役員の立場での関与を続けることとなっており、影ながら中医協を初めとした論議を応援するとともに、本日の秋晴れのようなすがすがしい気分で発信もしてまいりたいと考えております。
 長い間、本当にありがとうございました。(拍手)
○田辺会長
 万代委員におかれましては、長年にわたる本協議会への御貢献に対しまして、深く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 それでは、次回の日程につきましては事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日の総会はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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