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2017年10月18日 中央社会保険医療協議会 総会 第364回議事録

○日時

平成29年10月18日(水)9:58~12:37

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
菊池令子専門委員 横地常広専門委員 丹沢秀樹専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○個別事項(その4)について

○議事

 

 

 

 

 

○田辺会長
定刻よりやや前の時間でございますけれども、皆様おそろいのようでございますので、ただいまより、第364回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は野口委員、松原委員、榊原委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
早速、議事に入らせていただきます。
初めに、「個別事項(その4)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
医療課長、よろしくお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
お手元「総-1」、本日は個別事項(その4)でございます。精神医療につきまして御審議をお願いしたいと思っております。
2コマ目にきょうお願いしたい事項、全部で5つございます。資料が大部になりますので、最初に1、2を説明しまして御審議いただきまして、その後3、4、そして5というふうに3つに分けていただければと思っております。
早速、御説明をさせていただきます。
最初に「1 措置入院に係る医療」であります。
おめくりいただきまして、3コマ目以降であります。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、いわゆる精神保健法に基づきまして、入院をしていただく規定の中に措置入院というものがございます。それに関する規定が3、4とございますけれども、根拠法でいきますと3コマ目、29条になります。入院させなければ精神障害のために自傷他害のおそれがある。要件等につきましては、精神保健指定医2名の診断結果の一致で都道府県知事が措置ということになります。
流れは4コマ目であります。今、お話をしましたような都道府県知事の決定で措置入院となります。そして、入院以降、症状消退届等の提出によりまして措置が解除されるということでございます。
この後のデータもお示しをしますが、その後、入院継続もあり得るということでございます。
5コマ目以降、実態、実数であります。5コマ目は入院の届け出の数であります。措置入院の届け出は横ばいからやや増加ということですけれども、スケールといいますか、件数が措置入院よりも医療保護入院が多い関係で少し見づらいかもしれませんが、医療保護入院は増加傾向でありますけれども、今、お話をしました措置入院自体は横ばいからやや増であります。
6コマ目下が疾患別であります。在院患者の数でありますけれども、横ばいから減少傾向でありまして、紫のところになりますが、統合失調等の患者が最も多いということになります。
7コマ目、年齢階級別でありますが、40歳以上65歳未満が最も多いということです。
8コマ目、平均在院日数、これも減少傾向にあります。
9コマ目、先ほど触れましたけれども、措置入院患者さんの転帰でありますが、症状消退届提出後の転帰をまとめてございます。おおよそ3分の2、63%が入院継続になっております。
以上のような実態でありますけれども、10コマ目、右上に書いてございますが、相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策の検討チームの報告書がまとめられておりますけれども、再発防止策の提言ということで抜粋のポンチ絵であります。
措置入院の手続につきまして、見直しを予定しておりまして、肩のタイトルにもございますけれども、退院後の医療等の継続支援の実施のために必要な対応があるということで、このような見直しを想定しているということであります。すなわち、従来はそういった措置、退院後の支援については制度的な対応はないということでありますけれども、今後は、幾つかのポイントがここにまとめてありますが、まず、都道府県知事等が全ての措置入院患者に対しまして支援計画案をお示しして、現場の措置入院先の病院に御相談いただくための生活環境相談員、こういった方を選任いただくなどしまして調整をして、計画を決定するということであります。
そして、退院後に帰住先のエリアというか自治体が違う場合もありますので、帰住先の保健所設置自治体と連携いたしまして引き継ぎを行っていくということであります。引き継ぎを行うことを通じまして、退院後の医療継続の支援を行っていこうということでございます。
11コマ目でありますけれども、現在、措置入院関連の報酬上の評価が一覧表になってございますが、今、御説明しましたような継続的支援に関する要件というのは現時点で規定がないということであります。
そこで、御検討をお願いしたいのは12コマ目であります。【論点(案)】のところにお示ししておりますが、今、お話をしましたような、退院後の継続的な支援を充実するという視点から、新たな取り組みに関する報酬上の評価についてどのように考えていくべきかということを御審議いただきたいということであります。
以上が1点目であります。
2点目でありますけれども、13コマ目「2 精神保健指定医の取扱い」であります。
14コマ目に精神保健指定医の概略の記載がございます。冒頭御説明をしましたとおり、精神科医療には、措置入院を初めといたしまして、本人の意思によらない入院でございますとか、一定の行動制限が生じますので、赤字で書いてございますけれども、患者の人権にも十分に配慮した医療を行うということから、一定の資質が求められているということであります。そのため、厚生労働大臣が指定をする指定医が位置づけられております。
下半分でありますが、要件の記載がございます。幾つか要件があるうち、3つ目に書いてございますけれども、厚生労働大臣が定める精神障害につきまして、一定程度の診断、経験が必要だと。
15コマ目に一覧表がございますが、どのような要件かというと、具体的にはここに列挙されております精神障害につきまして、それぞれ定める程度の経験を求めるというふうになってございます。
以上、要件でありますけれども、16コマ目、では精神保健指定医の職務はどのようなものがあるのかという一覧表であります。入院時から入院中、退院時というふうに段階を経ているわけですが、多くの職務は措置入院及び医療保護入院に係る入院時の関連が主なものでございます。
精神保健指定医の実態でございますけれども、17コマ目以降であります。
17コマ目。これは全国の精神保健指定医の数でございます。約1万5,000人程度おられます。勤務先としましては診療所あるいは病院に大別されます。これは地域ごとに人口100万人当たりで割り戻してございます。かなりの地域差があるのは実態ではありますけれども、主に在籍をされているのは病院ということになります。
18コマ目が時間的な経過、推移であります。指定医の数は増加傾向にあるということであります。これは(参考)のところに書いてございますが、主たる診療科が精神科の医師は1万5,000人ちょっとということでございますので、ほとんどが指定医になっておられるという実態でございます。
19コマ目でありますが、年齢分布、性別、勤務先等でございます。40代から50代が年齢的には多い。それから、先ほども触れましたけれども、精神病床を有する病院の勤務先というのが6割程度あります。
それから、業務実態に関する集計、その下の20コマ目にあります。先ほど見ていただきましたけれども、これは頻度別に帯グラフに示してあるわけですが、指定の業務の中で実際に一番高頻度で行っている、一番頻度が多い11回以上というのが一番濃い上の帯になるわけです。4、5と書いてございます医療保護入院の判定、隔離や身体拘束の判定、こういったものが頻度としては高いということです。
その一方でと申し上げますが、20コマ目の下でありますけれども、指定医としての実務経験を行っていた、行っていないということでデータをとりますと、1~8の業務をいずれも行っていないという方が14%おられるというのが実態でございます。
21コマ目でありますが、こういった実態とともに、近年、不適切な事例、行政処分に至った事例がございます。これは報道等もされていますけれども、概略がここに記載がございます。詳細は省かせていただきますけれども、この一連のもので合計100人以上の指定医が取り消しに至っているという不適切な事例もあるということでございます。
そういったことも背景の一つでありますけれども、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会報告書ということで、どのような対応をすべきかという検討がまとめられております。
これは22コマ目、23コマ目、2コマにまたがっておりますが、ごらんいただきたいのは23コマ目であります。4ポツのところに精神保健指定医の指定のあり方につきまして提言がございます。6つ書いてございますが、主立ったところは1点目の研修の内容ですが、これは座学中心の受動的な研修ではなく、グループワーク等の能動的な研修へと見直しをする。3点目ですが、実務の経験につきまして、更新要件への追加をすることが必要ではないか。こういったことが提言されているということでございます。
診療報酬上との関係につきましては、24コマ目以降にまとめてございます。まず、診療報酬上の評価です。1点目は入院料。精神病棟で届け出ができる特定入院料が幾つかありますけれども、指定医の配置が要件になっているというのがまず1点目でございます。
一方で、25コマ目でありますが、精神科の診療の中で精神療法の評価も非常に重要な要素でありますけれども、精神療法には入院、通院、在宅とあるわけでありますが、入院は先ほど見ていただきましたとおり、指定医の主な業務を占めるわけでありますけれども、通院とか在宅につきましても、指定医につきましては一定の評価がなされております。実施する指定医の要件のところに、通院と在宅につきましては単に指定医ではなく、地域の精神科救急医療体制を確保するために必要な協力等を行っている。一定の要件を課しているということでございます。
これは平成24年の改定で設置をされましたが、それが26コマ目に記載させていただいている内容であります。
具体的な要件は27、28コマ目にまとめて記載をさせていただいています。一定の要件というのは、27コマ目に書いてございますが、ア、イ、ウの3つの要件の中から2つを満たすということで、27、28にまたがってア、イ、ウとお示しをしています。
例えばアにつきましては、精神保健指定医の公務員としての業務を行う。
イにつきましては、地域の救急医療体制確保への協力。
ウにつきましては、標榜時間外の問い合わせ等に応じる体制。こういったことを求めているということでございます。
こういった要件を24改定で導入しましたところ、29コマ目でありますが、算定回数がこのような状況であります。もともと、指定医の評価はあったわけでありますけれども、24改定以降は、今のような要件を課しておりますので、算定割合が減少しているというのが実態でございます。
このような精神保健指定医の取り扱いに関します、見ていただいたような現状の課題を踏まえまして、30コマ目が【論点(案)】でありますけれども、指定医に求められております業務内容というのは、基本的には措置入院を中心とした入院患者に係るものが主なものであるということを踏まえますと、外来、通院・精神療法等におきます、在宅も含めてでありましょうけれども、この評価の見直しについて検討してはどうかというのが論点でございます。
措置入院関連、精神保健指定医関連については以上でございます。
○田辺会長                                                           
どうもありがとうございました。
それでは、先ほど医療課長の御説明にございましたように、3つに区切って議論してまいりたいと思います。
まず、措置入院にかかわる医療、精神保健指定医の取り扱いに関する御説明がございましたけれども、ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
それぞれの論点についてコメントをさせていただきます。
まず、措置入院に関してですけれども、措置入院に係る評価も大切であるとは思いますが、スライドの5にありますように、届け出が増加傾向にある、しかも比率でいって圧倒的に多い医療保護入院の評価も同様に必要ではないかと考えます。
2点目の精神保健指定医の取り扱いのことでございますけれども、これに関しましては、23のスライドにありました4ポツの指定医の指定のあり方は支持させていただくものであります。
30のスライドの論点に対することでございますけれども、今、全国で300万人以上の方が精神科医療を受けておられます。その9割以上が外来通院をして地域で暮らしておられます。そういった意味でも、精神科診療所の位置づけが大変重要であると考えます。
精神科診療所医師は、かかりつけ医という側面と、専門医という側面を持っております。その医師が精神保健指定医であれば、その評価は当然必要であろうと思われ、そういうコメントをさせていただきます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
10コマ目、措置入院のところですが、評価につきましては松本純一委員がおっしゃったとおりだと思いますけれども、措置入院のところで内容がかなり違うのではないかと思います。というのは、自傷と他人に害する他害とでは状況がかなり違うと思いますので、これを全て、例えば遠くの帰住先に対して連携でやっていくというのは、現実的には非常に困難な部分があると思います。患者さんによっては医療観察制度とか、そういったことも視野に入れないと、なかなか難しいケースがあるのではないかと思いますけれども、これについてどう思われているかということが1点。
それから、同じように精神保健指定医の話です。指定医の果たすべき、公的なみなし公務員的な仕事をしっかりするということは非常に大事だと思いますけれども、一方で指定医が救急医療に参加するというモチベーションになっているということは踏まえておいていただきたいと思います。これは意見として申し述べたいと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
1点御質問がございましたけれども、お願いいたします。
○武田精神・障害保健課長
精神・障害保健課長でございます。
今、委員から御指摘がございました、措置入院と一言で言ってもいろいろな種類、質的な違いがあるのではないかという点につきましては、おっしゃるとおりと考えてございます。
そういうところも含めまして、10コマ目でも書いてございますけれども、まずはそれぞれの措置入院時の患者さんを対象にしました退院後支援計画の案を作成するということは重要ではないかということが御提言をいただいているところでございます。
その中におきまして、それぞれの措置入院の患者さんの状態、バックグラウンドも含め勘案した上で、どのような退院後の支援のあり方があるのかというところも踏まえて、そのような計画をつくっていく。それに応じまして、では帰住先のほうでどのような支援の継続のあり方、実際上の調整等があり得るのかということについては、またそれぞれのパターンがあろうかと思います。その点につきましては、委員の御指摘のとおりではないかと考えてございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
まず、先ほど松本純一委員が言われておりました12ページ目の医療保護入院についてですが、これは非自発的入院であって、それなりに手がかかる入院になりますので、ぜひこれの評価もあわせてお願いしたいということが1点。
それから、30ページの指定医の件ですが、精神保健指定医の評価を見直すということについてはよろしいことだと思うのですが、外来の通院療法が余り指定医とは関係ないという論調にどうもなっているのですが、これが外れてしまった場合の外来通院療法の質が担保できるのかどうかという問題もありますので、ここのところは一つ慎重に進めていただきたいと思います。
以上、意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
何点か御質問させていただきたいのです。
まず、17ページの「精神保健指定医の地域分布」というところを見ますと、非常に地域差が大きい。特に西日本にはたくさんいらっしゃるということで、いわゆる大都市というか、人口の多い東京、神奈川、特に先ほど例示がありました神奈川県等では非常に少なくて、なおかつ病院にいらっしゃる指定医が神奈川県などは非常に少ない。こういった地域の分布が起こっている理由というのは、どういうことでこうなっているのか教えていただければと思います。
私は精神科ではないものですから、基本的なことなのですけれども、20ページの業務実態というところなのですが、精神医療審査会への参加というのが非常に大きな仕事になっているようなのですけれども、これは個別の患者さんに対して何か審議をするようなものなのか、それとも何か会議体みたいなもので、地域の会議への参加ということをやられているのか、その辺、専門ではないので教えていただければと思います。
23ページ、ここで議論するかどうかは別の話なのですけれども、精神保健指定医の指定のあり方で現在、座学中心ということで、私も数回傍聴をさせていただいて、ほとんど講義を一方的に聞いているような研修会だというのはよく理解しています。やはりグループワーク等の能動的な研修というのはすごく大事だと思っているのですけれども、研修会でも数百名の方を対象にしているような場所ですので、グループワークでやるとなると、とても研修会の開催が現実的には対応できないのではないかと思っていて、その辺、どのようにお考えになっているのかを教えていただければと思います。
最後、意見になるのかもしれませんけれども、病院にいらっしゃる指定医の方、その患者さんが措置入院を解除して地域に戻っていただくときに、地域のかかりつけの精神科診療所、これは数がかなりいらっしゃるわけで、非常に重要な役割だと思うのです。そういった方と普通の精神科以外の患者でも病院と診療所の連携を必ずやる。地域に戻るときには、地域のかかりつけの先生と連携するということをやっているのです。そういう体制が精神科医療において行われているのかどうかということを教えていただければと思います。
以上、4点です。
○田辺会長
それでは、精神・障害保健課長、よろしくお願いいたします。
○武田精神・障害保健課長
精神・障害保健課長でございます。
まず、1点目、17コマ目の点で御質問をいただきました。地域差ということで、確かに御指摘のとおり、全体の傾向といたしましては、西側のほうが非常に多く、それからまた診療所、病院等の差もあるということが見てとれるわけでございます。これにつきましては、理由等につきましては系統的なもの、確固たるものは持ち合わせていないというのが正直なところでございます。
それから、精神医療審査会につきましては合議体でございます。各都道府県知事が委員を任命するというところでございまして、その構成といたしましては、専門家医療の学識経験者、具体的に申し上げますと、精神保健指定医の先生方になりますけれども、その方2名以上、もう一つといたしましては、精神障害者の保健または福祉の学識経験者1名以上、これは精神保健福祉士の方等になります。
それから3番目の者といたしまして、法律に関する学識経験者の方が1名以上ということで、これは弁護士さん等になります。そのような3者で1合議体当たり5名の者で、各患者さんにつきまして、まずは精神科病院の管理者の方から医療保護入院の届け出、それから措置入院、医療保護入院患者さんは定期的な病状報告をすることが法令上決まってございます。それについて届け出、報告をいたしまして、審査会の中で審査をするというものでございます。
そのほか、入院中の患者さん、それから御家族等から、退院請求でありますとか入院中の処遇改善請求が行われた場合、それにつきましてもこの合議体の中で審査をするというような仕組みになっているものでございます。
3点目の研修についてでございます。これは確かに委員のほうから御指摘がございましたように、グループワークと一言で言っても、実際にどういう形でやっていくのかというところでございます。これにつきましても、どのような形というものがあり得るのかということを検討しているというところでございます。
一回の研修会では、200名規模ぐらいのところが普通の座学では多うございますので、それをあわせてどのような形でやっていくのか、方法論については検討中でございます。
それから、病院と退院後のクリニックの先生方との連携というのは、先ほどの措置のほうに関しましても、退院後の支援という中では非常に重要な位置を占めるものでございます。ですので、例えば、先ほどありました10コマ目のところにおきましても、計画を立てる段階、それから計画に基づいて帰住先においてどのように支援をしていくという段階におきましても、当然のことながら地域の精神科の診療所の先生方に御参画いただいて、必要な支援を続けていくという形になるということをこの中では御提言いただいているところでございます。
○今村委員
御丁寧な回答、ありがとうございました。
2点目の精神医療審査会というものが、実際の個別の、特に地域に戻ってきた患者さんに対して、現状について評価、分析をするための合議体ということであれば、問題のある方というか、非常に課題のある方についてはきちんとここで検証して、いろいろな意見が出されるということだと思いますので、それがしっかり本当に機能するということが大事というのは改めて思いました。
最後の病院と診療所の連携については、単なる診療情報提供だけではなく、非常に重要なことなので、しっかりとこれを評価するような体制をつくっていただければと思っています。以上です。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
万代委員、お願いいたします。
○万代委員
意見を申し上げます。
まず1番目の措置入院に関してでございます。論点のところで申し上げると12コマ目のところで、法改正が行われるということでございますので、それに対する診療報酬上の担保については当然必要だと考えております。
少しずれるかもしれませんけれども、措置入院に関しましてはいろいろな形の措置入院がございます。具体的には、夜間、休日にも措置入院患者さんがおられるわけで、そういう患者さんに対する診療報酬上の評価が必要だと考えてございます。と申しますのも、診療には極めて時間を要する、数時間かかるというような手がかかるわけでございます。あるいは医師1人で対応ができない場合もございますので、複数の当直の精神科の先生を配置することは現状では難しいわけでございますが、それにかなわないまでも、そういったような現状を十分把握した上で、夜間における措置入院患者に対する対応についても、少しずれますけれども、今後、診療報酬上で考えていっていただくべきかと考えております。
2番目の精神保健指定医の取り扱いでございますけれども、これにつきましても、当然本来の指定医の業務を評価していただくというのは当然と思っております。
一方、これまでもほかの委員が言われましたように、外来評価を見直すと聞こえますので、その場合、どのような見直しの方向か。ただ単に例えば在宅精神療法の60分以上というところに文言が触れられておりますので、そういったところだけを単純に切り捨てるとか、そういったようなことでは精神疾患患者に対する外来療法がうまくいかないと思いますので、そこら辺の見直しについては十分に検討した上での見直しにしていただきたいと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
質問がございます。
1つは、医療保護入院の関係です。5枚目のスライドで年々医療保護入院がふえているという形になっております。一方で、全体の入院患者さんが減っている中で任意入院が多分減っているのではないかと思いますけれども、その状況について教えていただきたいと思います。
それと、その場合、なぜ任意入院が減って、医療保護入院がふえているのか。多分、重篤な患者さんがふえているからという話になるのかもしれませんけれども、別な資料を見てみますと、任意入院の割合と医療保護入院の割合が急激に接近しているというデータもありますので、その辺、どういう要因でこういう変化が起きているのかというのを教えていただきたいと思います。
もう1点質問があります。10枚目のスライドの再発防止策の提言以降、法改正の審議がされておりますけれども、法改正についての状況について教えていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
精神・障害保健課長、よろしくお願いいたします。
○武田精神・障害保健課長
精神・障害保健課長でございます。
委員御指摘のとおり、傾向の推移といたしましては、医療保護入院と任意入院との差というものが拮抗していきているということです。具体的に申し上げますと、医療保護入院のところがふえてきているのではないかということでございます。これにつきましてはいろいろな理由があるのではないかと思いますが、一つ考えられますのは、例えば認知症でありますとか、社会の高齢化に当たりまして医療保護入院者がふえているということも一因ではないかと考えられるところでございます。
○田辺会長
2番目の法改正の状況に関してはいかがでございましょうか。
○武田精神・障害保健課長
法改正の状況という御質問をいただいたところでございます。これにつきましては御案内のとおりでございまして、先般の通常国会におきまして、精神保健福祉法の改正案ということで御審議をいただいているというところでございまして、参議院のほうで御審議をいただきまして可決というところでございましたけれども、衆議院の解散に伴いまして、現時点で廃案になっているというところでございます。
○田辺会長
平川委員、どうぞ。
○平川委員
医療保護入院と任意入院の関係について、認知症の患者がふえているからということだけで説明できないのではないかと思いました。今回、医療保護入院についての見直しは実施しない状況になっていますけれども、今後の対応等でより詳細な分析をお願いしたいと思います。
あともう一つ、先ほど言った10枚目のスライドの関係も、国会においてまだ審議中もしくは廃案になっているということでありますので、先行して診療報酬上でどう評価していくかという議論については早過ぎるのではないかという印象もあるのです。その辺、法改正がまだ国会での議論が十分でないという中で、診療報酬が先行するということに対して、いささか疑問点もありますので、その辺、考え方がありましたら。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
これは後ほど所管課長のほうから補足いただいたほうがいいかもしれませんが、私どもの理解は、法改正に伴うさまざまな対応とともに、先ほど御紹介をいたしましたけれども、なすべき行政の対応についてまとめていただいているということでございます。法改正の関連によらず、本来、これを行ったほうがいいという内容について診療報酬の対応を検討してもいいのではないかという問題意識で私どもとしては受けとめて、報酬設定、今回、改定の議論がございますので、あわせて御議論いただくという理解でございます。
○田辺会長
補足はございますか。
○武田精神・障害保健課長
ありがとうございます。
今、医療課長のほうから申し上げたとおりでございます。
先ほど申し上げましたように、法案につきましては廃案となったところでございますけれども、今後、その点につきましてもどう進めていくのかというのは検討が必要と思っております。ただ、一方で、基盤といたしまして、措置入院者の方々の社会復帰の促進のためには退院後の支援を充実させていくという、その重要性というものは当然のことながら引き続きあろうと考えてございます。そういう意味で、成否にかかわらずに、退院後の支援を進めていく上で、私どもといたしましても必要な対応を検討していきたいと考えておりまして、その中の一貫という位置づけでなかろうかと考えてございます。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
退院後の支援というのは私も重要だと思いますけれども、さまざまな議論がある中で、先んじて診療報酬上で評価をしていくということ自体がいろいろな意味で問われる可能性もありますので、これについては慎重な検討が必要ではないかと思っていますので、意見として言わせていただきます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、次の区切りの長期入院患者の地域移行と急性期医療を担う病棟の状況について、御説明を事務局よりお願いいたします。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
引き続きまして、総-1の31コマ目から「3 長期入院患者の地域移行に向けた取組」「4 急性期医療を担う病棟の状況」につきまして御説明をさせていただきます。
32コマ目以降、まず、長期入院患者の地域移行であります。現在、入院患者の実態につきまして、33~34にお示ししております。
まず、33でありますが、患者さんの数、これは内訳を含めた疾患別でございます。全体的に減少傾向であります。その一方で、認知症、これは血管性とアルツハイマーを分けてございます。上下それぞれあるのですが、一定程度の数がおられるということと、統合失調症につきましては減少傾向になっているということでございます。
34コマ目は入院患者数の推移、これは年齢階級別の内訳であります。75歳以上、あるいは65歳以上が基本的にはふえておりまして、その下の55~34歳の階層につきましては減少傾向にあるということでございます。
おめくりいただきまして、今度は精神科入院患者の在院期間別の内訳であります。3つに分けております。1年未満、1~5年未満、5年以上ということでございます。
1年以上の患者さんにつきましては18万人程度でありますけれども、多くが1年以上を占めているということでございます。
その下、36コマ目でありますけれども、長期にわたる1年以上の患者さんにつきまして、基本的には減少傾向でありますが、年齢別に見ますと、これは36コマ目の左側でありますが、65歳以上の方につきましてはふえている。それから、転帰といいますか、入院された患者さんの退院されている数について見ますと、死亡退院が若干ではありますけれどもふえてきているという実態がございます。
37コマ目、今度は入院患者さんの現状の中で、診療報酬上の評価に対応したどういった病棟種別かということでありますけれども、関連する入院料、ここに一覧を掲げてございますが、帯をつけておりますが、精神療養病棟入院料、認知症治療病棟入院料1、15対1、このあたりが人数的には一番多いというのが実態でございます。
次に高齢化の問題でございますけれども、39コマ目以降であります。
39コマ目、長期入院の患者さんのADLにつきましてデータをとっております。1年以上の長期入院の患者さんにつきましては、日常生活自立度、これは御説明がないのですが、ランクA~Cとなっております。その下に凡例がありますが、ランクJというのは自立であります。ランクA、B、Cとなるに従いまして、自立度が低くなっていくということです。すなわち、20%程度の者が日常生活自立度においてランクA~Cだったということ、つまり、自立していないというランクの方が20%程度であります。
その下のADL関係の状況につきましては、25%、大体4分の1程度が衣服の着脱において一部介助または全介助であり、このようなADLの状況であります。
40コマ目でありますけれども、在院期間別の退院先の状況であります。これは期間別に帯グラフでお示ししておりますが、入院期間が長くなれば長くなるほど転院・院内転科あるいは死亡の方が占める割合が高くなるということであります。同様に、入院期間が長くなると、自宅等に退院できる割合が減少する。それから、高齢者福祉施設に退院する患者さんの割合が相対的には多くなってくるという状況でございます。
41コマ目以降は診療報酬上の評価について幾つかまとめてございます。
41と42をあわせて見ていただいたほうがいいかもしれません。まず、退院調整加算でありますとか関連する加算の中で、1年以内に幾つか関連する加算の中で地域移行に関連する加算で、赤字で41コマ目の表の中ほどにありますけれども、入院日から起算して1年以内に退院をし、患家または精神障害者施設に移行するというような規定を設けております加算につきましては、この真ん中の精神保健福祉士配置加算のみでありますけれども、こういった評価がございます。
それから、2点目、42コマ目でありますけれども、地域移行関連の評価でありますが、4つ行がございます。上3つは平成28改定より前からあるわけでありますが、一番下の地域移行機能強化病棟入院料というのは、平成28年、前回改定で新設されておりまして、長期入院の患者さんの地域移行を目的とした病棟という位置づけでございます。ここに算定要件等がございます。
これは具体的には43コマ目、隣のページを見ていただければと思います。どういう形で在宅への移行を評価するのかということでありますが、先ほど見ていただきました加算、入院料との比較について申し上げますと、在宅の移行の割合については基本的に特別養護老人ホームあるいは介護老人保健施設、これは加算がプラスになっているもの、加算評価がされているものに限るということでありますけれども、これらとともに患家、精神障害者施設をあわせて評価しているということでございます。
43コマ目のこの表は、今の在宅への移行の割合を計算する分子の中に、今、お話をしましたとおり、平成28年度に設けましたものについては今の2つが追加的に評価をされています。逆に言いますと、左側にあります2つの入院料と加算につきましては、そういった評価が算入はされていないということでございます。
44~45コマ目は、一般病棟に関します似たような考え方で、在宅復帰率の計算方法についてもお示しをしております。御参考までにということでございます。
次に、在宅の医療に関します内容です。47コマ目以降をごらんいただきたいと思います。
まず47コマ目、これは28年度改定で実施したものであります。この中身は何かと言いますと、長期入院後の患者さん、自宅等で暮らしていきます重症の精神疾患の患者さんに対しまして多職種協働で支援していくということが非常に重要でありますが、そういったことをより一層普及を図るために、前回改定で精神科重症患者早期集中支援管理料、これはいわゆるアウトリーチ管理料と俗に呼んでおりますけれども、こういうふうに要件を見直しております。
今回、ここで御紹介、御審議いただきたいと思っておりますのは、こういった一定の要件を設定して、重点的に評価している報酬がある一方で、48コマ目を見ていただきますと、一般患者さんに関します在宅時医学総合管理料、これは算定要件が御案内のとおり28年改定で組み合わせを幾つか見直しておりますけれども、こういった報酬の設定もございます。
これらをあわせて見ていただきたいのは49コマ目でありますけれども、精神科の重症患者の早期集中支援管理料、アウトリーチ管理料でありますが、今回御説明しておりますように、精神科の特に地域移行に重点的に評価をしていこうということで設定されている報酬でありますが、49コマ目の表の下半分を見ていただきますと、今、お話をしましたような算定要件の中に、24時間連絡体制でありますとか、24時間の往診または訪問看護の体制といった、一定の要件を求めているということでございます。ここは49コマ目の下半分の表で、24時間対応に関する施設基準ということで書いてございます。
ところが、その上半分に書いております先ほど見ていただいた48コマ目、一般の患者さんに関しますいわゆる在総管と言われるものにつきましては3つカテゴリーがあるのですが、上の表の左の2つ、いわゆる在支診・在支病関係の報酬ではない、その他という医療機関に対しましては、実は24時間に関する施設基準という要件がございません。実際にはこの2つの加算は精神科の患者さんに関しましては、どちらを算定することも可能な状況になっているということでございます。そういった中で注釈に書いてございますけれども、併算定はできませんが、いずれも算定が可能なので、ある意味、より有利なほうを算定しているということが推察されるということでございます。
報酬の水準も、表の中に記載しておりますけれども、算定のとり方によりましては、在総管のほうがより報酬上高い水準になるということも考えられるということでございます。
こういった背景事情も含めまして、50コマ目にアウトリーチ管理料、届け出をどうして行わないのかということをお尋ねしますと、24時間訪問看護の体制の確保が困難なのだということが一番の理由として掲げられているということでございます。
51コマ目ですけれども、アウトリーチに関しましては多職種による支援が期待されるわけでありますが、そういった中で、いろいろな職種がどのように絡んでいるのかというのが左側の円グラフであります。訪問回数について言いますと、精神保健福祉士が回数としては一番多いというのが実態だというようなことでございます。
以上のような実態を見ていただきまして、52コマ目の今回御検討いただきたい論点であります。2点ありまして、1つには先ほど在宅の移行、地域への移行に関します評価の指標につきましては、自宅とか精神障害者施設に加えて、特別養護老人ホームあるいは介護老人保健施設を追加することについてどのように考えていくのかというのが1点目。
2点目は、今、御説明しましたが、在総管とアウトリーチ管理料につきまして、精神疾患の分につきましては両方算定可能な状況になっているわけでありますけれども、本来、地域移行を精神科にフォーカスを当てて充実するということで設定しております管理料につきましては、目的等をよく整理をした上で、評価のあり方については見直してはどうかというのが論点の御提示でございます。
それからもう一点、53コマ目以降でありますけれども、「4 急性期医療を担う病棟の状況」でございます。
54コマ目、数字的には既に見ていただいた内容が多いのですけれども、まずおさらいといいますか、病床数、入院患者さんの数はいずれも減少傾向にあります。このグラフは折れ線と棒グラフでまとめて表示しておりますけれども、入院患者さんの数が折れ線、棒グラフは病床でありますが、いずれも減少傾向であるということでございます。
55コマ目、これは再掲でありまして、届け出の数の推移を見ていただいております。
そこで56コマ目でありますが、精神科の救急医療体制の整備に関しましては、56コマ目の左上に四角の枠で囲ってございますけれども、緊急な医療を要する精神障害者の方々の救急医療のニーズというものは当然ありますので、そういった体制を確保するということで、自治体の事業として平成20年度から実施いたしております。
その中心的な位置づけの一つがポンチ絵の真ん中にございますが、精神科救急情報センターの設置であります。緊急対応が必要な患者さん、そういった方々については、重症度によってさまざまな対応が必要になりますので、重症度に応じた受け入れ先を調整していくという機能を中心にセンターの整備を進めてきているということでございます。
57コマ目以降が報酬の関係であります。精神科救急入院料につきましては、報酬算定につきまして一定の要件が課されております。その要件の中の1つ、施設基準のところに書いてございますけれども、1月の間の延べ入院日数のうち、4割以上が新規の方、ある程度病床が回転していることを求めております。
それから、年間の新規の患者さんのうち、6割以上が措置、緊急措置、医療保護入院も含めてですけれども、精神保健法の位置づけにのっとった入院の受け入れをしているということを要件として求めているということでございます。
精神科救急入院料につきましては、改定ごとに一定の見直しをしておりますけれども、重立ったもの、これは58コマ目に一覧表でございます。平成18年に入院早期の評価を引き上げるという対応をしていることと、平成20年、これは冒頭も見ていただきました関係もありますけれども、地域差が一定程度あるということも踏まえて、時間外、休日、深夜、こういった夜間の対応につきまして、診療件数と措置入院の数、患者さんの要件をある程度緩和をして見直しをしたということでございます。
それから、入院早期から在宅への移行支援をさらに推進するという趣旨で、在宅に移行する患者さんの割合について評価を行っております。
59コマ目、算定件数、病床数の関係について数字を押さえております。医療機関の数、病床数につきましてここにお示しをしております。折れ線グラフで入院料、病床数の総数と内訳につきまして、26~27についてお示ししております。これは総数の関係で減少している数字につきまして、一定程度精査をしておりますけれども、右側の算定回数が伸びておりますので、数字的につじつまが合わないところもあるのですが、ここは今、精査をしておりますので、現状お示しをしております。
60コマ目でありますけれども、入院料を算定しております病棟の患者さんの状態、状況につきましてまとめております。
まず1点目、1でありますが、GAFスコア、これはGlobal Assessment of Functioningで、61コマ目に具体的な評価をお示ししておりますけれども、全般的機能レベルについて臨床家の判断を記録するための指標ということでありますが、このスコアは低いほど重症、小さいほど重症ということになります。頻度で見てみますと、60コマ目で病棟ごとに見ております。いずれも21~30あたりが最も高い、頻度として多いという状況になっているということでございます。
それから、状況につきましてまとめております2点目の62コマ目でありますけれども、精神科救急入院料を算定している病棟に入院されております患者さん、どういった疾患なのかというようなことでございます。統合失調症などが5割程度と最も多いということであります。これは62コマ目の棒グラフで一番多いということであります。
ただ、時間的な経過、平成21年と26年の比較について言いますと、統合失調症というのは減少傾向にありますが、一方で気分感情障害はむしろ多くなってきているというのが近年の傾向であるということでございます。
あと2つほど実態、状況のデータをお示ししております。63コマ目でありますけれども、入院患者さんにつきまして、新規の方、それから搬送されたときの状況についての違いをお示ししております。この表でお示しをしておりますのは、3つの病棟種別のうち、新規の入院患者さんの絶対数が精神科救急入院料につきましては、もちろん算定要件の関係もあるわけですけれども、一番多いということになります。その内訳を記載しておりますけれども、救急搬送、警察搬送の患者さんの数、措置入院の患者さんの数がいずれも精神科救急入院料の算定病棟では割合が高いとなっているというのがまず実態でございます。
それから実態の最後、4点目でありますが、64コマ目であります。入院の経緯の別で見ますと、任意入院、医療保護入院、措置入院等々で分けてあるわけでありますが、精神科救急入院料について見ますと、医療保護入院が一番多いということでございます。
以上が患者さんの状態、状況ですけれども、65コマ目以降につきましては、隔離とか身体拘束に係る対応の状況であります。
65コマ目であります。隔離とか身体的拘束の行動制限を行っているという実態につきまして、どのような看護の内容なのかという中身についての内訳をお示ししております。まず、圧倒的に多いのが観察という対応でありまして、これは左側のグラフ、頻度の別で見て、突出して多いということでございます。
それから、勤務時間帯別でそういった内容を見てみますと、夜間につきまして特徴があります。右側の頻度別のグラフで見ますと、与薬でありますとか排せつの世話等々、これはもちろん一定程度頻度があるわけでありますが、真ん中の2つ、観察・巡視、テレビモニター観察というのは、凖夜から深夜、夜間に向けて頻度が上がっていく特徴があるということでございます。
66コマ目、身体的拘束の状況でありますけれども、基本的には年々上昇しているということであります。それから、8割は先ほどの関係もありますが、医療保護入院ということになります。
法的な位置づけにつきまして、隔離、身体的拘束につきましては、一定の規定がございまして、ここに記載されていますとおり、例えば67コマ目の第三と書いてありますが、隔離につきましては、遵守事項といたしまして、下線を引いてございますが、(三)でございますけれども、定期的な会話等による注意深い臨床的観察、それから適切な医療、保護がなされなければならない。あるいは身体的拘束につきましても、同様に遵守事項として、原則として常時の臨床的観察が求められているということでございます。
以上を踏まえまして、68コマ目の【論点(案)】でありますけれども、2点あります。精神科救急の病棟、精神科急性期の治療病棟、より適切な体制の構築に資する評価というものはどのように考えたらよろしいのかというのが1点目であります。
2点目、精神科の急性期の病棟で、必要最小限の行動制限が求められていることを踏まえ、より適切な医療が提供できる体制、どのように評価をしていくべきなのか、この2点につきまして御審議いただければと思っております。
以上でございます。
○田辺会長
御説明ありがとうございました。
ただいまの地域移行、急性期病棟に関して、何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
地域移行を進めていく上で、若干視点を変えてコメントをさせていただきます。地域移行に関するこれまでの議論においては、国策としての入院中心主義、民間精神科病院依存の精神医療体制、精神障害者福祉の貧困さ、住宅問題を含む絶対的な受け皿不足に加えて、地域精神医療充実の必要性、国民の精神障害に対する偏見、無理解などに関して、いわゆる問題指摘にとどまり、現状のさまざまな医療、福祉の社会資源の活用や地域特性、医療機関特性を生かした実効性のある方策が示されてこなかったことが問題点として挙げられると思われます。
特に抜本的な精神保健医療福祉の改革を実現するための財源措置については、極めて乏しかったことなどが挙げられると思います。
これら一つ一つに答えを出すことで、全てが解決するわけではないでしょうけれども、ある程度、何らかのヒントにはなるのではないかと思われます。
というのも、新しい考え方もよろしいのですけれども、反省も含めて過去を検証することで、新たな道も見えてくるのではないかと思われますので、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
地域移行に関しましての方向性はいいのかもしれませんけれども、一般患者の在宅医療に比べれば非常に問題点も多いと思います。特に、老健施設とか特養とか、場合によってはサ高住に入る方もいらっしゃいますので、入った方を24時間体制で見ていくことが非常に困難だということも示されましたけれども、きちんとアウトリーチしていくことが本当に大丈夫なのかどうか。精神科のサポートがないとなかなか難しい面もあります。
先ほど松本純一委員もおっしゃいましたけれども、受け皿をきちんとすることがまず大事だろうと思います。こういったことがきちんとできた上での地域移行だと思いますので、その点につきましてどんなお考えを持っていらっしゃるかをお聞きしたいと思います。
もう一つは、34のところですけれども、長期入院、特に65歳以上の方が多いというところの病態像が示されていないので、これについて、例えば認知症が非常に多くなっていることとか、あるいはもっとほかのことが関連しているのかどうかについて、教えていただきたいと思います。
○田辺会長
2点ほど御質問がございましたけれども、事務局、よろしくお願いいたします。
○武田精神・障害保健課長
ありがとうございます。精神・障害保健課長でございます。
委員から御指摘がございましたように、まず、社会全体での理解、そのほか、地域における受け皿づくりというものがまずあってから、その上での移行ということが進むのではないかという、そこのところが非常に重要な点、基盤的な考えというふうに考えているところでございます。そういうところも基本的な考えの一つといたしまして、このような地域移行の考え方を具体的に進めていくと考えてございます。
それから、65歳以上の方が多いというところに関しましても、これも先に委員の方から1点ございましたように、一例でございますけれども、認知症の方々の増加というようなことも一因ということではないかと考えてございます。また、そのほかの要因等もあるかもしれません。これも引き続きデータも追いながら考えていきたいと思っております。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今までのお話に関連するのだと思いますけれども、高齢化に伴って認知症の方がふえてくる。結果として重症な認知症の方が精神科病院に入院するということもふえているのだというのはわかるのですけれども、長期の入院患者さんの中に占める認知症の方の割合というのは、今の御説明の中にどこか示されていたのでしょうか。
御存じのとおり、我々かかりつけ医が地域で医療をしていると、高齢の方がふえているので、当然認知症を持たれている方というのは多数いらっしゃるわけです。特に精神科医療に限って認知症を診ているわけではない。もちろん、認知症の中核症状があって、中には重篤な方は周辺症状が非常に顕著で、徘徊であるとか妄想であるとか、かかりつけ医が責任を持って診ていくことが難しい方については、精神科医療の中で周辺症状をある程度コントロールしていただいて、また我々かかりつけ医が診ていくというような連携なのだと思いますけれども、長期に認知症の方が精神科病院に入院されるという状況については、どういうことが原因でそうなっておられるのか。もしわかっていれば、ぜひ教えていただければと思います。
後ほどまた個別で出てくるのだと思うのですけれども、認知症医療センターみたいなものが地域の中にある。そうした場合に、もちろん精神科病院が認知症医療センターになっておられるところもあると思うのですけれども、そうでないところも多数あって、そういうところとの連携をどうとっておられるのか。具体的に何か実例があればまた教えていただければと思います。
最後にもう一点。先ほど、松本吉郎委員からもお話があったことですけれども、論点にも含まれている特別養護老人ホームあるいは老人保健施設に今まで要件に入っていなかったものを入れたらいいのではないかということが課題で挙げられていたと思います。すごく大事だと思うのですけれども、そういった受け皿の側にきちんと患者さんを見ていただけるような体制が本当にできているのでしょうか。そうではないと難しいと思うのです。
3点、教えてください。
○田辺会長
精神・障害保健課長、よろしくお願いいたします。
○武田精神・障害保健課長
ありがとうございます。
まず、1点目のところの長期入院の方の中での認知症の割合その他でございますけれども、統合失調症の方が全体の6割ぐらいでございます。それから認知症の方は2割ぐらいというデータでございます。最新のデータではそのようなところが出ています。
あと、受け皿のところでございますけれども、それも委員の御指摘のとおりでございます。まずは受け皿の部分の地域における基盤整備があった上でというところは、非常に重要な観点と考えてございます。
○今村委員
1点目のデータ、ありがとうございました。
認知症の方の長期入院もふえているということはよくわかりました。ただ、冒頭申し上げたように、認知症の方というのは本来的には地域の中で普通にかかりつけ医を中心として診ていくような疾病である。ただ、周辺症状が厳しくて、在宅等で生活できない状況になったときに、一時的にコントロールのために精神科の病院に入院していただくというのが本来のありようだと思うのです。
それが長期の入院になるというのは、コントロール自体がうまくいかないからというケースばかりではなく、松本純一委員が先ほど申し上げたようなさまざまな要因があって、在宅等への復帰が難しくなっているということもあると思うのです。ですから、精神科医療だけの話で長期入院をという話ではないような気がしますので、その点も含めて御検討いただければと思います。
○田辺会長
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
52ページの論点の件ですが、退院先に特別養護老人ホーム、介護老人保健施設を追加する。これは非常によいことだと思いますので、ぜひお願いしたいと思っております。
それから、在宅についても、精神科における地域移行、在宅医療を充実するということで、そういう方向で評価をお願いしたいということがあるのですが、1点、精神疾患はどうしても急性期に入院してから落ちつくまである程度の期間は必要になります。それを早くどんどん介護保険施設等に退院を促進すると、今の論点と同じで、そちらのほうでの充実がないと、また悪化してまた入院してくるということがあるのです。余り現状で短期、短期と言うよりは、症状が落ちつくまではしっかりと入院して治療する必要があるのではないかと思っております。
それから、68ページの精神科の急性期入院医療に関する課題と対応ということで、行動制限のことが書かれております。行動制限を今、行うということは観察が非常に重要です。もう常時見ていなければいけないということもありますので、これについての評価を十分にお願いしたいと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
地域移行に関しましては、今までいろいろ御発言がありましたけれども、診療報酬上でどう評価していくかという観点と、今、障害福祉サービス報酬改定も同時に行われているかと思いますので、連携が重要なのではないかと思います。
そこで質問ですけれども、障害福祉サービスにおいて、地域移行に向けた検討というのは、どういう状況になっていて、今回示されている議論の方向性とどういうつながりがあるのかということを質問させていただきたいと思います。
○田辺会長
この点、事務局、よろしくお願いいたします。
○武田精神・障害保健課長
ありがとうございました。
障害福祉サービスにおきましては、御指摘のとおり、そこも組み合わせて考えていくということが重要であろうと考えております。
現在、障害報酬につきましては、別途検討チームのほうでいろいろな分野から検討を進めているところでございます。その前提といたしまして、各方面の団体、関係者の皆様方からのヒアリングもさせていただいているところでございます。そのようなことも踏まえまして、適切な効果的、効率的な地域移行が進めるようなものが検討されていると考えてございます。
以上です。
○田辺会長
平川委員、お願いします。
○平川委員
であれば、52ページの【論点(案)】の中に、障害福祉サービスとの連携を含めた形でしっかりと明記をしていくべきではないかと思います。記載が地域移行に関しての課題と書いてあるのですけれども、在宅復帰の要件を若干緩和することと、アウトリーチ管理料の見直し。それも重要なのですけれども、それだけに限られておりますので、もう少し幅広でしっかりと課題を明記していく必要があるのではないかと思っています。
特に、平成28年度の診療報酬改定の特別調査においても、精神病院にも入院している必要はないのだけれども、在宅復帰にいろいろな課題があるから入院しているとことについてのデータが明確に出ているところでありますので、その辺、しっかりと対応すべきではないかと考えているところであります。
それからもう一つ、急性期のところですけれども、身体拘束の関係で66枚目のスライドです。身体拘束の状況ということで、直近は減っておりますけれども、やはり年々ふえているということであります。その中で身体拘束を行っている患者の入院区分を見ますと、医療保護入院が多くを占めているということであります。先ほどの医療保護入院がふえているということと関連性があるかと思いますけれども、この辺、どういう状況なのか。なぜふえているのかということを少し、状況がわかればお聞きしたいと思います。
○田辺会長
この点、精神・障害保健課長、よろしくお願いいたします。
○武田精神・障害保健課長
ありがとうございます。
身体的拘束の増加ということの要因でございますけれども、これも今、御指摘のとおり、例えば医療保護入院との関係ということもございましたが、比較的症状が激しい急性期の入院患者さんも増加していることなども考えられるのではないかということがございます。ただ、現時点でその部分に関しましては、そのほかの要因等も含めまして、明確にはなっていないところでございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
○平川委員
ぜひとも要因分析をして、現場実態から見ていろいろな事情があるのは承知しておりまけれども、なるべく身体拘束については減らしていくという対応が必要かと思いますので、意見として言わせていただきます。
○武田精神・障害保健課長
1点、つけ加えさせていただいていいですか。
○田辺会長
どうぞ。よろしくお願いいたします。
○武田精神・障害保健課長
申しおくれましたけれども、委員御指摘のとおり要因というものがどういうものでふえているのかという点は非常に重要だと考えてございます。それを含めまして、現在、隔離それから身体的拘束につきましての増加要因というものを分析するということも目的といたしまして、調査研究を進めているところでございます。そのような研究結果も踏まえまして、また分析等を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
松本吉郎委員、お願いします。
○松本吉郎委員
精神科の急性期入院医療に関することですけれども、これは精神科のほうからこういった視点で書かれているということはわかりましたが、一方で、例えば救急搬送の立場から見ますと、精神科の患者さんで身体合併症を持った患者さんの搬送先が非常に難しいというのが課題になっております。この課題についてどう思われているかということと、もう一つは例えば救急ではなくても、認知症の患者さんで肺炎を合併したときの対応についてどう対処することをお考えになっていらっしゃるか、この辺についてもお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○田辺会長
お願いします。
○武田精神・障害保健課長
ありがとうございます。
御指摘のとおり、いわゆる精神科疾患のみならず、身体的な症状の合併に関しては、非常に大きな課題と考えており、身体合併症救急医療確保事業等を現在行っているところでございます。内容につきましては、精神疾患を持ちながら身体合併症を持っておられる患者さんに対しまして医療のできる体制確保を進めていくということで、そのような医療機関を指定していくというものでございます。大体、少なくとも2つの圏域に1カ所は整備するように努めるということで、これらの対策を進めてきているということでございます。
このような事業も含めてでございますけれども、それぞれの地域におきまして身体合併症も含めてこのような精神科救急が円滑に進むような体制づくりを続けていくことが非常に重要だと考えておりますので、さまざまな面で私どもとしても支援をさせていただきたいと考えてございます。
○松本吉郎委員
ぜひ、身体合併症を持った精神科の患者さんについての取り組みをしっかり関係部署と連携の上、やっていただきたいと思います。
○田辺会長
万代委員、お願いいたします。
○万代委員
意見と質問でございます。
まず、意見ですけれども、長期入院患者の地域移行に関しましては、これまでの委員の言われたとおり、長期の入院患者が高齢化していっているわけでございますので、介護保険施設などに退院するケースが増加するということで、これにつきましても地域移行として評価することは現実的であると思います。
一方で、これも重複になりますが、退院先に介護保険施設も含まれるということであれば、そこばかりに退院してしまう、そのような仕組みにならないような制度設計が必要かと考えております。
次に、急性期入院医療を担う病棟の状況です。59コマ目のスライドで先ほど医療課長が御説明されたように、病床数は少し減っているのに、算定回数が急激に伸びている。これについては精査が今後必要ということでございましたが、精査の結果が平成30年の改定の論議に間に合うのかどうかということについて、御質問したいと思います。
その上で、少し単純に考えますと、病床数は減っているけれども、算定が伸びているということは、単に回転率が上がったのかということも考えられるわけでございます。ただ、それだけではないとは思いますので、ぜひ精査していただきたいと思っております。
それに関連しまして、精神科の救急入院料、要するに救急入院あるいは病棟を持つということは、現場の感覚からしますと運営上厳しいところがございます。前回改定の総合入院体制加算で大分精神科の病棟を持つということで評価を上げていただきましたが、それでも現場の意見を聞いていますと、まだまだそれでは運営できない状況がございます。したがいまして、精査のところとも関係いたしますけれども、ただ単に算定回数を伸ばしたのが悪いという判断にならないようにすべきかと思います。そのベースには、ぜひ精神科の病棟を運営していくことの厳しさを考え合わせた上で議論を進めていっていただきたいと考えます。
一方で次の60コマ目のGAFスコアを見ると、病棟が3つございますけれども、どの病棟も21~30点あるいは11~20点を含めますと、ここの部分の患者さんの割合が余り変わらないというようなデータでございます。したがいまして、より重症の精神疾患の患者さんをどの病棟も抱えているという意味からは、まず、考え方の基本としては、重症患者さんがおられると。猪口委員も言われましたように、そういった方につきましては手もかかりますし、入院もどうしても長期化せざるを得ないということがございます。
したがいまして、精神科救急入院料につきましては、在宅復帰の要件であるとか、新規入院患者の要件とかがあって、それなりの高い点数がついているわけでございますし、64コマ目にありますように、当然保護入院あるいは措置入院の患者さんを多く入院させていることは間違いございませんけれども、2段階で評価をするあるいは制度設計をするということですと、良好な精神疾患診療ができないのではないかと危惧するわけでございます。したがいまして、ある程度段階手的な、重症患者がどこの病棟も一定程度いることは間違いないので、その患者さんをどう診ていくかということにつきましては、診療報酬上の評価もある程度段階を踏んで設計することも必要なのではないかと考える次第でございます。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
59コマ目の数字につきましては、数字自体は既に確定しているものであります。周辺の数字との矛盾がないかどうかを確認させていただこうと思っておりますが、私どもとして重視をしたいのは平成28年の数字が間もなく集計されると承知をしておりますので、28年の数字とあわせてトレンドを評価するほうがむしろ重要かなと。いずれにいたしましても、今のような形で可能な限り御審議に資するようなデータは用意させていただきたいと思っております。以上でございます。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
引き続きやってしまって構いませんか。休息を入れたほうがよろしゅうございますか。どういたしましょう。
ばっと行きますか。では、引き続き、最後の項目でございますけれども、「5 多様な精神疾患に対する医療」ということで御説明のほうをお願いいたします。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
それでは残り、69コマ目以降「5 多様な精神疾患に対する医療」ということで、これは合計6つ事項がございます。順次まいります。
まず、1点目は治療抵抗性統合失調症治療薬、いわゆるクロザピンであります。71コマ目からであります。
治療抵抗性統合失調症に治療薬としてクロザピンというものがございます。概略は71コマ目にございます。これは世界各国で販売され、使用されておりますが、非常に効果の高い薬であるということでございまして、治療抵抗性のものであっても30~70%に改善が見られるということでございます。一方で、その下に書いてございますが、副作用がございます。副作用の中で特に無顆粒球症、これは注釈に書いてございますが、血液中の白血球の数の減少等々で感染症の関係もございまして、重篤な症状、死に至ることもあるということでございます。したがいまして、当然、厳重な対応が求められるということで、緊急入院治療を行う血液内科等の連携も求めているということでございます。
このようなこともありまして、3点目で、クロザピンを処方される患者さんにつきましては、モニタリングサービスということで、一定の監視下に置くということになっております。幾つかありますけれども、まず、処方の関係で申し上げますと、血液検査の結果等に関しまして着実に評価していくという医療提供サイドの体制を支援するということと、それから薬事の関係での承認を前提として、体制の整備が求められているというのが2点目。3点目は、先ほど触れましたが、医療を提供する医療機関につきましては、血液内科との連携を求めているということでございます。
各国の状況を72コマ目にまとめてございます。御留意いただきたいのでは、※を書いてございますが、各国を比較しておりますけれども、同じ統計指標、同じ条件での数字ではございません。ですから、単純に比較をするということは基本的には避けるべきではありますが、数字的に日本が極めてこの薬剤の使用頻度が少ないということをお示しする関係でまとめているということに御留意いただきたいと思います。いずれにいたしましても、日本の処方率は非常に低いということでございます。
そういった背景の中で、73コマ目でありますけれども、難治性精神疾患地域連携体制整備事業ということで、クロザピンに関しましては一定程度使用していくことで症状の改善等が期待できるわけでございますので、適切な条件のもとで地域の連携モデルをつくっていくことで処方を進めていけるという考え方で、モデル事業として現在、実施、取り組んでいるということでございます。
そのほか、地域の取り組みを御紹介、詳細は資料をごらんいただければと思っておりますが、74コマ目は沖縄県の取り組み、75コマ目は千葉県の取り組みですが、それぞれの地域において、連携体制の構築でクロザピンの使用を促進していこうという取り組みがございます。
一方、診療報酬上の評価はどうなっているのかということでございます。76コマ目、これは治療抵抗性統合失調症でありますので、疾患の性質上、長期入院になりやすいということであります。したがいまして、主に想定されます算定病棟は、精神療養病棟の入院料ということになります。その包括範囲をまとめてございますけれども、参考にお示ししておりますのは療養病棟入院基本料でありますが、投薬、注射に関しましては、一部を除きまして包括ということになってございます。一部というのは下に書いてございます。インターフェロンでございますとか、こういった医薬品については除外ですが、それ以外は包括。今の時点でクロザピンは包括範囲に入っているということでございます。
77~78コマ目、これは特にクロザピンにフォーカスを当てた診療報酬上の取り扱いのまとめであります。
77コマ目は、今、見ていただきましたとおり、クロザピンにつきましては、ある意味特別な管理が必要でございますので、こういった投与に際しましては、指導管理を評価するという報酬の設定がございます。
算定要件はここに書いてございます。算定の回数は伸びているということではありますけれども、先ほど見ていただきました包括範囲との関係でいきますと78コマ目でありますが、包括範囲に入っておりますけれども、薬価を比較いたしますと、仮に1日の維持量の薬価ということで並べてみます。そうしますと、相対的に高い薬価になっているということでございます。
下に表がございますが、統合失調症の適用はあるものの、治療抵抗性の適用がクロザピンのみでありますので、クロザピンを適切に使っていただくことが求められている状況であります。
以上を踏まえまして、79コマ目の論点でありますが、今、見ていただきましたような評価のあり方、特に包括範囲のあり方も含めてでありますが、どのように考えるのか御検討いただきたい。これが1点目であります。
2点目、80コマ目。向精神薬の処方であります。
81~82コマ目、精神疾患を有する外来患者の数、これは内訳でございますけれども、精神疾患を有する外来の患者さんにつきましては、数字としては伸びておりまして、認知症、これは増減ありますが、総じて伸びている。それから、その下にございますけれども、統合失調を初め、気分障害、神経症性の障害等々、基本的には数字的に患者さんの数が伸びているということでございます。
82コマ目、こういった精神科領域において使われる薬は、概略をまとめておりますけれども、向精神薬というカテゴリーでありますが、大きくは抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、それ以外に分かれるということでございます。そういった中で、特に今回御検討いただきたいベンゾジアゼピンを中心とした取り扱いであります。
83コマ目、課題意識といたしましては、ベンゾジアゼピンというのは薬物依存の弊害があると指摘されております。薬物依存につきましては、薬事法の承認の用量の範囲内ではありましても、連用することで生じることが指摘されているということでございます。これはここに記載しておりますような調査を一定程度行ったわけでありますが、その上位5品目について言いますと、83コマ目の真ん中辺にあります右側の表でありますが、ここに上位5品目を挙げております。これはいずれもベンゾジアゼピンに該当するものでありまして、いずれも承認の用量の範囲ではありますけれども、15日以上の投与期間であるということでございます。
ちなみに84コマ目、では諸外国ではどうなっているのかということでありますが、調べた範囲、ここに記載してございますけれども、例えば英国、フランスを並べてございます。一定のリスクを踏まえて投与期間が制限されているということであります。例えば英国の場合は、短期間での使用ということで制限がかかっている。あるいは、フランスにつきましても不眠治療について4週まで、不安治療について12週までというふうに、継続処方の期間を制限しているということでございます。
では、本邦ではどうなっているかが85コマ目でありますが、投薬期間につきましては、処方の期間について上限設定がございますけれども、継続にかかる制限は現時点ではないというのが実態でございます。こういった実情を踏まえながら、これまでの改定でも、向精神薬の多剤処方については度重なる適正化の取り組みを進めてきております。一番直近で、この後4つ御紹介しておりますけれども、まず86~87コマ目、これは処方に係る向精神薬の多剤の処方の適正化の取り組みであります。
88~89コマ目、これは薬局あるいは薬剤師との連携によります処方の適正化であります。特に89コマ目、これは直近28改定での医薬品適正使用の推進という取り組みを評価したものでありますけれども、分割調剤ということで、医師が処方時に指示をする前提で、そうした場合につきましては、薬局で分割処方をすることが可能となっております。このメリットは何かと言うと、医師に対して服薬状況を薬剤師が確認をした状況を処方に対して情報提供を行うことが可能になっているということでございます。
ここまでが診療報酬上の評価、取り扱いであります。
90コマ目以降でありますが、実態として向精神薬の処方剤数、処方内容がどうなっているのかということでございます。
幾つかお示ししていますが、まず90コマ目であります。先ほど見ていただきましたような処方料が減算となる場合を設定しているわけでございますけれども「催眠鎮静薬・抗不安薬」または「精神神経用剤」いずれか3剤以上という場合について、これは数字を並べて改めてナショナルデータベースをもとに集計をし直しますと、ここに該当いたします1剤、2剤、3剤以上ということで内訳を示しています。1剤、2剤につきましては、減算の算定にはならないわけでありますが、3剤以上につきましては、場合によっては減算の算定になり得る。ただ、現時点でのルールが適用されているかどうかはわからないけれども、後で見直してみますと、3剤以上の処方があるという実態があるということでございます。
おめくりいただきまして、実態の2番目であります。外来レセプトと調剤レセプト、これは処方の向精神薬、処方の剤数が少ないほど「催眠鎮静薬・抗不安薬のみの処方」が占める割合が多い。これは91コマ目でありますが、グラフを2つ分けてございまして、「催眠鎮静薬・抗不安薬のみの処方」、それから、こういった薬剤のみの処方の外来レセプト、調剤レセプトで分けて折れ線をつくっております。ほぼ同じラインを形成しているわけでございますけれども、向精神薬1剤での処方は60%前後が催眠・鎮静薬抗不安薬のみということでございます。
あわせて考慮していただきたいデータとして92コマ目でありますが、向精神薬を処方する際に、通院・在宅精神療法、すなわち精神科的な診療とあわせてどういう算定状況となっているのかということでございます。○のところに記載がございますが、外来のレセプトで向精神薬1剤を処方された患者さんについて言うと、精神療法を算定する患者さんは10%未満であるということでありますので、精神科関連の診療とは必ずしもリンクしていないのではないかということが推察されるということでございます。
同様に、具体的な調剤レセプト上の処方薬に分けて数字をとってみましても、多少幅はあるわけでありますが、20%から大体55%程度、92コマ目の右側の表でありますけれども、5つの具体的な処方薬について内訳を見ますと、幅はありますが、ある程度精神療法の算定とは離れたところで処方されている可能性があるということでございます。
93コマ目、投与期間の状況について見ていただきますと、これは今の5つの品目、それから向精神薬いずれか1剤以上を含む処方、催眠鎮静薬・抗不安薬のみ、いずれも集計を帯グラフでとっておりますが、シェアとして一番多い、圧倒的多数と言ってもいいかもしれませんが、80%以上が22日以上の処方であるということで、長期化しているということでございます。
以上を踏まえまして、【論点(案)】としまして94コマ目でありますが、ベンゾジアゼピンが睡眠薬、抗不安薬の両方に含まれているということが現実問題としてある。それから、依存性につきましては、処方期間についての考慮が必要であることを踏まえまして、これらの取り扱いの見直しあるいは薬剤師さん、薬局等との連携による薬物療法の推進、こういったことについて診療報酬の取り扱いをどう考えるかというのが論点でございます。
3点目でありますが「認知症の早期の鑑別診断等の評価」であります。
96コマ目、概略をまとめてありますが、認知症につきましては、さまざまな疾患が要因として考えられますけれども、1コマ目1ポツの※にあるように、一定の疾患を背景としたものにつきましては、逆に言いますと、こういった疾患に対する治療を行えば、症状が改善できる可能性がありますので、早い段階での鑑別診断が非常に重要になります。
そういった問題意識から97コマ目でありますが、認知症疾患医療センターを全国的に体制を整えていこうという取り組みをしているということでございます。
診療報酬上の取り扱いの概略、98コマ目、これは全体像でありますけれども、紹介元のかかりつけ医と専門医療機関の連携が中心的な報酬上の評価になるわけですが、この中で真ん中辺の矢印にありますけれども、認知症専門診断管理料というものが2つ報酬設定がございます。
これは具体的には次の99コマ目をみていただければと思いますけれども、平成28年改定で、診療所につきまして算定を可能にするという報酬改定を行っているということでございます。今回、御紹介したいのは100コマ目でありますけれども、今のような診療報酬改定を平成28年に行ったわけですが、一方で認知症疾患医療センターにつきまして、これは都道府県事業でありますけれども、その事業の中で、今年度、29年度から診療所の類型につきましては、病院も追加して、あわせて連携型というふうに事業としては拡充されているということでありますけれども、経緯を見ていただきましたとおり、現時点では診療所についても報酬設定がありますが、病院自体は読めないということであります。
このことを踏まえまして、101コマ目でありますけれども、今のような見直しをされたことにつきまして、算定要件について見直してはどうかということでございます。
済みません、101コマ目、1点数字の修正がありまして、【課題】のところの本文は直っているのですが、4つ小さなポツがあるのですが3つ目、箇所数が335となっていますが、これは訂正で419であります。申しわけございません。訂正させていただきます。
4点目、発達障害の関係であります。
103コマ目、発達障害の全体像でありますけれども、平成17年法施行を行いまして、発達障害の患者さんにつきましては、幅広い分野の取り組み、支援が必要で、医療、保健、福祉、教育、労働等、非常に幅広い対応が必要だということであります。
2点目で、発達障害につきましては、これは後で出てきますけれども、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥多動障害、ADHDと呼ばれているものなど、非常に多様な病態であります。外来の患者さんは増加傾向でありまして、ひきこもりの事例についても一定程度の関与があり得るということでございます。
104コマ目、これは支援法の全体像、幅広い対応が求められている、そういった内容になっている。
105~106コマ目、これは参考であります。105は支援体制を整備するということで、柱といたしましては、発達障害者の支援センターというものの整備を進めていく。それから、支援センターに一定のコーディネーションを行っていくようなマネジャーの配置を行っていく。そういったことを地域の教育機関と連携していく。こういったことを柱に支援体制の整備を進めているということでございます。
106コマ目、これは細かい字を並べていますが、申し上げたいのは、発達障害というのは非常に広範囲かつ複雑でありますので、高度な専門性が求められているということを見ていただければと思っております。
107~108コマ目、発達障害の方の人数等の推移であります。
まず107コマ目でありますが、年々増加しているということと、それから下の棒グラフでありますが、年齢層でいきますと、19歳以上の方がむしろふえてきているという実態であります。
108~109コマ目、体制についての課題の指摘を受けているわけですが、108は何かと言いますと、発達障害の専門的な医療が必要になるという方につきまして、実際にその医療機関を受診しようとしますと、物すごく待っておられる方がおられる。それが108コマの上の棒グラフでありますが、初診の待機者の数が少なくとも50人以上というものが半分以上を占めている。したがって、待たされる期間が3カ月以上ということになります。
こういった実情につきましては、調査が総務省の行政評価・監視でありますけれども、こういった実態を踏まえて109コマ目、隣のコマでありますが、総務省から勧告を受けております。勧告の内容は何かと言うと、見ていただいたような初診待ちの長期化、専門医療機関が足らないということを踏まえて、研修の強化を行って、専門医というのはいわゆる専門医制度の専門医ということではないのですが、専門性の高いドクターを養成すること、それから一定の医療機関、特定の医療機関に集中するということではなく、地域全般で見られるようにということで、かかりつけ医の養成を行っていく。
具体的な事業は110コマ目にありますけれども、こういったことを行っていくことを対応として行っているということでございます。
そのほか111コマ目でありますが、これは来年度の新規の要求になっておりますけれども、所管課でこういった事業、発達障害者専門医療機関ネットワークを構築していく事業についても、現在、進めていこうとしているということでございます。
報酬の関係についていきますと、112コマ目以降、御紹介をしております。最初の3つが児童・思春期の精神疾患に係る報酬上の評価でありまして、112コマ目は入院であります。見ていただきましたとおり、需要が非常に大きいということでありますけれども、特に112コマ目の右下の棒グラフ、これは14歳以下の方々についてですけれども、人数的にふえてきているということであります。
同様の傾向は113、114、これは外来でありますけれども、113の外来の1つ目、今、見ていただきましたとおりでありまして、やはり若年の方々の数がふえているということでございます。
114コマ目、外来の中で特に専門的な精神医療を提供している施設につきまして、専門性を評価する報酬設定を前回改定で新設をしているというのが報酬上の対応であります。
そのほか、115コマ目、小児科につきましてはカウンセリング料ということで、2年を限度という算定要件がありますけれども、小児科を標榜している医療機関につきまして、こういったカウンセリング料の設定がございます。
それから、最後でありますが、精神科につきましては個別の対応だけではなく、グループごとの診療も重要でありまして、デイケア等の算定ができる。ただ、デイケア、ナイトケアも含めてでありますけれども、疾患の性質上、長期間にケアするということは必ずしも適切ではない場合もありますので、時間帯の区分がある。こういった特徴がございます。
報酬の設定の概略は以上でありますが、117コマ目以降に、それらの中で特に自閉症スペクトラム障害というアプローチにつきまして、こういったアプローチが求められているけれども、今の時点で必ずしも十分に広がっていない、課題があるという御紹介であります。
117コマ目、自閉症スペクトラム障害、これはAutism Spectrum Disorders、ASDと呼ばれておりますけれども、概略が上の表であります。自閉症で3つの特徴を持つ障害のうち、症状が軽いものを自閉症スペクトラム障害と呼ぶということでありますが、症状とか状況は非常に多様でありまして、多様であるがゆえに、発達ペースに合った療育・教育的な対応が必要です。これは治療のところに赤字で書いてございますけれども、非常に多様であり、今のような話なので、個々のニーズに合った適切な支援が必要なのだということであります。
118コマ目でありますけれども、こういったことを行うに当たって何が課題かということであります。2点ありまして、まずは専門家がいないということが掲げられております。それから定型的なプログラムが必ずしも確立されていないということがございますので、そういったことに取り組んでいく必要があるということであります。
おめくりいただきまして、プログラム開発につきましては一定の研究費で行われているというのが119コマ目であります。
それから、このプログラムを実施することの効果、これは120コマ目でありますけれども、この調査研究による数字であります。右側の上のほうの棒グラフでありますが、プログラム参加前には無職だった方が、3年以内に就労に至っていたというものが69%。これは3年以内が欠落していますけれども、69%が3年以内に就労に至っていたということでございます。
ということで、発達障害の関係について見ていただきましたが、【論点(案)】121コマ目であります。まず、現状でいきますと、体制が必ずしも十分ではないという、現に勧告を受けているということも含めまして、現行の発達障害を含む患者への評価をどう考えていくのか、見直していくのかという話でございますとか、今、御説明しましたけれども、専門治療プログラム等に関します評価について検討してはどうかというのが論点でございます。
残り2点、早口で申しわけございません。
5点目は「認知療法・認知行動療法」、122コマ目以降であります。
123コマ目に認知療法・認知行動療法の概略をお示ししております。これは鬱病等の患者さんに対します精神療法の一つであります。診療報酬上の設定は3つありまして、真ん中辺の上の500点、420点、350点ということでございます。
この治療法の内容、ここに記載がございますので、説明を省略させていただきますけれども、今回、ここでお示しをしております500点、420点、350点の3つの報酬設定、これは前回改定、平成28年改定で3つ目を設定しております。500点と420点は、医師によるものでありまして、350点というのが看護師さんを初めとする経験のある他の職種との連携であります。その概略が124コマ目にございます。
これは、前回改定のときの審議資料でありますので、時点が若干違いますけれども、従来のドクターがもっぱら行いますというのが124コマ目の左側であります。右側が一定の経験・知識のある看護師を中心に参加していただくということを考えてはどうかというようなことでございまして、これに対応する報酬設定が先ほど触れました350点ということであります。
125~126コマ目、その報酬設定の概略です。126コマ目を先に見ていただいたほうがいいかもしれません。
126コマ目で、看護師さんを初めとする専任の方が参画をするという報酬設定がこちらでございます。126コマ目、350点ですが、施設基準のところに一定の要件を課しております。1、2、3と書いていますが、3はまず研修を行って受講していただくということであります。
順番が前後して申しわけありません。125コマ目に、実際に研修を実施し受講されている、一定数の受講者はいるということであります。ただ、1、2に記載がございますが、受講以外に一定の実務経験を求めているわけでありますが、実務経験の要件が2年以上勤務をいたしまして、面接に同席することを求めておりますので、ここの部分のクリアが難しいのではないかという指摘を受けております。
実際、127コマ目、実績でありますけれども、今、お話をしましたとおり、算定件数がないということになっておりまして、設定した趣旨からしますと、もう少しここは検討の余地があるのではないかということです。
128コマ目の【論点(案)】でありますが、今、見ていただきましたとおり、認知行動療法を適切に提供するという趣旨からしますと、28改定で設定をしました新しい報酬部分を中心にではありますけれども、専任の看護師に係る要件について御検討いただけないだろうかというのが論点であります。
最後でありますが、129コマ目以降であります公認心理師であります。制度概要が130コマ目にまとめてございます。これは27年9月9日に成立しまして、本年9月に施行されております。臨床心理技術者としての初めての国家資格であり、3割程度が医療・保健分野に従事、国家試験は来年度からの実施予定となっているという話であります。
法の概要は131コマ目でありますが、特に御紹介しておきたいのは下線を引いていますけれども、義務といたしまして心理に関する支援を要する者に対しまして当該支援を行う、そういう支援に係る主治医があるときについてはその指示を受けることが前提となっているものでございます。
132~133コマ目は施行のスケジュールでありますとか、試験の資格取得の関係でございます。
報酬の関係につきましては、134コマ目、臨床心理技術者に関連する現行の報酬上の評価は、報酬設定をした時点で公認心理師は制度化されておりませんでしたので、名称としてこうなっているということでございますが、関連する報酬がこのようになっているということでございます。
以上のようなことを含めまして、【論点(案)】といたしまして、今回の制度化に基づきまして、報酬上の取り扱いをどう考えるのかということを最後、論点として掲げてございます。
それ以降の資料につきましては御参考、それから139コマ目は追加資料で、前回の御審議のときにお問い合わせといいますか、御指摘のあった自殺者に関しますデータでございます。
事務局からは以上でございます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
向精神薬の処方について若干質問をお願いいたします。94ページの論点のところなのですけれども、ここに「薬剤師・薬局等と連携した適切な薬物療法の推進に資する評価」となっているのですが、これは精神科に限っての薬物療法ということなのでしょうか。あるいは、ベンゾジアゼピンに特化したこととお考えなのでしょうか。
もう一点は100ページのこの表の中のところにあります、これは現行動いている話で大変申しわけなかったのですけれども、人員配置のところにあります「専門医」というのは何の専門医であるのかをお教え願いたいと思います。
そして、論点に関してのコメントよりも、ここにありますいわゆる「連携型」との類型の見直しというのは、さらに何か一つつけ加えるということなのか、あるいは診療所型を連携型に置きかえるということなのか。その辺をまず3点質問をお願いしたいと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
1点目の連携の話でありますけれども、これは今回、特に精神疾患関連でクロザピンを題材として御審議をいただいておりますので、基本的にはその対応を念頭にということではありますが、御審議をいただきたいのはむしろそれは一つの例示なので、全般的に向精神薬についてどう考えるのかということであります。
それから3点目の専門医の件は、規定といたしましては幾つかあるのですけれども、専任の日本老年精神医学会もしくは日本認知症学会の定める専門医または認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務として5年以上の臨床経験、このような規定になっているということでございます。
それからあと、制度の見直しといいますか、拡充に伴います報酬上の対応について、もう一回整理をさせていただきますと、もともと28改定のときには診療所型しかなかった、それについて報酬を設定しました。その後、今、お話をしましたような制度の拡充がありましたので、病院も追加をされましたが、報酬改定のときにはそれは想定していなかった関係で、現時点では病院は算定できませんということです。ですから、制度の枠組み自体は、せっかくといっては変ですが、拡充をしておりますので、病院についてどう対応していったほうがいいのか。我々としては、病院についても一定の報酬算定ができるようにしていくのが適切ではないかともちろん考えてはいるのですが、そのあたりについての御審議をお願いしたい。そういう趣旨でございます。
○田辺会長
松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
ということは、最初、1点目のところはいわゆる向精神薬の処方全般についてどう考えるかということでございました。そうなりますと、範囲が広くなって全般で捉えるというのが非常に難しいのかなというのがコメントであります。そして、専門医に関しては、いわゆる学会認定の専門医だけではなく、認知症の鑑別に5年以上かかわったというものがあれば、認知症を専門に見ている医師というのも入るという解釈でもいいと聞こえたのです。そのような解釈でよかったのですか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
先ほど、私、読み上げさせていただいた内容が規定ですが、平たく言うとそのような理解でよろしいかと思います。
○松本純一委員
いわゆる学会の専門医だけではないということですね。
それと、診療所型から連携型になって、診療報酬上の手当てが病院についてないからということであれば、やはり少しそれは考える必要はあるのだろうということですけれども、例えば99コマ目の表の赤でありますロの診療所型の場合500点というものを連携型と読みかえるという考え方でもいいというふうにコメントさせていただきます。
最後に、公認心理師に対してのコメントをさせていただきます。臨床心理技術者というよりも、全般についてということでございますけれども、基本的な考え方としては、業務独占資格ではなく、名称独占資格であることを踏まえますと、施設基準として位置づけるべきではないと思います。例えば加算などで評価をすべきではないかと思いますので、そういうふうなコメントとさせていただきます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
まず、クロザピンのことでございます。教えていただきたいのは、使用促進ということで評価を検討したいということだと思いますけれども、これだけの重篤な副作用があって、頻度が高くて、しかも薬価が他の薬よりも2~10倍高いという中で、72コマ目のドイツ、中国、オーストラリア、ニュージーランドに比べて、日本でかなり処方率が低いということに関してですが、それだけの理由なのかどうか。あるいは、きちんとした治療抵抗性統合失調症に対するn数のある程度多い国内治験等で、本当に症状の大幅な改善とかが見られるというデータがあるのかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。
○田辺会長
これはどちらですか。
お願いいたします。
○佐藤医薬安全対策課長
医薬安全対策課長でございます。
今、御質問をいただきましたクロザピンの件でございますが、クロザピンにつきましては、ここにも記載されてございますように、無顆粒球症という重篤な副作用がこれまで報告されています。臨床試験においては2.6%、市販後調査でもここに記載されていますけれども、1%程度ということです。他の統合失調症の医薬品でこのような形で市販後調査でも無顆粒球症が出ているという事例はございません。このため、国際的にもCPMSという使用条件がつけられているということでございます。
また、有効性につきましては、ここにも書いてございますけれども、臨床試験の結果でも高い有効性が、特に治療抵抗性の方でも期待されているということでございまして、日本で行いました臨床試験でも治療抵抗性とされている方の57~67%で精神症状の改善が認められたという試験結果が出てございます。
○田辺会長
どうぞ。
○松本吉郎委員
ちょっと聞き方が悪かったかもしれませんけれども、私がお尋ねしているのは、これまでの薬に比べて、本当に比較してこれだけの治療改善が得られているかということもあわせてお聞きしたいと思います。
○田辺会長
この点、お願いします。
○佐藤医薬安全対策課長
医薬安全対策課長でございます。
クロザピンの臨床試験のデザインが、治療抵抗性の統合失調症という形で試験が実施されてございますので、他の一般的な統合失調症の治療薬との比較をしたものは国内試験であるわけではないという状況ではございます。
○田辺会長
関連ですか。今村委員、お願いします。
○今村委員
今の松本吉郎委員に関連してですけれども、すごく薬価が高いのですけれども、調べてみると、クロザピンという薬は海外では1969年に認められて、日本では2009年ということで、40年も差があるのですが、海外での薬価というのはどうなっているのでしょうか。今でも高いのですか。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
お答えします。クロザピンが薬価算定をされたときには、日本では最終的には25mg1錠が85.3円ということで算定されていますが、その当時の外国価格、米国につきましては239.9円、英国39.4円、ドイツ120.6円、フランスが37.1年ということで、外国平均価格としては109.30円ということで、平均よりは低い額で算定されています。
○今村委員
ごめんなさい。78ページの1日薬価が1,200円という、これは量が多いからということですか。25mgを何錠も使うという、そういうことでこういう薬価に。
○田辺会長
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
1日使用量について幅があるということで、このような記載になっているということになります。
今、その薬価が算定された当時の用法、用量としては、1日200~400mgを2~3回に分けて経口投与ということになります。
○今村委員
ありがとうございました。
先ほどの医療課長からの御説明にもありました72ページを見ると、これは単純比較はできないけれども、これだけ見ると日本の精神科医療が非常におくれているのではないかというふうにも見られてしまうのです。
今、お話したように、使用の経験年数が圧倒的に日本と海外では違っているということもあって、まだ現場は使用になれていないということもある。そういう意味で、日本の治療抵抗性の患者さんに対してこういうお薬をより使いやすいということでの今回の御提言だということはよく理解はできました。
2点あって、薬を包括から外すというお話は、私もそうしたほうがいいのではないかとは思いますけれども、一方、連携の体制の話は例示として示されていますが、その評価ということについては何ら触れられていないのです。医療課長としてはそちらは特にそういう体制構築についての評価ということはお考えになっていないかどうかということをお教えください。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
報酬算定で連携を評価するというのは、この医薬品に限らず、現に御質問でも何度か御指摘いただいているとおり、さまざまな形がありますので、このことに限定して連携を評価するというよりも、報酬上何が一番ネックになっているのかということについて見ますと、まず、包括範囲が一番課題としては優先順位が高いという理解で今回御提案しているということでございます。
もちろん、繰り返しになりますが、報酬だけが全てではないのは明らかでありまして、さまざまな対策を打つ中で報酬上はという、そういう限定的な御提案であります。
○今村委員
その件でよろしいですか。
○田辺会長
はい。
○今村委員
ボトルネックが薬価の包括範囲に入っているという認識でこの御提案ということで、それはそれでよく理解できました。反対するわけではありません。
ただ、こういう連携については大きなボトルネックではないかもしれませんけれども、外国でもCPMSをしっかりとやっていくという中で、医療現場は働き方改革等、医師も負担も非常に大きい中で、連携をしっかりと会議体を設けてその中でいろいろな議論をしていくということも大変大きな負担になることです。ぜひとも、そういうことも今後評価していただくような御検討をいただければありがたいと思っております。
以上です。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
クロザピンについての関連ですけれども、そもそも日本で0.6%、海外よりもかなり低いけれども、非常に治療に効果がある。しかし、副作用は大きい。だから、副作用をモニタリングしながらきちんと使わないといけないことで使用条件が厳しくなっている。
つまり、0.6のパーセンテージが低い理由は何か、そこのところをきちんと解決していかないと、実は使用条件が厳しいから悪いのか、でも、使用条件を緩和すると副作用が増えていくのであれば、何で緩和するということになる。入院料の見直しという単純な提言だけでいいのかというのが、残念ながら判断できない。
今村先生並びに松本先生からいろいろ御質問がありましたけれども、私はそのとおりだと思って、これが日本での使用がまだ緒についたところであるから低い。ならばどうするのだというのは、また入院料の見直しとは違った観点なのだろうと思いますし、その辺がちょっと、疑問としてあるのです。
大分クリアにはなりましたけれども、何で0.6にとどまっているかというところが、いまいち釈然としないところでございます。
あわせてほかの質問をさせていただいていいですか。向精神薬の処方の94コマ目、さっき松本純一先生からも質問がありましたけれども、これについてベンゾジアゼピンに限っての話ではないというお答えだったのですが、そもそも最近、向精神薬処方については長期連用や多剤投与での薬物依存リスクが非常に高まっているということで、診療報酬上の評価ではその適正化に向けて94ページの中ほどの評価というところにもありますけれども、適正化を見直してきたと理解をしているのです。もともとベンゾジアゼピンについては睡眠薬と抗不安薬の両方に含まれている。その効果及び依存形成のリスク防止が非常に重要だということで、特に海外における各国の対応を見ても、その適正化は重要だなということでの御提言だというふうには十分理解するのですけれども、その論点の中に、さっき松本先生もおっしゃっていましたが、分割調剤も含めて、薬剤師・薬局等との連携した薬物療法の推進に資する評価というふうになっているのです。では、現実に向精神薬についての連携状態がどうなっているのか、それが心もとないのか、見直す必要があるのか。その辺のエビデンスというか、何かをお示しいただかないと、どういうふうに考えたらいいのだろうと、ここもまた釈然としないということであります。
最後に認知行動療法、128ページでありますけれども、これについて、実は127ページにありますように、行動療法3を設置したのだが、算定実績はゼロであった。今回、その論点ににじみ出ているように、このゼロを何とかするために、緩和するのかと読めるのですけれども、そうであるならば、何でゼロだったのか、そもそもの算定要件、120回というのが厳しかったのかどうか。その辺の実態がどうなっているのかというのもぜひ、教えていただきたいと思います。
以上、意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
最初にクロザピンのことです。79ページの精神療養での見直しということなのですが、実は、包括入院料で特例というものを認めると、ほかにも包括がために高価な薬剤が多いので、それが使えないということが問題になっていることがあります。これに限らず一回、そこら辺の整理をかけていただければと思います。
続きまして、94ページのベンゾジアゼピンのことですが、確かに臨床をやっておりますと、今、これが乱用されていることがすごく多いと思います。副作用も出ていて、私なんかも入院でそれを切ることによって副作用が治まるということを実際にかなり経験しますので、ここについてはある程度の規制は必要ではないかと思います。この論点にありますように、薬剤師・薬局との連携等が出ていますけれども、ぜひ薬局もしくは薬剤師のほうから、この使用についてはどうなのかということに疑義を上げるような体制は必要ではないかと思っております。
どうしても多剤が必要な方というのはいらっしゃいます。その場合には、精神科の専門療法をあわせて行っている中で処方を認めていく形がいいのではないかと思います。
最後に公認心理師の話です。これが国家資格になって、30年で世の中に出現するということですが、例えば過去にも薬剤師6年制のこととか、平成18年の7対1看護のときに、規則で決まると奪い合いが起きます。ですから、ここもそうならないように、余り最初から診療報酬上で評価するというよりは、こういう方たちが充足した時期に診療報酬に入れていかないと。またいろいろなところでの奪い合いということが起きないように、ぜひ御配慮いただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
安部委員、お願いいたします。
○安部委員
向精神薬、特にベンゾジアゼピンの議論がございますので、意見を申し上げたいと思います。
私も薬局の窓口に立っておりますと、御高齢の方が不眠を訴えたり、さまざまな不安を訴えたりということでベンゾジアゼピンがよく使われるということは認識しております。高齢化がますます進みますので、使用者の方もどんどんふえていくということが予測できます。94ページにありますような論点案についてはそのとおりだと理解しておりますが、現実に継続的に服用している方もいらっしゃることも踏まえ、現場の混乱が起きないような配慮は十分に必要だと思います。
その上で、ベンゾジアゼピンの適正使用に関しては、きょう御指摘いただいた依存形成の問題だけではなく、御高齢の方の転倒による骨折のリスク、認知症の方の周辺症状の悪化、そういったリスクもあるわけでありますので、そういったことに十分な注意を払って、処方される医師と我々薬剤師の薬学管理が十分に連携し、そこを充実させることが非常に重要だと考えています。
また、例えば減薬に関してもも、単純に薬をどんと切るということで解決するわけではありません。時にはベンゾジアゼピンを急にやめてしまうと離脱症状が起きてしまう。そういったことがないように、丁寧に観察をしながらソフトランディングをしていく。こういったことも連携の中で必要になってくるわけであります。本日は86~87コマ目でしょうか、これまでの対応が示されておりますけれども、既に長期で服薬されているもしくは複数のベンゾジアゼピンを服薬している方は、適切に減量もしくは減薬する、こういったときの連携の仕組みいったことも評価をしていく必要があるのではないかと考えております。
私からは以上です。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
私も80ページ以降の向精神薬の処方について、コメントをさせていただきます。
健保連では、2年毎に調査分析事業を実施して政策提言を行っています。今回の調査分析事業では、まさに今回の論点にある、向精神薬のベンゾジアゼピンについての調査を行いまして、近々政策提言を行う予定です。タイミングも良いと思うので、向精神薬の処方の実態と政策提言の内容を御紹介させていただきたいと思います。
我々は、依存性リスクの高いベンゾジアゼピンは、精神科の医療機関で処方されているだけではなく、一般の診療所でも制限なく長期にわたって処方されているという実態があることや、ベンゾジアゼピンは認知症発症との関連もあるという文献もあることから、この実態を放置したままでは、日本で大きな社会問題になるのではないかという危惧を抱いて調査を実施致しました。
調査対象は、平成26年10月~平成28年9月の2年間の医科外来・調剤レセプト1億6,000万件の健保組合のデータを用い、抗不安薬や睡眠薬のみが少なくとも1種類以上処方されているレセプトを調べたところ、530万件見つかりました。これは全体の3%になります。どのような医療機関が処方しているのかを調べてみると、精神科を標榜している医療機関はこのうちの約35%で、残りの約65%は精神科でない一般の診療所や病院が処方していたという事実がわかりました。
抗不安薬や睡眠薬が計3種類処方されている場合、上位15位までは全てベンゾジアゼピン系の組み合わせで占められており、1種類の処方でも上位20位のうち17種類がベンゾジアゼピン系でした。
処方日数については、ベンゾジアゼピンの推奨投与期間は、諸外国では最長1カ月程度ですが、フランスでは、不安障害に対する処方については累計処方日数を最長12週間と制限しています。調査対象のレセプトを用いて処方期間を見ると、抗不安薬・睡眠薬が処方されている患者の約5割の51万人は1カ月未満ですが、3割の36万人は1カ月以上半年未満で、1割の13万人は、1年超も処方されていました。また、2年超も処方されている患者が全体の2%、2万4,000人も存在しているという実態もわかりました。さらに、患者の過半数に対して8週間以上の長期処方している施設が全体の4分の1程度存在していました。
このような実態を受けて、このまま向精神薬の処方を制限しなければ、非常に多くの依存症患者が出てしまうのではないかという危惧から政策提言を申し上げたいと考えております。
ベンゾジアゼピンの処方については、種類制限を設けるというのは当然ですが、1種類の処方であっても処方日数にある程度の制限を設けるべきだと思います。現行の1回の処方における種類数を見直していくということは必須ですが、もう一つ見直すべきことがあります。医薬品の添付文書で注意喚起はされているものの、心療内科や精神科を標榜していない一般の内科などの診療所では漫然と長期処方されている実態があるので、処方薬の種類が少なくても、ある程度の長期処方に対する診療報酬上の制約や制限を設けるように、今回の改定で見直していくべきではないかと思います。繰り返しになりますが、この状況を放置していると、非常に大きな社会問題になってしまうので、このような政策提言をご紹介させていただきました。ぜひ検討していただきたいと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
委員の今の発言は正しい部分もあろうかと思いますが、一般の内科の診療所が漫然とというのは、もう少し調べてからその辺をおっしゃっていただきたい。懸念はあるという表現ならわかりますが、断言をされますと、少し反論せざるを得ない。ちょっと発言には御注意を願いたい。
○田辺会長
今村委員は関連ですか。
○今村委員
はい。
○田辺会長
お願いします。
○今村委員
2点あります。1つは吉森委員のおっしゃった認知行動療法の問題です。これについては私、事務局の提案には賛成です。これは全てを医師にということではなく、能力のある経験のある看護師さんが医師とともに共同して患者さんに対応する。これはすごく大事なことだと思う。せっかくこういうものが前回の改定でつくられたのに、利用されていないのは何なのだと思うのです。
126ページを見てみますと、要件が書いてあるのですけれども、例えば「10症例120回」というのが多いか多くないかはあるのですが、その後の面接を録画録音しろと。これは、もともと鬱病の患者さんに本人の同意をとって、録画させてください、録音させてくださいというようなことはなかなか現実的には難しいのではないかと思っていて、そういった意味で要件を見直して、もっとこれを活用できるようにしていただきたいと思います。
2点目の幸野委員のお話、今、松本純一委員からもお話がありました。今、求められているのは総合的な診療能力を持つ医師です。当然、精神的な不安を持たれている方あるいは不眠の方、さまざまな方がいらっしゃって、例えば高血圧のような病気があると、なかなか夜寝つけなくなる。もちろんそれは高血圧をきちんと治療するということが大前提ではあっても、どうしてもそういったお薬を必要とする方はいます。それは医師の判断で、きちんとこの方にはこういうお薬をと。
おっしゃるように、依存症に対するリスクを考えないで漫然というおそれがないとは言わないのですけれども、例えば、内科医がそういった薬を出すことはおかしいということは今後の医療の方向性としては違っていると思っていて、正しい使い方ができるように医療者は医療者として啓発をしていかなければいけない。また、患者さんが強くこういう薬を求められるという実態もあります。
ですから、ぜひとも私は保険者として、被保険者に対してそういうお薬の使用については使われる方、求められる方についてもちゃんと啓発をしていただきたいと思っています。その両方がないと、一方だけにそういうことがおかしいから出すほうがおかしいというような論調でいくと、うまく進まないと思います。ぜひともそこは保険者としても一緒になってそういうものを防いでいくと。御協力をお願いしたいと思います。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
専門医以外はベンゾジアゼピンを処方してはいけないということを申し上げているのではなく、長期にわたって処方されているということが非常に問題なので、処方日数制限を設けるべきだと考えています。
また、松本純一委員からの御指摘に関して、個々の医療機関の処方実態についても調べたところ、精神科を標榜していないとある医療機関では、21人の患者に対して、エチゾラムを毎月56日分、2年間にわたって処方していました。この内容の処方箋をそのまま処方した薬局にも問題があるのではないかと思うのですが、こういった好ましくない実態があるので、処方日数制限を設けるなどの歯どめをかけていかないといけないのではないかと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
今村先生から御意見をいただきましたけれども、我々保険者は、こういう言い方がいいのかどうか、加入者の皆さん、被保険者の皆さんに対してのヘルスリテラシーというか、そういうことについての戦略的保険者機能強化ということに注力しておりますので、おっしゃるとおり、一緒にやっていこうということだと思います。
それと、認知行動療法のところでございますけれども、これも御意見のとおりだと思いますし、特に今回、3をつくった地域の精神科救急医療体制を確保するためにという、このコンセプトをきちんと履行するために要件設定をしたのですから、その要件が何でゼロ回答なのかというところについて、もう少しエビデンスなりいろいろな状況把握をしたものをお示しいただければ。方向性は反対しているわけではございませんし、ぜひやるべきだと思っています。現場が何でこれを採用しないのだというところが、今、お聞きしたらビデオがどうのこうのという、こんな単純なことであるならば、もう少しそのコンセプトが誤解されないというか、コンセプトが履行できるようなところに対してどうしていけばいいかという議論をしたいと思っています。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
幸野委員が言われた不適切な医療機関に関しましても、できれば保険者と我々医療側あるいは審査機関が連携をして情報共有をしたいと思います。その辺をお含みおき願いたいと思います。
○田辺会長
安部委員、お願いします。
○安部委員
幸野委員からの御指摘に関しましては、きょうは一部分のデータをお示しいただいて御発言いただいたので、しっかり御提案の分析を見せていただければと思います。
一部分ですが、先ほどのエチゾラムの56日分というのは、つい最近エチゾラムが向精神薬の中に入りました。その前は向精神薬ではなかったため、比較的長い期間処方されることが多かったということは認識しております。その上で、それが適切に使われているか、重篤な副作用とか依存性が発生していないかどうか、薬局の薬剤師、処方される医師の先生がきちんと確認しながらやっているか、そういったところが論点かと思います。そういった観点とレセプト上の統計との兼ね合いというものをきちんと分析することも必要かと考えています。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
万代委員、お願いいたします。
○万代委員
もう一度クロザピンのほうに焦点を戻していただいて、御意見申し上げます。
私自身の専門は精神疾患ではございませんので、基本的な認識が間違っているかもしれませんけれども、いろいろな専門家の御意見を勘案して申し上げますと、基本的に治療抵抗性の統合失調症に対するクロザピンの有効性は、スライド71にもありますように明らかだと認識しております。
既に長期入院となっている多くのかつ重度な慢性患者の地域移行に資する効果は極めて大であろうと考えております。さらに、新たに重度かつ慢性の患者さんの発生を最小限に食いとめるという意味でもよい手段だと思っております。
したがいまして、クロザピンの治療を希望する全ての患者さんに対して処方可能な条件整備であるとか環境整備を進めていく必要があると考えております。
強く申し上げれば、クロザピン治療を受けたいと思う人がおられたら、その機会を奪うということは、治療抵抗性の統合失調症患者さんの人権を侵害するということにもつながりかねないと考えておりますし、一方で費用対効果の議論が進んでおりますが、医療経済面から見ても、非常にメリットがあるのではないかと考えております。
先ほど来、なぜ日本で使用が進まないかということに対して愚考しますに、治療抵抗性統合失調症の患者さんの多くは恐らく精神療養病棟に入院しておられるのではないか。そういったところで、先ほど来出ていますような包括範囲に含まれてしまうということであれば、なかなか病院運営上使いにくいということもあって、そんなようなことも一つ使用が進まない原因かなと考えております。したがいまして、ここのところは事務局の提言にありますような、精神療養病棟における使用の方法を考えるということがぜひ必要かと思っております。
一方、そういったような患者さんに対しまして、CPMSという患者さんのモニタリングが行われているわけでございますが、これにつきましては、現在、治療抵抗性統合失調症治療指導管理料が月1遍認められておりますけれども、それだけでは管理しにくいというところもありますので、ここのところもぜひ充実していくべきかと考えております。
最後に、当然クロザピンの効果、有効性を発揮するために、周辺の整備が整いますと、当然使用する患者さんの数がふえます。そうしますと、それに伴いまして、当然副作用、特に無顆粒球症の発症がふえるという可能性がありますので、ぜひこれに対応していくべきと思っております。
つきましては、説明の中にもありましたような、血液内科を専門とする医療機関あるいは特に白血球が減ってしまいますと、重篤な感染症になって、命にかかわるわけでございますので、そういった場合には無菌治療室も必要かと思います。無菌治療室がどこの病院どの程度整備されているかという広報も含めまして血液内科へのインセンティブ、あるいはさらにクロザピンにつきましては初期の導入期間18週というふうに認識しておりますけれども、当初は入院で行いますが、一定程度経過した後は外来で投与という形も考えられますので、入院医療機関と退院後の医療機関の十分な連携をするということについてもインセンティブをつけるということです。
まとめますと、治療抵抗性統合失調症患者さんに対して、いろいろな意味で朗報がもたらされると思いますし、医療経済的にも非常にメリットがあると考えておりますので、今、申し上げたような体制をぜひ進めていただきたいと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
時間が超過している中で恐縮ですが、安部委員の発言に対して、私の意見を申し上げたいと思います。
94ページの論点を見ると、薬剤師・薬局と連携した適切な薬物療法の推進に資する評価を検討してはどうかとありますが、私はもうこれ以上の診療報酬上の評価は不要だと思っています。
前回改定では、薬剤師と医師の連携による減薬については重複投薬・相互作用等防止加算が見直されたほか、かかりつけ薬剤師指導料が新設されました。まさに向精神薬を複数服用している方などの服薬管理を行うことがかかりつけ薬剤師の本来の役割であり、かかりつけ薬剤師が本領発揮する場面ではないかと思います。新たに診療報酬上の評価を検討するのではなく、かかりつけ薬剤師が本来の役割を果たし、重複投薬・相互作用等防止加算の算定を着実に伸ばしていくということで対応が可能ではないかと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
安部委員、お願いいたします。
○安部委員
今の幸野委員に関連してですが、おっしゃるとおり、向精神薬もしくはベンゾジアゼピンで実際に過量処方とか患者さんにさまざまな有害事象が出ているかもしれないというようなときに、処方された医師と連携をして対応する。これは従来の薬学管理の中でも十分できることかと思うのです。
一方で、これから向精神薬のさらなる適正使用をするときに、より適切な対応をするアイデアがあるかということについては議論をすることは必要かと思いますので、御理解いただければと思います。
○田辺会長
松本吉郎委員、お願いします。
○松本吉郎委員
時間のないところで一つだけ申し上げたいのです。認知症医療センターのところの98~100コマ目のところでございます。
先ほど、松本純一先生も御確認しましたけれども、連携型のところで診療所のハードルが高くてなかなかこれに取り組めないという中で、病院がここに入ってきた。それに対して診療所が管理料の対象になっているのに病院がなっていないということに対しては、確かにそのとおりだと思いますので、これについてはよろしいのではないかと思います。
かかりつけ医のところですけれども、認知症の軽症の方はかかりつけ医が認知症のサポート医ということがありますので、軽症の方はしっかりとサポート医が見て認知症疾患医療センターにおいては、難治の方を例えば認知症の初期集中支援チームで見ていくというような機能分担をしっかりして連携をしていくということが大事であると思います。よろしくお願いします。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
私は、リスクのある薬は専門医が扱うべきなのではないかと思っています。それとかかりつけ医が連携して、少しでも健康被害の及ばないような仕組みをつくっていただきたいと思います。
それと、きょうの全体のことで意見を言いたいのですけれども、精神医療というのはいろいろ聞いていると、過剰な投薬ですとか、身体拘束ですとか、措置入院なんかについても結構問題があるのではないかと言われているということで、投薬による健康被害ですとか、身体拘束などによる事故を防ぐために、診療報酬の仕組みを工夫していくことが必要なのではないかと思います。乱用ですとか、間違いとか、そういう事故が起きないような取り組みをするために、手厚い医療ですとか、地域のサポートを惜しんではいけないのではないかと思うのです。
私が思うのは、薬で何でも対処するということではなく、薬よりも看護ですとか、手厚い医療、時間をかけたカウンセリングですとか、そういうものを充実させるとか、拘束するよりも自由を目指して、その人の生きやすい環境をつくってあげることを目指すということが大事なのではないかと思います。
それから、何より大事なのが情報公開だと思うのです。それは患者に対する情報公開もそうですし、家族に対する情報公開もそうですし、社会に対する情報公開というのもきちんとやっていく。そういう取り組みをしていくときに、診療報酬というものをそこに使っていくということが大事なのではないかと思います。
身体拘束なんかは、一時的に我慢をさせて、それが結局、患者にとっては恨みだったり不満が残ったりすることもありますし、長期入院などの問題についても、住む場所とそれを支える専門家の存在があれば、地域で暮らすことは十分に可能なのではないかと考えています。ですから、そういったところを充実させるという方向のことも考えていただきたいと思っています。
何より言いたいのは、患者の人権を守るということを基本にした精神医療であってほしいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員
94ページの向精神薬の様々な課題に関し、事務局にお願いです。
3種類以上の処方について、これまで診療報酬改定で様々な対策がとられているにもかかわらず、まだ3種類以上の投薬がされている患者さんが29%というデータがありました。
こういったことがなぜ起きるのかという理由がわかれば、より深い議論ができるかと思います。もしそういったデータがあれば出していただければと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。御議論どうもありがとうございました。

 

 

 

 

(了)
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