ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第402回議事録(2018年12月5日)

 
 

2018年12月5日 中央社会保険医療協議会 総会 第402回議事録

○日時

平成30年12月5日(水)11:21~12:01

○場所

グランドアーク半蔵門 富士の間(4階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 松原由美委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
吉川久美子専門委員 横地常弘専門委員 丹沢秀樹専門委員
薬価算定組織 秋下委員長
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医薬品の薬価収載について
○最適使用推進ガイドラインについて
○薬価調査及び特定保険医療材料価格調査の公表について
○診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」からの報告について
○DPC対象病院の病床数変更に係る報告について

○議事 

 

○田辺会長
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより第402回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、関委員、榊原委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○田辺会長
早速、議事のほうに入らせていただきます。
初めに「医薬品の薬価収載について」を議題といたします。
本日は、薬価算定組織の委員長にお越しいただいております。秋下委員長より御説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○秋下委員長
薬価算定組織の委員長の秋下です。私から、今回検討いたしました新医薬品の算定結果等について報告いたします。
まず、資料の中医協 総-1-1をごらんください。今回の報告品目は、1ページの一覧表にありますとおり、1成分1品目です。
それでは、算定内容について御説明いたします。2~3ページをごらんください。ジャルカ配合錠です。
本剤は、HIV-1感染症を効能・効果とする内用薬であり、緊急収載品目となっております。本剤は、有効成分が同一のテビケイ錠及びエジュラント錠の組み合わせを最類似薬とした類似薬効比較方式(I)により算定しました。その結果、本剤の算定薬価は1錠が5,350円90銭となりました。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
事務局から補足があればお願いいたします。
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
お手元の資料の総-1-2をお開きいただければと思います。
ただいま秋下委員長から御説明がありましたジャルカ配合錠の薬価収載に関しまして、14日の処方制限ルールの例外的な取扱いに関する御提案でございます。
本剤はHIV感染症の治療薬でございまして、これまでの抗HIV薬と同様に、市販後におきましては原則として全例調査が義務づけられるなど、厳格な安全性確保の枠組みが設けられているところでございます。こうしたことを踏まえまして、従来どおり処方日数の制限を設けないこととしてはどうかという御提案でございます。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、御質問等もないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○田辺会長
ありがとうございました。それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
次に、報告事項でございますけれども、「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、医薬品審査管理課長、よろしくお願いいたします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
医薬品審査管理課長でございます。
お手元の総-2-1をごらんください。最適使用推進ガイドラインを1本発出しておりますので、御報告させていただきます。
アリロクマブ(遺伝子組換え)、販売名はプラルエント皮下注ペンの、スタチンによる治療が適さない場合の効能及び用法・用量を追加とする一変を11月21日に承認いたしましたので、同日付で最適使用推進ガイドラインも関連箇所を改訂しております。
お手元の資料でございますが、11月21日に改訂した部分につきましてマークアップをしておりますので、主なところを本日御紹介させていただきたいと思います。
2ページ、枠囲みの中でございますが、今回は効能または効果として、スタチンによる治療が適さない患者さんの場合にその適用を追加しております。また、用法・用量も追加をしております。
4ページにも、今回の追加されたところを記載しております。スタチンに対する忍容性が低いとの理由から、スタチン治療が適さない患者さんを対象にしたところでございます。
8ページから12ページに、今回の関連の新たに行われた臨床試験の成績を記載しております。スタチンとの関連が考えられます副作用等の既往をお持ちの患者さんなどについて、臨床試験を実施しております。
10ページにLDLコレステロール値の変化率を記載しておりますが、投与12週間時点でプラセボと比較して有意にLDLコレステロール値を低下させることが示されております。
13ページの施設要件につきましては、特段の変更はございません。13~14ページでございます。
そして、15ページ、投与対象となる患者の欄でございますが、今回追加されたスタチンによる治療が適さない患者さんに関する記載を追加しております。今回対象として想定しているのは、いずれのスタチンについても副作用の既往等をお持ちで、スタチンの使用が困難であること、あるいはスタチンの使用が禁忌とされている患者さん、この条件のいずれかに当てはまる方でございます。
17ページでございますが、投与に際して留意すべき事項として、2の投与方法のところでございますが、今回スタチンの治療が適さない患者さんにこのお薬の対象を拡大することに伴いまして、関連する記載を追記しております。スタチンの投与が適さない場合を除き、スタチンを併用していただきたいというところでございます。
簡単ではございますが、改訂内容の説明は以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
引き続き、事務局から補足の説明をお願いいたします。
薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
お手元の資料の総-2-2をお開きいただければと思います。ただいま医薬品審査管理課長から御説明がありましたアリロクマブ遺伝子組換え製剤、品目名プラルエント皮下注につきましては、最適使用推進ガイドラインに基づきまして留意事項通知を発出しているところでございます。
今般のガイドラインの改訂を踏まえまして、承認事項一部変更承認が行われた11月21日付で、留意事項通知についても改正する旨の通知を発出しておりますので、その御報告ということになります。
具体的な改正の内容でございますけれども、「3 留意事項の内容」の項目をごらんいただければと思います。今般の改訂を踏まえまして、(1)の基本的な考え方のところにつきましては特に変更はございません。
(2)に書いてございますとおり、診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項、こちらに新たな項目を追記しておりまして、そこを資料の中で記載しております。具体的には、ここに記載がございますように、本製剤をHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない患者に投与する場合には、使用可能なHMG-CoA還元酵素阻害剤がないと判断した理由を明記するよう追記したというものでございます。
説明は以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、安部委員、お願いいたします。
○安部委員
ありがとうございます。
今回、新しいガイドラインの17ページに、スタチン投与が適さない場合を除きスタチンを併用することということが明記されました。また、総-2-2につきましても、留意事項の内容の(2)のところに、スタチンによる治療が適さない患者に投与する場合にはその理由をしっかり記載することということが記載されました。これについては一定理解をしますが、3月にアリロクマブのガイドラインができたときにも気になっていたのですけれども、そもそもスタチンを使っていて、スタチンの効果が不十分だという方に対してこの新しい製剤を使うわけでありますが、その添付文書を見たときに、アリロクマブを投与した患者にスタチンを併用すると、Cmaxが25%減少し、AUCが39%減少するということが記載されてございます。これがどういう影響があるかということは不明確なわけでありますし、スタチンの効果と、このアリロクマブを投与してアリロクマブの血中濃度が低下するというのがどういう関係にあるかは、そこを案分するというわけにはいかないわけでありますけれども、そこは併用するということに関しては、私は懸念事項があるのではないかと3月の時点では考えておりました。
ただ、この併用が原則で治験をやっておりますので、そこは仕方ないところだという理解をしていたわけでありますが、今回、スタチンが使えない患者さんに対してアリロクマブを単独で投与することができることになりましたので、つまり、スタチンを併用した場合とアリロクマブを単独で投与した場合の臨床成績の比較もできるわけでありますので、薬物療法はなるべくシンプルにやるべきでありますし、先ほどの相互作用で血中濃度が下がるというところがどんな影響があるかというところも懸念されますので、今、データがなければ比較しようがないわけでありますが、今後、臨床的な経験や成績が出てきた場合、スタチンの併用についてどこまで求めるのか。もちろん、スタチンをしっかり使って高額な薬剤を安易に使わないという点については理解をいたしますけれども、そのために併用して効果が減弱したということでは元も子もありませんので、その点についてはしっかり御検討いただきたいと思います。これは要望でございます。
○田辺会長
では、医薬品審査管理課長、コメントをお願いします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
御要望、御意見、ありがとうございます。
今後、いろいろなエビデンスが蓄積されていくと思いますので、それに応じて最適使用推進ガイドラインの内容については考えていきたいと思います。
先生が今御指摘いただきましたように、この疾患領域分野は国内外ともに第一選択肢としてはもうスタチンをしっかりと使うということで確立をしているところでございまして、このお薬自体が、それで不十分な方、あるいはそれが使えない方に着目して開発が進んできたがゆえに、臨床試験についても、最初の承認については、先ほど先生が御紹介いただきましたように、併用でスタチン単独よりもいいことがあるといったエビデンスが提出されているところでございます。
このお薬単独でどんなパワーがあるか、あるいは併用よりもいいことがあるとか、そういうところについては今後のエビデンス蓄積を待ちたいと思っております。ありがとうございます。
○田辺会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
2017年3月の類薬のレパーサの際にも議論になりましたけれども、生活習慣病治療薬は長期間継続的に使うということが考えられます。特に本品のアリロクマブのような高額な場合には慎重に使う、また適切に使うということが重要だということは改めて申すまでもありません。家族性高コレステロール血症に限定した上で、スタチンで横紋筋融解症などの重篤な副作用が起きた場合に、例外的に本剤が使用されるということは理解いたしますが、家族性高コレステロール血症、つまり遺伝的要因がある場合でも、ホモ型とヘテロ型では治療方法が異なるということなので、承認内容も含めて、単純に家族性高コレステロール血症としてよかったかどうかにつきましては今でも疑問が出てくるところだと思いますので、これについてまず一点お伺いします。また、レセプターが完全にない人、つまりホモ型であるとわかっていて、なおかつLDLアフェレーシス療法施行中の患者でも本当に効果があるかどうかというのは、もう一度データを集めていただきたいと思います。
ホモ型は難病指定されていますけれども、ヘテロ型は違います。また、効かなければやめるのは当たり前のことでございますけれども、医師の判断になりますが、患者さんに余計な負担をかけることのないように、適時適切に処方をやめることも含めた対応が必要と考えますが、この点についてもいかがでしょうか。2点についてお聞きしたいと思います。
○田辺会長
では、医薬品審査管理課長、よろしくお願いいたします。
○山本医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
御質問、ありがとうございます。投与に際して留意していただきたい事項として、17ページに既存の承認のときからお願いをしていることがございます。先生がおっしゃったように、ホモ・ヘテロ、家族性・非家族性、いろいろ分類がございますが、ホモの患者さんに対して本剤の有効性、安全性が検討されていない云々を記載させていただいておりまして、効果がない場合には漫然と投与せずに中止すべきというような留意事項も従来から書かせていただいております。このあたりはしっかりと引き続き徹底をしていきたいと思っております。
また、データが少ない部分について、市販後の中でいろいろなデータが集まってくると思いますので、それらを解析する、評価をするといったことで、最適使用推進ガイドラインないしは、必要があれば承認の内容についても考えていきたいと思っております。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
繰り返しになりますけれども、やはりこういった高額で、しかも継続性があって長期間使う可能性がある薬剤だと思いますので、ガイドラインでしっかりと担保していくということは大変重要なことでございますので、データもしっかり集めた上で今後の使用状況等も含めてまた報告していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田辺会長
ほかはいかがでしょうか。
よろしゅうございますか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に、また報告事項でございますけれども、「薬価調査及び特定保険医療材料価格調査の公表について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
では、経済課長、よろしくお願いいたします。
○三浦医政局経済課長
ありがとうございます。
資料総-3-1をお開きいただければと思います。来年の消費税率の引き上げに対応するために、医薬品の価格調査、薬価の本調査を行いましたので、その速報について御報告を申し上げたいと思います。
平均乖離率は7.2%でございました。下の注にございますとおり、平成30年9月の取引分につきまして、販売サイドより11月6日までに報告があったものを集計した結果でございます。また、平均乖離率の計算式につきましては、注2をごらんいただければと思います。
あわせまして、2番でございます。後発医薬品の数量シェアでございますが、72.6%でございました。前回、昨年のデータで申し上げますと65.8%ということで、プラス6.8%でございました。
次のページには、速報値の内訳といたしまして、投与形態別、あるいは主要薬効群別のデータを載せておりますので、後ほど御確認をいただければと思います。
続きまして、総-3-2に移りたいと思います。先ほどは医薬品についてでございましたが、総-3-2は特定保険医療材料価格調査の速報でございます。平均乖離率は4.2%でございました。注1にございますとおり、平成30年5~9月の取引分でございます。なお、ダイアライザー、フィルムなどにつきましては9月取引分のみというところは、注をごらんいただければと思います。また、報告については、販売サイドより11月6日までにいただいたものの集計結果でございます。平均乖離率の計算式については、注2をごらんいただければと思います。
私からは以上でございます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
では、遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員
ありがとうございます。
薬価のほうの乖離率について、歯科用の薬剤というのは占有率は非常に低いのですけれども、乖離がマイナスになってございまして、昨年度、歯科用薬剤は約マイナス4%だったのですけれども、5.7%のマイナスに拡大しております。また、その中の特に歯科用の局所麻酔薬は前回マイナス5.8だったのですけれども、今回はマイナス9.5ということで、逆ざやが拡大しているということでちょっと危惧している事項なので、ぜひこの辺のところは対応をお願いしたいと思いますが、事務局のほうはいかがでしょうか。
○田辺会長
では、経済課長、よろしくお願いします。
○三浦医政局経済課長
どうもありがとうございます。
今、遠藤委員御指摘のとおり、前回の調査におきましてマイナス4.0%だったものが今回5.7と少し拡大傾向にあるマイナス、いわゆる逆ざやの状況になっているところでございます。
御案内のとおり、歯科用薬剤は新薬が出るというよりは長期にわたって使われているものが多うございますので、たび重なる薬価改定によりまして値下がりを続けているものが多いという傾向があろうかと思っております。
前回、基礎的医薬品も含めた検討をしたいと申し上げましたけれども、もう一つには、逆ざやになるぐらい原価が高どまりをしていて、どうしてもお値引きなどができないといったような実態があるかもしれませんので、いわゆる不採算品再算定も含めて業界に対してもしっかりと周知をして、解消に向けて頑張りたいと思っております。
○遠藤委員
よろしくお願いします。
○田辺会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
注2の平均乖離率の定義についてです。後ほど御説明があろうかと思いますけれども、控除対象外消費税の対応については、診療報酬を前提として行うということに多分なっているのだと理解をしておりますが、平成26年の改定のときから卸業者は価格表示カルテルを結んで、価格交渉をする際には、薬価の中に補てんされている消費税分を外して本体価格で交渉するということになっているのが原則だと思います。
今回、この定義については、以前からこういう形でやっておられるのだと思うのですけれども、これを見ますと、「現行薬価×販売数量」から「実販売単価×販売数量」を引くという形になっていて、これは恐らく消費税を外して計算しても乖離率そのものは変わらないのかもしれないのですけれども、現場の理解として、この消費税がきちんと薬価の中に補てんされているということを理解してもらうために、現行薬価という、いわゆる消費税が補てんされているものから、それを組み込んだまま価格交渉をするようなイメージにどうしても見えてしまうのです。
したがって、次回以降、数値が変わらないということであれば、こういった定義についてもう少しわかりやすい形というか、消費税の補てん分を外した形の価格交渉が徹底されるように表示をしていただきたいと思います。これは要望です。
○田辺会長
コメントはございますか。
では、経済課長、お願いいたします。
○三浦医政局経済課長
どうもありがとうございます。
なかなか消費税の問題が現場に浸透していかないという課題については、私どもは認識をしているところでございます。
先生、御賢察のとおり、注2のところ、消費税分というのは結局100分の108を掛けていく、あるいは108分の100にするといったような掛け算をして、どのように掛けていくかというお話になりますし、そういう意味では現行薬価は消費税を織り込んだいわゆる税込み価格になっております。したがいまして、実販売価格についても同じように税込みを前提として計算をしているところでございまして、それを同じく108分の100を分母、分子に掛けていけば、結果としての乖離率は一致するということは、まさに先生がおっしゃっているとおりだと思います。
見せ方、あるいは与えるイメージにつきまして、先生に御指摘をいただいておりますので、少し知恵を絞ってまいりたいと思います。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほかはいかがでございましょうか。
よろしゅうございますか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に、「診療報酬調査専門組織『医療機関等における消費税負担に関する分科会』からの報告について」を議題といたします。
まず、消費税分科会会長の荒井委員より御説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○荒井委員
ありがとうございます。消費税分科会会長の荒井です。報告させていただきます。
平成31年10月に予定されている消費税率の引上げに向け、医療機関等における消費税負担に関する分科会において、診療報酬での対応方法等について議論を行ってきました。
今回は10月31日と11月21日に開催された第18回及び第19回分科会の内容について御報告いたします。
第18回分科会では、事務局から現状の補てん状況に関する要因分析を踏まえ、配点方法の見直しについて提案がありました。
第19回の分科会では、過去において仮に今回の見直しが実施されていた場合、平成28年度に消費税率5%から8%の3%分の補てん状況がどのようになっていたかについてのシミュレーションが示されるとともに、これまでの議論の整理案について議論が行われ、一部修正を行うということで分科会長一任とされました。
配点方法の見直しの内容についてですが、資料の総-4-1の2ページに主な内容をまとめています。大きく4点ございまして、算定回数について直近の通年実績のNDBデータを使用する。課税経費率について、一般病棟・療養病棟入院基本料は、療養病床の割合で病院を分類して課税経費率を見る。精神科病棟入院基本料は、精神科病院の課税経費率を見る。3点目として、入院料の配点について、病院種別や入院料別ごとの入院料シェアを考慮して補てん点数を決定する。4点目として、まず無床診療所の補てんを考慮して初・再診料に配分を行うこととし、病院における初・再診料の比率を変え、入院料の割合を高めることとしています。
続いて、4ページ及び5ページをごらんください。シミュレーションの結果、医療機関種別ごとの補てん率について、病院は85%から100.6%に、一般診療所は111.2%から99.8%に、歯科診療所は92.3%から98.7%に、保険薬局は88.3%から97.7%に、それぞれ改善が見られました。
病院種別ごとの補てん率については、精神科病院は129%から100.7%に、特定機能病院は61.7%から102.5%にそれぞれ改善が見られました。
これにより、医療機関種別ごとの補てんのばらつきは相当程度是正されると見込まれることがわかりました。
次に、資料総-4-2をごらんください。これまでの分科会の議論の取りまとめとして、議論の整理が事務局より提示されました。
1ページ目、「1.はじめに」の2ポツ目から4ポツ目にかけて、2014年度補てん状況調査の誤りを本年7月に報告したこと、2016年度補てん状況調査を公表し、全体の補てん不足及び医療機関種別ごとの補てん率のばらつきが見られることがわかったこと、調査の誤りについて厚生労働省から謝罪があったが、当分科会としてまことに遺憾であり、再発防止の徹底を求めること等を記載しています。
また、「2.消費税率10%への引上げ時の対応について」の1ポツ目ですが、2019年度改定に当たっては、消費税率が5%から8%に引き上がった部分も含めた消費税率5%から10%の部分について補てん状況が是正される配点とする方針であることを記載しています。
2ページ目、(1)医科の1から4にかけては、先ほど申し上げました配点方法の見直し内容と、それまでに至る分析等について記載をしております。
4ページ目の5以降では、個別項目への補てんについてまとめています。診療側の委員からは、基本診療料に補てんするという方針は前回の消費税率引き上げ時に中医協で合意している。消費税率0~5%の補てん点数がわからなくなってしまった経緯も踏まえると、個別項目にはつけるべきではない。まずは基本診療料の精緻化で対応すべき。実際の診療では初・再診料のみが算定されるわけではなく、個別項目も合わせて算定されており、そこには補てん点数が乗っていないのだから、患者側の理解が得られないことはない。初・再診料というわかりやすい項目に補てんされているほうが理解が得られるのではないかといった意見がございました。
一方で、診療側の委員からは、診療所が補てん超過となっていたが、初・再診料だけで補てんすることとしたのが問題ではないか。診療所の算定項目と課税経費率のデータを見て、個別項目を検討するべきではないか。本当にばらつきがないのかを検証してみないと、個別項目でやるかどうかも結論が出ない。不公平感がなくなるなら、個別項目も必要ない。初・再診料のみで補てんした結果、消費税率が3%分引き上がったのに対し、初・再診料は4%以上補てんされており、患者側の視点から見ると理解が得られない。個別項目への補てんも組み合わせるべきではないかといった意見がございました。
この点、病院に係るデータを分析したところ、個別項目のうち「検査」と「手術」の占める割合が高いこと。「検査」等の項目に係る報酬については、DPC対象病院においてはそのほとんどが包括点数の中に含まれているため、これらの個別項目への補てんによって細やかな補てんを行うことは難しいこと。「手術」について診療報酬収入に占める「手術」の割合と課税経費率との相関関係があるかを見たところ、特段の相関関係は見られないこと等が確認されました。
また、診療所が算定する個別項目については、病院と同様に項目群で分析することも考えられるが、データの入手や分析に一定の期間を要する上、仮に病院と診療所で何らかの傾向の違いがあったとしても、病院が算定する場合と診療所が算定する場合で異なる点数とすることは適切ではないと考えられるという結論にしています。
さらに、先ほど述べたとおり、シミュレーションによって医療機関種別、病院種別ごとのばらつきは相当程度是正されると見込まれることが確認されました。
なお、分科会の中では、各医療機関の支出や収入の構造はさまざまであるため、個別医療機関ごとの補てんのばらつきについては、診療報酬で対応することには限界があるといった御議論もありました。
いずれにしましても、以上を踏まえ、当分科会では2019年度改定に当たっては2014年度改定と同様の整理で、基本診療料・調剤基本料に点数を上乗せすることを中心に対応し、個別項目については基本診療料・調剤基本料との関係上、上乗せしなければ不合理になると思われる項目等に補完的に上乗せすると結論づけました。
また、7ページ目ですが、歯科について2014年度の考え方を踏襲し、歯科診療報酬における財源は原則として初・再診料に配分すること。調剤についても2014年度の考え方を踏襲し、調剤報酬における財源は原則として調剤基本料に配分することと結論づけました。
「3.おわりに」では、厚生労働省は今後このようなことが起こらないよう、他のデータによる確認、複数の職員による重層的なチェック等による正確な調査を徹底するべきであること、消費税率10%への引き上げ時の対応として、診療報酬改定を行った後も適切な補てんがなされているかについて、速やかにかつ継続的に調査することとしています。
以上で、「医療機関等における消費税負担に関する分科会」からの報告を終わります。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
今、分科会の会長から御説明いただいた中で、診療報酬での対応について、個別項目も含めて限界に来ているのではないかという意見を申し上げたということについて、一言触れたいと思います。
今回の整理案についてはこういうことで整理されておりますし、その整理案の最後のページに、今回10%への引き上げの対応として、診療報酬改定を行った後も適切な補てんがなされているかどうか調査し、適宜必要なデータがそろい次第、継続的に調査をしてほしいということになっているのですが、あわせて、今後、消費税増税が行われる可能性もあるとすれば、今回の議論の中で診療報酬の改定による手法についての限界線が見えたということも踏まえれば、これは厚労省を初め、国の各関係箇所で、医療にかかわる消費税のあり方についてはぜひ議論を深めて、将来的に消費税増税に対応して、どういうあり方がいいのかということの議論をあわせて進めていただきたいと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
今回、シミュレーションを行って、ほぼ100%という数字に近づいているということは非常に評価できると思っております。
ただ、今後、来年の10月に向けて具体的な数値が出てくると思いますので、その際に今回のことがないように、どのような計算方法で何を根拠に数値を出していったかということを事細かく分科会のほうにちゃんと報告して、それが総会に報告されるようにお願いしたいと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
次に、また報告事項でございますけれども、「DPC対象病院の病床数変更に係る報告について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料総-5をごらんいただきたいと思います。「DPC対象病院の病床数変更に係る報告について」でございます。
DPCの制度におきましては、DPC対象病院の一定程度の病床数の変更、そこの下に書いてありますとおり、病床数が合計200床以上の増減があった場合とか、2倍以上または2分の1以下となるような場合について、また、変更後もDPC制度への継続参加を希望している場合に関しては、その継続参加の可否について中医協において審査及び決定するというルールになってございます。
先日、この審査につきまして、退出・合併の審査委員会が開かれております。今回は3件の病床数の変更案件について審査を行いまして、全て承認をされております。ただ、そのうち2点につきましては、本来、ルールに従えば、病床数変更の6カ月前に申請が必要であるということでございましたけれども、その6カ月前の申請ができていなかったということでございますので、今後、DPC対象病院の合併・分割等に関する手続で遺漏があったような場合に関しては、何らかペナルティーに近いルールを設ける必要があるということで、次回、診療報酬改定に向けてその点について整理すべきという御意見がありましたことを申し添えたいと思います。
以上、報告させていただきます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。そのほか、何か事務局等からございますでしょうか。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
事務局のぼうから2点御報告等がございます。
DPCの高額薬剤の取扱いについてということで、先月、平成30年11月14日の中医協総会において御議論いただきました内容のうち一部誤りがありました。ゾスパタ錠の判定という部分でございますが、これについて御報告をさせていただきたいと思います。
これについて判定に誤りがありましたことにつきまして、会議終了後、速やかに各委員に御連絡をさせていただき、ホームページ上の資料の修正は既に済んでおりますけれども、この点につきまして二度とこういうことが起きないようにおわびをさせていただきたいと思います。その点について御報告させていただきます。
もう一点、御報告をさせていただきます。現在、マスコミ、報道等で取り上げられております平成30年の診療報酬改定で導入されました妊婦加算につきまして、現在、国会等でも議論がなされております。厚生労働省としても運用面について検討させていただいているところでございまして、中医協にもその点は速やかに今後御相談をさせていただきたいと思っておりますので、以上、御報告をさせていただきます。
○田辺会長
ありがとうございました。
次回の日程につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。御参集、どうもありがとうございました。
 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第402回議事録(2018年12月5日)

ページの先頭へ戻る