ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第412回議事録(2019年4月10日)

 
 

2019年4月10日 中央社会保険医療協議会 総会 第412回議事録

○日時

平成31年4月10日(水)11:21~11:43

○場所

グランドアーク半蔵門 富士の間(4階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 荒井耕委員 中村洋委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
吉川久美子専門委員 横地常弘専門委員 丹沢秀樹専門委員
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○部会・小委員会に属する委員の指名について
○最適使用推進ガイドラインについて
○在宅自己注射等について
○年代別・世代別の課題(その1)について

○議事 

 

○田辺会長
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより、第412回「中央社会保険医療協議会総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は岩田専門委員が御欠席でございます。
次に、委員の交代について御報告いたします。
榊原純夫委員におかれましては、4月4日付けで退任され、後任として4月5日付けで染谷絹代委員が発令されております。なお、染谷委員からは「自らが公務員であり、高い倫理観を保って行動する」旨の宣誓をいただいております。
それでは、新しく委員となられました染谷委員より、一言御挨拶のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○染谷委員
皆様、おはようございます。静岡県中部の島田市の市長をしております染谷と申します。
まさに基礎自治体が抱える現場の問題を私の立場からはお話しをさせていただければと思います。きょうの乳幼児期、学童期・思春期、そしてまた周産期は、まさに地方自治体が抱える問題の中心になるところでもございますので、素人ながら皆様の会議になじめるように一生懸命努力をしたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうをお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
初めに、委員の交代に伴いまして、部会及び小委員会に属する委員につきましても異動が生じます。
部会、小委員会に属する委員につきましては、社会保険医療協議会令第1条第2項等の規定により、中医協の承認を経て、会長が指名することとされております。委員のお手元に、総-1として新しい中医協の委員名簿とともに、異動のある部会及び小委員会の名簿の案をお配りしております。
染谷委員には、前任の榊原委員の所属しておりました診療報酬基本問題小委員会、保険医療材料専門部会、費用対効果評価専門部会に所属していただきたいと思いますが、そのように指名することとしてよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、そのようにさせていただきます。
次に「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、御説明のほうをお願いいたします。
医薬品審査管理課長、よろしくお願いいたします。
○山本医薬品審査管理課長
医薬品審査管理課長でございます。
それでは、お手元の資料、総-2-1に基づきまして、御説明をさせていただきます。本日御説明させていただきますのは、デュピクセントの最適使用推進ガイドラインでございます。表紙にございますとおり、今回はデュピクセント皮下注に関しまして、気管支喘息の効能追加を行いました。本年3月に承認を出しておりますが、あわせて、この最適使用推進ガイドラインを3月26日付けで通知として発出しておりますので、御報告申し上げます。表紙をおめくりいただきまして、2ページでございますが、目次はこれまでの最適使用推進ガイドラインと同様の構成といたしております。
2ページをごらんください。「はじめに」の項でございますが、囲みの上に記載しております5つの学会・医会の御協力をいただき、本ガイドラインを作成いたしております。
続きまして、3ページをごらんいただければと思います。
3ページには本剤の特徴を記載しております。本剤は炎症反応に関与しておりますIL-4、あるいはIL-13に対するモノクローナル抗体でございまして、それらのシグナル伝達経路を阻害することにより、喘息に対する効果を示すとされております。
続きまして、4ページをごらんください。
4ページから、本剤の臨床試験の成績を記載しております。まず、有効性でございますが、国際共同第Ⅲ相試験が実施されておりまして、プラセボ対象に比べまして、有意な改善を示しております。
具体的には5ページの表1、表2で、表1は重度喘息増悪の年間発現率、表2は努力呼気流量、1秒量について、それぞれプラセボと比較した結果をお示しております。両方ともプラセボに対して有意に改善していることを確認しております。
また、安全性につきましては7ページに結果を記載しておりますが、既に先行して承認しておりますアトピー性皮膚炎の際の安全性プロファイルと大きな違いはございませんでした。
続きまして、9ページをごらんください。
本剤を適切に使用していただくために、施設の要件等を記載させていただいております。具体的には○1から○3の要件を満たす施設において御使用いただきたいと考えております。○1は喘息予防・管理ガイドラインや小児気管支喘息治療・管理ガイドラインなどを熟知して、気管支喘息の診断、治療に精通する医師、そしてその下に記載するような各種の臨床研修を受けた医師が責任者として配置されていることです。
また、○2につきましては、薬剤のさまざまな情報について院内での管理の体制が整っているところです。
そして、○3でございますが、合併するほかのアレルギー疾患やアナフィラキシー等の副作用に関しまして、施設または近隣の施設での専門性を有する医師等と連携して、適切に処置に当たっていただける体制が整っていることです。
この3点をお願いしております。
続きまして、10ページでございますが、投与対象となる患者さんについて、記載をさせていただいております。
患者選択の要件の1つ目としては、診療ガイドラインを参考に確定診断がなされていることです。2つ目は吸入ステロイド、中用量または高用量の吸入ステロイドと、その他の長期管理薬を併用してもコントロール不良で、かつ全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪を年に1回以上きたすような患者さんであることです。
ただし、併用する吸入ステロイドが中用量の場合には、成人の場合、増量することが副作用等により困難であるような場合に限らせていただいております。
また、患者選択に当たっては血中好酸球数などのバイオマーカーを1つ以上測定し、その値と臨床成績を考慮するなどをお願いしております。
さらにその下のほうになりますが、本剤の投与継続の取扱いにつきましては、臨床試験の際に行いました有効性評価時期などを踏まえまして、投与開始後1年程度をめどに効果の確認を行って、効果が認められない場合には漫然と投与を続けないようにお願いをしております。
最後でございますが、11ページで「投与に際して留意すべき事項」として、添付文書の重要な基本的注意に記載された注意事項などについて、こちらのガイドラインにおいても入念的に記載をさせていただいております。
本ガイドラインの内容につきましては、以上でございます。
○田辺会長
では引き続き、薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
薬剤管理官です。
総-2-2をごらんください。ただいま、医薬品審査管理課長から御説明がありましたデュピルマブ遺伝子組換え製剤、品目名デュピクセント皮下注につきましては、既にアトピー性皮膚炎について、最適使用推進ガイドラインに基づき、保険適用上の留意事項通知を発出しているところでございます。今般、先ほど説明がありましたとおり、気管支喘息に係る最適使用推進ガイドラインが新たに策定されたことを踏まえまして、承認事項一部変更承認が行われました3月26日付けで、留意事項を改正する旨の通知を発出しておりますので、その御報告になります。
3の「留意事項の内容」のところをごらんいただきたいと思いますけれども、具体的には今般のガイドラインの策定を踏まえまして、(2)の「診療報酬明細書の適要欄に記載を求める事項」として、新たに項目を追記しております。具体的には○1として下に枠囲みとしてガイドラインの関連箇所を引用しておりますけれども「治療の責任者の要件のいずれに該当するか」を記載させることです。
それから、○2として次のページでございますけれども、下にガイドラインの関連部分の記載がございますとおり「投与対象となる患者の要件のいずれに該当するか」を記載いただくということでございます。
あわせまして、○3といたしまして「併用する吸入ステロイド薬が中用量の場合には、当該用量以上に増量することが不適切であると判断した理由」も適要欄に記載いただくということで、通知を発出しているところでございます。
説明は以上となります。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
既にアトピー性皮膚炎に対して認められていたということで、効果の追加になるわけですけれども、両疾患が合併している患者さんも少なからず見られる中で、気管支喘息とアトピー性皮膚炎の主治医が異なることもよくあるケースでございますので、こういった場合の使用に当たっての連携とか注意点、あるいは問題点はないのでしょうか。
○田辺会長
では薬剤管理官、お願いいたします。
○田宮薬剤管理官
資料の総-2-1をごらんいただければと思うのですけれども、9ページのところでございます。こちらの○3の「合併症及び副作用への対応について」で、まさに委員から御指摘がありましたとおり「合併する他のアレルギー性疾患を有する患者に本剤を投与する場合に、当該アレルギー性疾患を担当する医師と連携し、その疾患管理に関して指導及び支援を受ける体制が整っていること」といったことが、施設の要件として定められているところでございますので、これに従って適切に御対応いただく必要があるものと考えております。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に「在宅自己注射等について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料の総3-1をごらんいただきたいと思います。保険医が投与することができる注射薬の追加ということで、お諮りをしたいと思っております。
在宅自己注射の対象薬剤に係る運用基準及び学会からの要望書を踏まえまして、がんの疼痛治療用注射剤でありますヒドロモルフォン塩酸塩製剤について「在宅悪性腫瘍等患者指導管理料」及び「在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料」の対象薬剤として追加してはどうかという御提案でございます。
ヒドロモルフォン塩酸塩製剤につきましては、疼痛のための注射薬でございまして、これについてお諮りをしたいと思います。
また、残り2つ、在宅環境の注射薬の関係がありますので、あわせて説明をさせていただきたいと思います。
総3-2をごらんいただきたいと思います。
これは在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加ということでございます。これは先ほど議論いただきましたデュピルマブ製剤につきましてでございます。これにつきまして、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかという御提案となっております。
次に総3-3でございます。
これは在宅自己注射指導管理料の対象薬剤であります医薬品のバイオ後続品の取扱いについてでございます。バイオ後続品につきましては、先行バイオ医薬品と効能等の比較、審査をした上で一つずつ追加をしていくことで決められておりますので、今回、エタネルセプトの後続2についてお諮りをするものでございます。
2ページ目の下のところを見ていただきますと、エタネルセプト後続2につきましては、先行品と比較しまして、そこにありますように効能効果や用法用量は同等でございますので、先行品の使用状況についても特段の問題はないと考えられることから、この後続品につきましても、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加してはどうかという御提案になっております。
説明は以上でございます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
このヒドロモルフォンですけれども、患者さんの多くは病院で抗がん剤の治療をしていると思うのですが、末期で在宅に移行した場合の問題点です。病院が本剤をポンプに注入して、患者に交付できることに変わりはないのかどうかということと、その場合、病院は在宅悪性腫瘍指導管理料を算定できるか。または地域の診療所の医師との連携において、在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料が算定できると理解してよろしいのかどうか。
もう一つは、さらに薬剤師による在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できるかどうかを確認したいと思います。
○田辺会長
では医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
そのように対象となる薬剤と考えております。
○松本委員
ありがとうございます。
中小規模も含めて全国でがん患者の治療に当たっていることが、最近は医療資源の非常に少ない地域や過疎地での医師を初めとした医療職の採用が難しい状況にあります。薬剤師もその例外ではありません。病院薬剤師による業務も院内に限らず、地域に広がっていくことを踏まえて、無菌調剤ができる地域の病院の評価をより適切に行う必要があると思いますけれども、この点についてはいかがでしょう。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
御趣旨、御提案の点については非常に重要な指摘だと考えております。今後、その部分についてはどのように評価していくのか、どのように取り組んでいくのかについては、中医協の今後の議論の中でしていただければと思います。
○松本委員
病院薬剤師の活用について、ぜひまた御検討いただきたいと思います。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に「年代別・世代別の課題(その1)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
医療課長、よろしくお願いいたします。
○森光医療課長
資料につきまして御説明をさせていただきます。最初にですけれども、今回、年代別・世代別の課題でございますが、前回、検討項目と進め方について御提案した際に医療提供体制を取り巻く現状等についてという資料を提出しておりましたが、その資料について、少し説明をしておりませんでしたので、簡単に今回の議題にかかわりのある部分を少し抜きながら御説明させていただきたいと思います。
総-4の参考2になります。
この「医療提供体制を取り巻く現状等について」という資料でございますけれども、前回の診療報酬改定の際に出させていただきました資料から新しくデータが追加されたものについては数字を入れかえ、グラフを入れかえた形で御提供しております。これは今後の診療報酬改定に資する基礎資料ということで、今回提示をさせていただいたものでございます。人口の状況ですとか、医療提供体制の施設の状況等の資料になっております。また、どうしてもデータが入れ替わってないものについては、右上の方に前回の中医協資料ということがわかるように資料として札を打っておりますので、ごらんいただきたいと思います。
新しく追加されたものを少しだけ御紹介させていただきます。例えば19コマ目を見ていただきますと、ここに医療提供体制の中で前回入れてなかった働き方改革の中でも資するデータだろうということで「病院診療所における医師数及び平均年齢の年次推移」で、医療従事者についてもかなり高齢化といいますか、少し年齢が上がっている話ですとか、看護師さんについても従事者は非常にふえているけれども、年齢層が上がっているようなところが入っているかと思います。
また「医療費の動向」という資料のほかに「地域ごとのばらつき」ということで、30コマ以降でございますけれども、これは地域ごとに非常に差が出てきている。特に高齢者の人口増加率等も非常に異なる。それから、医療提供体制も地域ごとにかなり異なっているような資料をまとめてそこにつけてございます。
また、本日の議題の中でかかわりのあります38コマ目以降「人生の各段階毎の医療への関わり」を少し御説明させていただいて、世代別の議論の資料に移りたいと思います。39コマ目を見ていただければと思います。これは前回と資料が少し変わっておりますので御注意いただければと思います。これは平成28年の国民生活基礎調査の中から各年代ごと、通院をされている方にどのような疾病で通院をされているかと伺ったものでございまして、5歳ごとに各年代を切っております。見ていただきますと、一番最初にありますのは男女合わせたものになります。
0~4歳を見ますと、急性咽頭炎ということで、これはいわゆるかぜですとか、かぜの症状があって来られたことかと思います。その後、やはり小さいお子さんで皮膚の病気、アトピー性皮膚炎、そして、その他入っていますが、5番目には喘息といったようなアレルギー性疾患が最初に非常に小さいお子さんについては高い。
5~9歳になりますと、アレルギー性鼻炎がさらに加わってくることで、アレルギー性の疾患のグループであります鼻炎、皮膚炎、喘息といったものが主要3大通院理由に入ってくるということかと思います。
その後を注目していくと、20~24歳のところの第4位に鬱病やその他の心の病気が入ってきます。25~29歳は第2位に欝病、その他心の病気が入りまして、30~34歳、35~39歳には通院理由の第1位に上がることになります。40歳から少しずつこの順位を下げていくかわりに高血圧、糖尿病、その次の50歳になりますと、高脂血症が通院理由の主なものになってくる年代別・世代別の大きな傾向を示しております。
また、30代以降ぐらいからちょうど3~4位のところに出てきます腰痛症、肩こり症といったようなものが、年代を超えて続いて通院理由となっていることがわかるかと思います。
次に男女別に分けたものを見ていただければと思います。40コマ目のところでございますが、これは実は男性と女性で小さいお子さんについては、余りアレルギー性鼻炎ですとか、喘息、アトピー性皮膚炎というところは変わらないのですが、女性に関してはその他ということで、実は国民生活基礎調査の選択肢に入っていない疾患で通院されている理由が非常に多い。鬱、その他の心の病気が第2位になっています。
下の男性と女性の図を比べていただければと思いますが、男性のほうでは、この鬱、その他の心の病気が、やはり働く世代の中の特に若い世代の方に関しては第1位で、通院理由の主な理由になっていることかと思います。
男性の通院理由を見ますと、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病で通院されている方が40歳ぐらいからということで、女性と比較をしていただきますと、10歳ぐらい男性のほうが早く、生活習慣病で通院されている主な理由になっている。
また、男性の60歳以降を見ていただければと思うのですが、生活習慣病の結果として恐らくは出てくる狭心症とか心筋梗塞、いわゆる管理が余りうまくいかなかったためだと思われる部分がありますが、そういう形で大きなアクシデントを抱えて通院されているのが3位、4位という形で60歳から入ってくる。女性に関しては恐らくそれよりもっと後、もしくは低い順位になっていることで、これは男女差が多少出てきている部分かと思います。
こういう形で年代別にいろいろな理由で通院をしておりますけれども、医療費ですとか、その他投薬ですとか、そういうのもこの基礎資料として用意をしておりますので、見ていただければと思っております。
本日の議題でございます世代別のほうに移らせていただきたいと思います。
総-4の資料「年代別・世代別の課題(その1)」を見ていただければと思います。前回、議題をある程度絞り込んでということで御提案いただきましたので、まず、議論に当たってポイントを整理させていただきます。
1ラウンド目の最初の議論に当たりまして、患者の疾病構造や受療行動を意識しつつ、年代別に課題を整理することとしてはどうか。
本日は乳幼児期から学童期・思春期、また、周産期における疾病構造の違い、医療提供体制の現状を踏まえて、課題の整理をしてはどうかと御提案させていただきます。
特に議題として私ども事務局で考えているところでございますが、まず乳幼児期につきましては、小児科を中心とした医療サービスに加えまして、自治体が提供する保健サービスが非常にかかわりがございます。そのサービスとの連携といった特性を踏まえて、どのような課題が考えられるのか。これについて議題として考えていただければと思います。
また、学童期・思春期については生活の場が学校中心となり、交友関係等も広がる時期において、必要とされる医療とはどのようなものがあり、どのような課題が考えられるのか。また、これは乳幼児期も一緒でござますが、学童期・思春期については、継続的な管理が必要な疾患について、どのようなことが考えられるか。
周産期につきましては、提供体制の変化、妊婦の高齢化といった患者の特性を踏まえた上で、さらなる対応を行うことが求められていますが、どのような課題が考えられるかということで、事務局として課題を整理させていただいているところでございます。
まず、3ページ以降に「乳幼児期~学童期・思春期に関する課題」ということで御提示しております。現状を4にまとめておりますが、これを整理するに当たりまして、データをつけておりますので、そこを少し御紹介させていただきたいと思います。
まず、5コマ目でございます。これはもう皆さん御承知のことだと思いますけれども、日本における出生数・出生率が減少傾向にございます。
それを受けまして6コマ目を見ていただきますと、15歳未満の人口は近年減少傾向であり、全人口に占める割合も当然ながら減少している。そこにありますように15歳未満の総数としては、2015年で1589万で、割合も12.6%まで減っている状況でございます。
次に「0~19歳における年齢ごとの受診理由」でございます。先ほど御紹介させていただきました国民生活基礎調査は、国民の方に直接通院されているかどうかを聞いた上で、その通院理由を聞いております。そこには通院の頻度が入っておりませんが、これは患者調査から抜きましたものでございますので、受診率といういわゆる、いろいろな疾患がございますけれども、疾患を持っていらっしゃる率が同じであっても受診頻度が高ければ、こちらのほうで上位に上がってくることで、頻繁に医療機関を受診されている状況が見えるかどうかわかるということで、この表を見ていただければと思います。
まず、これは医療機関を受診したときの理由という形で聞いておりますが、そうしますと、0歳時は予防接種が医療機関を受診する一番大きな理由となっております。また、乳幼児の検査・検診・管理といったところが医療機関を受診する理由となっております。
先ほどの国民生活基礎調査のほうから出てきましたように、今度は4番目、5番目、6番目のところですが、同じような傾向を示しておりまして、いわゆるアレルギーの成分が原因となるアトピー性皮膚炎が4番目に来ております。そして、5番目、6番目がいわゆる流行性感冒といったような形の受診理由となっています。
1歳から4歳になりますと、先ほどと同じように今度は喘息が第1位に上がっております。次に流行性感冒みたいなものが3番目、4番目、アトピー性皮膚炎が5番目、また、7番目にアレルギー性鼻炎という形で、このオレンジ色の部分がアレルギーが関連する疾患となっています。緑色のところがいわゆる流行性の感冒を原因とするようなもの、そして、ブルーのものが保健サービスということで見ますと、アレルギー性の疾患が、非常にお子さん方のメジャーな通院理由となっているところがわかるかと思います。
そして、5~9歳以降のところを見ていただきますと、真ん中4番目にその他の精神及び行動の障害と言われるのが、ちょうど4番目のところに出ております。これが10~14歳、15~19歳までこの受診の理由が続いている。
さらに15~19歳の7番目を見ていただきますと、神経性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害ということで、特にそういう形でストレス関連で通院されているお子さんがふえてきている状況が見えるかと思います。これらを踏まえた上で議論に入っていただければと思います。
次からは少し全体を見たものになりますが「15歳未満の患者数の推移」でございます。平成2年から、お子さんの数が減るに従って、入院に関しては患者数がどんどん減っておりますが、近年は、外来に関しては患者数はほぼ横ばいという状況でございます。受療率で見ますと、入院についても外来についても近年はほぼ横ばいという状況でございます。
あと、お子さんについて特に問題となります低出生体重児でございますが、これは低出生体重児及び極低出生体重児の割合は近年低下傾向でございます。また、出生数が減っておりますので、総数についてもおおむね一貫して減少傾向であると見られると思います。これが先ほど言いましたように予防接種が年々充実をしてきていること、これは先ほどの受診行動の中で、先に予防接種が保健サービスという形で特に医療機関を受診されていましたが、いわゆるこの予防接種によって、ある程度いわゆる感染症の重症化が防げていることで、受診理由の中でも、予防接種よりも下に来ている感じかと思います。
それから「小児科を標榜している施設数」でございますが、平成5年と平成29年を比較しております。診療所と病院それぞれに分けて表示をしておりまして、施設数総数と、下が15歳未満の人口10万単位の数となっております。見ていただきますと、総数として診療所も病院もどちらも減っておりますが、診療所につきましては、10万単位で見ますと、約96%までの減少、病院については82%まで減少していることがわかるかと思います。
また、これは新生児集中治療室管理料等の届出医療機関数及び病床数でございますが、これはほぼ横ばいですが、下の図を見ていただきますと、算定されている数は減少傾向で、ここは少し空床はあるのかなというところが見えるかと思います。
また、新生児治療回復室入院医療管理料の届出機関数、病床数は横ばいですが、これは算定者数についてはばらついている状況です。
「新生児集中治療室(NICU)等の病床数等の推移」でございますが、届出施設数、病床数はいずれも増加傾向でございます。内訳としては、いわゆる少し医師の配置等が緩やかな形になっております治療室管理料2のほうが、算定の施設がふえている状況でございます。
新生児集中治療室の整備状況でございますが、これについては都道府県別で非常にばらついていることで、また、新生児特定集中治療室管理料2は、1施設当たり1~3床、4~6床の非常に小さいスモールケースの医療機関が多いことが見えるかと思います。
「小児の集中治療室(PICU)の推移」でございますが、これは届出施設数、病床数は増加傾向、いわゆる整備を進めてきて、現在数がここまでになってきているということですが、この算定件数については近年ほぼ横ばいという状況になっているのが見えるかと思います。これが現在の小児医療に関する施設の状況になります。
次に、先ほどの小児期の疾患別の関係での御紹介でございます。17コマ目に「小児期における継続的な介入の重要性の例」で、これは医療関係者の先生方には今さらの部分ではあるかもしれませんけれども、少し御説明をさせていただきます。
先ほど、小児期におけるアレルギーの疾患が非常に多いと御説明をさせていただきましたけれども、小児期においては早期発見・早期治療のみならず、成長や発達、環境の変化を踏まえた継続的な介入・支援が重要で、特に「アレルギーマーチ」の進行を予防するためには、継続的な管理が重要であると言われております。アレルギーマーチですが、これは乳児期のアトピー性皮膚炎が原因で、皮膚によるバリア機能、いわゆる外的のものを排除するような機能が低下することによって、引き続いて、今度はそれを原因として食物アレルギーや気管支喘息を発症するリスクが増加するという考え方でございます。
これは早期からの介入が必要であることに加えまして、標準治療薬でありますステロイド外用薬を中心とした治療を継続して実施する必要があるものでございます。そこにありますようにアトピー性皮膚炎から引き続いて食物アレルギー、そして、気管支喘息、アレルギー性鼻炎ということで、基本的には病態は1つでございますが、出てくる症状という形で、このように引き続き年齢に応じて出てくるアレルギーの疾患が異なって出てくるようなものとなります。
こういうものに対応した形、18コマ目は再掲させていただきますけれども、こういうアレルギーマーチの考え方を下に照らし合わせますと、同じように通院されている理由を見ますと、先にアトピー性皮膚炎が通院理由で非常に多く、1~4歳、5~9歳のところに喘息、そして、アレルギー性鼻炎という形で通院理由が出ているのがわかるかと思います。こういうアレルギーマーチによって、そういう形で疾患を持って通院されている方が多いということかと思います。
この病態に関しまして、診療報酬上では小児のかかかりつけ診療料を創設されております。この小児かかりつけ診療料については、19コマ目にありますように、対象患者は当該保険医療機関を予防接種を含め4回以上受診した未就学児で、基本的には3歳までの患者さんで、3歳以上の患者さんは、継続して3歳前から見ている患者さんだけが算定できるような点数になっております。
算定要件がそこにありますが、アにありますように急性疾患の対応ですとか、アトピー性皮膚炎、喘息その他乳幼児期に頻繁に見られる慢性疾患の管理としてきちんとやっていこうと、小児かかりつけ診療料ができたということでございます。この算定の件数を見ていただきますと、やはり1歳、2歳、3歳でかかりつけ診療料を算定される回数がふえておりまして、3歳、4歳、5歳以降については、算定の要件等もございまして、ぐっと減っていることかと思います。
また、疾患別の中で、次に心の問題に関しての資料でございますので、20コマ目を見ていただければと思います。先ほど、通院理由の中でその他の精神及び行動の障害の数が第4位とお示ししたかと思います。これは経年的にいわゆる平成11年から平成21年にかけて20歳未満の精神疾患の総患者数を疾患別の内訳として見たものでございます。
これは患者調査から引いてきておるのですが、それを見ますと、上から統合失調症、2番目が気分障害、3番目が神経性障害、ストレス関連障害及び身体表現障害、そして、緑のところがその他の精神及び行動の障害、最後のところがてんかんとなっているかと思います。
平成11年からを見ますと、この23年から26年にかけて非常に急速に患者数が伸びております。そこの特に大きな伸びの原因となっているところは緑の部分でありますその他の精神及び行動の障害と言われるところ、恐らく基本的にここに発達障害とかADHDですとか、それに類する発達障害が入っているかと思います。
この患者数が23年から29年にかけて倍増していること、それから、先ほど見ました黄色の部分の神経性障害、ストレス関連障害のものも、それだけを比較しますとこれも2倍弱ふえている状況でございまして、この20歳未満の精神疾患の総患者数が非常に伸びている。また、その要因としては、その他の精神及び行動の障害、恐らく発達障害と言われるお子さん、それから、ストレス関連の障害をお持ちのお子さんが非常にふえていることがわかるかと思います。
もともと、小児の精神疾患等に関しては、どのように診療報酬上対応してきたかというのが21コマ目になります。算定回数だけを見ておりますけれども、この小児の精神疾患という形に対しての対応としては挙げております3つの評価点数がございます。
1つは心身医学療法、もう一つが通院・在宅精神療法、それから、小児特定疾患カウンセリング料になります。それぞれ小児科の方が小児医にかかる方が通われると、この加算が取れるのが小児特定疾患カウンセリング料と通院・在宅精神療法という形で高く評価しているものでございます。特徴としては、通院・在宅精神療法は、精神科を標榜されているクリニックや病院で取られています。小児特定疾患カウンセリング料では小児科を中心に取られている点数でございます。
年齢別に算定されている状況が21コマ目の下の段に表示しておりますけれども、小児特定疾患カウンセリング料でございますが、見ていただきますと、やはり小児科の先生方が算定されるものでございまして、どちらかというと精神疾患というか、いわゆるお子さんの発育・発達、心の悩み等も含めて、親御さんも含めてカウンセリングを受ける点数でございまして、これはやはり0~4歳、特に5~9歳のところでピークが来ている。次の横の通院・在宅精神療法でございますが、これは精神科のクリニックなり病院で取られるものでございますが、これは年齢が上がるとともに患者さんが移行してくるというか、受診されている回数がふえている状況が見えるかと思います。
年齢的に見ますと、やはり小さいころには小児科で、大きくなるにつれて精神科に受診されている状況がわかるかと思います。
ここまでがお子さんの、特に精神疾患関係のデータとなります。
次に22コマ目以降で「小児期から成人期への移行期医療の課題」でございます。持ってきましたのは、難病対策委員会と小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会での資料でございます。これは小児期から慢性疾患にかかってらっしゃるお子さん方が、成人期を迎えて移行期をどうしていくのかという議論をされているものでございます。
提言がなされておりまして、その背景として、下線を引いている部分ですが、もともとの疾患が治癒せずに持続したり、合併症を長期に継続しながら思春期、または成人期を迎える患者さんが非常に多くなっている。医療体制が整っていないために、もしくは本人の準備が整わないために、成人期医療への移行が円滑に行われないことで、この移行期医療は非常に重要な課題になってきています。
次の23コマ目を見ていただきますと、20歳を超えた患者さんの主な通院先で、特に膠原病、慢性心疾患、先天性代謝異常、血液・免疫疾患に関しては、20歳を超えてもまだ小児科に通院されている患者さんが非常に多い状況でございます。これに対応しまして「移行期医療支援体制整備事業」が、子ども家庭局のほうで行われております。これはいわゆるコーディネートしていくような事業でございまして、移行期医療を総合的に支援する機能を持つ医療機関を指定しまして、これは全国に今のところ9施設と聞いておりますけれども、円滑に移行ができるようにサポートしていくことで、医療機関からの問い合わせ等にも応じて支援していく事業と伺っているところでございます。
平成30年度の診療報酬改定では、今、お話ししましたような内容、それから、その当時の問題点を受けて、25コマ目にあるような小児期の充実という評価を行っているところでございまして、特に25コマの右下のところでございますが、医療的ケアが必要なお子さんに対して、小児科療養指導料の対象拡大をしたり、学校への情報提供に係る評価といったことをやっている状況でございました。
その背景として、医療的ケア児の対応に関しては、26コマ目にありますように、これは放課後等のデイサービスという事業が、障害福祉部を中心に展開をされていまして、27コマ目が現状でございます。利用児童者数も現在は月平均で14万人、放課後等のデイサービスを行っている事業所数も9,300箇所まで増加している状況でございまして、お子さん方が学校の後に、こういうデイサービスに通っている状況がわかるかと思います。
28コマ目からはお子さんの歯の状況でございます。
これは3歳児と12歳児の1人の平均のう歯数、いわゆる虫歯の数について年次推移を出しているものでございます。これにつきましては順調に減ってきているところでございますけれども、例えば29ページを見ていただきますと、虫歯の予防としてフッ化物の塗布ですとか、洗口の指導を特に進めることで、診療報酬上も後押しをしてきております。ここにありますようにフッ化物洗口指導加算ですとか、う蝕管理加算といったような形で後押しをしてきたということでございます。
現状として、う蝕の状況は減ってきてはいるのですが、まだ減り足りない部分はありますけれども、成果は出てきている状況でございます。歯肉の状況でございますが、歯肉に炎症のある割合は年齢とともに増加している状況でございます。ただ、割合としては平成20年と30年を比較しますと、全年齢において減少していますけれども、年齢とともに歯肉のほうに炎症が起きています。
前回の改定の基礎となっております「小児の口腔機能に関する相談の状況」で、う歯に続きまして、やはり口腔内の問題として悩まれているのが、かみ合わせですとか咀嚼といった問題に関して歯科を受診される方が多い。これは非常に小さいころからしっかり管理が必要だということで、33コマを見ていただきますが、平成30年には「小児口腔機能管理加算」を創設してございます。
33コマ目の下のところを見ていただきますと、創設をいたしまして、今算定されている状況はどうかということがそこに書かれております。
算定医療機関数ですが、1,532施設、算定回数3万1000回でございまして、4月に導入をされておりますのでこの程度ではございますけれども、まだ少し普及が広がっていない状況かと思われます。
次に「小児期等に使用される医薬品」でございます。
先ほどの通院理由とあわせて見て考えていただければと思うのですが、小児期に使用される医薬品でございますから年齢別に切っておりますと、黄色のところのアレルギー用薬が非常に小さいお子さんでは多い。ただ、その下のオレンジ色の中枢神経系用薬のところを見ていただきますが、これはいわゆる先ほどの発達障害ですとか、精神病薬等が入ってくるわけなのですが、そこの割合が年齢が上がるにしたがって、非常にふえてきている状況があるかと思います。
また、乳幼児期に対する服薬指導等についても、診療報酬上、計量混合調剤加算ですとか、自家製剤加算として評価をしてきましたけれども、そこにありますように近年横ばいという形で算定されている。これは総数が減っていることから考えると、一定の割合で算定されているかと思います。
次に、36コマ目の下のところを見ていただきますと、医療的ケア児と関係しますけれども、訪問看護ステーションの利用者の数で、0~9歳、10~19歳、濃い青色のところが非常にふえてきていることがわかるかと思います。そこだけを注目して見ますと「小児の訪問看護利用者の状況」で37コマ目でございますが、利用者数は非常に伸びております。いわゆる告示基準の2の1、医療の訪問看護の対象となる形で掲げている方に関しては、2.7倍の利用者数になっている状況でございます。
30年の改定においては、これを受けて医療的ケアが必要な小児が学校へ通学する際の情報提供ということで、それを評価した訪問看護情報提供療養費2を新設したという状況でございます。
これらを私どもは受けて、現状の整理ということで40コマ目を見ていただければと思いますけれども、我が国の出生率は減少傾向でありまして、15歳未満の入院患者数や小児科を標榜する医療機関数は減少傾向にあります。一方で、小児に係る一部の入院料については届出を行う医療機関数、病床数は増加している状況です。
小児においては、先ほどの国民生活基礎調査、患者調査を見ていただくとわかるように、アレルギー関係の疾患の受診が非常に多うございます。また、それに応じて小児に用いられている医薬品はアレルギー用薬が最も多い状況です。また、近年の特にふえている問題として、精神及び行動の障害といった疾患が増加している状況になります。
小児の疾患特性は、特にいわゆるアレルギー疾患が非常に多いですとか、精神及び行動の障害といったようなお子さんに関しては、生活環境を整えるですとか、親御さんへの説明ですとか、理解を求める必要があるといったような特徴がございますし、また、そういう長い管理が必要になってくる。
そういう小児の疾患特性を踏まえますと、質の高い医療を提供するためには継続的な介入ですとか、御本人の成長、周囲の環境変化に適切に対応することが重要で、いわゆる長くそのお子さんを診ることを考えますと、お子さんの状況は成人に比べますと環境の変化は短いタームで起こります。特に保育園から学校、学校も今は先ほど御紹介しました医療的ケア児ですとか放課後デイサービスがありますし、健常なお子さんですと、学校の後に今度は学童保育という形で行かれている。主に生活されている環境の場が幾つもあります。そういう環境に応じた形で適切に対応を指導、管理していくことが必要でございます。
それから、新生児集中治療室管理料の届出を行う医療機関数は増加傾向でありまして、これは先ほど言いましたように3床未満とか、小規模の医療機関が非常に多いことがございます。
次に歯科のお話でございますけれども、小児のう歯数、う蝕数は減少傾向にあります。一方で、歯肉に炎症のある患者さんについては、年齢が上がることに増加している状況で、そういう傾向にあるということでございます。
訪問看護の利用者のうち、先ほど言いました難病とか医療ケア児に該当する患者の割合が非常に増加しておりまして、現在はそういう方をケアされている学校との情報連携について評価を行っている状況でございます。
論点としまして、このような少子化が進行し、入院から外来を主体とした医療に変化をしている中で、小児の入院・外来のあり方についてどう考えるのか。
主な受診理由や小児の疾患特性を踏まえると、質の高い医療を確保するために、適切な医療のあり方についてどう考えるのか。
特に継続的な管理が必要な疾患はどう考えていくのかが論点だろうということで、これは事務局から御提案ということで出させていただいております。
続けて、まず、資料の説明だけさせていただきますが、周産期でございます。周産期につきましては、昨年の12月に妊婦加算の凍結で、この中医協でもお諮りをさせていただきました。それを受けて現在、厚生労働省の子ども家庭局、医政局、保健局3局で妊婦さんの支援体制をどうしていくのかという検討会を開催しているところでございます。
そこでは、妊婦さんに直接指導されているような保健師さん、医師、妊婦さん御自身、有識者の方を入れた形で、今、妊婦さんを支援する体制は保健、医療、福祉それぞれのサービスを含めてどういう支援体制が必要なのかを議論いただいているところでございます。そういう議論がある中で、この中医協の場では、医療という視点から少し御議論いただければということで、資料を用意しているところでございます。
まず、課題とそこに書いてありますが、資料の説明をさせていただきたいと思います。
43コマ目にありますように、少子化の中で出生率も非常に下がっている状況でございます。「妊産婦死亡率・乳児死亡率の推移」で、これは日本はある意味非常に低いということで評価を受けているところでございます。
ただ、45コマ目にありますように初産、初婚の年齢と平均出生時の年齢の推移を見ていただきますと、平均出生時の年齢ですが、第1子を生まれる方が、現在は平均で30歳を超えている状況でございます。
あと「妊娠・出産・産後の不安に関する状況」でございますが、不安や負担というところの部分を見ていただきますと、自分の体のトラブルですとか、体の疲れといったところについて、非常に不安や負担を感じられているところがわかるかと思います。また、解消するために必要なサービスは何なのかというところでございますが、自分の体のトラブルへの助言ですとか、育児の相談、発達・発育のチェック、休息できる場所といったところを求められているかと思います。
この中に、特に医療に関係するところで抜いているのですが「合併症の頻度の年次推移」を見ていただきますが、合併症には妊娠に関する合併症と一くくりに分類しますと、妊娠しなくても発症する疾患、いわゆる喘息ですとか、もともとお持ちの疾患という意味で偶発合併症、それから、妊娠したことによって出てくる合併症と2つに分けております。
そうしますと、妊娠していなくても発症する疾患は、現在増加傾向にございまして、全妊産婦の32.2%に今はなっております。この偶発合併症と言われるものの増加は、明らかに妊産婦の高齢化に依存していると言われております。そこにデータでありますように、ではどういう内訳になっているかということですが、一番多いのは子宮疾患、これは子宮内膜症ですとか、不妊の原因にもなるような疾患が非常に多いということかと思います。
また、下にありますように、呼吸器、糖尿病、精神疾患、甲状腺疾患が出ております。これは学会のデータベースをもとに一部資料を改編してつけているのですが、では、全体を見たときに、偶発合併症も妊娠合併症も含めて合併症で何が一番多いのかと言いますと、まさにここに資料がありますが、妊娠高血圧、妊娠糖尿病という、これは妊娠に伴って出てくるものですが、それ以外で見ますと、呼吸器、甲状腺、精神疾患といったものが保有率として挙げられております。
周産期についてはそこにありますように、基本的には医療体制の整備として縦軸に分娩のリスク、横軸に時間の流れと見ていただきますと、基本的に一番下にありますが、多くの方は低リスク分娩でございますので、低リスク分娩を扱う医療機関、一般の病院、診療所、助産所で出産をされます。ただ、どうしてもリスクが高くなりますと、母体・新生児の搬送、オープンシステム等による連携という形で地域の周産期母子医療センターのほうに送られる。また、その中でもどうしても手当てが難しい場合には、総合周産期母子医療センターで手当てをされるような医療体制が、各地域で組まれてございます。
通常の分娩を含めて「産婦人科を標榜する医療機関数と分娩取り扱い実績医療機関の推移」でございますが、やはり出生数が今94万人ぐらいとなっておりますので、分娩を取り扱う診療所も相当に減ってきております。また、病院についても減ってきている状況でございます。
次の51コマ目でございます。病院内で助産師さんが中心になって出産を取り扱う院内助産の開設を進めているところです。今、増加傾向にありまして、施設数としては上の図にありますように、病院プラス診療所で合わせますと9.4%までふえてきている状況でございますが、都道府県別では非常に差がある状況でございます。
周産期の母子医療センターと、先ほど御説明させていただきましたハイリスクを扱う総合周産期母子医療センター、また、リスクのある程度高い方を扱う地域周産期母子医療センターが、それぞれ108箇所と298箇所整備をされてございます。これの推移を見ていきますと、ほぼ全都道府県に配置をされて、今、周産期の医療体制としては整ってきているところでございます。
次に診療報酬上は、通常の分娩自身は保険の対象となっておりませんけれども、ハイリスクの妊婦の方の分娩に関しては、ハイリスク妊娠管理加算ですとか、ハイリスク分娩管理加算という形で保険診療でしっかり手当てをしてきているのが、これまででございます。その届出医療機関数及び算定回数を見ていただきますと、ほぼ横ばいです。ただ、これは全体としては出生数が減っている中で横ばいと御理解いただければと思います。
それから、では、どういう合併症を持っていて、それに対応できるような状況になっているのかということで55コマ目でございます。これは周産期母子医療センターでどういう合併症に対応できるのかをまとめた図になります。脳血管障害、急性心疾患、妊娠中の外傷、それから、妊産婦の危機的産科出血、DIC、敗血症などに関しては、対応できる施設がかなり充実してきているということですが、最後のところに見られます精神疾患については、まだまだその対応についての割合が低く、充実していない状況がわかるかと思います。こういうところは、妊産婦周産期の医療体制としてのデータとして整理をさせていただいたところでございます。
次に、妊婦の歯科疾患でございますが、妊娠中の歯科の疾患としてはよく見られるもので、妊娠性の歯肉炎が特徴的にあると聞いております。ただ「妊婦に関する歯科治療」にまとめてありますように、原則的に妊娠のどの時期でも歯科治療自身はできますが、リスクを考えると、妊娠5カ月から7カ月の安定した時期がいいとされております。ただ、どうしても麻酔等についてありますので、局所麻酔でエックス線撮影も必要最小限に限った形でやる。また、薬物投与もありますので、非常に配慮を要することでございます。
また、妊娠後期になりますと、血流を圧迫しますので、診療時の体位にも配慮した形で診察されていると聞いているところでございます。
次に「妊産婦と薬について」でございます。
58コマ目でございますが、これは「妊娠と薬情報センター」でございます。これは厚生労働省の医薬局の事業で実施を行われているものでございます。国立成育医療研究センターに、これはカナダのトロント大学病院との連携をしまして、妊娠と薬に関する海外の研究レポート、臨床研究ですとか、試験等の情報を集めて、それを解析して情報を提供しているものでございます。
通常は薬についてきます添付文書の中に妊娠ですとか、禁忌情報はついておりますけれども、日本のお薬の約9割は妊娠している方への安全性は確認しておりませんというような文章になっておりまして、要するに、本当にその薬を飲まなければいけないといった場合に、どのように相談すればいいのかが、なかなか添付文書だけではわからない状況になっていることで、この妊娠と薬の情報センターでは、それにもう少し突っ込んだ情報でありまして、どこでどういうことがあって何%にどういう問題が起きているとか、そういうところまでの情報を整理して提供をしていくものと聞いております。
「妊娠と薬情報センターでの相談」に関しては、そこの流れのところを見ていただきますと、主治医、または妊娠と薬の外来で相談する形になっておりまして、患者から相談への回答書を妊娠と薬情報センターが作成することをしています。患者さんが問診票に記入して、主治医が相談依頼書を記入して、患者が書類を妊娠と薬情報センターに送付する。それの回答書を作成して、主治医のところに送付し、主治医が患者さんにその相談内容等を説明していくような流れになっていることで、年間2,000件ほどの相談が寄せられていると伺っております。
どういうお薬の相談が多いのかというところで、そこにありますが、一番多いのが精神神経系のお薬です。そして、かぜ・感冒関係、アレルギー、感染症、消化器、てんかんといったお薬が多いと聞いております。
このような相談対応をされているということでございます。
診療報酬上の対応としては、今までリスクの高い妊娠管理に関する診療報酬上の評価の変遷というような形でしてきたと、30年には入院の評価に加えて、63コマ目ですが、今度は外来の評価をしてきた経緯があります。
最後に68コマ目を見ていただきますと「周産期に関する課題と論点」で、これらをまとめさせていただいております。初産の年齢の高齢化や、産婦の高齢化を背景に基礎疾患や精神疾患を持つ妊婦が増加している現状にございます。これに伴って、ハイリスクの妊婦への対応がさらに求められている状況です。
この間、周産期の医療提供体制の構築に当たっては、周産期母子医療センターの整備、また、診療報酬においては、ハイリスク妊婦の診療に係る加算等を行って対応してきたということでございます。
妊産婦に対する歯科健診は、今回資料が落ちておりますのでホームページ上で足させていただきますが、歯科健診に関しても実は全国で実施されておりまして、約33%の自治体で妊婦に対する歯科健診が実施されていると聞いております。こういうものや薬の相談、そういう保健サービスもありますけれども、妊婦を取り巻く健康上の不安、問題への対応について、このような保健サービスとの連携等の取り組みが進められてございます。
さらに30年度の診療報酬改定では、産後の乳腺炎等、包括的なケアを要する場面への対応を進めてきたということでございます。また、これは妊婦加算も含めて妊産婦本人にとっても納得の得られる医療提供のあり方が求められている現状にあるかと考えております。
論点としては、周産期における評価はこれまで入院医療を中心とした提供体制の評価、ハイリスクの妊婦への評価を重点的に行ってきておりますが、主に外来医療での対応が中心となります基礎疾患を持つ妊婦についての支援をどうしていくのか。
また、その他、妊婦を取り巻く環境の変化を踏まえて、どのような取り組みが必要となるのかについて、御議論いただければということで、事務局で論点を整理させていただいているところでございます。
資料につきましては、以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
では、ただいまの説明のうち、前半部分の乳幼児、それから学童・思春期について、何か御質問等ございましたら、お願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
我が国における急速な少子化は非常に大きな社会問題であることは、皆さん異論がないところだと思いますけれども、そういった中で未来を担う子供の健やかな成長を社会全体で支援することが、少子化対策を一層強化するのだと思っております。昨年成立した成育基本法の制定は大きな一歩だと思っています。そういった面で課題を見ていきますと、大きな問題は乳幼児期から学童・思春期に関しては、やはり予防と早期治療・早期発見だけではなくて、継続的に早くから介入していく視点が一番大事かなと思って見ておりました。
そういった意味で見ていくと、11コマ目にある予防接種は非常に重要になりますし、ここにあるHibと肺炎球菌は、この予防接種によって98%患者さんが減りました。個人防御から集団防御に変わってきていると思います。また、14コマ目ではNICUの病床数の推移が出ていますけれども、ここで管理料の1から2にシフトしているのは、やはり人的な問題が非常に大きいかなと思います。やはり新生児科医が非常に少ないことが大きな要因になっているかなと思いますので、NICUが充実していなければ、その地域でのお産は非常に難しくなりますので、ここのところをぜひ考えていく必要があると思います。
17~18コマ目にはアレルギー疾患のことが書いてありますが、ここも学童期、あるいはその前の幼稚園、保育園児に対する早期介入という意味では、やはり学校、保育園等の連携が必要になってくるので、アレルギー対策基本法もできましたし、アレルギー疾患に対する生活管理指導表をより充実させて、これを評価していくことがやはり大切ではないかなと思います。食物アレルギー等で不幸な例がまだ起きておりますので、それに対してはしっかりと見ていく必要があると思います。
それから、20コマ目の精神疾患でございますけれども、やはりこれは疾患概念が大きく変わってきていると先ほど御説明がありました。ADHDとか自閉症の患者さんを誰が診ていくのかということは、やはり大きな問題だと思いますし、乳児検診等を利用してこれも早期に介入していく、しっかり診ていくことが必要だと改めて思いました。
25コマ目には医療的ケア児の問題が出ておりますけれども、難病とか医療的ケア児の方が学校に入った後で、これをどうやってしっかりと支援していくのかという視点は非常に大事なことであって、訪問看護ステーション等がしっかり頑張っていただいているとは思いますけれども、それだけではやはり足りなくて、在宅医、あるいは小児科の先生方により支援をしていく視点でしっかりとそれを支えていく診療報酬上の手当ては、まだ十分とは言えないので、そこを考えていくべきだと強く思いました。
特に今回、38コマ目にあるような訪問看護情報提供療養費の2が新設されましたけれども、やはり主治医から学校や、学校に対する情報提供という意味での視点はまだ欠けているので、そこを充実させていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございますか。
遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員
歯科のほうは、28~33のところにスライドで載っておりますけれども、先ほど説明があったようにう蝕の数は減少して改善されているわけですけれども、レベルから言うと、ようやく先進国のレベルに追いついてきたかなというあたりでありまして、さらなる努力が必要だと考えております。
学校歯科医の立場から言うと、特にう蝕のない子供がふえている一方で、口腔崩壊と言われるような多数歯う蝕の子供が一定数おります。これは健康格差の2極化が見られることが問題であろうと思っております。これらのことは30年度の改定の中で導入された口腔機能発達不全の考え方の中にも一部含まれておりますが、う蝕とともに健康な口腔機能の獲得も課題となっておりますので、学校保健と連携した対応が必要であろうと思っております。
さらに要望ですけれども、これは文科省の管轄になるかもしれないのですけれども、学校健診後の受診状況のデータ等が示されるのであれば、今後提示していただければなと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
吉森委員、お願いいたします
○吉森委員
ありがとうございます。
皆さんいろいろ御意見をおっしゃっていただいているのですが、最初にそもそも論で申しわけないのですが、前回2020年の診療報酬改定に向けて検討項目の進め方の整理ということで今回参考1につけていただいておりますとおり、年代別に各テーマをそのとき挙げていただいた。そのテーマに結局、報酬の項目にとらわれずに議論しましょうということで本日の第1回目の提示になっていると理解はしているのです。
まずはこの乳幼児期、学童・思春期における課題の整理、これは前回の参考1の(1)の議論のアとイにございますけれども、その中でアは周産期等中心、幼児期なのですが、イのほうは学童期・思春期についてのテーマが3つ挙がっているわけです。その2つ目、3つ目の小学生期以降におけるかかりつけ医機能のあり方、思春期におけるメンタルヘルス対策、この辺のテーマと本日の提示されている論点が、私としては絞り込みがやや甘いのか、どのように議論を進めるのかというので違和感を覚えているところであります。
今日提示いただいた各資料・データがやや総花的で、私は特に小学生以降のかかりつけ医、並びに思春期におけるメンタルヘルス対策は非常に重要な課題ではないかと思っておりますので、今日のテーマになっております小児期から成人への移行期医療での継続介入・管理においては本当に重要な課題ではないかと思いますが、本日の資料ではこのテーマが論点になっていないと感じているのです。この辺は事務局としてどのようにお考えでしょう。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○森光医療課長
私のほうから露骨に話をするのはちょっとどうかと思いましたので、少し迂遠な資料になっているかとは思いますけれども、例えば18コマ目の資料を見ていただきますと、受診の理由があるかと思います。かかりつけ医機能としては、いわゆるいろいろな疾患があったとしてもちゃんと相談ができるとか、継続的に管理ができるとか、そういう部分、また、必要があれば専門医を紹介できるとか、そういうところを特に求められている部分があるかと思います。特にプラス小児期においては、お子さんのいわゆる環境の整備として、親御さんへの対応であったり、環境の整備をきちんとアドバイスしてあげるところが入ってくるのかなと思います。
そうしたときに、継続的に管理が必要なお子さんが、要するに分量として、どのようなメジャーな集団としていらっしゃるのかを、例えばこの18のところから見ますと、色でいくとアレルギーという形でアトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎という形で出ております。
ただ、これはアレルギーマーチということで御説明をさせていただきましたように、もともとのものはいわゆる1つの病態の中から特に症状として出てくるものでございまして、先ほどちょっとデュピルマブで出てきましたように、アトピー性皮膚炎を持っている患者さんにすれば、結構な割合で喘息を持っていらっしゃるとか、そういうような形でいわゆる1人のお子さんとして見たときには、幾つかの疾患をお持ちだというような状況でございます。そういうものを背景に、小児かかりつけ診療料がこれまでに設定されてきたというのがあります。
ただ、いわゆる未就学児に対してはそういうものがございますが、それ以外のものについては、診療報酬上の評価としては設定されているものがございません。では、ほかにかかりつけ機能なり継続的管理・指導とか、そういうものが必要な疾患という分類、また、そのあり方としてはどういうものが必要なのかを、例えばこの受療行動のところで1つあるのかなと。
特に近年顕著になっているのが、要するにデータとして見て、私どもとして驚くほど出てきているのが心の問題を抱えるお子さんが非常に多いところで、ここに関しては、来られた方に関して相談に乗るとか、精神科的な薬を投薬するところの評価はございますけれども、それ以上の部分については、評価の点数ですとか、手厚いことに関しての評価は実はございません。そういうものもございます。また、この中で見てそういう視点もあるかと思います。そういう視点でこの資料を少しまとめさせていただいたところでございます。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
お考えはよくわかりましたけれども、やはり総花的にやるのではなくて、秋以降、第2ラウンドできちんと次の診療報酬に向けて議論をしていかないといけないので、やはりテーマをわざわざお絞りになっているわけですし、やはりどのように整理して、我々はここで議論していくかということをすべきだと考えます。
各論的に言えば、40ページの現状の3番目の○にありますように、小児期の疾患特性において、継続的な介入及び本人の成長や周囲の環境変化などに適切に対応することが重要であることは、先ほどの7ページの受診理由等の年齢別であるとか、17ページに例示いただいていますアレルギーマーチの進行予防には、早期からの継続的な介入及び管理が重要とされています。
また、21ページの小児の精神疾患などの評価の推移を見ても、年齢が上がるにつれて通院・在宅での小児医療の算定回数が上昇している。このようなことから言えば、継続的な管理介入の必要性は見てとれると思います。
22ページにございますが、日本小児学会の移行期の患者に関するワーキング・グループの小児期発症患者を擁する患者の移行期医療に関する提言の背景にあるような現状も勘案しますと、その下で課題を提示されております問題点・課題は移行期に向けた患者教育、小児科医と成人医療、医師の連携については、やはりここでおっしゃっている質の高い医療を確保する適切な医療のあり方に資するような評価体系を2020年度の改定に向けてどう構築していくかを議論すべきだと思っています。
そういう意味では、この小学生期以降のかかりつけ医療のあり方や、思春期におけるメンタルヘルス対策について継続的な管理が必要な患者、継続介入のための連携体制という課題に絞り込んでエビデンスデータも御提示いただきながら論点整理し、具体的に実効性ある議論を進めるべきだと思います。
以上です。
○田辺会長
安部委員、お願いいたします。
○安部委員
その1で余り細かいことは言いたくないのですが、資料について確認とお願いがあります。20ページで精神疾患患者数という患者調査ですが、平成23年から26年の間で大きな伸び、緑のところのその他の精神及び行動の障害、ADHD等が入っているという御説明でありましたけれども、ここが大きく伸びているところにつきましては、治療薬であるメチルフェニデートやアトモキセチンが平成23年に18歳以上の継続患者に適用拡大になっていると思います。
また、その2年後には、継続以外の18歳以上でも適用ができるように年齢層が拡大しております。小児の疾患についての議論であれば、そこの適用拡大の影響が、この緑のところがふえたところにどういう影響をしているのかが若干気になるところであります。そういった意味では、もしデータとして18歳未満のデータがあれば、より正確な動向が見えるのではないかと思いますので、意見として申し上げておきたいと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
前回、論点を絞ってというお話で、絞っていただいたのですけれども、それでも本当に多岐にわたる、それだけ課題が多いということだと思いますけれども、いろいろ挙がると必ずしも中医協の診療報酬の議論ではないのかなと思いつつも、いろいろなことをお聞きしたくなってしまうのが現状であります。
まず一点、17枚目のアレルギーマーチの話です。私の理解が間違っているのかどうかわかりませんけれども、これはアレルギー性皮膚炎がスタートではなくて、皮膚の脆弱性、例えば脂漏性湿疹であるとか、そういった最初の皮膚の脆弱性があって、皮膚から感作されてアレルギーが形成されてアレルギー性皮膚炎になるという理解だと思うので、確かに継続的な診療は非常に重要ですけれども、ファーストコンタクトというか、その部分でしっかりと対応していくことが、その後のアレルギー性疾病を減らしていくことにつながるので、そこに対する医療の充実性については、診療報酬のお話なのかなと思いました。
それから、20ページにある精神行動障害がふえていると、これは本当に今の子供たちの健全な成長にとって本当に大きな課題で、今後の日本の将来にもかかわる問題だという意識を持っています。
これはもともとそういう患者さんがふえているのか、診断基準がだんだん明確になっているから急激にふえているのか、原因もしっかりわからないところもあると思うのですけれども、少なくともある一定の年齢については、精神科の先生がごらんになっているということであれば、学校との連携、精神科の診療されている先生と学校の情報共有がきちんとなされているのかどうかだと思うのです。
特に今、子供たちのスマホの使用に対するいろいろな悪影響が言われている中で、今度学校にスマホを持ち込むことを認めるようなことが言われている。つまり、いろいろな政策がばらばらに行われていて、結局連携がしっかりとれていないという問題意識を非常に持っています。ぜひ、精神科の医師と学校との連携を図っていただければと思います。
ここから以降は少しお願いなのですけれども、データをもう少し深めていただいて、議論を深化させる材料にさせていただきたいのです。25ページの医療的ケア児に対する訪問看護ステーションからの学校への情報提供について、これはきょうは出ていなかったので、ぜひ次回以降、本当にこれが機能しているかどうかをお示しいただきたいと思います。
それから、重度の心身障害児は非常にふえているのは私も実感しています。先ほど事業所が物すごい数でふえているということですけれども、これが本当に均てん化されているのかどうかというようなデータがあったら、次回以降お示しをいただきたいと思います。
28ページで、う歯数について、平均的なう歯数が減っているのは間違いないのですけれども、先ほど遠藤先生からお話しがあったように、限られた子供に物すごく多数のう歯を持っている子供がいます。これはある意味ネグレクトの話につながるようなことでして、こういうデータはきちんと、どのぐらいの本数を持っている子がどのようにいるのかという分布をぜひお示しいただければと思っています。
34ページに中枢神経用薬と書いてありますけれども、これが具体的にどんなお薬が使われているのかという中身を次回以降お示しいただければと思います。
44ページで、日本の新生児・乳児の死亡率は、世界に誇る低い数値ですけれども、幼児の死亡率は非常に高いというデータが出ていますので、そのデータについても、次回以降お示しをいただければと思います。
済みません。これはお願いです。
○田辺会長
吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
ありがとうございます。
本日の論点である小児の医療とか外来のあり方についてから、ちょっと意見を申し上げたいと思います。小児の患者は成長発達の段階の途中にあるところから、やはり疾患の管理だけではなくて、発達とか発育の支援、また、学校等のコミュニティーの中で育つことへの支援といった、ちょっと成人とは違った視点からでのサポートが非常に求められていると思います。
看護職は病院とか診療所、地域の訪問看護ステーションに勤務するだけではなくて、自治体の保健師であったりですとか、学校での保健教諭、または看護師といったさまざまな場で連携しながら活動していますけれども、今後はやはりここをさらに強めながら、地域で疾患とともに生きる子供たちを支えていくべきだと考えております。
本日示された資料のスライドの37番は、小児の訪問看護の利用者数ですけれども、こちらに示されているようにふえております。そのうち、難病や医療的ケアに該当するお子さんの割合も非常にふえているところから、こういった子供たちが御家族と安心して暮らせるために、やはり小児とか重症者への対応力が高い訪問看護ステーションが地域にあることが必要不可欠ですので、そのような対応力の高い訪問看護ステーションについて、積極的に支援を推進していただきたいと思っております。
また、今の御意見にも出ておりました平成30年度改定で新設されました訪問看護情報提供料の2についてなのですけれども、看護職の連携という視点からでは、非常に重要な取り組みだと考えております。ただ、この算定要件が入院時とか転学時のみに限られておりまして、在学中のお子さんに新たな疾患で訪問看護が導入された場合ですとか、新たな医療ケアが始まった場合などは、実際には情報提供はしているのですけれども、算定できないことが、調査のほうからもわかっておりますので、お子さんが長い時間過ごす学校との連携とか、情報共有が非常に重要ですので、今後より柔軟に使えるように改善していただきたいなと考えております。
もう一点、新生児医療に関して、NICUからの退院支援について一言意見を申し上げたいと思います。
新生児医療が非常に進歩しておりまして、小さく生まれた赤ちゃんですとか、障害を合併して生まれた子供たちがふえている状況がありますけれども、急性期を脱した後は地域の中で暮らしていくことになりますので、やはり治療とケアに当たる医療者は出生直後から退院後の生活を見据えてケアに当たっていく必要性があります。
具体的に家族がお家に帰ってからの生活をイメージできるような支援とか指導が非常に重要になってくるのですけれども、実際にNICU等で病院の中で働いている看護師は地域のことを余り知らないですとか、在宅での支援等まで見据えたケアが今できていないところがまだ不十分かなと感じておりますので、そういったところで、この先を見据えた適切な指導ができるような知識ですとか、技術を身につけていくように育成していくことが必要かと思っております。
診療報酬の算定の中でも集中治療室の退院支援に関しても算定ができるようになっているのですけれども、やはり人員配置の面だけではなくて、入退院支援の質を高めるところからも検討をしていただきたいなと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。
吉森委員もおっしゃったように、小児の疾患等について、かなり総花的な形で出ている中で、中医協で今後どういう議論をしていくかということで、もう少し絞る必要があるかなと思います。その中でも各委員からお話が出ていますけれども、特に精神疾患です。心の病がニーズとして非常にふえているのがスライドの20に出ているわけですが、御存知のようにそれを診る小児の精神科のドクターが非常に少ないことがございます。お子さんが小さいうちは小児のかかりつけが診ているわけですが、どこかで恐らく小児の精神科の先生につないでいく必要がありますし、そこでの連携のあり方を評価していくことが必要になろうと思うのです。
先ほども申しましたように、送り先が非常に少ないことに関して、これはいわゆる疾患の診断とか治療とか、その困難さに起因しているのか。それとも、そういうものを研修する施設とか、そういうものの数が足りないことが理由なのか。それとも、診療報酬上のディスインセンティブみたいなものがあるのかどうか。そのあたりを一回また調べていただくと、今後この中医協の場でこのテーマを議論するのにかなり有用な情報になるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。これは要望でございます。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
いろいろなご意見が出ていますが、40ページの論点について、中医協では診療報酬上の対応でどうするかという議論なので、支払い側にとっては非常に難しい論点なのです。
小児の医療のあり方を考えていく上で注意しなければいけないのは、今、日本は少子高齢化が進行して、子育て支援は国家的な戦略となっていることも考えれば、診療報酬における対応に加えて、例えば国の補助金における支援や、障害福祉サービス、自治体の保健サービス等々の連携が必要でありますし、また、発達障害のお子様に対しては、診療報酬上の対応と、自治体による障害福祉サービスの対応などがありますので、診療報酬だけではなく、その他の事業とのめり張りをきちんとやっていくべきだと思います。そのような整理がまず、この論点を論じる前に必要ではないかと思います。
例えば3つ目の論点の継続的な管理が必要な疾患について、日本小児科学会の提言においては、小児期の慢性疾患を擁する患者がより充実した移行期医療を受けるべく、小児期の医療機関と成人期の医療機関の連携ということを提言されているのです。
これを診療報酬に当てはめれば、連携した場合を評価するのではないかと考えてしまうのですが、そういうことを論じる前に、例えば24ページにあるように、国の事業として移行期医療支援体制整備事業がありますので、こういったことを拡充していくことをまず検討すべきだと考えます。小児医療と、次にある周産期も同じ子育てというところで共通点があろうかと思いますが、そういった診療報酬上の対応と、それ以外の対応を区別して議論していくべきだと思います。
○田辺会長
ありがとうございました。
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ありがとうございます。
このように、初めてかなというぐらい小児をまとめてやると、今までよくわからなかったことがいっぱい出てきて、非常に役に立つ議論だなと実は思っております。
先ほどから出ている20歳未満の精神の疾患、特にその他の精神・行動の障害がこんなにふえているのはどういうことなのかというような資料を少しいただきたいと同時に、実はその後の、前の資料にありました40歳ぐらいまでの青年期以降まで、欝病等の精神疾患が一番なのです。これが関連しているのかどうか。小児だけ目を当てるのだけではなくて、今も幸野委員が言われていましたけれども、移行に際して、それがどのように移っていっているのかが非常に重要だと思いますので、こういうことが浮き彫りになったことで、非常にいい資料をつくっていただけたと思っております。
あと、特に今もお話が出ましたけれども、移行期の医療です。例えば内臓疾患で小児で発症したのを大人のほうにつないでいくのはすごくわかるのですけれども、では、重度の身体障害、精神障害を負った方が、それが多分子供のときから主治医がいて、それがかなり大きくなっても、その人がずっと診ているという現状もあって、本当に移行支援がちゃんと充実しているのかどうか。そこら辺の資料も少しつけていただけると、実態がもう少しわかるし、今言われた診療報酬でやるべきなのか、制度としてやるべきなのかというような考え方も整理できるかなと思いますので、その辺の資料をお願いできたらなと思います。よろしくお願いします。
○田辺会長
そろそろ本当は周産期のほうに移りたいのですけれども、平川委員、お願いいたします。
○平川委員
ありがとうございます。
25枚目のスライドの関係で、入退院支援の一層の推進のところと少し関係するのですけれども、児童虐待の関係でかなり病院の役割が重要視されてきています。児相への相談対応件数自体は病院からはそんなにないのですけれども、ただ、病院の場合は医学的な診断とか、さまざまな具体的な対応が必要であり、ほっておけば大変なことになってしまうことから、病院における児童虐待の対応は重要です。この入退院支援の一層の推進の中で、前回、退院困難な場合という課題が加えられているかと思います。
児童虐待については、やはり福祉的な措置なので、ほとんどは一般財源というか診療報酬になじまない部分は大変多いのかなと思いますけれども、やはり病院の体制として、例えば児童虐待に対して、子供に対してスクリーニングを行っているとか、MSWさん中心に児童虐待に対応する院内の体制をつくっていくような課題もあります。もしくは保護者との対応も難しい場面があるかと思います。
先ほど幸野委員がおっしゃったように診療報酬と福祉的な措置は明確に線引きをしつつ、福祉機関との連携を含めた形での課題もあるのではないかなと思っております。
以上です。
○田辺会長
染谷委員、お願いいたします。
○染谷委員
これまでの議論を伺っていて、診療報酬上の対応と、その他の対応に分けて考えたほうがいいというお話が先ほど出ました。実際に自治体では、今、医療サービスがまさに子育て支援の自治体間競争になっていて、子供は高校生まで入院も無料、通院も無料というような形になって、例えば虫に刺されても、薬局に行って薬を買うよりもお医者さんに行ってもらったほうが安い。ただなのです。ですから、本当にお母さん方も頻繁に病院を利用されております。
また、発達障害等の課題も大変多くて、これは医療の分野だけではなくて、それを支援する自治体の発達支援にかかわる予算も、施設も、人員もこの5年間で1.4倍から場合によっては1.6倍ぐらいにふえている現状がありますので、ぜひこの医療報酬のところだけではなく、文科省だとか、そういったところのデータも合わせて連携して考えていかないと、本当にどこまで医療サービスとして提供していくのかというのが自治体の課題になっていますので、そういった論点も入れていただければと思いました。
○田辺会長
ありがとうございます。
田村専門委員、お願いいたします。
○田村専門委員
ありがとうございます。
ただいま、発達障害や虐待のお話が出ておりましたけれども、実は33コマ目の小児の口腔機能管理加算のところで、全てのお子さんがそれに該当するわけではありませんが、例えば発達障害ですと、感覚の過敏性などがありまして、かなり口腔に症状が出ることが多いのです。偏食であったり、かむ力が弱いとか、小食、離乳食が進まないところですごくつまずいて、相談にいらっしゃったりしておりますので、一定数の方がここに入ってくるかと思われます。
また、虐待の話が遠藤委員からも出ましたけれども、う蝕に関しても、外傷に関しても、口腔から発見されることがかなり多いです。口腔機能管理加算に関しては、現在算定数がまだ進んでおりませんが、今後さらに進めていくべきと考えております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
20ページの、先ほどから話題になっている20歳未満の精神疾患の患者数ですけれども、これは先ほどから出ている発達障害の患者さんが多いということですが、この割合からいくと、もはやその他ではないのではないのかなと思うのです。そういう意味では、もうちょっと分類をして分析していくことが大事だと思いますし、それらが全て医療でケアされていくのが必要なのか、教育ですとか、障害、福祉の分野でケアしていくのが必要なのかも分析をしていただけると、やはり何か見えてくるものがあるのではないかなと思いますので、20歳未満でくくるだけではなくて、早期にいろいろ対策をする意味でも、もうちょっと年代を細かく分けていくことが必要なのかなと思います。
受診のほうでも、やはり5歳ぐらいから急に精神ですとか、行動の障害という意味ではふえてくるわけですから、そのあたりでもう少し細かく分析をしていただきたいと思います。
歯科の分野でも予防医療という意味では、歯列ですとか、かみ合わせの診断というかケアが必要だと思うのですけれども、歯列とかかみ合わせのところで重度でないと、医療保険が使えないこともあるように聞いておりますので、そのあたりは予防医療という観点で、もう少し緩和をする必要があるのではないかなと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、後半の周産期のほうに移ってまいりたいと思います。後半の説明の周産期につきまして、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ここの42コマ目に書いてありますけれども、妊婦さんや産婦さんの高齢化を背景にということで、基礎疾患や精神疾患等を持つ妊婦さんが増加し、これに伴ってハイリスクの妊婦さんがふえて、この対応が重要である。これはもう論をまたないところだと思います。したがって、周産期医療の充実につきましては、やはりもう少し支援していく必要があるのではないかなと強く思いました。
また、特に精神疾患の合併で、48コマ目にありますけれども、日本はやはり欧米諸国に比べて、妊婦さん、あるいは産後も含めて非常に自殺が多いです。そこをやはりしっかりと支援していくことがとても重要かなと思っております。また、55コマ目にもありますけれども、精神疾患の対応をされている数が非常に多いことです。
これは一つには、精神疾患を診られる周産期医療センターが非常に少ないのです。特定のところに非常に集中して大変だということも聞いておりますので、この対策はぜひ必要かと思います。
あと、もう一点、64コマ目にありますけれども、このたびの改定で、精神疾患を合併した妊産婦への指導管理に係る評価が行われましたが、ここのところは何が大事かと言うと、今、社会問題になっている子供の虐待に非常につながるところだと思います。先ほど来出ている虐待そのものを診療報酬で評価することはなかなか難しいことだとは思いますけれども、虐待につながるこういったところの部分を診療報酬で診ていくことは可能なことだと思いますので、ぜひ、ここの精神疾患を合併した妊産婦さんへの指導管理につきましては、さらに進めていくべきだと思っております。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員
周産期に関しまして、歯科の立場で言えば、ライフステージに応じた口腔健康管理は乳幼児から始まるわけですけれども、実は乳幼児の口腔環境は、母親からの影響を強く受けやすくなっております。まず、2歳時ぐらいまでによい口腔環境が確保できていれば、その後も良好な経過をたどりやすいようなことも言われておりますので、母親の口腔の健康や教育は大変重要であろうと思っております。周産期前から、母から子へ世代をつなぐライフコース・アプローチの考え方を踏まえた口腔健康管理は重要であろうと思いますので、周産期における取り組みの検討が必要であろうと思っております。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございます。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
論点についてですが、1つ目の論点はまさに平成30年度改定で新設された妊婦加算もその対応の1つだと考えておりますが、残念ながら、この妊婦加算は患者の視点が欠けていたことが凍結に至った大きな要因でしたので、これは学習しなければいけないと思います。妊婦さんを診察すれば自動的に加算されるこの制度が世間の批判を浴びたことは重く受けとめなければいけないと思っています。今後、基礎疾患を持つ妊産婦の支援に対し、何らかの形で評価を行うにしても、患者が納得して、対価を支払う制度としていくことを一番に考えていかなければいけないと思います。
あと、2点目の論点で、出産の高齢化によりリスクのある妊産婦が増加しているということですが、それでも安心して出産できる医療提供体制や、妊産婦の相談支援のあり方を整えることは、先ほども申し上げましたように、子育て支援という国家的な施策であることを考えれば、診療報酬上で対応することもしかりですが、何らかの国の補助金等で消費増税も子育て支援に使われますので、国の補助金等も踏まえて、診療報酬上の対応だけでなく、そういったことも観点に入れていく必要があると思います。
2つ目の論点については、「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」において、診療報酬とそれ以外の対応も含めて検討され、6月頃に取りまとめられると聞いておりますので、この検討結果を踏まえた段階で、もう一度議論して、この部分は診療報酬で対応する、それ以外の部分は、国の補助金や、地域の支援サービスを活用するといっためり張りをつけた議論をしていくべきではないかと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
吉川専門委員、お願いいたします。
○吉川専門委員
周産期に関しまして2点です。医療体制として助産師を外来で活用してほしいことと、ハイリスク妊産婦への支援について述べたいと思います。妊産婦に関しましては、46枚目のスライドにありますように、ちょっとしたトラブルというか不安でも非常に心配になりまして、外来でも助産師ですとか看護師のほうに相談をし、それで解決されている事例が多くあるかと思います。
特に助産師に関しましては、妊婦さんにとって非常に身近な専門職でありますし、医療とか生活両方の視点を持って対応することができる特徴があるところから、今後、やはり外来で助産師をもっと積極的に活用していただきたいと思います。それによって、産前から育児期まで切れ目なく支援を継続することができ、スムーズに育児がスタートでき、また、支援されるところから、産後の鬱の防止、また、それに伴う子供への虐待の予防という観点からも非常に有効かと考えております。
今のスライドの資料にもいろいろありますように、ハイリスク妊婦がふえておりまして、分娩取り扱い機関も非常に減少していく中で、産科医の負担が非常に増加していることも別途働き方のところで出てくるかと思うのですけれども、あるかと思います。そういった負担軽減も含めまして、ハイリスク妊産婦への医療サービス確保のためにも、産科外来に必ず助産師を配置するところが今後有効だと考えておりますので、そのようなことも検討していただきたいなと考えております。
それから、外来での妊婦に関する支援についてなのですけれども、48枚目の資料にもありますように、合併症を有する妊婦さんが非常に多くなっている現状があるかと思います。それに対しても助産師の活用は非常に有効であるのですけれども、特に精神疾患をお持ちの妊婦さんですとか、出産後の子供の養育について、不安が非常に強い妊婦さんについては、自治体との連携ですとか、産前からの育児サポートができるような体制が必要で、今、整えられているかと思いますし、平成30年度の診療報酬改定のところで、ハイリスク妊産婦連携指導料として評価されたことは非常に大きなことだったと思います。
ただ、ハイリスク妊産婦指導料の対象が精神疾患の患者さんに限られている点から、これはこれで非常に有効であるのですけれども、特に今後、合併症の有病率が高い妊婦の糖尿病に関しては、きちんと産後もフォローされていないと成人病への移行の危険がありますので、ぜひそちらのほうにも拡大できるように検討していただきたいなと考えております。
以上です。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
この周産期に関しても、先ほど申し上げたように2020年度の診療報酬改定に向けた検討項目の参考1の1のアにあるテーマと、前回改定した報酬上の課題を整理して、ここに書かれていますように環境変化等に応じて診療報酬上で何ができるかという議論を深めていく手順が必要なのだろうと思っています。そういう意味では課題の洗い出しで総花的にいろいろ議論するのはいいのですが、時間的にやはり次の第2ラウンドに行くためのステップとしては、もう少しテーマを絞り込む必要があるのではないかと思っていますし、具体的には68コマ目に論点として2つ挙げられております。
やはり周産期の医療提供体制の構築については、近年の産婦の高齢化、社会環境の変化などの妊婦さんを取り巻く環境変化を踏まえて周産期医療の充実を図ってきた経緯で、30年度改定では1つは妊婦加算と呼ばれる外来診療における評価を設けたわけであります。
妊娠の継続、胎児に配慮した適切な医療を評価する観点での背景で新設されたのは理解できますが、妊婦さん本人の納得が得られたことがやはり課題になって、凍結になったという理解はしております。基本的には考え方、方向性については間違ってないと思っていますが、やはり医療提供サイドの安心できる医療体制の充実、この思いが前面に出て、そのネーミングも含めて、妊産婦が保健等、医療等に関してどのような取り組みを求めるかという、そのニーズがどこにあるかという妊婦さん、患者サイドの思いの視点が欠けていたのは皆さん反省したということで理解しております。
今回こういうことで、1、2などを課題として論点整理していくには、今進められている検討会での包括した議論の論点整理を踏まえて、中医協で議論すべき課題、動向、データ、調査の中身等々を踏まえて、ここで議論していく。医療提供側、妊婦さん側両サイドの視点を持ってしっかりと議論していくことが必要なのだろうと思っていますので、次回においてはその辺も踏まえて、論点整理をしていただければと思います。
○田辺会長
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
妊産婦の診療につきましては、妊産婦に対する保険医療提供体制のあり方に関する検討会で検討がなされておりますので、その報告を踏まえて、中医協で今議論されている妊婦加算を含めた妊産婦に対する診療報酬上の評価のあり方について、再度審議する方向だろうと思います。また、妊婦加算のことにつきましては、今、吉森委員がおっしゃったとおり、中医協でも議論をされて、方向性としては間違ってなかったと私も理解をしております。ただ、我々医師としても、妊婦さんの状態に応じて一定の配慮をするのは当然であって、その点は今後も継続されるべきことであると思います。
ただ、一方で医療技術の評価は診療報酬で対応するしかなく、その恩恵を受けた患者さんは一定の自己負担をする制度となっております。サービスの受け手である患者さんの自己負担も増加することは避けては通れないことだと思います。
また一方で、患者さんの自己負担につきましては、社会保障制度全体でやはり議論されるべきものであると思います。中医協での議論は今後も医療技術をどのように診療報酬によって適正に評価するかという観点で行うべきだと思っております。
以上です。
○田辺会長
安部委員、お願いいたします。
○安部委員
妊産婦と薬についてでありますけれども、森光課長からも添付文書に妊娠と薬に関する情報については約9割が不明確、情報として載っていない現状がありますので、資料でお示しいただきました妊娠と薬情報センターというような施設ができることは現場にとっても心強い限りであります。我々が実際に患者さんや顧客から妊娠と薬について相談を受けたときには、薬局で情報提供など踏まえて答えることもありますし、妊娠と薬情報センター、東京ですと国立医療研究センターに電話をしたり、相談内容をつないだりしているわけであります。
きょうの資料を見せていただきますと、年間約2,000件という相談になっていますが、これについては必ずしも十分に相談が受けられている状況になっていないのではないかという懸念もあります。この点は、地域で気軽に相談できる薬局等が窓口になって、しっかり妊娠と薬情報センター等につなぐ。もしくは主治医と連携をしながら、こういった相談に対応していくことが必要かと思います。これは直接報酬上の議論とは関係ないかもしれませんが、そういったところをしっかり充実していって、妊娠をしている方が安全に薬物治療を受ける。もしくは薬の使用の可否について確認する体制整備にしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。
以上であります。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
ちょっと細かい個別のことですけれども、49ページのところに「主に低リスク分娩を扱う医療機関」という書き方がされています。これは低リスクの妊娠の人が、結果的に正常分娩につながることが多いのは間違いないと思うのですけれども、いわゆる結果的に正常分娩になっているだけで、低リスクの妊娠であってもいろいろな事故というか、そういうことは妊娠で起こるわけです。結果的に異常分娩になることもあると思います。
51ページのところの分娩取り扱い施設における院内助産は、ある意味すごく大事だと思っていて、例えば先ほどもちょっと話がありましたけれども、今は本当に働き方改革の中で産科医の過重労働、長時間労働が言われている中で、やはり助産師がかかわることも大事だし、また、低リスクの妊娠で正常分娩になると思っていても異常が突然起これば、やはりきっちりと産科医がすぐにそこに立ち会えることが重要だと思っております。
そういう視点で見ると、51ページの都道府県における院内助産の分布が物すごく差があることと、まだまだ率が少ない。何が原因でこういう院内助産が進まないのかが、ちょっと私はわからなくて、そもそも助産師さんは十分な数がいないのか、いるのだけれども、診療報酬のバックアップが少ないために雇用することができないのか。そこがわからないので、ぜひ次回以降もその視点で、やはりもしそういう方をたくさん雇用するのであれば財源が必要になるわけで、当然のことながら診療報酬で手当てをすることを考えていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
活発な御議論、ありがとうございました。では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。なお、次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次回の日程につきましてはよろしくお願いしますということで、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうも御参集ありがとうございました。
○古元医療企画官
ありがとうございました。
それでは、準備が整いましたら、保険医療材料専門部会を開始させていただきます。
皆様、必要でしたら少し休憩をとっていただきまして、準備が整いましたら、開始したいと思います。よろしくお願いします。
 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第412回議事録(2019年4月10日)

ページの先頭へ戻る