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遺伝子治療臨床研究に関する指針
遺伝子治療臨床研究に関する指針
平成14年3月27日
(平成16年12月28日全部改正)
(平成20年12月1日一部改正)
文部科学省
厚生労働省
目次
第 |
一 目的
この指針は、遺伝子治療の臨床研究(以下「遺伝子治療臨床研究」という。)に関し遵守すべき事項を定め、もって遺伝子治療臨床研究の医療上の有用性及び倫理性を確保し、社会に開かれた形での適正な実施を図ることを目的とする。 |
一 |
この指針において「遺伝子治療」とは、疾病の治療を目的として遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること及び二に定める遺伝子標識をいう。 |
二 |
この指針において「遺伝子標識」とは、疾病の治療法の開発を目的として標識となる遺伝子又は標識となる遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与することをいう。 |
三 |
この指針において「研究者」とは、遺伝子治療臨床研究を実施する者をいう。 |
四 |
この指針において「総括責任者」とは、遺伝子治療臨床研究を実施する研究者に必要な指示を行うほか、遺伝子治療臨床研究を総括する立場にある研究者をいう。 |
五 |
この指針において「実施施設」とは、遺伝子治療臨床研究が実施される施設をいう。 |
六 |
この指針において「研究を行う機関」とは、実施施設を有する法人及び行政機関(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)第2条に規定する行政機関をいう。)などの事業者及び組織をいう。 |
七 |
この指針において「研究を行う機関の長」とは、研究を行う機関に該当する法人の代表者及び行政機関の長などの事業者及び組織の代表者をいう。 |
八 |
この指針において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。 |
九 |
この指針において「保有する個人情報」とは、研究を行う機関の長、総括責任者又は研究者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人情報であって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして次に掲げるもの又は6月以内に消去することとなるもの以外をいう。 |
1 |
当該保有する個人情報の存否が明らかになることにより、被験者又は第三者の生命、身体又は財産に危害が及ぶおそれがあるもの |
2 |
当該保有する個人情報の存否が明らかになることにより、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがあるもの |
3 |
当該保有する個人情報の存否が明らかになることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの |
4 |
当該保有する個人情報が明らかになることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が及ぶおそれがあるもの |
一 |
遺伝子治療臨床研究(遺伝子標識の臨床研究(以下「遺伝子標識臨床研究」という。)を除く。以下この第三で同じ。)の対象は、次のすべての要件に適合するものに限る。 |
1 |
重篤な遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症候群その他の生命を脅かす疾患又は身体の機能を著しく損なう疾患であること。 |
2 |
遺伝子治療臨床研究による治療効果が、現在可能な他の方法と比較して優れていることが十分に予測されるものであること。 |
3 |
被験者にとって遺伝子治療臨床研究により得られる利益が、不利益を上回ることが十分予測されるものであること。 |
二 |
遺伝子標識臨床研究の対象は、次のすべての要件に適合するものに限る。 |
1 |
重篤な遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症候群その他の生命を脅かす疾患又は身体の機能を著しく損なう疾患であること。 |
2 |
遺伝子標識臨床研究により得られる医学的知見が、他の方法により得られるものと比較して優れていることが十分に予測されるものであること。 |
3 |
遺伝子標識臨床研究が、被験者に対し実施される治療に組み入れて実施できるものであること。 |
第 |
四 有効性及び安全性
遺伝子治療臨床研究は、有効かつ安全なものであることが十分な科学的知見に基づき予測されるものに限る。 |
第 |
五 品質等の確認
遺伝子治療臨床研究に使用される遺伝子その他の人に投与される物質については、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)第17条第1項において求められる水準に達している施設において製造され、その品質、有効性及び安全性が確認されているものに限る。 |
第 |
六 生殖細胞等の遺伝的改変の禁止
人の生殖細胞又は胚(一の細胞又は細胞群であって、そのまま人又は動物の胎内において発生の過程を経ることにより一の個体に成長する可能性のあるもののうち、胎盤の形成を開始する前のものをいう。以下同じ。)の遺伝的改変を目的とした遺伝子治療臨床研究及び人の生殖細胞又は胚の遺伝的改変をもたらすおそれのある遺伝子治療臨床研究は、行ってはならない。 |
第 |
七 適切な説明に基づく被験者の同意の確保
遺伝子治療臨床研究は、適切な説明に基づく被験者の同意(インフォームド・コンセント)が確実に確保されて実施されなければならない。 |
第 |
八 公衆衛生上の安全の確保
遺伝子治療臨床研究は、公衆衛生上の安全が十分確保されて実施されなければならない。 |
第 |
一 被験者の選定
被験者の選定に当たっては、人権保護の観点から、病状、年齢、同意能力等を考慮し、慎重に検討しなければならない。 |
一 |
総括責任者又は総括責任者の指示を受けた医師である研究者(以下「総括責任者等」という。)は、遺伝子治療臨床研究の実施に際し、第三に掲げる説明事項を被験者に説明し、文書により自由意思による同意を得なければならない。 |
二 |
同意能力を欠く等被験者本人の同意を得ることが困難であるが、遺伝子治療臨床研究を実施することが被験者にとって有用であることが十分に予測される場合には、審査委員会の審査を受けた上で、当該被験者の法定代理人等被験者の意思及び利益を代弁できると考えられる者(以下「代諾者」という。)の文書による同意を得るものとする。この場合においては、当該同意に関する記録及び同意者と当該被験者の関係を示す記録を残さなければならない。 |
第 |
三 被験者に対する説明事項
総括責任者等は、第二の同意を得るに当たり次のすべての事項を被験者(第二の二に該当する場合にあっては、代諾者)に対し十分な理解が得られるよう可能な限り平易な用語を用いて説明しなければならない。 |
一 |
遺伝子治療臨床研究の目的、意義及び方法 |
二 |
遺伝子治療臨床研究を実施する機関名 |
三 |
遺伝子治療臨床研究により予期される効果及び危険 |
四 |
他の治療法の有無、内容並びに当該治療法により予期される効果及び危険 |
五 |
被験者が遺伝子治療臨床研究の実施に同意しない場合であっても何ら不利益を受けることはないこと。 |
六 |
被験者が遺伝子治療臨床研究の実施に同意した場合であっても随時これを撤回できること。 |
七 |
個人情報保護に関し必要な事項 |
八 |
その他被験者の人権の保護に関し必要な事項 |
|
<個人情報保護に関し必要な事項に関する細則>
個人情報保護に関し必要な事項には、次に掲げる事項が含まれる。 |
一 |
共同研究を行う場合は、(1)共同研究であること、(2)共同して利用される個人情報の項目、(3)共同して利用する者の範囲、(4)利用する者の利用目的及び(5)当該個人情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称 |
二 |
個人情報を第三者(代諾者を除く。)へ提供する可能性があり、第六章第九の一の1から4に掲げる事項に該当しない場合には、当該内容(第三者へ提供される個人情報の項目など) |
三 |
第六章第十の三、第十一の一、第十二の一又は第十三の一若しくは二の規定による求めに応じる手続(第十六の規定により手数料の額を定めたときはその手数料の額を含む) |
四 |
個人情報等の取扱に関する苦情の申出先 |
一 |
研究者(総括責任者を除く。)は、総括責任者を補助し遺伝子治療臨床研究の実施計画に関する資料を作成するとともに、当該計画を実施し、総括責任者に対し必要な報告を行わなければならない。 |
二 |
研究者は、遺伝子治療臨床研究を適正に実施するために必要な専門的知識又は臨床経験を有する者とする。 |
一 |
総括責任者は、次の業務を行わなければならない。 |
1 |
遺伝子治療臨床研究の実施に関して内外の入手し得る資料及び情報に基づき、遺伝子治療臨床研究の医療上の有用性及び倫理性について検討すること。 |
2 |
1の検討の結果に基づき、遺伝子治療臨床研究の実施計画を記載した書類(以下「実施計画書」という。)を作成し、実施施設の長の了承を求めること。 |
3 |
遺伝子治療臨床研究を総括し、研究者に必要な指示を行うこと。 |
4 |
遺伝子治療臨床研究が実施計画書に従い適切に実施されていることを随時確認すること。 |
5 |
遺伝子治療臨床研究の進行状況及び結果に関し、実施施設の長及び審査委員会に対し必要な報告を行うこと。 |
6 |
1から5までに定めるもののほか、遺伝子治療臨床研究を総括するに当たって必要となる措置を講ずること。 |
二 |
総括責任者は、一の遺伝子治療臨床研究について一名とし、一に掲げる業務を適確に実施できる者とする。 |
第 |
三 実施施設
実施施設は、次のすべての要件を満たさなければならない。 |
一 |
十分な臨床観察及び検査並びにこれらの結果の分析及び評価を行うことができる人的能力及び施設機能を備えたものであること。 |
二 |
被験者の病状に応じた必要な措置を採ることができる人的能力及び施設機能を備えたものであること。 |
三 |
審査委員会が置かれているものであること。 |
第 |
四 実施施設の長
実施施設の長は、次の業務を行わなければならない。 |
一 |
総括責任者から遺伝子治療臨床研究の実施(当該遺伝子治療臨床研究の重大な変更を含む。第四章第三を除き、以下同じ。)の了承を求められた際に、遺伝子治療臨床研究の実施について審査委員会及び厚生労働大臣に意見を求めるとともに、当該意見に基づき必要な指示を与え、実施を了承すること。 |
二 |
遺伝子治療臨床研究の進行状況及び結果について、総括責任者又は審査委員会から報告又は意見を受け、必要に応じ、総括責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えるとともに厚生労働大臣に対し報告を行うこと。 |
三 |
総括責任者から受理した総括報告書の写しを速やかに厚生労働大臣に提出すること。 |
四 |
被験者の死亡その他遺伝子治療臨床研究の実施に際して生じた重大な事態及び遺伝子治療臨床研究の実施に影響を及ぼすおそれがある情報について、速やかに厚生労働大臣に報告すること。 |
五 |
実施施設が大学、大学共同利用機関又は文部科学大臣が所管する法人であって、法律により直接に設立された法人若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第50号)第42条第2項に規定する特例民法法人(以下「大学等」という。)である場合においては、一から四までに掲げるもののほか、一の規定による意見の求めの写しを文部科学大臣に提出するとともに、二及び四の規定による報告並びに三の規定による提出を文部科学大臣に対しても行うこと。 |
一 |
審査委員会は、次の業務を行わなければならない。 |
1 |
実施計画書等に基づき、当該遺伝子治療臨床研究の実施についてこの指針に即し審査を行い、その適否及び留意事項、改善事項等について、実施施設の長に対し意見を提出するとともに、当該審査の過程の記録を作成し、これを保管すること。 |
2 |
遺伝子治療臨床研究の進行状況及び結果について報告を受け、必要に応じて調査を行い、その留意事項、改善事項等について実施施設の長に対し、意見を提出すること。 |
二 |
審査委員会は、次のすべての要件を満たさなければならない。 |
1 |
審査委員会は、遺伝子治療臨床研究の実施に関する医療上の有用性及び倫理性を総合的に審査できるよう分子生物学、細胞生物学、遺伝学、臨床薬理学、病理学等の専門家、遺伝子治療臨床研究の対象となる疾患に係る臨床医、法律に関する専門家及び生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者を含めて構成されるものであること。 |
2 |
審査委員会は、男性委員及び女性委員双方から構成され、複数の外部委員を含むものとすること。 |
3 |
審査委員会における審査が公正に行われるよう審査委員会の活動の自由及び独立が保障されていること。なお、実施計画書を提出している研究者は、審査委員会の求めに応じてその会議に出席し、説明する場合を除き、当該遺伝子治療臨床研究に関する審査に参加できないものであること。 |
4 |
審査委員会の構成、組織及び運営並びに公開その他遺伝子治療臨床研究の審査に必要な手続に関する規則が定められ、公開されているものであること。 |
5 |
審査委員会による審査の過程は、記録を作成してこれを保管し、個人の情報、研究の独創性及び知的財産権の保護に支障を生じるおそれのある事項を除き公開すること。 |
一 |
総括責任者は、遺伝子治療臨床研究を実施するに当たっては、あらかじめ実施計画書を作成し、実施施設の長の了承を得なければならない。 |
二 |
一の実施計画書には、次の事項を記載しなければならない。 |
1 |
遺伝子治療臨床研究の名称 |
2 |
総括責任者及びその他の研究者の氏名並びに当該遺伝子治療臨床研究において果たす役割 |
3 |
実施施設の名称及びその所在地 |
4 |
遺伝子治療臨床研究の目的 |
5 |
対象疾患及びその選定理由 |
6 |
遺伝子の種類及びその導入方法 |
7 |
安全性についての評価 |
8 |
遺伝子治療臨床研究の実施が可能であると判断した理由 |
9 |
遺伝子治療臨床研究の実施計画 |
10 |
その他必要な事項 |
三 |
一の実施計画書には、次の資料を添付しなければならない。 |
1 |
研究者の略歴及び研究業績 |
2 |
実施施設の施設設備の状況 |
3 |
実施施設における当該遺伝子治療臨床研究に関する培養細胞、実験動物を用いた研究成果 |
4 |
遺伝子治療臨床研究に関連する実施施設以外の内外の研究状況 |
5 |
その他必要な資料 |
四 |
実施計画書には、その概要を可能な限り平易な用語を用いて記載した要旨を添付しなければならない。 |
第 |
二 研究中の手続
総括責任者は、遺伝子治療臨床研究の進行状況を審査委員会及び実施施設の長に随時報告しなければならない。 |
第 |
三 研究の終了の手続
総括責任者は、遺伝子治療臨床研究の終了後直ちに次の事項を記載した総括報告書を作成し、実施施設の長に対し提出しなければならない。 |
一 |
遺伝子治療臨床研究の目的及びその実施期間 |
二 |
総括責任者及びその他の研究者の氏名 |
三 |
実施施設の名称及び所在地 |
四 |
遺伝子治療臨床研究の実施方法 |
五 |
遺伝子治療臨床研究の結果及び考察 |
六 |
その他必要な事項 |
一 |
厚生労働大臣は、実施施設の長の求めに応じ、あらかじめ当該実施施設における遺伝子治療臨床研究の実施に関し意見を述べるものとする。 |
二 |
実施施設の長は、第三章第四の一に基づき厚生労働大臣に対し意見を求めるに当たって、次の書類を提出しなければならない。 |
1 |
実施計画書及び当該実施計画書に添付する資料 |
2 |
審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類 |
3 |
第三章第五の二の4に定める規則 |
三 |
厚生労働大臣は、二に基づき意見を求められた場合において、複数の有識者の意見を踏まえ、当該遺伝子治療臨床研究が次に掲げる事項のいずれかに該当すると判断するときは、当該遺伝子治療臨床研究の医療上の有用性及び倫理性について厚生科学審議会の意見を聴くものとする。 |
1 |
疾病の治療のための遺伝子が組み込まれたDNA又はこれを含むウイルスその他の粒子であって、当該遺伝子を細胞内に導入する際に用いられる新規のもの又は新規の遺伝子投与方法を用いていること。 |
2 |
新規の疾病を対象としていること。 |
3 |
新規の遺伝子治療方法を用いていること(一又は二に該当するものを除く。)。 |
4 |
その他個別の審査を必要とするような事項を含んでいること。 |
四 |
厚生労働大臣は、三の規定による厚生科学審議会からの意見の聴取が必要ないと判断する場合には、意見を求められた日から三十日以内に、当該遺伝子治療臨床研究の実施に関し意見を述べるものとする。 |
第 |
二 重大な事態等に係る厚生労働大臣の意見
厚生労働大臣は、第三章第四の四に基づき実施施設の長から報告を受けた場合には、必要に応じ、遺伝子治療臨床研究に関して意見を述べるものとする。 |
第 |
三 厚生労働大臣の調査等
厚生労働大臣は、第一の一又は第二の意見を述べるときその他必要があると認めるときは、実施施設の長に対し第一の二に定める書類以外の資料の提出を求めるとともに、当該実施施設の長の承諾を得て当該実施施設の調査その他必要な調査を行うものとする。 |
第 |
四 文部科学大臣への連絡
厚生労働大臣は、実施施設が大学等である場合においては、第一の一又は第二の規定による意見を記載した書面の写しを文部科学大臣に送付するものとする。 |
一 |
研究を行う機関の長は、当該研究機関における遺伝子治療臨床研究の実施に際し、個人情報保護が図られるようにしなければならない。 |
二 |
研究を行う機関の長は、個人情報保護に関する措置に関し、適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、総括責任者に対して、監督上必要な命令をすることができる。 |
三 |
研究を行う機関の長は、当該機関により定められる規程により、この章に定める権限又は事務を当該機関内の適当な者に委任することができる。 |
一 |
総括責任者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。 |
二 |
総括責任者は、個人情報の利用の目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。 |
一 |
総括責任者は、あらかじめ被験者又は代諾者(以下「被験者等」という。)の同意を得ないで、第二の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない。 |
二 |
総括責任者は、他の総括責任者から研究を承継することに伴って個人情報を取得した場合に、あらかじめ被験者等の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。 |
三 |
一及び二の規定は、次に掲げる場合であって、審査委員会が承認した場合については、適用しない。 |
1 |
法令に基づく場合 |
2 |
人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、被験者等の同意を得ることが困難であるとき。 |
3 |
公衆衛生の向上のために特に必要がある場合であって、被験者等の同意を得ることが困難であるとき。 |
4 |
国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、被験者等の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。 |
第 |
四 適正な取得
総括責任者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。 |
一 |
総括責任者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、被験者等に通知し、又は公表しなければならない。 |
二 |
総括責任者は、一の規定にかかわらず、被験者等との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該被験者の個人情報を取得する場合その他被験者等から直接書面に記載された当該被験者の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、被験者等に対し、その利用目的を明示しなければならない。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は、この限りでない。 |
三 |
総括責任者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、被験者等に通知し、又は公表しなければならない。 |
四 |
一から三までの規定は、次に掲げる場合であって、審査委員会が承認した場合については、適用しない。
|
1 |
利用目的を被験者等に通知し、又は公表することにより被験者又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合 |
2 |
利用目的を被験者等に通知し、又は公表することにより当該研究を行う機関の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合 |
3 |
国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を被験者等に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。 |
4 |
取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合
|
第 |
六 内容の正確性確保
総括責任者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人情報を正確かつ最新の内容に保つよう努めなければならない。 |
一 |
研究を行う機関の長は、その取り扱う個人情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他個人情報の安全管理のため、組織的、人的、物理的及び技術的安全管理措置を講じなければならない。 |
二 |
研究を行う機関の長は、死者に関する個人情報が死者の人としての尊厳や遺族の感情及び遺伝情報が血縁者と共通していることに鑑み、生存する個人に関する情報と同様に死者に関する個人情報についても安全管理のため、組織的、人的、物理的及び技術的安全管理措置を講じなければならない。 |
|
<安全管理措置に関する細則>
組織的、人的、物理的及び技術的安全管理措置とは、取り扱う情報の性質に応じて、必要かつ適切な措置を求めるものである。 |
1. |
組織的安全管理措置
組織的安全管理措置とは、安全管理について研究者等の責任と権限を明確に定め、安全管理に対する規程や手順書(以下「規程等」という)を整備運用し、その実施状況を確認することをいう。組織的安全管理措置には以下の事項が含まれる。 |
(1) |
個人情報の安全管理措置を講じるための組織体制の整備 |
(2) |
個人情報の安全管理措置を定める規程等の整備と規程等に従った運用 |
(3) |
個人情報の取扱い状況を一覧できる手段の整備 |
(4) |
個人情報の安全管理措置の評価、見直し及び改善 |
(5) |
事故又は違反への対処 |
2. |
人的安全管理措置
人的安全管理措置とは、研究者等に対する、業務上秘密と指定された個人情報の非開示契約の締結や教育・訓練等を行うことをいう。人的安全管理措置には以下の事項が含まれる。 |
(1) |
雇用契約時及び委託契約時における非開示契約の締結 |
(2) |
研究者等に対する教育・訓練の実施 |
3. |
物理的安全管理措置
物理的安全管理措置とは、入退館(室)の管理、個人情報の盗難の防止等の措置をいう。物理的安全管理措置には以下の事項が含まれる。 |
(1) |
入退館(室)管理の実施 |
(2) |
盗難等の防止 |
(3) |
機器・装置等の物理的保護 |
4. |
技術的安全管理措置
技術的安全管理措置とは、個人情報及びそれを取り扱う情報システムのアクセス制御、不正ソフトウェア対策、情報システムの監視等、個人情報に対する技術的な安全管理措置をいう。技術的安全管理措置には、以下の事項が含まれる。 |
(1) |
個人情報へのアクセスにおける識別と認証 |
(2) |
個人情報へのアクセス制御 |
(3) |
個人情報へのアクセス権限の管理 |
(4) |
個人情報のアクセス記録 |
(5) |
個人情報を取り扱う情報システムについての不正ソフトウェア対策 |
(6) |
個人情報の移送・通信時の対策 |
(7) |
個人情報を取り扱う情報システムの動作確認時の対策 |
(8) |
個人情報を取り扱う情報システムの監視 |
一 |
総括責任者は、遺伝子治療臨床研究の実施に関し、委託を行う場合は、委託された業務に関して取り扱われる個人情報の安全管理及び個人情報の適切な取扱いが図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなくてはならない。 |
|
<委託を受けた者に対する監督に関する細則>
委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督とは、例えば委託契約書において、委託者が定める安全管理措置の内容を明示的に規定するとともに、当該内容が遵守されていること確認することである。 |
二 |
総括責任者は、研究者に個人情報を取り扱わせるに当たっては、当該個人情報の安全管理が図られるよう、研究者に対し必要かつ適切な監督を行わなければならない。 |
一 |
総括責任者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ被験者等の同意を得ないで、個人情報を第三者に提供してはならない。 |
1 |
法令に基づく場合 |
2 |
人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、被験者等の同意を得ることが困難であるとき。 |
3 |
公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、被験者等の同意を得ることが困難であるとき。 |
4 |
国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、被験者等の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。 |
二 |
総括責任者は、第三者に提供される個人情報について、被験者等の求めに応じて当該被験者が識別される個人情報の第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、あらかじめ、被験者等に通知し、又は被験者等が容易に知り得る状態に置いているときは、一の規定にかかわらず、当該個人情報を第三者に提供することができる |
1 |
第三者への提供を利用目的とすること。 |
2 |
第三者に提供される個人情報の項目 |
3 |
第三者への提供の手段又は方法 |
4 |
被験者等の求めに応じて当該被験者が識別される個人情報の第三者への提供を停止すること。 |
三 |
二の2又は3に掲げる事項を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、被験者等に通知し、又は被験者等が容易に知り得る状態に置かなければならない。 |
四 |
次に掲げる場合において、当該個人情報の提供を受ける者は、一から三までの規定の適用については、第三者に該当しないため、あらかじめ被験者等の同意を得ずに個人情報を提供することができる。 |
1 |
総括責任者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人情報の取扱いの全部又は一部を委託する場合 |
2 |
研究の承継に伴って個人情報が提供される場合 |
3 |
個人情報を特定の者との間で共同して利用する場合であって、その旨並びに共同して利用される個人情報の項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ、被験者等に通知し、又は被験者等が容易に知り得る状態に置いているとき。 |
五 |
総括責任者は、四の3に規定する利用する者の利用目的又は個人情報の管理について責任を有する者の氏名若しくは名称を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、被験者等に通知し、又は被験者等が容易に知り得る状態に置かなければならない。 |
一 |
総括責任者は、保有する個人情報に関し、次に掲げる事項について、被験者等の知り得る状態(被験者等の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)に置かなければならない。 |
1 |
当該研究を行う機関の名称 |
2 |
すべての保有する個人情報の利用目的(第五の四の1から3までに該当する場合を除く。) |
3 |
二、第十一の一、第十二の一又は第十三の一若しくは二の規定による求めに応じる手続(第十六の規定により手数料の額を定めたときは、その手数料の額を含む。) |
4 |
保有する個人情報の取扱いに関する苦情の申出先 |
二 |
総括責任者は、被験者等から、当該被験者が識別される保有する個人情報の利用目的の通知を求められたときは、被験者等に対し、遅滞なく、これを通知しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 |
1 |
一の規定により当該被験者が識別される保有する個人情報の利用目的が明らかな場合 |
2 |
第五の四の1から3までに該当する場合 |
三 |
総括責任者は、二の規定に基づき求められた保有する個人情報の利用目的を通知しない旨の決定をしたときは、被験者等に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。 |
一 |
総括責任者は、被験者等から、当該被験者が識別される保有する個人情報の開示(当該被験者が識別される保有する個人情報が存在しないときにその旨を知らせることを含む。以下同じ。)を求められたときは、被験者等に対し書面の交付による方法(被験者等が同意した方法があるときには、当該方法)で開示しなければならない。ただし、開示することにより次のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。 |
1 |
被験者又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合 |
2 |
研究を行う機関の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合 |
3 |
他の法令に違反することとなる場合 |
二 |
総括責任者は、一の規定に基づき求められた情報の全部又は一部を開示しない旨の決定をしたときは、被験者等に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。 |
三 |
他の法令の規定により、被験者等に対し一の本文に規定する方法に相当する方法により当該被験者が識別される保有する個人情報の全部又は一部の保有する個人情報については、一の規定は、適用しない。 |
一 |
総括責任者は、被験者等から、当該被験者が識別される保有する個人情報の内容が事実でないという理由によって、当該保有する個人情報に対して訂正、追加又は削除(以下「訂正等」という。)を求められた場合は、その内容の訂正等に関して法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有する個人情報の内容の訂正等を行わなければならない。 |
二 |
総括責任者は、一の規定に基づき求められた個人情報の内容の全部若しくは一部について訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、被験者等に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知しなければならない。 |
一 |
総括責任者は、被験者等から、当該被験者が識別される保有する個人情報が第三の規定に違反して取り扱われているという理由又は第四の規定に違反して取得されたものであるという理由によって、当該保有する個人情報の利用の停止又は消去(以下「利用停止等」という。)を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有する個人情報の利用停止等を行わなければならない。ただし、当該保有する個人情報の利用停止等に多額の費用を要する場合その他の利用停止等を行うことが困難な場合であって、被験者の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。 |
二 |
総括責任者は、被験者等から、当該被験者が識別される保有する個人情報が第九の一の規定に違反して第三者に提供されているという理由によって、当該保有する個人情報の第三者への提供の停止を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、遅滞なく、当該保有する個人情報の第三者への提供を停止しなければならない。ただし、当該保有する個人情報の第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の第三者への提供を停止することが困難な場合であって、被験者の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。 |
三 |
総括責任者は、一の規定に基づき求められた保有する個人情報の全部若しくは一部について利用停止等を行ったとき若しくは利用停止等を行わない旨の決定をしたとき、又は二の規定に基づき求められた保有する個人情報の全部若しくは一部について第三者への提供を停止したとき若しくは第三者への提供を停止しない旨の決定をしたときは、被験者等に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。 |
|
<利用停止等に関する細則>
以下の場合については、利用停止等の措置を行う必要はない。 |
・ |
訂正等の求めがあった場合であっても、(1)利用目的から見て訂正等が必要でない場合、(2)誤りである指摘が正しくない場合又は(3)訂正等の対象が事実でなく評価に関する情報である場合 |
・ |
利用停止等、第三者への提供の停止の求めがあった場合であっても、手続違反等の指摘が正しくない場合 |
第 |
十四 理由の説明
総括責任者は、第十の三、第十一の二又は第十二の二又は第十三の三の場合は、被験者等から求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨を通知する場合またはその措置と異なる措置をとる旨を通知する場合は、被験者等に対し、その理由を説明するよう努めなければならない。なお、この場合、被験者等の要求内容が事実でないこと等を知らせることにより、被験者等の精神的負担になり得る場合等、説明を行うことが必ずしも適当でないことがあり得ることから、事由に応じて慎重に検討のうえ、対応しなくてはならない。 |
一 |
総括責任者は、第十の二、第十一の一、第十二の一又は第十三の一若しくは二の規定による求め(以下「開示等の求め」という。)に関し、以下の事項につき、その求めを受け付ける方法を定めることができる。この場合において、被験者等は、当該方法に従って、開示等の求めを行わなければならない。 |
1 |
開示等の求めの申し出先 |
2 |
開示等の求めに際して提出すべき書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)の様式その他の開示等の求めの方式 |
3 |
開示等の求めをする者が被験者等であることの確認の方法 |
4 |
手数料の徴収方法 |
二 |
総括責任者は、被験者等に対し、開示等の求めに関し、その対象となる保有する個人情報を特定するに足りる事項の提示を求めることができる。この場合において、総括責任者は、被験者等が容易かつ的確に開示等の求めをすることができるよう、当該保有する個人情報の特定に資する情報の提供その他被験者等の利便性を考慮した適切な措置をとらなければならない。 |
三 |
総括責任者は、一及び二の規定に基づき開示等の求めに応じる手続きを定めるに当たっては、被験者等に過重な負担を課するものとならないよう配慮しなければならない。 |
第 |
十六 手数料
研究を行う機関の長は、第十の二の規定による利用目的の通知又は第十一の一の規定による開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。また、その場合には実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならない。 |
第 |
十七 苦情の対応
研究を行う機関の長は、被験者等からの苦情等の窓口を設置する等、被験者等からの苦情や問い合わせ等に適切かつ迅速に対応しなければならない。なお、苦情等の窓口は、被験者等にとって利用しやすいように、担当者の配置、利用手続等に配慮しなくてはならない。 |
第 |
一 記録の保存
実施施設の長は、遺伝子治療臨床研究に関する記録に関し、保管責任者を定め、適切な状態の下で、研究終了後少なくとも五年間保存しなければならないものとする。 |
第 |
二 秘密の保護
研究者、審査委員会の委員、実施施設の長その他研究に携わる関係者は、遺伝子治療臨床研究を行う上で知り得た個人に関する秘密を正当な理由なく漏らしてはならないものとする。その職を辞した後も同様とする。 |
第 |
三 情報の公開
実施施設の長は、計画又は実施している遺伝子治療臨床研究に関する情報の適切かつ正確な公開に努めるものとする。 |
第 |
四 啓発普及
研究者は、あらゆる機会を利用して遺伝子治療臨床研究に関し、情報の提供等啓発普及に努めるものとする。 |
第 |
五 適用除外
第二章から第六章まで及び本章第二及び第四の規定は、薬事法(昭和35年法律第145号)に定める治験に該当する遺伝子治療臨床研究については、適用しない。 |
第 |
六 細則
この指針に定めるもののほか、この指針の施行に関し必要な事項は、別に定める。 |
一 |
この指針は、平成17年4月1日から施行する。 |
二 |
この指針の施行前に旧指針等の規定によってした手続その他の行為であって、この指針に相当の規定があるものは、この指針の相当の規定によってしたものとみなす。 |
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