職需発第0330001号
平成17年3月30日

社団法人全国民営職業紹介事業協会会長 殿



厚生労働省職業安定局需給調整事業課長



職業紹介事業者における個人情報保護法等の施行に伴う留意点等について


 職業紹介事業者による個人情報の取扱いについては、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。別添1(PDF:47KB)参照。)及び個人情報の保護に関する法律施行令(平成15年政令第507号。以下「個人情報保護法施行令」という。別添2(PDF:17KB)参照。)が平成17年4月1日から全面的に施行されることを踏まえ、平成16年11月4日に「職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針の一部を改正する告示」(平成16年厚生労働省告示第391号。以下「改正告示」という。別添3(PDF:10KB)参照。)が公布され、改正告示中個人情報保護法の遵守等に係る改正規定は、平成17年4月1日から適用されることとされたところである。
 個人情報保護法等の全面施行に関しては、「個人情報の保護に関する基本方針等について」(平成16年7月22日職需発第0722002号小職通知)により、既にその内容等について通知しているところであるが、個人情報保護法等の全面施行に伴って、職業紹介事業者に新たに課せられる義務に係る個人情報保護法等の規定並びに職業紹介事業者が新たに講ずべき措置及びその主な留意点等は、下記のとおりであるので、貴職におかれては、この内容を十分に御了知の上、傘下の団体、事業者等に対して周知するなど、その円滑な施行について特段の御配慮をお願いする。
 なお、個人情報の取扱いのうち雇用管理に関するものについては、平成16年7月1日に「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成16年厚生労働省告示第259号。以下「雇用管理指針」という。別添4(PDF:20KB)参照。)が公布され、平成17年4月1日から適用されることとされたところであるが、その内容等について、別途参考となる資料等を送付する予定であるので、よろしく御留意願いたい。


I  改正告示について
 職業紹介事業者による個人情報の適正な取扱いについては、職業安定法(昭和22年法律第141号)第5条の4及び第51条又は第51条の2において、求職者の個人情報の取扱いに関する規定及び秘密を守る義務等に関する規定が設けられ、さらに、同法第48条に基づく「職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針」(平成11年労働省告示第141号)において、求職者の個人情報の取扱いに関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項が定められているところであること。
 今般の改正告示は、個人情報保護法が平成17年4月1日から全面的に施行されることを踏まえ、職業紹介事業者による個人情報の保護の一層の促進等を図る見地から、職業安定法に基づく事業実施上の責務の一つとして、従前から遵守すべきこととされていた事項に加えて、職業紹介事業者は、個人情報保護法第2条第3項に規定する個人情報取扱事業者(以下「個人情報取扱事業者」という。)に該当する場合にあっては、同法第4章第1節に規定する義務を遵守しなければならないこととするとともに、個人情報取扱事業者に該当しない場合であっても、個人情報取扱事業者に準じて、個人情報の適正な取扱いの確保に努めることとしたものであること。
 また、この改正により、個人情報保護法に違反した職業紹介事業者については、個人情報保護法に基づく助言等の対象になると同時に、職業安定法に基づく指導助言等の対象ともなり得るものであること。

II  個人情報保護法について
 第 1 個人情報保護法における用語の定義等
 個人情報(個人情報保護法第2条第1項)
 「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいうものであること。
 また、職業安定法第5条の4並びに改正告示による改正後の「職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針」(以下「安定法指針」という。別添5(PDF:38KB)参照。)第4の1及び2の措置の対象は、求職者の個人情報に限定されているが、個人情報保護法(安定法指針第4の3を含む。)に基づく措置の対象については、求職者以外の者の個人情報(例:求人者の担当者の個人情報、職業紹介事業者の労働者の個人情報等)も対象となるものであることに留意すること。
 個人情報データベース等(個人情報保護法第2条第2項及び個人情報保護法施行令第1条)
 「個人情報データベース等」とは、個人情報を含む情報の集合物であって、次に掲げるものをいうものであること。
(1)  特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
(2)  (1)のほか、これに含まれる個人情報を一定の規則に従って整理することにより特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成した情報の集合物であって、目次、索引その他検索を容易にするためのものを有するもの
 個人情報取扱事業者(個人情報保護法第2条第3項及び個人情報保護法施行令第2条)
 「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいうものであること。ただし、次に掲げる者を除くものであること。
(1)  国の機関
(2)  地方公共団体
(3)  独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。)
(4)  地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。)
(5)  その事業の用に供する個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数(当該個人情報データベース等の全部又は一部が他人の作成に係る個人情報データベース等で個人情報として氏名又は住所若しくは居所(地図上又は電子計算機の映像面上において住所又は居所の所在の場所を示す表示を含む。)若しくは電話番号のみが含まれる場合であって、これを編集し、又は加工することなくその事業の用に供するときは、当該個人情報データベース等の全部又は一部を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数を除く。)の合計が過去6月以内のいずれの日においても5,000を超えない者
   なお、(5)の適用に関して、個人情報保護法施行令第2条の施行日(平成15年12月10日)の過去6月以内のいずれかの日において、当該特定の個人の数の合計が5,000を超えたことがある場合は、個人情報取扱事業者に該当するものであり、一方、5,000を超えたことがない場合は、個人情報取扱事業者に該当しないものであること。ただし、個人情報取扱事業者に該当することとなった場合であっても、5,000を超えない日が6月間継続している場合には、当該6月を経過した日以降は、再び5,000を超えるまで、個人情報取扱事業者に該当しないものであること。また、個人情報取扱事業者に該当しないこととなった場合であっても、5,000を超えた場合には、当該日以降は、5,000を超えない日が6月間継続するまで、個人情報取扱事業者に該当するものであること。
 個人データ(個人情報保護法第2条第4項)
 「個人データ」とは、個人情報データベース等を構成する個人情報をいうものであること。
 保有個人データ(個人情報保護法第2条第5項並びに個人情報保護法施行令第3条及び第4条)
 「保有個人データ」とは、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、次に掲げるもの又は6月以内に消去することとなるもの以外のものをいうものであること。
(1)  当該個人データの存否が明らかになることにより、本人又は第三者の生命、身体又は財産に危害が及ぶおそれがあるもの
(2)  当該個人データの存否が明らかになることにより、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがあるもの
(3)  当該個人データの存否が明らかになることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの
(4)  当該個人データの存否が明らかになることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が及ぶおそれがあるもの
 本人(個人情報保護法第2条第6項)
 個人情報について「本人」とは、個人情報によって識別される特定の個人をいうものであること。

 第
 個人情報保護法等の規定並びに職業紹介事業者が新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 個人情報保護法等の全面施行に伴って、職業紹介事業者に新たに課せられる義務に係る個人情報保護法及び個人情報保護法施行令の規定並びに職業紹介事業者が新たに講ずべき措置及びその主な留意点等は、それぞれ下記のとおりであること。

 個人情報取扱事業者に該当する職業紹介事業者
 職業紹介事業者は、安定法指針第4の3により、個人情報取扱事業者に該当する場合には、個人情報保護法第4章第1節に規定する義務を遵守しなければならないこととされていること。具体的には、個人情報取扱事業者に該当する職業紹介事業者は、次に掲げる措置を新たに講じなければならないこと。

(1)  利用目的の特定(個人情報保護法第15条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならないこと。
 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 (1)のアの個人情報の利用目的の特定に当たっては、単に抽象的、一般的に特定するのではなく、可能な限り、具体的、個別的に特定するとともに、当該個人情報の本人からみて、自らの個人情報の利用される範囲が合理的に予想できる程度に特定することが必要であること。
 職業紹介事業者にあっては、職業安定法第5条の4第1項並びに安定法指針第4の1の(1)及び(4)により、職業紹介業務の目的の達成に必要な範囲内でのみ求職者の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でのみこれを保管し、及び使用することが原則とされていること。
 このため、職業紹介事業の実施に伴い収集等される求職者の個人情報については、職業安定法第5条の4第1項ただし書及び安定法指針第4の1の(4)のただし書に該当する場合(他の保管若しくは使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合)を除き、「職業紹介業務(求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんする業務)」として利用目的を特定すべきものであり、その変更も基本的に想定されないものであること。
 なお、職業安定法及び安定法指針においては、同法第5条の4第1項ただし書及び安定法指針第4の1の(4)のただし書に該当する場合は、職業紹介事業の実施に伴い収集等される求職者の個人情報の職業紹介業務以外の目的での利用も可能となっているが、この場合にあっても、(1)のアのとおり、その利用目的をできる限り特定する必要があること。

(2)  利用目的による制限(個人情報保護法第16条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、(1)により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならないこと。
 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならないこと。
 ア及びイは、次に掲げる場合については、適用しないこと。
(ア)  法令に基づく場合
(イ)  人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
(ウ)  公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
(エ)  国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業安定法及び安定法指針においては、同法第5条の4第1項ただし書及び安定法指針第4の1の(4)のただし書に該当する場合(他の保管若しくは使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合)を除き、職業紹介事業の実施に伴い収集等される求職者の個人情報については、職業紹介業務に利用目的が限定されるものであり、当該利用目的の達成に必要な範囲を超えた利用は、基本的に想定されないものであること。

(3)  適正な取得(個人情報保護法第17条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に安定法指針第4の1の(2)により、求職者の個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によることとされているものであること。

(4)  取得に際しての利用目的の通知等(個人情報保護法第18条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならないこと。
 個人情報取扱事業者は、アにかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。以下イ及び(2)のイにおいて同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならないこと。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は、この限りでないこと。
 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならないこと。
 アからウまでは、次に掲げる場合については、適用しないこと。
(ア)  利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
(イ)  利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
(ウ)  国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
(エ)  取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 取得に際しての利用目的の通知等については、これまで安定法指針において明示的に求められていなかった手続であるので十分留意する必要があること。具体的には、特に以下の点について留意すべきこと。
 (1)のアのとおり、個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表することとされていることから、職業紹介事業者にあっては、あらかじめその利用目的を公表しておくことが望ましいものであること。なお、この「公表」は、一定の方式によることが必要である要式行為ではないが、例えば、ホームページへの掲載、事業所の窓口等への掲示・備付け、パンフレット等の配布等が考えられるものであること。
 (1)のアの「個人情報を取得した場合」とは、求職の申込み等による個人情報の取得のほか、例えば、以下のような場合も含まれることに特に留意すること。
(ア)  インターネット上で本人が自発的に公表している個人情報を取得した場合
(イ)  インターネット、官報、職員録等から個人情報を取得した場合
(ウ)  電話による問い合わせやクレームのように本人により自発的に提供される個人情報を取得した場合
(エ)  個人情報の第三者提供を受けた場合
 また、(1)のイのとおり、個人情報取扱事業者は、(1)のアにかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、当該本人に対し、その利用目的を明示しなければならないこととされていることに留意すべきこと。
 なお、「求職申込書」等により直接当該本人から個人情報を取得する場合については、当該個人情報が職業紹介業務に利用されることが明らかであることから、(1)のエの(エ)の「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に該当するものとして、(1)のア及びイの利用目的の通知等の対象となるものではないこと。一方、アンケート調査票等に記載された個人情報を職業紹介業務に利用する場合にあっては、(1)のエの(エ)に該当するものではなく、(1)のア又はイによる利用目的の通知等が必要となるものであること。
 ただし、トラブル防止等の観点からは、求職申込書、アンケート調査票等本人から直接個人情報を取得する書面には、当該書面により取得される個人情報の利用目的を併せて記載する等により、当該利用目的が明示されるようにしておくことが望ましいものであること。
 (1)のウのとおり、個人情報取扱事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならないこととされているが、この利用目的の変更は、(1)の(1)のイのとおり、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならないものであること。
 なお、職業紹介事業の実施に伴い収集等される求職者の個人情報については、(1)の(2)のイのとおり、利用目的の変更は基本的に想定されないものであること。
 (1)のアからウまでにかかわらず、(1)のエの(ア)から(エ)までに掲げる場合には、利用目的の通知等を行うことは要しないものとされていること。例えば、一般の慣行として名刺を交換する場合において、取得した個人情報の利用目的が「今後の連絡のため」であるとき、アの(ウ)のような場合において、取得した個人情報の利用目的が「問い合わせ等に回答するため」であるとき等については、(1)のエの(エ)の「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に該当するものと考えられることから、このような場合には利用目的の通知等の対象となるものではないこと。ただし、当該名刺等により取得した個人情報をその他の目的に転用する場合には、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」とはいえず、個人情報取扱事業者は、(1)のア又はイのとおり、利用目的の通知等をする必要があること。

(5)  データ内容の正確性の確保(個人情報保護法第19条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つよう努めなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に職業安定法第5条の4第2項及び安定法指針第4の2の(1)のイにより、その保管又は使用に係る求職者の個人情報に関し、求職者の個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置を適切に講ずることとされているものであること。
 なお、これらは、保有する個人データを一律に最新化することを求めるものではなく、それぞれの利用目的に応じて、その必要な範囲内で正確性・最新性を確保することを求めるものであること。また、(1)の趣旨を踏まえると、不要となった個人情報は廃棄又は削除するなど、特に安定法指針第4の2の(1)のニの措置が重要となることに留意すべきこと。

(6)  安全管理措置(個人情報保護法第20条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に職業安定法第5条の4第2項並びに安定法指針第4の2の(1)のロ、ハ及びニ、(2)並びに(3)のイ及びロにより、その保管又は使用に係る求職者の個人情報に関し、求職者の個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置を適切に講ずること等とされているものであること。

(7)  従業者の監督(個人情報保護法第21条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に職業安定法第5条の4第2項並びに安定法指針第4の2の(1)のロ、ハ及びニ、(2)並びに(3)のイ及びロにより、個人情報を取り扱う者に対する研修等教育訓練に関する事項等を含む個人情報適正管理規程を作成し、これを遵守すること等とされているものであること。
 「従業者」とは、個人情報取扱事業者の組織内にあって直接間接に事業主の指揮監督を受けて事業主の業務に従事している者をいい、事業主と雇用関係にある労働者(正社員、契約社員、嘱託社員、パート社員、アルバイト社員等)のみならず、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者、取締役等も含まれるものであること。

(8)  委託先の監督(個人情報保護法第22条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 安定法指針第4の2の(2)の「厳重な管理」等には、委託先の監督も当然に含まれるものであるが、(1)のとおり、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、当該委託者である個人情報取扱事業者は、当該委託先に対する監督責任を有することが明確にされたものであること。
 「必要かつ適切な監督」には、委託先が行うべき必要かつ適切な安全管理措置の内容を委託契約に盛り込むこと、当該安全管理措置の内容が遵守されていることを定期的に確認すること等が含まれるものであること。

(9)  第三者提供の制限(個人情報保護法第23条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならないこと。
(ア)  法令に基づく場合
(イ)  人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
(ウ)  公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
(エ)  国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
 個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは、アにかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができること。
(ア)  第三者への提供を利用目的とすること。
(イ)  第三者に提供される個人データの項目
(ウ)  第三者への提供の手段又は方法
(エ)  本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。
 個人情報取扱事業者は、イの(イ)又は(ウ)に掲げる事項を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならないこと。
 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、アからウまでの適用については、第三者に該当しないものとすること。
(ア)  個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合
(イ)  合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合
(ウ)  個人データを特定の者との間で共同して利用する場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。
 個人情報取扱事業者は、エの(ウ)の利用する者の利用目的又は個人データの管理について責任を有する者の氏名若しくは名称を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 求人者に対して求職者の個人データを示す行為は、「第三者提供」に該当するものであること。また、同一事業主内での他部門への個人データの提供は、「第三者提供」に該当しないが、親子会社間、グループ会社間等での個人データの交換については、「第三者提供」に該当するものであること。
 (1)のアの同意を取得することが困難な場合((1)のアの(ア)から(エ)までに該当する場合を除く。)において、第三者提供を行おうとするときは、個人情報取扱事業者は、必ず、(1)のイの措置を講じなければならないことに留意すること。なお、(1)のイの「本人が容易に知りうる状態」とは、例えば、ホームページへの掲載、事業所の窓口等への掲示・備付け等の「公表」が継続的に行われている状態をいうものであること。また、(1)のイの「個人データの第三者への提供を停止する」とは、当該個人データの新たな第三者提供を停止することをいうものであり、既に第三者に提供された個人データの回収まで求めるものではないこと。
 また、(1)のイの措置を講じていない場合((1)のアの(ア)から(エ)までに該当する場合を除く。)において、第三者提供を行おうとするときにあっては、個人情報取扱事業者は、(1)のアにより、あらかじめ、第三者に個人データが提供されることについての本人の同意を得ることが必要となるものであること。この場合においては、例えば、求職申込書に、求人者に提供されることとなる個人データの範囲を明らかにしつつ、職業紹介に必要な範囲で個人データが求人者に提供されることに関する同意欄を設けること等により、必ず求職者から同意をあらかじめ得るようにすることが必要となるものであること。なお、この「同意」の取得の方法は、特段の要式行為とされているものではないが、トラブル防止等の観点からも、書面による取得など事後に「同意」の事実を確認できるような形で行うことが望ましいものであること。

(10)  保有個人データに関する事項の公表等(個人情報保護法第24条及び個人情報保護法施行令第5条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、保有個人データに関し、次に掲げる事項について、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)に置かなければならないこと。
(ア)  当該個人情報取扱事業者の氏名又は名称
(イ)  すべての保有個人データの利用目的((4)の(1)のエの(ア)から(ウ)までに該当する場合を除く。)
(ウ)  イ、(11)の(1)のア、(12)の(1)のア又は(13)の(1)のア若しくはイによる求めに応じる手続((16)の(1)のイにより手数料の額を定めたときは、その手数料の額を含む。)
(エ)  当該個人情報取扱事業者が行う保有個人データの取扱いに関する苦情の申出先
(オ)  当該個人情報取扱事業者が認定個人情報保護団体の対象事業者である場合にあっては、当該認定個人情報保護団体の名称及び苦情の解決の申出先
 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの利用目的の通知を求められたときは、本人に対し、遅滞なく、これを通知しなければならないこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでないこと。
(ア)  アにより当該本人が識別される保有個人データの利用目的が明らかな場合
(イ)  (4)の(1)のエの(ア)から(ウ)までに該当する場合
 個人情報取扱事業者は、イに基づき求められた保有個人データの利用目的を通知しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に安定法指針第4の2の(3)のハ及びニにより、個人情報の開示等の取扱いに関する事項及び個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する事項を含む個人情報適正管理規程を作成することとされてきたところであるが、(1)のアにより、個人情報取扱事業者にあっては、保有個人データに関し、当該個人情報取扱事業者の氏名又は名称、その利用目的((1)の(1)のアにより特定された利用目的)、開示等の求めに応じる手続等について、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)に置くべきことが新たに義務付けられたものであること。
 なお、(1)のアの「本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)」とは、例えば、ホームページへの掲載、事業所の窓口等への掲示・備付け等の「公表」が継続的に行われている状態、問い合わせ窓口において問い合わせに対応できる状態等をいうものであること。

(11)  開示(個人情報保護法第25条及び個人情報保護法施行令第6条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示(当該本人が識別される保有個人データが存在しないときにその旨を知らせることを含む。以下同じ。)を求められたときは、本人に対し、書面の交付による方法(開示の求めを行った者が同意した方法があるときは、当該方法)により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならないこと。ただし、開示することにより次のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができること。
(ア)  本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
(イ)  当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
(ウ)  他の法令に違反することとなる場合
 個人情報取扱事業者は、アに基づき求められた保有個人データの全部又は一部について開示しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならないこと。
 他の法令の規定により、本人に対しアの本文に規定する方法に相当する方法により当該本人が識別される保有個人データの全部又は一部を開示することとされている場合には、当該全部又は一部の保有個人データについては、アは、適用しないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に安定法指針第4の2の(3)のハにより、個人情報の開示等の取扱いに関する事項を含む個人情報適正管理規程を作成し、これを遵守することとされてきたところであるが、(1)のアにより、個人情報取扱事業者にあっては、本人の求めに応じて保有個人データの開示を行うべきことが新たに義務付けられたものであること。
 個人情報取扱事業者は、特に以下の点に留意しつつ、当該開示の求めに十分に対応できるよう必要な体制整備等を図ることが重要であること。
(ア)  (1)のアの(ア)から(ウ)までに該当しない場合には、書面の交付による方法(開示の求めを行った者が同意した方法があるときは、当該方法)により、遅滞なく、当該保有個人データの開示することが必要であること。
(イ)  当該開示の求めに係る保有個人データの全部又は一部について開示しないこととしたときは、当該本人に対し、遅滞なく、その旨を通知することが必要であること。
 保有個人データの中に能力評価等の情報が含まれている場合であって、開示することにより紹介等の業務の実施に著しい支障を及ぼすおそれがあるときについては、(1)のアの(イ)の「当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に該当し得るものであること。

(12)  訂正等(個人情報保護法第26条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないという理由によって当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下(12)において「訂正等」という。)を求められた場合には、その内容の訂正等に関して他の法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの内容の訂正等を行わなければならないこと。
 個人情報取扱事業者は、アに基づき求められた保有個人データの内容の全部若しくは一部について訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知しなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に安定法指針第4の2の(3)のハにより、個人情報の開示又は訂正(削除を含む。)の取扱いに関する事項を含む個人情報適正管理規程を作成し、これを遵守することとされてきたところであるが、(1)のアにより、個人情報取扱事業者にあっては、一定の場合に、本人の求めに応じて保有個人データの内容の訂正等を行うべきことが新たに義務付けられたものであること。なお、安定法指針第4の2の(3)のハにおいては、「追加」が明示的に規定されているものではないが、概念上、「追加」は「訂正」に含まれているものであること。
 個人情報取扱事業者は、特に以下の点に留意しつつ、当該訂正等の求めに十分に対応できるよう必要な体制整備等を図ることが重要であること。
(ア)  他の法令により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの内容の訂正等を行うことが必要であること。
(イ)  当該訂正等の求めに係る保有個人データの内容の全部又は一部について訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、当該本人に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知することが必要であること。
(ウ)  本人が訂正等の求めを行うことができるのは、当該本人に係る「保有個人データの内容が事実でないという理由」がある場合に限られるものであり、当該訂正等の求めを行う本人は、その理由があることについての客観的にみて合理的な説明を行う必要があること。

(13)  利用停止等(個人情報保護法第27条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが(2)の(1)に違反して取り扱われているという理由又は(3)の(1)に違反して取得されたものであるという理由によって、当該保有個人データの利用の停止又は消去(以下(13)において「利用停止等」という。)を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等を行わなければならないこと。ただし、当該保有個人データの利用停止等に多額の費用を要する場合その他の利用停止等を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでないこと。
 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが(9)の(1)のアに違反して第三者に提供されているという理由によって、当該保有個人データの第三者への提供の停止を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、遅滞なく、当該保有個人データの第三者への提供を停止しなければならないこと。ただし、当該保有個人データの第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の第三者への提供を停止することが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでないこと。
 個人情報取扱事業者は、アに基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について利用停止等を行ったとき若しくは利用停止等を行わない旨の決定をしたとき、又はイに基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について第三者への提供を停止したとき若しくは第三者への提供を停止しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に安定法指針第4の2の(3)のハにより、個人情報の開示又は訂正(削除を含む。)の取扱いに関する事項を含む個人情報適正管理規程を作成し、これを遵守することとされてきたところであるが、(1)のア及びイにより、個人情報取扱事業者にあっては、一定の場合に、本人の求めに応じて保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止を行うべきことが新たに義務付けられたものであること。なお、安定法指針第4の2の(3)のハにおいては、「利用の停止等」及び「第三者への提供の停止」が明示的に規定されているものではないが、概念上、「利用の停止」及び「第三者への提供の停止」が排除されているものではないこと。
 個人情報取扱事業者は、特に以下の点に留意しつつ、当該利用停止等又は第三者への提供の停止の求めに十分に対応できるよう必要な体制整備等を図ることが重要であること。
(ア)  利用停止等又は第三者への提供の停止が困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときを除き、当該利用停止等又は第三者への提供の停止の求めに理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等を行い、又は遅滞なく、当該保有個人データの第三者への提供の停止を行うことが必要であること。
(イ)  当該利用停止等若しくは第三者への提供の停止の求めに係る保有個人データの全部若しくは一部について利用停止等若しくは第三者への提供の停止を行ったとき、又は利用停止等若しくは第三者への提供の停止を行わない旨の決定をしたときは、当該本人に対し、遅滞なく、その旨を通知することが必要であること。
(ウ)  本人が利用停止等の求めを行うことができるのは、当該本人に係る「保有個人データが(2)の(1)に違反して取り扱われているという理由又は(3)の(1)に違反して取得されたものであるという理由」がある場合に限られるものであり、また、本人が第三者への提供の停止を求めを行うことができるのは、当該本人に係る「保有個人データが(9)の(1)のアに違反して第三者に提供されているという理由」がある場合に限られるものであること。当該利用停止等又は第三者への提供の停止の求めを行う本人は、その理由があることについての客観的にみて合理的な説明を行う必要があること。

(14)  理由の説明(個人情報保護法第28条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、(10)の(1)のウ、(11)の(1)のイ、(12)の(1)のイ又は(13)の(1)のウにより、本人から求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨を通知する場合又はその措置と異なる措置をとる旨を通知する場合は、本人に対し、その理由を説明するよう努めなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 (1)の理由の説明については、努力義務であるが、これまで安定法指針において明示的に求められていなかった手続であるので十分留意する必要があること。

(15)  開示等の求めに応じる手続(個人情報保護法第29条並びに個人情報保護法施行令第7条及び第8条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、(10)の(1)のイ、(11)の(1)のア、(12)の(1)のア又は(13)の(1)のア若しくは(イ)による求め(以下(15)において「開示等の求め」という。)に関し、その求めを受け付ける方法として次に掲げる事項を定めることができること。この場合において、本人は、当該方法に従って、開示等の求めを行わなければならないこと。
(ア)  開示等の求めの申出先
(イ)  開示等の求めに際して提出すべき書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)の様式その他の開示等の求めの方式
(ウ)  開示等の求めをする者が本人又はウの代理人であることの確認の方法
(エ)  (16)の(1)のアの手数料の徴収方法
 個人情報取扱事業者は、本人に対し、開示等の求めに関し、その対象となる保有個人データを特定するに足りる事項の提示を求めることができること。この場合において、個人情報取扱事業者は、本人が容易かつ的確に開示等の求めをすることができるよう、当該保有個人データの特定に資する情報の提供その他本人の利便を考慮した適切な措置をとらなければならないこと。
 開示等の求めは、次に掲げる代理人によってすることができること。
(ア)  未成年者又は成年被後見人の法定代理人
(イ)  開示等の求めをすることにつき本人が委任した代理人
 個人情報取扱事業者は、アからウまでに基づき開示等の求めに応じる手続を定めるに当たっては、本人に過重な負担を課するものとならないよう配慮しなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に安定法指針第4の2の(3)のハにより、個人情報の開示又は訂正(削除を含む。)の取扱いに関する事項を含む個人情報適正管理規程を作成することとされてきたところであるが、個人情報適正管理規程について、(1)を踏まえた内容として所要の改正等を行うことが望ましいこと。
 開示等の求めは代理人によってすることができることとされていることにも留意すること。

(16)  手数料(個人情報保護法第30条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、(10)の(1)のイによる利用目的の通知又は(11)の(1)のアによる開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができること。
 個人情報取扱事業者は、アにより手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 (1)の手数料については、これまで安定法指針において特段の定めがなかったものであり、当該手数料を設けるか否かは、最終的に各事業者の判断に委ねられるものであるが、手数料を設定し、これを徴収することができるのは、(1)のアのとおり、(10)の(1)のイによる利用目的の通知又は(11)の(1)のアによる開示の場合に限られるものであることに留意する必要があること。
 手数料を定める場合にあっては、(1)のイのとおり、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内で定めるとともに、(10)の(1)のアの(ウ)により、これを本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)に置かなければならないことに留意すること。

(17)  個人情報取扱事業者による苦情の処理(個人情報保護法第31条関係)
(1)  個人情報保護法等の規定
 個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならないこと。
 個人情報取扱事業者は、アの目的を達成するために必要な体制の整備に努めなければならないこと。
(2)  新たに講ずべき措置及びその主な留意点等
 職業紹介事業者は、既に安定法指針第4の2の(3)のニにより、求職者の個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する事項を含む個人情報適正管理規程を作成し、これを遵守することとされてきたところであるが、苦情の適切かつ迅速な処理に一層努めていくことが必要であること。

 個人情報取扱事業者に該当しない職業紹介事業者
 職業紹介事業者は、安定法指針第4の3により、個人情報取扱事業者に該当しない場合であっても、個人情報取扱事業者に準じて、個人情報の適正な取扱いの確保に努めることとされていること。
 なお、職業安定法第5条の4及び安定法指針第4の1及び2に定める求職者の個人情報の取扱いに係る規定については、個人情報取扱事業者に該当しない職業紹介事業者であっても、引き続き遵守する必要があるものであること。

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