概要情報
| 事件番号・通称事件名 |
中労委令和6年(不再)第50号
フソー化成不当労働行為再審査事件 |
| 再審査申立人 |
Y会社(「会社」) |
| 再審査被申立人 |
X1組合(「組合」)、X2(個人) |
| 命令年月日 |
令和8年4月15日 |
| 命令区分 |
棄却 |
| 重要度 |
|
| 事件概要 |
1 本件は、会社が、①令和4年12月11日に開催された団体交渉(第1回団交)において具体的な交渉に応じることなく団交を途中で打ち切ったこと、②令和4年12月12日以降、X2組合員に対し、学習を主たる業務とする等の各業務指示(本件学習等指示)により、それまで担当していた業務からX2組合員を外す措置(担当業務除外措置)を執ったこと、③令和4年4月28日以降、従業員に周知する事項を記載した書面の回覧(社内回覧)の対象者からX2組合員を除外する措置(本件回覧除外措置)を執ったこと、④a令和3年12月、b令和4年3月、c同年6月から同年8月までの間及びd同年11月から同年12月までの間の各一時金につき、ほかの従業員には支給したのにX2組合員を不支給としたことが、それぞれ不当労働行為に該当するとして、救済申立てがなされた事案である。
2 初審東京都労委は、上記1④のa及びbの一時金に係る申立てについては、行為の日から1年を経過しており、労組法第27条第2項で定める申立期間を徒過しているとして、当該申立てを却下したものの、その余の申立てについては労組法第7条第1号、第2号及び第3号の不当労働行為に該当すると認め、会社に対し、誠実団体交渉応諾、本件学習等指示がなかったものとしての取扱い及び原作業への復帰、社内回覧に係る差別的取扱いの禁止、上記1④のc及びdの一時金(本件一時金)に係るバックペイ、文書交付及び掲示等を命じたところ、会社は、これを不服として、再審査を申し立てた。(本件再審査の対象は、上記1①から③及び④のうち本件一時金に係る申立事実である。)
|
| 命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
| 判断の要旨 |
(1) 本件回覧除外措置は、労組法第7条第1号・第3号の不当労働行為に当たるか
ア 労組法第7条第1号該当性
会社は、令和4年4月28日以降、X2組合員に対してのみ、社内回覧の対象から外すという業務上の不利益を与える取扱いに及んでいたと認められる。
本件回覧除外措置は、X2組合員のみに行われ、かかる措置自体に業務上の必要性や合理性がない上、本件回覧除外措置の当時、会社と組合及びX2組合員(組合ら)は対立しているといった事情などから、ストライキや会社への抗議行動に及んでいた組合らに対する嫌悪の情などに基づく措置であると推認でき、会社の主張を考慮しても、上記推認を排斥するまでの事情は認められない。
よって、本件回覧除外措置は、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たる。
イ 労組法第7条第3号該当性
本件回覧除外措置は、客観的にみて、ほかの従業員に対し、組合活動に従事すればX2組合員と同様に自身も何らかの不利益な取扱いを受ける可能性があると認識させ、組合への加入や組合活動を萎縮させ抑止する効果をもっており、組合を弱体化させる行為に当たり、労組法第7条第3号の不当労働行為にも当たる。
(2) 本件一時金不支給措置は、労組法第7条第1号・第3号の不当労働行為に当たるか
ア 労組法第7条第1号該当性
本件一時金不支給措置は、経済的な不利益取扱いに当たる。
会社は、X2組合員に対してのみ一貫して一時金の全額不支給を行い、かつ、かかる全額不支給には合理的な理由がなかったと認められ、上記(1)アのとおり、会社は、合理的な理由なく、X2組合員に対して、本件回覧除外措置を執り、X2組合員のみが一時金を不支給とされていることを告知しないようにしていたのであり、会社の主張を考慮しても、上記(1)と同様、不当労働行為意思が認められる。
よって、本件一時金不支給措置は、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たる。
イ 労組法第7条第3号該当性
本件一時金不支給措置は、労組法第7条第3号の不当労働行為にも該当する。
(3) 第1回団交における会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか
第1回団交は約25分という比較的短時間で終了したばかりか、組合が事前に告知していた交渉事項を話し合っている際に、会社は、不意にその交渉を打ち切ったのであるから、組合との合意達成の可能性を模索する義務を尽くしたとはいえない。
また、会社は、第1回団交において、組合の質問に対する回答や自己の主張の根拠につき具体的な説明をすることや必要な資料を提示することもなかったと認められる。
よって、会社の対応は不誠実といえ、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
(4) 担当業務除外措置は、労組法第7条第1号・第3号の不当労働行為に当たるか
ア 労組法第7条第1号該当性
(ア) X2組合員は、本件学習等指示により、会社の工場内で業務との関連性が低い書籍の読書を命じられ、令和4年12月11日まで従事していた業務への従事を拒否されることで、担当業務除外措置を受けているところ、かかる措置には必要性・合理性が認められないため、X2組合員は合理的な理由なく会社の一方的な指示によって担当業務から外されるという精神上及び職務上の不利益取扱いを受けていると認められる。
(イ) 会社は、担当業務除外措置を行うまでに、上記(1)及び(2)で述べた不当労働行為に及んでいたことなどから、会社の主張を考慮しても、不当労働行為意思が認められる。
(ウ) よって、担当業務除外措置は、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たる。
イ 労組法第7条第3号該当性
担当業務除外措置は、労組法第7条第3号の不当労働行為にも当たる。 |
| 掲載文献 |
|