労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和5年(不再)第12号・第13号
日本貨物検数協会(団体交渉拒否)・日興サービス不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  Y1法人(「法人」)(12号)、Y2会社(「会社」)(13号) 
再審査被申立人  X組合(「組合」)(12号、13号) 
命令年月日  令和7年12月3日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、①C1組合C2分会及びC1組合C3分会(「C1組合分会ら」)の組合員には、組合活動に従事するための休業を容認して当該休業日の賃金を控除せず、組合の分会(「組合分会」)の組合員にはそのような取扱いをしていないこと、②C1組合分会らとの団体交渉(「団交」)は、就業時間中にC1組合の保有施設で行い、組合分会との団交は就業時間外に貸会議室等で行っていること、③C1組合C2分会及びC4組合には組合事務所を供与し、組合分会には供与していないこと、並びに法人が、④会社からの派遣労働者について、C1組合分会らの組合員を優遇する業務の分配(「手配」)を行っていること、⑤組合及び組合分会(「組合ら」)からの手配差別に関する団交申入れに対し、組合分会の組合員が派遣労働者であることを理由に応じなかったことが不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事案である。

2 初審愛知県労委は、会社に対し、上記①に関して差別行為の禁止及び文書の交付、並びに上記③に関して組合事務所の供与を命じ、法人に対し、上記⑤に関して、法人は組合分会の組合員の労働組合法(「労組法」)上の使用者に当たるとした上で、団交応諾及び文書の交付を命じ(なお、上記①及び③に関し、差別の是正方法及び組合事務所の場所等の条件について、組合と協議の上決定すべき旨を併せて命令(「協議内容にかかる命令」)、その余の申立てを棄却したところ、会社及び法人はこれを不服としてそれぞれ再審査を申し立てた。
 
命令主文要旨  (1) 法人の再審査申立てに基づき、初審命令主文第4項及び第5項(上記⑤関連)を取り消し、これに係る救済申立てを棄却する。
(2) ア 会社の再審査申立てを棄却する。
イ 初審命令主文第1項及び第2項の各なお書き(協議内容にかかる命令)を削る。
 
判断の要旨  (1) 争点1(会社がC1組合分会らの役員に対して毎月15日労働すれば、組合活動に従事するために休業した場合でも当該休業日について賃金を控除しない取扱い(「本件不控除」)を行い、組合分会の役員に対して本件不控除を行わなかったこと(「賃金不控除に関する本件取扱い」)は、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか)について

 C1組合分会らの役員に本件不控除を開始した時点では、会社に組合分会に対する弱体化意図があったとまではいえないが、会社は、本件不控除の取扱いについてC1組合分会らと組合分会との間で大きな差異があることや上記差異による組合分会の組合活動への影響の大きさを認識していたのであり、平成30年6月30日の団交で組合らから上記差異の是正を求められたのであるから、賃金不控除に関する本件取扱いを是正すべきであったにもかかわらず、その後も、是正に向けた具体的な行動を取らなかったといえる。
 また、本件不控除についてC1組合分会らと組合分会との間の取扱いを異にする合理的な理由が存在するとは認められないから、上記取扱いは、組合分会の活動力を低下させその弱体化を図ろうとする会社の意図を推認させるものとして、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当する。

(2) 争点2(会社がC1組合C2分会とC4組合に対して組合事務所を供与し、組合分会に対してこれを供与しなかったことは、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか)について

 組合事務所の供与の拒否が組合分会に与える影響も考慮すれば、C1組合C2分会及びC4組合に対して組合事務所を供与する一方、組合分会に対して組合事務所を供与しないという取扱いを異にする合理的な理由が存在するとは認められないから、上記取扱いは、組合分会の活動力を低下させその弱体化を図ろうとする会社の意図を推認させるものとして、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当する。

(3) 争点3-1(法人は、組合らが平成30年4月30日付けで、C1組合分会らの組合員と組合分会の組合員に対する差別的な手配の改善を団交事項とする団交申入れ(「本件団交申入れ」)における団交事項に関し、労組法第7条の使用者に当たるか)について

 派遣労働者の労働契約の相手方は派遣元事業主であって、派遣先事業主は、当該派遣労働者との関係において、原則として労組法第7条の使用者に該当しないが、例えば、労働者派遣が、労働者派遣法の枠組み又は労働者派遣個別契約で定められた基本的事項を逸脱して行われている場合に、当該派遣労働者の基本的な労働条件等に対して、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していると認められれば、当該労働条件については、労組法第7条の使用者性を認め得ることになる。

ア 就業場所について
 本船荷役業務(ふ頭や岸壁においてコンテナの状態等を検査する業務)に従事する派遣労働者の現場が日々変動し、当該現場と労働者派遣個別契約で定められた就業場所と異なるとしても、これにより労働者派遣法の枠組み又は労働者派遣個別契約の定める基本的事項を逸脱しているとは認められない。

イ 就業開始時刻及び就業時間について
 実際の就業開始時刻等が労働者派遣個別契約書の就業開始時刻等の記載と異なることは、本船荷役業務の内容ないし性質によるものであって、労働者派遣法の枠組み又は労働者派遣個別契約で定められた基本的事項を逸脱しているとは認められない。

ウ 長時間残業について
 労働者派遣契約で定められた就業時間内であって、法人から就業を指示されていない時間は、使用者の指揮命令下に置かれ、あるいは、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事していたとは認められず、労働基準法上の労働時間とは認められないから、長時間残業が行われていたとはいえない。

エ 労働組合間での異なる手配について
 日々手配在籍者(本船荷役業務の従事者)に対する日々手配において、法人が、組合分会よりもC1組合分会らを優遇する手配を行ったとはいえず、また、法人は、労働者派遣個別契約の範囲内で手配を行っているにすぎないから、労働者派遣法上の問題となるものではない。

 以上のとおり、本件の労働者派遣が労働者派遣法の枠組み又は労働者派遣個別契約で定められた基本的事項を逸脱しているとはいえず、本件団交申入れに係る団交について、法人は労組法第7条の使用者に該当するとは認められない。

(4) 争点3-2(法人が本件団交申入れに応じなかったことは、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか)について
 法人は、本件団交申入れにおける団交事項に関し、労組法第7条の使用者に該当するとはいえないから、その余の点について判断するまでもなく、法人が本件団交申入れに応じなかったことは、労組法第7条第2号の不当労働行為には該当しない。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
愛知県労委平成30年(不)第10号 一部救済 令和5年3月7日
 
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