労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和6年(不再)第12号
杉森学園不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  Y法人(「法人」) 
再審査被申立人  X1組合(「組合連合」)、X2組合(「組合」) 
命令年月日  令和8年2月4日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要  1 本件は、①組合の団交申入れに対する法人の開催遅延や議題変更等、②団交における理事の威嚇・暴言の繰り返し、③組合を誹謗中傷する文書の法人による教職員への配布等が不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事案である。

2 初審福岡県労働委員会は、上記①の一部、②及び③が不当労働行為に当たるとして、法人に対し、団交応諾、支配介入の禁止及び文書の掲示等を命じ、その余の申立てを棄却したところ、法人はこれを不服として再審査を申し立てた。
 
命令主文要旨  (1) 初審命令主文第1項ないし第4項を次のとおり変更する。
ア 法人の再建計画に伴う組合員の賃金への影響等について組合から団交申入れがあった場合の誠実応諾
イ 組合の団結等に影響を及ぼす内容の文書を教職員に配布するなどの支配介入の禁止
ウ 組合連合及び組合への文書の交付及び掲示
(2) その余の本件再審査申立てを棄却する。
 
判断の要旨  (1) 団交申入れに対する対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか
 令和4年12月ほかの団交申入れを受けた複数の団交における理事の発言は、組合側の言動を揶揄、挑発し、円滑な進行を妨害するもので、交渉を通じて合意形成を図り又は理解を得ようとする姿勢に欠けており、組合の団体交渉権を尊重していたとは認められない。令和5年3月ほかの団交申入れに対する議題の変更は、申入れに係る義務的団交事項を削除し「労働組合員の爆睡問題」を取り上げることでいわば出鼻をくじき、組合の申入事項に係る団交の意義を殊更に軽視するもので、実際の団交対応でも申入事項について十分な説明を行ったとは認められない。同年4月の団交申入れに対する法人の対応は、団交の開催を合理的な理由なく遅延させたといえる。
 したがって、組合の団交申入れに対する法人の対応は、本件労使関係における交渉経過全体に照らして総合的に判断すれば、以上の点において、不誠実な団交として労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。

(2) 団交における理事の言動は、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか
 団交における理事の言動は、上記(1)のとおり、組合の団体交渉権を尊重して誠意をもって団交に臨んだとは到底認められず、組合の運営・活動を妨害するものであり、少なくとも3回の団交で継続したことから組合弱体化意図も明らかであって、労組法第7条第3号の不当労働行為にも該当する。

(3) 教職員への文書の配布は、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか
 法人の文書は、組合が虚偽の情報を発信し、非常識な主張をしているとするなど、法人の教職員に組合に対する不信感を抱かせるものであり、労使関係が緊張している中で、理事長の名ですべての教職員に読まれることを想定した方法により配布されたものである。このような文書の配布は、組合員に対しては組合への不信や組合員でいることに不安を生じさせ、組合員でない教職員に対しては組合に加入することを躊躇させるおそれがあるものであり、配布時期等も考慮すると、組合の弱体化を意図したものであって、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当する。

(4) 救済の利益があるか
 初審命令以降、団交は年に複数回継続的に実施されているものの、本件で組合が申し入れた事項について誠実な団交が尽くされたとか、労使間の歪みが既に是正され労使関係の正常化が果たされたといった事情は認められないから、誠実交渉を命じることにより、労使関係の正常化を促し、再発防止を期する必要性はなお存する。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡県労委令和5年(不)第1号 一部救済 令和6年3月8日