労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和6年(不再)第26号
NHKビジネスクリエイト不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合(「組合」) 
再審査被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和7年10月1日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、①会社が自動車運転職の組合員Aに対し昇給を行わなかったこと、②会社がAに対し賞与において運転職の平均を下回る業績加算(最低額に近い額)をAに支給したこと、③出張及び時間外労働の少ない運行業務をAに担当させていること、④団体交渉における会社の対応が不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事案である。

2 東京都労委は、出張の少ない運行業務をAに担当させていることが不当労働行為に当たるとして、文書の交付及び掲示を命じ、その余の申立てを棄却したところ、組合は、初審命令のうち申立てを棄却した部分の取消しを求めて、再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  (1) 争点1(会社が、Aに対し、平成31年4月及び令和3年4月に昇給を行わなかったことは、Aが組合の組合員であること又は組合活動を行ったことの故をもってされた取扱いといえるか。)について
 ①平成31年4月及び令和3年4月の各昇給に係るAの考課の評価点の合計が昇給に必要な点数に達しなかったのは、会社が第8回から第14回までの団体交渉で説明したAの勤務態度ないし業務への取組姿勢等によるものと認められるところ、このような会社の評価には相応の根拠があり、その内容も不合理なものとはいえない。また、②平成31年4月及び令和3年4月のいずれの昇給時においても、A以外にも昇給していない非組合員の運転職が複数名存在していることや、③Aは組合に加入する前も一度も昇給しなかったことを併せ考えると、Aが組合の組合員であることやAの組合活動が、Aの考課結果に影響していたとみることはできず、会社がAに対して平成31年4月及び令和3年4月に昇給を行わなかったことは、Aが組合の組合員であること又は組合活動を行ったことの故をもってされた取扱いであると認めることはできない。

(2) 争点2(会社が、Aに対し、令和元年夏季及び冬季並びに令和2年冬季の賞与において、運転職の平均を下回る業績加算(最低額に近い額)を支給したことは、Aが組合の組合員であること又は組合活動を行ったことの故をもってされた取扱いといえるか。)について
 ①令和元年夏季及び冬季並びに令和2年冬季賞与におけるAの業績加算が運転職の平均を大幅に下回ったのは、会社が団体交渉で説明したAの勤務態度ないし業務への取組姿勢等によるものと認められるところ、このような会社の評価には相応の根拠があり、その内容も不合理なものとはいえない。また、②いずれの賞与においても、業績加算について、非組合員でAと同額又はAより低額の者が複数名存在していることや、③Aの組合加入前後でAに対する業績加算の状況に変化がないことを併せ考えると、Aが組合の組合員であることやAの組合活動が、Aの査定に影響しているとみることはできず、会社がAに対して令和元年夏季及び冬季並びに令和2年冬季の各賞与において低額の業績加算を支給したことは、Aが組合の組合員であること又は組合活動を行ったことの故をもってされた取扱いであると認めることはできない。

(3) 争点3(第8回団体交渉及び第14回団体交渉における会社の対応は、不誠実な団体交渉に当たるか。)について
 第8回団体交渉及び第14回団体交渉において、会社は、昇給に係る考課制度や賞与における査定の制度を説明した上、Aの昇給の考課の7項目の評価点が低い理由や、業績加算が低額である理由について、事実関係の認識については組合との間で相違があったものの、会社の認識する事実に基づいて、具体的な例を挙げるなどして説明したのであるから、結果として、事実の認識が違う組合の納得を得られなかったとしても、会社の対応が不誠実であったということはできない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委令和2年(不)第6号 一部救済 令和6年3月5日
 
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