労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和2年(不再)第15号
JXTGエネルギー(東京団交拒否)不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合(「組合」) 
再審査被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和5年11月22日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、組合からの平成25年8月2日付けから同28年3月9日付けまでの便宜供与要求、賃金差別是正要求等を議題とする団体交渉申入れ(本件各団交申入れ)に応じなかったことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事案である(本件申立て)。
2 初審東京都労委は、平成27年12月12日以前に申し入れた団体交渉に係る申立てを却下し、その余の申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。 
命令主文要旨  (1) 本件再審査申立てを棄却する。
(2) 初審命令の主文を次のとおり訂正する。
 ア 平成27年3月5日までの各団体交渉申入れに係る申立てをいずれも却下
 イ その余の申立てをいずれも棄却 
判断の要旨  (1) 本件申立ての申立期間に係る適法性
 本件申立ては平成28年12月12日にされているところ、本件各団交申入れのうち、同27年12月16日以後の団交申入れは同27年12月11日以降にされているから、これらに係る本件申立ては労働組合法(労組法)第27条第2項の申立期間内のもので、適法である。これに対し、本件各団交申入れのうち、同27年3月5日までの団交申入れに係る本件申立ては同年12月10日以前のものであり、これらに係るものは同項の申立期間を徒過しているから、不適法として却下を免れない。
(2) 平成27年12月16日以後の団交申入れに会社が応じないことの不当労働行為該当性
 本件各団交申入れの団体交渉議題のうち便宜供与要求についてみると、本議題は、いずれも組合による会社施設の利用に関する事項であるところ、平成25年1月以降は会社で就労する組合員はいなくなったのであるから、会社が、施設管理・機密保持等の観点から、組合による会議室の利用を認めない等の措置をとったことには相応の合理的な理由があると認められる。そして、会社は組合に対し、上記のような措置をとること及びその理由を何度も説明してきたこと等に照らせば、本議題に係る同27年12月16日以後の団交申入れの時点で、組合と会社が団体交渉を行うことにより進展が見込まれるような状況にあったとはいえず、改めて団体交渉を行っても問題を解決する余地は乏しかったといわざるを得ない。
 そうすると、本議題の団体交渉の必要性について会社が疑問を持ったことには相応の根拠があり、会社が上記疑問を解消するために組合に対し団体交渉事項の趣旨、目的等を明らかにするよう求めたのは合理的な対応であるといえる。しかるに、組合は会社の上記質問の趣旨に沿った具体的な対応をしていない。
 したがって、組合からの本議題に係る同27年12月16日以後の団交申入れに会社が応じなかったことに正当な理由がないとは認められない。
 その余の団体交渉議題についても同様であり、会社が組合からの各議題に係る同27年12月16日以後の団交申入れに応じなかったことにはいずれも正当な理由がないとは認められないから、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当しない。
(3) 結論
 上記(1)のとおり、本件申立てのうち平成27年3月5日までの団交申入れに係るものは、不適法として却下を免れない。また、上記(2)のとおり、本件申立てのうち同27年12月16日以後の団交申入れに係るものは、理由がないから棄却すべきである。
 したがって、初審命令は相当であって、本件再審査申立ては理由がないから棄却することとする。なお、初審命令の主文の趣旨を明らかにするため、これを上記命令主文要旨(2)のとおり訂正する。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成28年(不)第86号 却下・棄却 令和2年1月21日