労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和3年(不再)第36号・第40号
白百合クリーニング不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合(「組合」)(36号)、Y会社(「会社」)(40号) 
再審査被申立人  Y会社(「会社」)(36号)、X組合(「組合」)(40号) 
命令年月日  令和5年8月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、①中央労働委員会が、中労委平成29年(不再)第12号事件(前件再審査)の手続において、平成30年5月2日付け和解勧告書により、組合、会社並びに組合員A1及びA2に対し和解を勧告し、四者がこれを受諾し成立した和解(本件和解)を履行していないこと、②第43回、第44回、第45回、第46回及び第48回の各団体交渉において、不誠実に対応したこと、③組合員A2の連絡先をマネージャー名簿に記載しなかったこと、④法人設立30周年記念式典に関して、組合員A1及びA2に対して、役割分担の事前の連絡又は作業指示を行わなかったこと、並びに組合員A2に対して、服装の事前の連絡を行わなかったこと、⑤従業員Cに対して注意指導を行ったことが、労働組合法(労組法)第7条第1号及び第3号(②については、同条第2号及び第3号)の不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審東京都労委は、会社が、上記②の各団体交渉のうち、第44回団体交渉において、組合員A1の工場顧問就任通知に係る議題に対して、交渉に応じる姿勢を示さなかったことが、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるとして、会社に対し文書の交付等を命じ、組合のその他の申立てを棄却したところ、組合及び会社は、それぞれ再審査を申し立てた。 
命令主文  本件各再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  (1) 争点1(会社は、本件和解を履行したか。履行していない場合、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか。)について
 組合員A1の工場長、組合員A2のマネージャーの職を解任する配置転換が平成26年9月16日に行われたが、組合は、組合員A1及びA2に関して、和解条項に定める以外の処遇は、配置転換前の原職に戻すという趣旨で本件和解に合意をしたと主張する。しかし、和解条項には、それぞれ原職ではなく新たな職に任じる旨定められていることから、組合の上記主張は採用することができない。
 以上を踏まえ、会社が和解条項を履行しなかったと認めることはできない。また、他に組合の組合員であることを理由として不利益に取り扱った事情も認められない。
 したがって、会社の対応は不当労働行為に当たらない。
(2) 争点2(第43回、第44回、第45回、第46回及び第48回の各団体交渉における会社の対応は、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たるか。)について
 各団体交渉における会社の対応について検討するに、第44回団体交渉の議題である組合員A1に係る工場顧問就任の通知について、会社は、使用者の専権事項であるから、交渉における会社の対応は不当労働行為に当たらないと主張する。
 しかし、当通知については、和解条項に明記されたものであるから、会社だけの問題ではなく、労使の合意事項と解すべきである。したがって、組合が、その通知の内容や通知する範囲について団体交渉を求めた場合には、会社は、それらについて、組合と真摯な態度で交渉する必要がある。
 しかるに、交渉に応じる姿勢を示さなかった会社の対応は、不誠実であり、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
 しかしながら、その余の各団体交渉における会社の対応は、不当労働行為に当たらない。
(3) 争点3(会社が組合員A2の連絡先をマネージャー名簿に記載しなかったことは、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか。)について
 会社は、組合員A2と他のマネージャーとの職務内容及び権限が異なることを根拠として、組合員A2についてマネージャー名簿(緊急連絡網及びマネージャー連絡順序)に記載しなかったことは、相応に合理的なものである。他に会社が、組合の組合員であることにより、これらの記載から外したという事情も認められない。
 したがって、会社の対応は不当労働行為に当たらない。
(4) 争点4(法人設立30周年記念式典に関する会社の組合員A1及び組合員A2への対応は、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか。)について
 法人設立30周年記念式典における役割分担や服装に関する会社の組合員A1及びA2への対応について、会社が、意図的に役割分担の業務指示をしなかったことや、組合員A2に対して意図的に他と異なる服装着用の指示をしたことを推認することはできず、他に組合主張の事実を認めるに足りる証拠はない。
 したがって、会社の対応に不当労働行為が成立する余地はない。
(5) 争点5(会社が平成30年7月16日に従業員Cに対して注意指導を行ったことは、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか。)について
 勤務時間外に店内でカーテンの設置を行った従業員Cに対して、会社が、労働時間管理や施設の適切な管理等の観点から、注意指導を行ったことに理由がないとはいえず、これを書面で行ったことが不合理であるということも困難である。
 したがって、会社の行為は不当労働行為に当たらない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委令和元年(不)第33号 一部救済 令和3年7月6日
 
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