労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和4年(不再)第35号
SOMPOケア不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合員 
再審査被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和5年5月24日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、①X組合員を雇止めあるいは解雇したこと(「本件解雇等」)、②団体交渉において会社に責任を持つ者を参加させない等の対応をしたことが不当労働行為であるとして、A労働組合が、神奈川県労委に救済申立てを行った事件である。
2 初審神奈川県労委は、本件解雇等に係る申立て及び令和元年10月7日以前に行われた団体交渉に係る申立てを申立期間徒過により却下し、その余の申立てを棄却した。X組合員がこれを不服として、再審査を申し立てた。なお、上記1②に係る部分は本件再審査申立ての対象となっていない。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  (1) 本件解雇等が、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に該当するか。
ア 労組法第27条第2項は、労働委員会に対する不当労働行為の審査事件の申立期間を、行為の日(継続する行為にあってはその終了した日)から1年と定める。本件では、会社がX組合員を平成31年4月15日付けで雇止めしたことあるいは同月16日に解雇したこと(本件解雇等)は、本件初審申立ての令和3年2月9日よりも1年以上前に行われて終了した明確な一回限りの行為であるから、「継続する行為」には当たらない。したがって、当該行為に関する本件初審申立ては同項に定める申立期間の経過後にされたもので、却下を免れない。
イ X組合員は、会社は、第1回団体交渉から第4回団体交渉まで、X組合員を解雇に追い込もうという一貫した意思に貫かれて嘘を言い続け、不当労働行為を行い続けたのであるから、会社の行為は「継続する行為」であり、却下は不当である旨主張するが、雇止めないし解雇は会社が行う1回限りの行為であり、本件解雇等に係る団体交渉とは異なる別個の独立した行為である。そして、会社は、第1回団体交渉の前には既にX組合員を雇止めないし解雇していたのであるから、その後の団体交渉で会社がX組合員を解雇に追い込む行為を行う必要性は認めがたい。また、証拠を精査しても、第1回から第4回までの団体交渉において、会社の行為が、X組合員が主張する、X組合員を解雇に追い込もうという一貫した意思に貫かれた「継続する行為」と認めることはできない。
ウ 以上のとおり、本件初審申立てが、本件解雇等に係る行為のあった日から1年を経過した後の申立てであることは明らかであるから、本件初審申立てのうち本件再審査申立てに係る部分を却下した初審の決定は相当である。
(2) 本件再審査申立てに係る部分の本件初審申立ては労組法第27条第2項により却下されるべきものであるから、その余を判断するまでもなく本件再審査申立ては棄却されるべきものであるが、本件審査の経緯に鑑み念のため判断するに、本件解雇等は、X組合員が組合員である故の不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入と認めることはできない。
ア 組合が会社に対してX組合員に関する最初の連絡を行ったのは令和元年6月1日付け「団体交渉申し入れ書」送付時であり、その他、同日以前に会社がX組合員の組合加入を知っていたと認めるに足りる証拠はないのであるから、それ以前の平成31年4月15日ないし同月16日に行われた本件解雇等が、組合の組合員であるが故をもって行われたと認めることはできない。その他、証拠を精査しても、会社が、X組合員が組合員であることの故をもって不利益な取扱いをしたと認めることはできない。
イ X組合員は、会社がX組合員を解雇したことは、組合の運営に対する支配介入であると主張するが、会社がX組合員を解雇した平成31年4月16日時点では、会社はX組合員が組合に加入したことを知らなかったのであるから、会社がX組合員を解雇した行為は、組合の運営に対する支配介入と認めることはできない。その他、証拠を精査しても、会社が組合の運営に対する支配介入を行ったと認めることはできない。
(3) 以上のとおりであるから、初審命令のうち、本件再審査申立てに係る部分についての判断は相当であり、本件再審査申立てには理由がない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川県労委令和3年(不)第3号 棄却・却下 令和4年6月24日
 
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