労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和3年(不再)第39号
日本郵便(再雇用団交)不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合(「組合」) 
再審査被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和5年6月7日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、別件地位確認等請求訴訟の最高裁判所判決で雇止めが適法であることが確定した組合員Aの復職・再雇用等を議題とする組合の団体交渉申入れに応じなかったことが不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事案である。
2 初審東京都労委は、本件申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  (1) 雇用関係終了後の団体交渉応諾義務について
 労働組合法第7条第2号において、使用者が団体交渉を義務付けられる相手方は、原則として、現に使用者と労働契約関係にある労働者の代表者(労働組合)をいうものである。
 ただし、同法第7条第2号が基礎として必要としている雇用関係は、現に労働契約関係が存続している場合にのみ認められるのではなく、解雇され又は退職した労働者の加入する労働組合が解雇の撤回や退職条件あるいは労働契約存続中の労働条件などに関して、なお団体交渉において解決すべき事項について交渉を申し入れた場合には、当該組合員は同号の「使用者が雇用する労働者」に当たり、使用者は団体交渉応諾義務を負うと解される。
(2) 組合員Aが「使用者が雇用する労働者」に当たるかについて
ア 本件においては、別件最高裁判所判決により、組合員Aの雇止めが適法であり、有期労働契約が期間満了によって終了したことが法律上確定しているから、本件団体交渉申入れの時点において、組合員Aは、現に会社と労働契約関係にある労働者であったとはいえない。
イ 本件団体交渉申入れの議題である①組合員Aの復職・再雇用、②組合員Aの雇止めの際の説明、③人手不足の説明、④ビラ回収行為及び⑤団体交渉ルールの5項目になお団体交渉において解決すべき事項があるか否かについては、議題①は、労働契約終了を前提とする組合員Aの雇入れに係る事項は、組合員Aの雇止めの撤回や退職条件あるいは労働契約存続中の労働条件などに関してなお団体交渉において解決すべき事項とはいえない、議題②は、組合員Aの雇止めに際して会社は必要な説明を行っており、このことは、別件地位確認等請求訴訟の一連の判決により既に明らかにされ、それを踏まえ、別件最高裁判所判決により、組合員Aらに対する雇止めが適法であることが確定していることからすれば、なお団体交渉において解決すべき事項とはいえない、議題③は、別件最高裁判所判決では、S支店においては後補充が困難な状況にはなかったとの事実等を踏まえて、組合員Aに対する雇止めを適法と判断しているのであるから、別件最高裁判所判決によって解決済みであるといわざるを得ず、なお団体交渉において解決すべき事項とはいえない、議題④及び議題⑤は、いずれも組合員Aの雇止めの後に生じた事項であるから、組合員Aの雇止めの撤回や退職条件あるいは労働契約存続中の労働条件などに関してなお団体交渉において解決すべき事項とはいえない。
 以上によれば、これらの議題について、組合員Aは労働組合法第7条第2号の「使用者が雇用する労働者」には該当しない。
(3) 結論
 以上のとおり、本件団体交渉申入れの各議題について、組合員Aは労働組合法第7条第2号の「使用者が雇用する労働者」には該当せず、組合は、組合員A以外に会社の雇用する労働者を組織していないのであるから、組合は会社の「雇用する労働者の代表者」であるとはいえず、会社が本件団体交渉申入れに応じなかったことは労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当しない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委令和元年(不)第48号 棄却 令和3年8月17日
 
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