労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成28年(不再)第15号
EMGマーケティング(東京再雇用拒否)不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合(「組合」) 
再審査被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和5年1月11日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、組合の組合員A1及びA2が会社を定年退職したところ、会社の定年退職者再雇用制度の再雇用基準を満たしていないとして両名を再雇用しなかったことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事案である。
2 初審東京都労委は、組合の救済申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  (1) 組合員A1及びA2の評価対象期間の業績評価の妥当性について
ア 組合員A1
 ①担当していた業務は、いずれも定型的な業務であり、その業務量も他の専門職従業員と比較して少なかったこと、②新たな業務やプロジェクト業務を任されることはなかったこと、③専門職が評価期間中の業績等を記載して直属の上司に提出する書面について、内容を記載して提出することを拒んでいたことから、上司が当該書面を全て記載して提出したこと等の事実に照らすと、会社が所定の手続として行った順位付け及び評価は、組合員A1の勤務状況及び評価を受ける態度を反映したものということができるのであって、業務を遂行するに当たって、大きなトラブルやミスはなかったことを考慮しても、会社が平成18年ないし同20年の各年における組合員A1の業績評価をいずれも標準を下回る3.5の評価区分としたことは妥当でないとはいえず、会社の裁量の範囲を逸脱した業績評価ではなかったというべきである。
イ 組合員A2
 ①業務量は他の従業員と比べて著しく少なく、また、無断欠勤をすることがあったこと、②書類の転送が滞ったり、請求書の転送が遅れて取引先からクレームを受けたりしたことがあったこと、③欠勤している間に他の従業員が代わりに転送した文書について確認をしていなかったこと、④業務量を増やすことについて組合を通して話をしてほしいという態度を取っていたこと、⑤上司に対し、廃棄してはいけない文書を廃棄してよい旨回答したこと等の事実に照らすと、会社が所定の手続として行った評価は、組合員A2の勤務状況を反映したものということができるのであって、タイの政情不安による空港封鎖により、現地事務所において混乱が生じないように手配をしたりしたことがあったことを考慮しても、会社が平成19年ないし同21年の各年における業績評価をいずれも標準を下回るCの評価区分としたことは妥当でないとはいえず、会社の裁量の範囲を逸脱した業績評価ではなかったというべきである。
(2) 不当労働行為意思の有無について
 組合と会社との間の従前の労使関係についてみると、結成直後からチェック・オフをめぐる争いがあり、その後も、争議行為時における組合員の懲戒解雇等の多くの争いがあり、本件再審査結審時においても、組合又はその下部組織が当事者となっている再審査申立事件は本件を含め14件が当委員会に係属中である。
 しかし、従前の労使関係及び組合員A1及びA2の組合役員歴を考慮しても、上記(1)のとおり、同人らの評価が妥当でないとはいえず、不当労働行為意思をうかがわせる事情もないから、会社が、同人らが組合の組合員であることないし組合活動を行ったことを理由として低い評価をしたものということはできない。
(3) まとめ
 以上のとおり、会社が組合員A1及びA2を再雇用しなかったことは、同人らが会社の定年退職者再雇用制度の再雇用基準を満たしていないとして行ったのであって、同人らが組合の組合員であることないし組合活動を行ったことを理由とするものではなく、労働組合法第7条第1号の不当労働行為に該当しない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
都労委平成23年(不)第31号 棄却 平成28年2月16日
 
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