労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和3年(不再)第15号
小西生コン不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  Y会社(「会社」) 
再審査被申立人  X組合(「組合」) 
命令年月日  令和4年3月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が組合から令和2年4月29日付けで申し入れられた団体交渉(団交)を新型コロナウイルスの感染症拡大による緊急事態宣言等を理由として、対面による団交に応じなかったことが不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審愛知県労委は、組合からの団交申入れに対する会社の対応は不当労働行為に該当すると判断し、会社に対し、誠実団交応諾及び文書交付を命じた。会社は、これを不服として、再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  ○ 会社による本件団交申入れに対する対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか
団交は、労使双方が同席、相対峙して自己の意思を円滑かつ迅速に相手に直接伝達することによって、協議、交渉を行うことが原則であり、労使双方の合意がある場合又は直接話し合う方式を採ることが困難であるなどの特段の事情がある場合を除いては、書面の回答により団交が誠実に実施されたことにはならないというべきである。本件においては、事実の経過からみて、この点についての労使双方の合意はなかったものと認められることから、直接話し合う方式を採ることが困難であるなど特段の事情の存否について検討する。
確かに、この時期においては、人と人との接触機会を7割から8割削減することを目指した外出自粛が要請されるなど、対面による団交開催について躊躇を覚える状況であったといえる。
しかしながら、この時期においても開催時期の延期の提案や感染対策を講じた上での団交開催が一概に不可能であったとはいえないところ、組合は、組合側の出席者を1、2名程度とし、さらに、「密閉・密集・密接」を避けた上で労使双方の出席者を2名ずつとするとともに、その時点における国及び愛知県の緊急事態宣言の期間満了後である令和2年6月1日を候補日とする提案をしている。このような組合の提案による開催方法は、当時の新型コロナウイルスの感染拡大防止に係る社会状況に対応したものであって、会社に格別過大な負担を課すものとはいえず、会社にとって特に実施困難なものとは認められない。
これに対して、会社は、組合に対する計3回の回答文書において、開催時期の延期や感染対策を講じた上での団交開催を一切提案せず、対面による団交を開催するに及ばない旨述べているにすぎない。また、会社は、ほぼ同時期に組合とは別の労働組合との対面による団体交渉を開催したことも認められる。
以上のことからすれば、本件においては、組合と会社が直接話し合う方式を採ることが困難であるなど特段の事情はなかったというべきである。
以上により、会社による本件団交申入れに対する対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
愛知県労委令和2年(不)第6号 全部救済 令和3年5月17日
 
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