概要情報
事件番号・通称事件名 |
愛知県労委令和2年(不)第6号
不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(組合) |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和3年5月17日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、組合が令和2年4月29日に申し入れた団交について会社が合理的な理由なく拒否したことが不当労働行為に当たる、として申立てがなされた事案である。
愛知県労働委員会は、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、誠実団交応諾及び文書の交付を命じた。 |
命令主文 |
1 会社は、組合が令和2年4月29日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 会社は、組合に対し、下記内容の文書を本命令書交付の日から7日以内に交付しなければならない。
記 貴組合からの令和2年4月29日付けの団体交渉申入れに対する当社の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると愛知県労働委員会によって認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
年 月 日
X組合
執行委員長 A1 殿
株式会社Y
代表取締役 B |
判断の要旨 |
1 団交は、労使双方が同席、相対峙して自己の意思を円滑かつ迅速に相手に直接伝達することによって、協議、交渉を行うことが原則であり、労使双方の合意がある場合又は直接話し合う方式を採ることが困難であるなど特段の事情がある場合を除いては、書面の回答により団交が実施されたことにはならないというべきであるから、本件においては、直接話し合う方式を採ることが困難であるなど特段の事情の存否について検討する。
2 会社は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため可能な限り移動、面会による会議等を避けるよう求められていた令和2年4月及び5月における社会状況により、対面による交渉に応じなかった旨主張する。しかしながら、この時期においても開催時期の延期の提案や感染対策を講じた上での団交開催が一概に不可能であったとはいえず、現に、会社は、組合が5.7団交催促書において候補日とした同年6月1日と、ほぼ同時期である同年5月末頃に他の労働組合との対面による団交を開催したことが認められ、本件においても、組合との間において対面による団交を開催することが可能であったものといえる。
3 組合は、4.29申入書において組合側の出席者を一、二名程度とし、さらに、5.7団交催促書において「密閉・密集・密接」を避けた上で労使双方の出席者を二名ずつとするとともに、その時点における国及び愛知県の緊急事態宣言の期間満了後である同年6月1日を候補日とする提案をしており、このような組合による開催方法は、当時の新型コロナウイルスの感染拡大防止に係る社会状況に対応したものであって会社に対して費用等の過大な負担を課すものではなく、会社にとって特に困難なものとは認められない。
これに対して、会社は、組合に対する計3回の回答文書において、開催延期の提案や感染対策を講じた上での団交開催を一切提案せず、対面による団交を開催するに及ばない旨述べているに過ぎない。
4 以上のことからすれば、本件において組合と直接話し合う方式を取ることが困難であるなど特段の事情は存在しなかったというべきであり、組合に対する、5.7回答文書、5.14回答文書及び5.18回答文書による会社の対応は、正当な理由のない団交拒否であると評価せざるを得ない。
5 したがって、会社による組合からの令和2年4月29日付けの団交申入れに対する会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。 |
掲載文献 |
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