概要情報
事件番号・通称事件名 |
中労委令和2年(不再)第60号
不当労働行為再審査事件 |
再審査申立人 |
X組合(「組合」) |
再審査被申立人 |
Y会社(「会社」) |
命令年月日 |
令和4年1月19日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、法人が、組合員A(「A」)を配置転換し、その後、1年の休職期間満了に伴い自然退職扱いとしたことや、その間の健康保険証及び労災保険の給付に係る取扱い等が不当労働行為であるとして、申立てのあった事件である。
2 初審大阪府労働委員会は、組合の申立ては法定申立期間経過後の申立てであるとして、本件申立てを却下したところ、組合は、これを不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
(1)組合の本件申立ては、労組法第27条第2項の申立期間を徒過していないといえるか。(争点1)
ア.使用者が行った不当労働行為として組合が主張している、①平成29年4月1日付けで、法人がAに配転を命じたこと(争点2)、②同月11日付けのAの健康保険証に関する法人の回答(争点3)、③同月初め頃、B1次長によるAに関わった場合は懲罰委員会にかける等の発言(争点4)、④同年6月27日付けのAの労災保険給付請求手続に係る依頼に対する法人の回答(争点5)、⑤同年10月17日、Aの労災保険の給付請求に関して、東大阪労働基準監督署による法人への聴取時のB1次長及びB2局長の陳述(争点6)、⑥30年6月15日、法人がAを自然退職扱いとしたこと(「本件退職」)(争点7)は、いずれも本件申立ての令和元年7月22日よりも1年以上前の行為である。したがって、組合の本件申立ては、労組法第27条第2項に定める申立期間の経過後にされたものとして却下を免れない。
イ.この点に関し、組合は、Aの休職期間延長の交渉が続いている以上、自然退職は成立していないのであり、本件申立ての却下は不当である旨主張する。
そこでみるに、組合は、法人に対し、本件退職以降も、法人が休職期間延長を認めず自然退職扱いとしたことに同意できないとして抗議を行い、本件退職の撤回を求め、これに対し、法人は組合に回答している。
しかし、本件において、上記法人の組合に対する回答について、組合から新たな法人の不当労働行為の申立てがあったと評価することはできず、また、Aを休職期間満了により自然退職扱いとした法人の行為と上記法人の組合に対する回答が継続した行為とみることもできないのであり、組合の上記主張は採用できない。
ウまた、組合は、法人がAへの精神的圧迫や組合へのネット上の中傷などの攻撃を行い、これは法人による救済申立てへの妨害であり、救済申立てが遅れた原因を誰が作ったのかという側面を見ずに本件申立てが却下されたことは失当である旨主張する。
しかしながら、組合が主張するような法人の行為があったと認めるに足りる証拠はなく、そもそも、労組法第27条第2項の申立期間は法定されたものであり、労働委員会に裁量の余地はないことから、組合の上記主張は採用できない。
(2)以上のとおり、本件申立てが、行為の日から1年を経過した後の申立てであるとして却下した初審決定は相当である。
争点2ないし争点7は、本件申立てが労組法第27条第2項に規定する行為の日から1年を経過していないことを前提とするものであるから、これらの点については判断するまでもない。 |
掲載文献 |
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