概要情報
事件番号・通称事件名 |
大阪府労委令和2年(不)第20号
不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(組合) |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和3年10月1日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、①Y会社が、組合との間で交わした協定書に基づき締結された、組合員が雇用されている申立外C会社との運送委託契約を打ち切ったこと、②その結果、C会社は組合員を整理解雇する通知を行い、そのような状況を受け、組合がY会社に団体交渉を申し入れたところ、Y会社がこれに応じなかったことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
大阪府労働委員会は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも棄却する。 |
判断の要旨 |
1 会社は、組合員Aら12名の労働組合法上の使用者に当たるか(争点1)
(1)組合員Aら12名(以下「Aら」)は、C会社と雇用関係があり、会社とは労働契約を締結しておらず、会社とAらとの間に直接の雇用関係がないことは当事者間に争いがない。
しかしながら、労働組合法第7条の使用者とは、労働契約関係にある者には限られないのであって、労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、同法上の使用者に当たるから、直接の雇用関係がないからといって、直ちに、労働組合法上の使用者性が否定されるとはいえない。
そこで、本件におけるAらに係る労働組合法上の使用者性について検討する。
(2)Aらの就労状況についてみるに、会社は、Aらについて、少なくとも、その採用や就労実態及び本件解雇への関与からみても、現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位になかったと判断される。
(3)次に、協定書と本件運送委託契約の締結についてみるに、協定書や本件運輸運送委託契約の締結及びその経緯を根拠に、会社が、Aらの労働組合法上の使用者に当たるとはいえない。
(4)上記判断より、会社がAらの雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるといえず、会社は、Aらの労働組合法上の使用者に当たるとはいえない。
2 会社が、令和元年5月20日をもってC会社との本件運送委託契約を終了したことは、組合員Aら組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たるとともに、組合に対する支配介入に当たるか(争点2)
3 組合の令和元年11月30日及び同2年1月10日付け団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たるか(争点3)
争点2及び争点3については、会社がAらの労働組合法上の使用者に当たるとはいえないことは、前記1(4)判断のとおりであるから、これらの点に係る組合の申立ては、その余を判断するまでもなく、いずれも棄却する。 |
掲載文献 |
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