労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成22年(不再)第46号
エクソンモービル(19年度一時金等)不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合(「組合」) 
再審査被申立人  Y株式会社(「会社」) 
命令年月日  令和3年4月7日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、平成19年度一時金に関し、組合が提出した確認書の趣旨及び組合の妥結の意思を確認した結果、組合の組合員への同年度夏季一時金の支給日を当初の予定の2週間後に延ばしたこと(本件支給日の延期)が不当労働行為であるとして、申立てがあった事案である。
2 初審東京都労委は、本件申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。
 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  ⑴本件支給日の延期の労働組合法(労組法)第7条第1号該当性について
 本件支給日の延期は、平成19年度夏季一時金の支給日を当初の予定から2週間延期した点において経済的待遇上の不利益取扱いに当たる。
 しかし、①会社が平成19年7月13日の団体交渉(7.13団交)において提示された確認書(7.13確認書)を持ち帰って検討した結果、7.13確認書の「妥結するに当たり」、「確認する」との記載内容から、同確認書の締結が平成19年度一時金の妥結の条件となっているのではないかとの疑問を持ったというのも無理からぬところがあり、会社が上記疑問を解消するために同確認書の趣旨確認を行う必要があると判断したことには相応の合理性があること、②7.13確認書の趣旨確認に至る経緯に照らせば、会社が団体交渉の日程調整の努力を怠ったとはいえないし、同月27日に組合が提出した文書の内容を検討した結果、同確認書の趣旨確認ができたと判断したのも相当であるから、同確認書の趣旨確認及び平成19年度一時金の妥結の意思の確認に2週間余を要したこともやむを得ないこと、③延期した期間も2週間であり、当初の支給予定日(同月31 日)が妥結表明時(同月13日)から2週間以上後のものであったこと等と対比しても不合理なものとはいえないことからすれば、本件支給日の延期には合理性があり、組合の主張する労使の対立関係があったとしても、組合の組合員であることや組合活動を理由としてされたものということはできない。
 組合は、平成19年度一時金が7.13団交において妥結したにもかかわらず、会社が、7.13確認書に難癖を付け、その撤回を強要し、平成19年度夏季一時金の支給を遅延させたのであり、本件支給日の延期は不当労働行為意思に基づくものである旨主張するが、組合の主張は、いずれも採用することができない。
 以上のとおり、本件支給日の延期は、組合の組合員であることや組合活動を理由とした不利益取扱いでなく、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当しない。
⑵本件支給日の延期の労組法第7条第3号該当性について
 組合は、本件はたまたま起きた一過性の事案ではなく、会社の長年にわたる執拗な組合潰し、あるいは組合弱体化攻撃、特に組合に対する兵糧攻め攻撃の一環としてされたものであると主張するが、本件支給日の延期に至る経緯に照らせば、組合と会社との従前の労使関係と平成19年度一時金をめぐる会社の対応との間に因果関係を認めることはできず、本件支給日の延期は、労働組合の運営に対する支配介入に当たらず、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当しない。
⑶結論
 以上によれば、本件救済申立ては理由がないから棄却すべきであるところ、これと同旨の初審命令は相当であり、本件再審査申立てには理由がない。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
エクソンモービル(19年度一時金等) 棄却 平成22年7月20日
 
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