概要情報
事件名 |
エクソンモービル(19年度一時金等) |
事件番号 |
東京都労委平成20年(不)第59号 |
申立人 |
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合 |
被申立人 |
エクソンモービル有限会社 |
命令年月日 |
平成22年7月20日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社は、平成19年度一時金に係る団交で申立人組合が「妥結」を表明したため、その支給予定日を7月31日とする旨を述べた。その数日後、会社は、組合が締結を求めていた「確認書」中の記載から、一時金について妥結したと理解することができないと組合に伝え、さらにその後、一度の団交を経て、7月31日に組合の「妥結の意思」が確認できたとして、8月14日に一時金を支給した。本件は、会社が組合に「妥結の意思」を確認したこと、「確認書」の趣旨を確認したこと、それらに時間を要した結果、一時金の支給日が当初予定から2週間後に伸びたことが、組合員に対する不利益取扱い又は組合の運営に対する支配介入に当たるか否かが争われた事件である。
東京都労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1 平成19年7月13日の団交における妥結と「確認書」について
7月13日の団交において、19年度一時金に係る合意後に妥結の確認をする段階で、組合が、会社に対し、事務技能職の19年度一時期支給率については妥結することができないと解する余地のある「確認書」を事前予告もなく提出したのであるから、団交後に「確認書」の内容を精査した会社が、妥結と合意の成立に疑問を持つのは無理からぬことである。また、組合は、19年度一時金の妥結と同時に「確認書」の締結を求めたのであるから、会社が、「確認書」の締結が妥結の条件であるように認識したとしても、何ら不自然ではない。
2 「確認書」の趣旨確認について
会社が「確認書」の趣旨確認を行ったのは、19年度夏季一時金の支給にあたり、疑問を解消し、組合の妥結の意思を確認するためのものであったと認められる。よって、会社が組合に対し、7月13日の妥結を一方的に否定し、また、団交日程調整の努力を怠ったとはいえず、「確認書」の撤回を要求したり、撤回しなければ一時金を支給しないと強迫したりしたことも認められず、これらに関する組合の主張は、採用できない。
3 妥結の確認と19年度夏季一時金の支給について
会社が組合に最終的な意思確認を求めたのに対し、組合は期限までに回答、すなわち、正式な見解を示さなかったのであるから、会社が「確認書」に係る疑問を解消し、19年度一時金妥結に係る確認をすることができず、その結果として、組合員への7月31日に一時金を支給する手続きを止めたのは無理からぬことである 。
また、その後一度の団交を経て、会社は7月31日に組合の妥結の意思と「確認書」の趣旨が確認できたとして、2週間後の8月14日に一時金を支給したが、妥結から支給までに2週間を要することは従前の例と比較して遅いものではない。 4 組合と会社との労使関係について
従前から、組合と会社との間で労使関係が良好な状態であったとは言い難いが、そのことと19年度一時金支給が当初より遅れたことを結びつけて考えるのは適切ではない。また、会社が、殊更に組合員に対してのみ一時金の支給を遅らせようとしたとみることもできない。
5 不当労働行為の正否について
前記1ないし4のとおり、会社が、7月13日の一時金妥結及び同日付「確認書」の趣旨に疑問を持ち、組合に対してそれらの趣旨確認を行ったこと、その趣旨確認に時間を要した結果、当初7月31日の予定であった組合員への夏季一時金支給が2週間後となったことは、それぞれやむを得なかったものであり、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合運営に対する支配介入には該当しない。
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掲載文献 |
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