概要情報
事件番号・通称事件名 |
岐阜県労委平成30年(不)第1号
不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(組合) |
被申立人 |
Y会社(会社) |
命令年月日 |
令和3年2月9日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、①会社が、C店に勤務していた組合員A2に対し、平成30年4月21日より本店勤務を命ずる配置転換命令を発出したこと、②平成30年10月1日付けでA1組合代表に対し訓戒の懲戒処分を行ったことが不当労働行為に当たる、として救済申立てがなされた事案である。
岐阜労働委員会は、①について労組法第7条第3号、②について同条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、(i)組合の組合員を不当に配置転換し、又は懲戒処分するなどして、組合の組合活動に支配介入することの禁止、(ⅱ)組合の組合員を不当に懲戒処分するなどして、組合の組合員を不利益に取り扱うことの禁止、(ⅲ)組合の代表A1に対する訓戒の懲戒処分がなかったものとしての取扱い、(ⅳ)文書の交付等を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人(会社)は、申立人(組合)の組合員を不当に配置転換し、又は懲戒処分するなどして、申立人の組合活動に支配介入してはならない。
2 被申立人(会社)は、申立人(組合)の組合員を不当に懲戒処分するなどして、申立人の組合員を不利益に取り扱ってはならない。
3 被申立人(会社)は、申立人(組合)の代表A1に対する平成30年10月1日付けの訓戒の懲戒処分がなかったものとして取り扱わなければならない。
4 被申立人(会社)は、本命令書受領の日から1週間以内に、申立人(組合)に対し、下記内容の文書を交付しなければならない。
記 年 月 日
X組合X2支部
代表 A1 殿
株式会社 Y
代表取締役 B
岐阜県労働委員会において、当社が貴組合のA2組合員に対して行なった平成30年4月21日より当社本店勤務を命ずる配置転換命令が労働組合法7条3号(支配介入)の不当労働行為に、また同年10月1日付けで行った貴組合のA1組合員に対する訓戒の懲戒処分が同法7条1号(不利益取扱い)及び同法7条3号(支配介入)の不当労働行為にすると認定されました。
今後は,二度とこのような行為を繰り返すことなく、健全な労使関係の構築及び確保に努めることを約束します。
5 被申立人(会社)は、前項の文書交付義務を履行したときは、速やかに,当委員会に対し、文書でその旨を報告しなければならない。
6 申立人(組合)のその余の救済申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 本件配転命令は労組法7条3号の支配介入に該当するか否かについて(争点1)
本件配転命令には必要性も補充性もなく、本件配転命令は、A1代表が過半数代表に選出されないようにすること、A1から同人に与する者を引き離し、あるいは無くして組合を弱体化させることを目的としてなされたものであると推認せざるを得ない。
よって、本件配転命令は組合に対する支配介入に該当する不当労働行為であると解すべきである。
2 本件懲戒処分は労組法7条1号の不利益処分及び同条3号の支配介入に該当するか否かについて(争点2)
会社は、A1代表に非違行為が認められないか、又はその存在を認めるに足りる証拠がないにもかかわらず、更に調査を尽くさずして、そしてまたA1代表に弁明の機会を与えることなく、本件処分に及んだものといわざるを得ない。
本件懲戒処分は、A1代表が組合員であることを理由として組合代表に不利益を科す意図があったからであり、こうした圧力又は牽制をかけることによって組合活動を制約又は制限し、組合の弱体化又は解体等を図らんとしたからに他ならないと推認することができる。
本件懲戒処分は、A代表に対する不利益取扱いにあたるとともに、組合に対する支配介入にも該当する不当労働行為であると解すべきである。 |
掲載文献 |
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