労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和2年(不再)第22号
共立メンテナンス不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X株式会社(「会社」) 
再審査被申立人  Y組合(「組合」) 
命令年月日  令和3年4月7日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、組合からの平成31年4月1日付け、令和元年5月23日付け及び同年7月25日付け要求書(以下、総称して「本件要求書」という。)に係る団体交渉(以下「団交」という。)申入れに対して応じなかったことが、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てがされた事案である。
2 初審大阪府労委は、会社に対し本件要求書に係る団交応諾並びに文書手交及び掲示を命じる旨の命令を交付した。会社は、これを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  (1) 組合は、労組法第2条及び第5条の要件を満たすかについて
ア(ア) 団交申入れ時の組合規約(以下「当初組合規約」という。)によれば、組合は労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体(労組法第2条本文)といえ、使用者の利益を代表する者は含まれておらず、その後改正された組合規約(以下「改正後組合規約」という。)によっても上記の諸点に変わりはない。したがって、組合は労組法第2条の要件を満たす。
 (イ) 会社は、当初組合規約は労組法第5条第2項の要件を満たさない不備があり、当該規約により運営されている組合は労組法第2条が定める自主性要件を満たさない旨主張するが、当初組合規約は改正されている(下記イ(イ))ほか、労組法第5条第2項の要件を満たさない状態が直ちに同法第2条の要件をも満たさない状態になるものではない。
 また、会社は、組合は規約の補正について会社に教示を求めており、自主的運営をする意思があるとはいえない旨主張するが、組合が教示を求めた書面は全体として会社の対応を非難する内容となっており、会社から独立して自主的運営をする意思がないとは認められない。
イ(ア) 改正後組合規約は、労組法第5条第2項各号所定の規定を含むものであって、組合は労組法第 5 条の要件を満たす。
 (イ) 会社は、当初組合規約が労組法第5条第2項の要件を満たさないとの不備を指摘するが、再審査結審時において当初組合規約は改正され、不備が全て是正された改正後組合規約となっている。
 また、会社は、改正後組合規約は改正手続において瑕疵があり、改正の決議は無効である旨主張するが、規約改正は労組法所定の手続に則って行われており、有効である。
ウ 上記ア、イによれば、組合は、労組法第2条及び第5条の要件を満たす。
(2) 本件要求書に係る団交申入れに対する会社の対応は、 正当な理由のない団交拒否の不当労働行為に当たるかについて
ア 会社は、 当初組合規約に不備がある上に、 組合は規約の補正について会社に教示を求める姿勢であったことから組合が自主性や民主性があるものとは認識できず、 団交に応じることができなかったものであり、 その対応には正当な理由があると主張する。
 しかし、 当初組合規約には組合員の平等な権利等の民主的な規定があり、 会社においても、組合が民主性を全く欠いていたとまでは認識していなかったものと認められる。 また、 組合が会社に教示を求めた書面の内容(上記(1)ア(イ))からすれば、組合に自主性があるものとは認識できなかったとの会社の主張は採用できない。
 したがって、 会社の対応に正当な理由は認められない。
イ 会社は、組合は団交申入れの時点において労組法第2条及び第5条の要件を満たさないのであるから、 労働組合についての保護は一切及ばないのであって、 会社の対応について不当労働行為は成立しないと主張する。
 しかし、組合が労組法第2条の要件を満たすことは上記(1)アのとおりであり、第5条の要件については、 確かに団交申入れ時点の組合規約である当初組合規約は同条第2項の要件を欠いていたものの、その後、同項に適合する改正後組合規約に改正されているのであるから、会社の行為について不当労働行為は成立し得るのであって、 会社の主張は採用できない。
ウ 上記ア、 イによれば、 本件要求書に係る会社の対応は、 正当な理由のない団交拒否の不当労働行為に当たる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委令和元年(不)第30号 全部救済 令和2年4月20日
 
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