労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委令和元年(不)第32号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y法人(「法人」) 
命令年月日  令和2年6月15日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、組合が、法人に対し、組合員2名の解雇に係る団体交渉を申し入れたところ、法人は、同人らが組合の組合員であるか否かが明らかではないとして、組合員名簿等の提出を求め、団体交渉に応じないことが、不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
 大阪府労働委員会は、法人に対し、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、団交応諾とともに、文書の手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成31年4月18日付け、令和元年5月16日付け、同月22日付け及び同年6月5日付けで申し入れた団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
 年 月 日
組合
 執行委員長 A1様
法人       
理事長 B
 当法人が、貴組合から平成31年4月18日付け、令和元年5月16日付け、同月22日付け及び同年6月5日付けで申入れのあった団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 
判断の要旨  争点(平成31年4月18日付け、令和元年5月16日付け、同月22日付け及び同年6月5日付けの団交申入れに対する法人の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為に当たるか。)について
1 31.4.18団交申入書、1.5.16団交申入書及び1.5.22団交申入書には、A2組合員らの解雇撤回を求め団交を申し入れる旨記載されていることが認められ、A2組合員らの解雇後であっても、組合の申入事項は、組合員の労働条件等に関する事項であって、また、使用者の処分可能な事項であるから、義務的団交事項であるといえる。
 また、1.6.5団交申入書には、①改めて団交を申し入れる旨、②資料提出がなければ団交に応じないのか明確に意思表示するよう求める旨記載されており、申入事項の記載はないものの、31.4.18団交申入書、1.5.16団交申入書及び1.5.22団交申入書に続いて行われたものであり、申入事項は同じと考えられる。
 したがって、法人が正当な理由なく、本件団交申入れに応じなければ、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為となる。
2 組合は、31.4.18団交申入書において、A2組合員が組合分会の委員長である旨、(個人加盟の組合が加盟している)C組合の組合員であるA2組合員らの解雇撤回を求め団交を申し入れる旨を記載しているのであるから、組合は、法人に対し、A2組合員らが組合の組合員であることを明らかにしていたとみることができる。さらに、組合は、法人の求めに応じ、1.5.16団交申入書に、組合に所属する組合員として、A2組合員らの氏名をそれぞれ明記しており、法人は、A2組合員らが組合の組合員であることを容易に確認できたといえる。
 したがって、法人が、組合に対し、組合がA2組合員らを代表する組合であるか否か確認を行うため、組合員名簿等の資料の提出を求めたことについて、正当な理由はない。
3 以上のことから、本件団交申入れの議題は、義務的団交事項であるところ、組合が、法人に対し、A2組合員らは組合の組合員であることを明らかにしているにもかかわらず、法人は、組合に対し、正当な理由なく、組合員名簿等の資料を提出するよう執拗に求め、団交に応じなかったといえる。したがって、本件団交申入れに対する法人の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委令和2年(不再)第27号 棄却 令和3年6月16日
 
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