事件番号・通称事件名 |
中労委平成30年(不再)第14号
JXTGエネルギー(鶴見団交拒否)不当労働行為再審査事件 |
再審査申立人 |
X労働組合京浜支部連合会(以下「組合」) |
再審査被申立人 |
Y2株式会社(Y1合同会社承継人)(以下「会社」) |
命令年月日 |
令和2年3月4日 |
命令区分 |
一部変更 |
重要度 |
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事件概要 |
1
本件は、会社が、組合からの平成25年11月28日から同27年4月22日までの鶴見潤滑油工場への入構妨害、会議室の使用等を議題とする団体交渉申入れ(本件各団交申入
れ)を拒否したことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事案である。
2
初審神奈川県労委は、組合の申し入れた団体交渉事項中、会議室の使用等に係る申立てを却下し、その余の申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立
てた。
3 再審中労委は、初審命令を変更した。 |
命令主文 |
初審命令を次のとおり変更する。
1 平成25年11月28日付け、平成26年1月9日付け、同年2月20日付け、同年4月11日付け、同年6月5日付け、同
年7月17日付け、同年8月11日付け及び同年10月3日付けの各団体交渉申るれに係る申立てを却下する。
2 その余の申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 本件申立ての申立期間に係る適法性について
本件申立ては平成27年12月4日にされているところ、本件各団交申入れのうち、同年2月26日付け以降の各団体交渉申入
れは同26年12月4日以降にされているから、これらに係る本件申立ては労働組合法(労組法)第27条第2項の申立期間内の
もので、適法であるこれに対し本件各団交申入れのうち。、
、同25年11月28日付けから同26年10月3日付けまでの各団体交渉申入れは同年12月3日以前のものであり、これらに係る本件申立ては同項の申立期間を徒過している
から、不適法として却下を免れない。
2 本件各団交申入れに会社が応じないことは労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるかについて
本件各団交申入れの団体交渉議題のうち便宜供与に関する事項(組合室及び組合掲示板貼り替えのための入構妨害、会議室の使
用等)についてみると、会社が組合に対し、組合員が鶴見潤滑油工場に立ち入る際に事前に会社に申し込むこと等を求めたのは、
組合には会社に従業員籍を有する組合員がいなくなることを受けたものであり、組合員の同工場への入構に際し、外来者と同様の
一定のルールの遵守を求めたのは、施設の安全管理の必要性等の観点から採られた措置として相応の合理性があったというべきで
ある。また、組合は、新たに会議室の使用を必要とする具体的理由を会社に述べていないことなどからみて、会社が組合に対し新
たな便宜供与として会議室の使用を認めなかったことには相応の理由があったというべきである。
以上の状況において、同各議題が団体交渉事項たり得るかについて会社が疑問を持ったことには相応の根拠があり、会社が上記
疑問を解消するために組合に対し団体交渉事項の趣旨、目的等の質問をしたのは合理的な対応であるといえる。しかるに、組合は
会社の上記質問の趣旨に沿った具体的な対応をしていない。これらの事情の下では、組合からの同各議題に係る平成27年2月
26日以降の各団体交渉申入れに会社が応じなかったことには正当な理由があったといえる。
その余の団体交渉議題についても同様であり、会社が組合からの同27年2月26日以降の各団体交渉申入れに応じなかったこ
とにはいずれも正当な理由があるから、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当しない。
3 結論
上記(1)のとおり、平成26年10月3日付けまでの各団体交渉申入れに係る本件申立ては、不適法として却下を免れない。
また、上記(2)のとおり、同27年2月26日付け以降の各団体交渉申入れに係る本件申立ては、理由がないから棄却すべきで
ある。これと一部異なる初審命令は相当でないから、初審命令を主文のとおり変更する。 |
掲載文献 |
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