労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成29年(不再)第36号
山陽新聞社不当労働行為再審査事件
再審査申立人  X組合 
再審査被申立人  Y会社 
命令年月日  平成30年11月7日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、①労働協約に反し、あっせん申請に応じず、一時金に係る紛議をあっせんで解決する機会を奪ったこと、②あっせんの「不調」の確認を不可能にし、組合の争議権の行使を阻害したこと、③一時金団交において、8か月分合意の存在を否定し、平成26年及び平成27年各季一時金を3.6か月分と提案し、これに固執したこと等が、不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
 初審岡山県労委はXの申立てを棄却したところ、Xはこれを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文   本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  争点1 会社が本件各あっせん申請に応じなかったかったことは、労働協約に反し、労働委員会のあっせんで解決する機会を奪う支配介入に当たるか
ア 会社があっせんの場に出席して誠実に交渉し、労使紛争の解決を図ることは、一般論として、もとより望ましい対応であるとしても、労働協約が、会社にあっせんに応じる義務を定めたものとはいえない。
イ 本件各あっせん申請の調整事項のうち一時金の支払を求める部分については、直近の団体交渉においてすでに行き詰まりの状態に達していただけでなく、実質的にはすでに一応の解決を見た平成23年各あっせん申請に係る調整事項の蒸し返しにも似た側面があったと言わざるを得ない。
ウ 会社が本件各あっせん申請に出席せず、応じなかったことは、労働協約に違反するとはいえず、またその他の事情を見ても、組合が労使間の紛議を労働委員会のあっせんで解決する機会を奪い、組合の交渉上の立場を著しく不安定にすることによって、組合を弱体化する行為とは認められないから、支配介入には当たらない。
争点2  会社が本件各あっせん申請に応じなかったことは、労働協約に照らし、組合の争議権を制約する支配介入に当たるか
ア 会社が本件各あっせん申請に出席しないことにより、組合の争議権が制約されるということはない。
イ 組合の認識という点から見ても、あっせん不開始や打切りの場合にスト権が制約されるとの認識があったとは言い難い。
ウ 会社があっせんに出席せず、応じなかったことが組合の争議権を制約する支配介入に当たるとは評価できない。
争点3 会社が、本件各一時金団交において、8か月分合意の存在を否定し、平成26年及び平成27年各季一時金をそれぞれ3.6月分と提案し、これに固執したことは、不誠実な団体交渉に当たるか
ア 労使協議会においても覚書締結の際等にも、8か月分合意が成立したとはいえず、会社にそのような信義則上の支払義務が発生しているということもできない。
イ 平成26年及び平成27年各季一時金を3.6か月分と提案し、譲歩できないことについて、会社は設備投資に資金投入する必要性等について具体的に説明している。
ウ 会社が、本件各一時金団交において、8か月分合意の存在を否定し、平成26年及び平成27年各季一時金をそれぞれ3.6か月分と提案し、譲歩しなかったことは、不誠実とはいえない。
争点4  8か月分合意の存在が認められる場合、本件各一時金団交における会社の対応は、支配介入に当たるか
ア 8か月分合意は存在せず、また、会社が信義則上の支払義務を負うとは認められないことは、争点3で判断したとおりである。
イ 本件各一時金団交における会社の対応は、不誠実とはいえない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
岡労委平成26年(不)第3号・27年(不)第1号・28年(不)第2号 棄却 平成29年6月22日
 
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