概要情報
事件番号・通称事件名 |
中労委平成29年(不再)第56号
ツクイ不当労働行為再審査事件 |
再審査申立人 |
X組合 |
再審査被申立人 |
Y会社 |
命令年月日 |
平成30年8月1日 |
命令区分 |
棄却・却下 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、Yが、①平成25年1月1日に就業規則を変更し、送迎職員の満70歳定年制等を新たに規定したこと、②同規定に則り、送迎職員でXの執行委員長Aを満70歳となる平成28年4月30日付けで定年退職としたこと、③同規定中の満73歳までの契約更新条項をAに適用しなかったこと、また、事業所長らをして平成26年1月頃から平成27年5月頃までの間、④組合員に対して組合からの脱退勧奨を行ったこと、⑤組合員に対して嫌がらせを行ったことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
2 初審茨城県労委は、不当労働行為に該当しないとして、救済申立てをいずれも棄却したところ、Xはこれを不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件初審命令主文を次のとおり変更する。
.(1) 本件救済申立てのうち、Yが、就業規則に則り、Xの執行委員長Aを満70歳で定年退職とし、同規定中の満73歳までの契約更新をAに適用しなかったことに係る本件救済申立てをいずれも棄却する。
(2). その余の本件救済申立てを却下する。 |
判断の要旨 |
争点1 Yが、①平成25年1月1日に就業規則に送迎職員の満70歳定年制等を規定したこと、②同規定に則り、執行委員長Aを満70歳となる平成28年4月30日付けで定年退職としたこと、③同規定中の満73歳までの契約更新条項をAに適用しなかったことは、労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか
ア 就業規則に送迎職員の満70歳定年制等を規定したことは、その行為の日から救済申立日までに1年以上を経過したものと認められる。
イ Xの執行委員長Aを満70歳となる平成28年4月30日付けで定年退職としたこと自体は、組合結成前に改定された就業規則を適用した結果に基づくものというほかなく、他に特段の事情が認められない。以上によれば、労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に違反するということではできない。
ウ Xの執行委員長Aは、運転技術、健康状態及び勤務態度のいずれも問題を抱えていて、総合判断として模範運転者とは評価できず、定年後の契約更新を規定する就業規則の要件を満たしていない。そして、定年後の契約更新をしなかったことが、同人が組合員であることやその組合活動を理由とするものであるとか、組合への支配介入として行われたことを疑わせるような事情は一切認められない。以上によれば、Aに対して契約更新条項を適用しなかったことは労働組合法第7条1号及び第3号の不当労働行為には違反するということではできない。 争点2 Yが、事業所長らをして平成26年1月頃から平成27年5月頃までの間、④組合員に対してXからの脱退勧奨を行ったかどうか、⑤組合員に対して嫌がらせを行ったかどうか、仮にこれらの行為が行われていた場合、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか
Xが不当労働行為であると主張する事実は、いずれもその行為の日から救済申立日までに1年以上を経過しているものと認められる。
そうすると、争点2に係る救済申立ては、労働組合法第27条2項及び労働委員会規則第33条1項第3号により却下すべきことになる。 |
掲載文献 |
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