労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  茨労委平成28年(不)第2号
(株)ツクイ不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年10月19日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、被申立人が、①短時間勤務の有期雇用従業員を対象とした就業規則に送迎職員の満70歳定年制を新たに規定し、A1委員長にこれを適用し同人を定年退職としたこと又は同規則の満73歳までの契約更新条項を同人に適用しないこと、②申立人組合員らに対する組合脱退勧奨や嫌がらせを行ったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、茨城県労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文   申立人の請求をいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 本件就業規則に送迎職員満70歳定年制を規定し、A1委員長に適用したことは、労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか(争点1-ア)
 申立人は、被申立人の実施した変更手続に係る意見聴取について、過半数代表者が、B2事業所長の指名を受けた者で、またその身分が正規社員であり、パート従業員の過半数代表にならないこと等の主張に終始しており、申立人からは、不当労働行為の成立要件に係る具体的な主張がなされていない。
 本件送迎職員満70歳定年制は、被申立人が、申立人結成前の平成25年1月1日に導入することとし、同日、施行されたのであり、そしてそれが、3年4か月後の平成28年4月30日、A1委員長が満70歳となったことによって、A1委員長に適用されて、当然に退職、すなわち以降、契約の更新はしないとされたものである。
 そうすると、全国的に通所介護事業を展開する被申立人にあって、全国の事業所に適用される本件就業規則に本件送迎職員満70歳定年制を導入し、それをA1委員長に適用したことについて、これをA1委員長が申立人の組合員であるとの理由からとすることはできない。
 また、A1委員長がホームヘルパー2級の資格を有していて、かつて1日だけ添乗業務に就いたことがあったとしても、それが本件就業規則の適用外となることの根拠とはならない。
 よって、申立人からの被申立人による満70歳定年制導入とそのA1委員長への適用の取消を求める申立ては棄却せざるを得ない。
2 満73歳までの定年延長制度をA1委員長に適用しなかったことは、労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか(争点1-イ)
 被申立人においては、A1委員長の起こした車両接触事故に対し懲戒等の処分がなされておらず事故報告にとどまるなど、車両接触事故に対し比較的寛容であり、また、模範運転者について明確な定義規定はなく、所長の裁量によるところが大きいとしても、A1委員長の運転技量や健康状態に照らし、模範運転者に該当しないとして同人に定年を延長しなかった被申立人の判断を不合理とは言い難い。
 上述のごとく、A1委員長が「模範運転者」に該当すると言えない以上、A1委員長に満73歳までの契約更新を適用しなかったことをもって労働組合法第7条第1号該当の不当労働行為とすることはできない。
3 被申立人から申立人の組合員に対し組合脱退勧奨や嫌がらせがあったか、あった場合それらが労働組合法第7条第3号の不当労働行為に当たるか(争点2)
①申立人は、平成26年2月17日にA3元組合員から組合脱退届が出され、その以前の同年1月14日に平成25年10月1日から平成26年3月31日までのA3元組合員の雇用契約が締結されていることを主張する。しかし、組合脱退を条件に雇用契約が更新されたことの疎明がなされておらず、また、それをA3元組合員本人から聞いたとの証言もなく、申立人の主張は、推測の域を出ていないと言わざるを得ない。他方、B4所長は、A3元組合員は組合の中でA1委員長のあまりに細かい話に辟易し脱退したと従業員から聞いていると陳述し、同所長は、組合内にトラブルがあってA3元組合員が組合をやめたとA2組合員から聞いたと証言している。以上のことから被申立人によるA3元組合員に対する組合脱退勧奨があったとする申立人の主張は採用することができない。
②申立人は、申立人組合員らが有期の雇用期間終了後、雇用契約書を取り交わさず、雇用継続していた期間は、民法第629条第1項により無期となるから、それを「有期雇用」とした平成26年1月15日の被申立人の回答書は、無期から有期雇用への契約形態の変更を強要したものであると主張する。
 しかし、被申立人は、雇用期間終了後、申立人組合員らに雇用契約書を提示して署名するよう促していたのであり、「使用者が雇用期間の満了を知りながら異議を述べなかった場合」とはいえず、また、「回答書」も無期から有期雇用への契約形態の変更を強要したものではない。
 よって、被申立人が、申立人組合員らに無期雇用から有期雇用へ雇用契約形態の変更、すなわち、雇用条件の悪化を強要したことが申立人に対する支配介入であるとする申立人の主張は採用することができない。
③申立人は、平成27年4月20日、運営会議の場でB5所長が、三六協定の締結手続きに関して申立人組合員らの求めた説明に回答しなかったことが、申立人に対する支配介入に当たると主張する。
 単に被申立人の業務に係る会議の場で申立人組合員らの締結手続きについての質問に回答をしなかったことのみをもって、被申立人が申立人の存在を無視ないし軽視したとは言えず、それを申立人への支配介入とすることはできない。
④B6従業員がB2事業所内に掲示したその自筆文書がA1委員長を誹謗中傷するもので、これは、申立人に対する名誉毀損行為であり、申立人に対する支配介入であるとの主張である。
 B6従業員の当該行為は、使用者の反組合的な意を体しているとは言い難く、A1委員長から「通知書」を送付されたB6従業員のA1委員長に対する個人的な感情から為されたものとみるのが自然であり、申立人の運営に対する支配介入とまでは言えない。
⑤朝礼でB6従業員は過半数代表者の選出日程等について意見を述べたA1委員長に大声を発し、申立人の書類を叩いたことを、そしてそれをB5所長がしばらくの間制止しなかったことを申立人への支配介入であるとする主張である。申立人組合員らからは、B6従業員がA1委員長に対し大声を発したというばかりで、その具体的発言内容がどのようなものであったかの主張がないことから、その発言について反組合的なものか判断の仕様がなく、B5所長がB6従業員を制止しなかったことをもって支配介入にあたるとの申立人の主張は採用できない。
⑥B5所長はA1委員長に対し、送迎車両をキズつけた嫌疑をかけたとし、これを申立人に対する支配介入とする主張である。
 一般的に物損があれば管理者がその最終使用者に原因を確認するのは当然の行為である。申立人は、B5所長がキズのついた送迎車両の写真を他の従業員に見せたと主張するが、A1委員長の行為としてではなく、また、申立人から、備品等の損傷の確認に関し、A1委員長と非組合員である従業員とをことさらに変えて扱ったとの疎明もないことから、A1委員長に対するいやがらせと解することもできず、申立人の主張は採用できない。 
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