労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成28年(不再)第35号
EMGマーケティング(福岡再雇用等団交)不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合
再審査申立人   
再審査被申立人  Y会社 
再審査被申立人   
命令年月日  平成30年4月18日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要    本件は、会社が、組合員らの再雇用等を議題とする平成16年10月4日付けから同27年2月23日付けまでの11回のXの各団体交渉申入れ(以下「本件各団交申入れ」という。)に応じなかったことが不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事案である。
 初審福岡県労委は、本件各団交申入れのうち、平成22年7月30日付けまでの6回の各団体交渉申入れに係る救済申立ては労働組合法27条2項の申立期間を徒過したものとして却下し、同26年3月10日付け以降の5回の各団体交渉申入れに係る会社の対応は労働組合法7条2号に該当しないとして救済申立てを棄却したところ、Xは、これを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文   本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1  平成16 年10 日4日付けから平成22 年7月30 日付けまでの各団体交渉申入れに係る救済申立ては労働組合法27 条2項の申立期間を徒過した不適当な申立てか
これらの団体交渉申入れは、その後の適法な救済申立期間内に行われた同26 年3月10 日付けの各団体交渉申入れとは約3年7か月又はそれ以上の間隔が空いており、それぞれ独立して行われたもので、同一の問題について継続して行われた一個の団体交渉であるということはできない。そうすると、上記6回の各団体交渉申入れについては、会社の団体交渉拒否によって完結しているということができ、これに係る救済申立ては、労働組合法27 条2項の申立期間を徒過して不適法であり、却下を免れない。

2  会社が平成26 年3月10 日付け以降の5回の各団体交渉申入れに応じなかったことは、労組法7条2号の不当労働行為に当たるか
上記各団体交渉申入れの団体交渉議題は多岐にわたっているが、うち組合員A1の再雇用についてみると、①平成26 年3月10 日の時点では同人の定年退職から約15 年が経過しており、Xの団体交渉申入れが合理的期間内に行われたとは到底認められず、②同人の定年退職以前に行われたXの上部団体と会社との団体交渉が決裂しており、Xが団体交渉を行っても進展が見込まれるような状況ではなく、③平成26 年3月10 日時点で同人の再雇用自体の問題について裁判所において不当労働行為に当たらないとの判決が言い渡され、その約2か月後には判決が確定したのであるから、改めて団体交渉を行っても解決の余地に乏しかったことに加え、④Xの組合員が退職して従業員である組合員が一人も存在しなくなってから長期間が経過していることから、会社が団体交渉の議題たり得るかに疑問を持ち、申入れ事項が団体交渉の議題に当たると考える理由、議題の趣旨・目的等を具体的に文書で明らかにすること等を求めたのに対し、Xは何らの対応もしなかったというのであるから、会社が、Xが行った同議題についての団体交渉申入れに応じなかったことには正当な理由があったといえる。その余の議題についてみても、上記と同様の理由に加えて、組合員A2の再雇用については、平成26 年3月10 日時点で同人の再雇用に関するXの団体交渉申入れに応じなかったことは不当労働行為に当たらないとの命令が確定していたのであるから、問題を蒸し返すものであり、もはや会社に団体交渉応諾義務がなかったということができる。小倉分会組合備品撤去についても同様であり、また、同問題については既に労使合意により解決していたものである。広島油槽所及び名古屋油槽所タンク火災事故については、各事故の時点においてXの組合員は全員会社を退職し、その後に加入した者もいなかったのであるから、労働者の安全面に関する事項についてXが会社と団体交渉を行って問題を解決する必要はなかったものである。
以上のことを併せ考えれば、会社が、平成26 年3月10 日付け以降のXの各団体交渉申入れに応じなかったことには正当な理由があったといえるから、これが労働組合法7条2号の不当労働行為に該当するということはできない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡労委平成27年(不)第2号 却下・棄却 平成28年5月6日
 
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