事件番号・通称事件名 |
神労委平成28年(不)第12号
日本郵便(人事異動)不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X(個人) |
被申立人 |
Y会社(「会社」) |
命令年月日 |
平成30年6月11日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、平成18年4月1日のB2郵便局採用後にC1労
組の組合員となった申立人Xに対し、平成28年3月22日、B3郵便局への人事異動の内命を行い、同月31日に内命どおりの
人事異動を発令したことは不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件で、神奈川県労働委員会は申立てを棄却し
た。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 Xが不利益を被ったかについて
Xは、B2郵便局第二集配営業部に所属し、本件異動により、B3郵便局第一集配営業部に所属することになったが、両局は近
接しており、担当する基本的な業務内容は本件異動の前後で変わることはなかったことから、業務内容が同人に過重な負担になる
と認めることはできない。また、Xは、本件異動により、従前の副班長ではなく班長を務めることになったが、昇進自体はそもそ
も不利益な取扱いとは認められない。
こうしたことから、本件異動により、Xが業務上の不利益を被ったということはできない。
Xは、C1労組C2支部執行委員として、組合員の勤務時間の管理、会社からの経営計画や営業目標の聞き取り、会社に対する
人員増加要求などの活動を行っていたほか、宿泊を伴う執行委員会にも参加し、各職場における課題等について他の執行委員と討
議などをし、C1労組C2支部執行委員として精力的に組合活動を行っていたが、本件異動により、同支部執行委員の地位を失う
ことになり、上記のような組合活動を行う機会を失った。
こうしたことから、本件異動により、X個人としては、組合活動上の不利益を被ったということができる。
2 Xに組合活動上の不利益をもたらす本件異動が、Xの正当な組合活動を理由とする不利益取扱いに当たるか否か、C1労組又
は「C6」の運営に対する支配介入に当たるか否かについて
Xは、一連の「C6」としての活動をあくまで非公然に行っていたと認められる。
したがって、本件異動の内命時点において、会社が、Xによる「C6」としての活動を認識していたとは認められないため、内
命時点において、会社がXによる「C6」としての活動を理由として、本件異動を命じたとは認められない。
以上のとおりであるから、本件異動は、Xの正当な組合活動を理由とする不利益取扱いには当たらない。
また、本件異動の内命時点において、会社が、XのC1労組C2支部執行委員であることを考慮に入れたり、同人による
「C6」としての活動を認識していたと認めることはできない以上、本件異動は、C1労組又は「C6」の運営に対する支配介入
にも当たらない。 |
掲載文献 |
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