事件番号・通称事件名 |
大阪府労委平成28年(不)第47号
不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X1、X2(いずれも個人) |
被申立人 |
Y1会社、Y2会社 |
命令年月日 |
平成30年5月25日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、被申立人らが、①正規職である組合員に対し、時給制契約
社員である組合員のスキル評価を行わせ、スキル評価により時給制契約社員の賃金を決定していること、②スキル評価の結果に
よっては雇止めにするという無期転換制度を導入しようとしたこと、がそれぞれ不当労働行為であるとして救済申立てがあった事
件で、大阪府労働委員会は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも棄却する。 |
判断の要旨 |
1 争点1(C労組の組合員である申立人らは、後記争点3から5ま
でにかかる不当労働行為の救済を求める申立適格を有するといえるか。)について
争点3から5までにかかる不当労働行為の救済を求める申立適格について、C労組だけでなく、C労組の組合員である申立人ら
も申立適格を有すると解するのが相当である。
2 争点2(Y2会社は、Y1会社の従業員の労働組合法上の使用者といえるか。)について
①本件審問終結時、Y2会社はY1会社の株式をl00%保有していること、②平成28年9月1日現在において、Y1会社の
代表取締役社長兼執行役員社長はY2会社の取締役であったこと、さらにY1会社の取締役2名はY2会社の取締役であったこ
と、が認められ、また、③Y2会社がY2会社グループの経営戦略の企画・立案・実施を行っていることに争いはない。これらの
ことからすると、Y2会社は、Y1会社に対し、一定の影響力を及ぼしていたとみることはできるものの、上記認定をもって、
Y2会社の関与が、グループの経営戦略的な観点から行う管理・監督の域を超えたものであったとはいえず、Y1会社の従業員の
基本的な労働条件について、部分的にもY1会社と同程度に現実的かつ具体的な支配力を及ぼすものであったとはいえない。
したがって、Y2会社は、Y1会社の従業員の労働組合法上の使用者に当たるとはいえない。
3 争点3(Y1会社において、時給制契約社員への半年ごとのスキル評価により向こう半年間の時間賃金を決めることは、被申
立人らによる労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為といえるか。)について
Y2会社はY1会社の従業員の労働組合法上の使用者には当たらないので、その余を判断するまでもなく、Y2会社に対する申
立ては棄却する。
Y1会社において、時給制契約社員への半年ごとのスキル評価により向こう半年間の時間賃金を決めることは、Y1会社による
労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為とはいえず、この点に関する申立ては棄却する。
4 争点4(Y1会社において、C労組の組合員に対して、同じくC労組の組合員である時給制契約社員のスキル評価をさせるこ
とは、被申立人らによる労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為といえるか。)について
Y2会社はY1会社の従業員の労働組合法上の使用者には当たらないので、その余を判断するまでもなく、Y2会社に対する申
立ては棄却する。
Y1会社において、C労組の組合員に対して、同じくC労組の組合員である時給制契約社員のスキル評価をさせることは、Y1
会社による労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為とはいえず、この点に関する申立ては棄却する
5 争点5(Y2会社において、平成28年10月1日に無期転換制度を導入しようとしたことは、被申立人らによる労働組合法
第7条第3号に該当する不当労働行為といえるか。)について
Y2会社はY1会社の従業員の労働組合法上の使用者には当たらないので、その余を判断するまでもなく、Y2会社に対する申
立ては棄却する。
Y1会社において、平成28年l0月1日に無期転換制度を導入しようとしたことは、Y1会社による労働組合法第7条第3号
に該当する不当労働行為には当たらず、この点に関する申立ては棄却する。 |
掲載文献 |
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