労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  神労委平成28年(不)第8号
三協技研工業等不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y1会社、Y2会社 
命令年月日  平成30年2月26日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、①被申立人Y1会社及び被申立人Y2会社が、申立人組合の申し入れた組合員A2の労働災害等に係る団体交渉に応じなかったこと、②Y2会社が、A2に係るビラ配布や宣伝活動について、組合が再び同様の活動を行った場合は直ちに法的手段を採るとともに、名誉毀損罪及び業務妨害罪で刑事告訴すると警告したこと、③Y2会社が、本件審査手続において、A2の労働災害に係る損害賠償請求権について、その行使を事実上代行したり、代理交渉をする権限は組合にはない旨の主張をしたこと、④Y2会社が、団体交渉において、A2の労働災害による損害賠償請求を議題としなかったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、神奈川県労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 争点①(組合の本件団体交渉申入れに対するY1会社の対応は、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たるか否か。)
 Y1会社は本件団体交渉申入れに対し、28.1.25回答書で同社のB6営業所近辺での開催を提案し、組合の都合の良い日時を連絡するよう求めている。また、Y1会社は、28.1.28回答書で、組合に対し再度日時の連絡を求めたものの、組合は同社に連絡を取らないまま、当委員会に対し28.2.26申立てを行っている。そもそも団体交渉の日時や場所は、労使の合意によって決められるものであり、組合の指定どおりの日時や場所での団体交渉に応じる義務が使用者にあるわけではないことからすると、本件団体交渉申入れに対して、28.1.25回答書や28.1.28回答書において日程調整を求めていたY1会社の対応を、団体交渉を拒否したものということはできない。
 よって、組合の本件団体交渉申入れに対するY1会社の対応は、正当な理由のない団体交渉の拒否には当たらない。
2 争点②(Y2会社が、労働組合法第7条の使用者に当たるか否か。また、使用者に当たる場合、組合の本件団体交渉申入れに対するY2会社の対応は、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たるか否か。さらに、その後開催された28.10.24団交におけるY2会社の対応は、不誠実な団体交渉に当たるか否か。)
(1)使用者性について
 Y2会社はY1会社と、Y2会社の注文する製品の製造等をY1会社が請け負うことを内容とする本件請負基本契約を締結している注文者であり、A2の雇用主には当たらない。しかし、雇用主以外の事業主であっても、雇用主との間の請負契約に基づき、労働者の就労場所を提供している事業主は、その場合の労働環境の安全性の確保等について支配、決定すべき立場にある以上、その限りにおいて、労働組合法第7条第2号にいう「使用者」に当たると解すべきである。
 本件労災は、Y2会社事業場入口を少し入った敷地内の、Y2会社が所有する路面の前々日の降雪による凍結によって発生したものである。また、本件請負基本契約において、Y2会社の所有又は占有する建設物、設備、機械、通路等について危険又は有害な状態が発見されたときには、Y2会社が自ら措置をとるか、Y1会社に措置をとることを認める旨の定めがあり、施設等の安全性の確保に関する限り、Y2会社が支配、決定できる立場にあったものといえる。
 よって、Y2会社は、本件労災に関連する交渉事項に関する限りにおいて、労働組合法第7条の「使用者」に当たる。
(2)団体交渉拒否について
 組合の本件団体交渉申入れに対し、Y2会社は、Y1会社と協議・申合せを行った上で、Y1会社の送付した28.1.25回答書に、「Y2会社側の責任者も話をする機会を準備しています。」との一文を入れることにより、応諾の意思を表している。また、その内容も、団体交渉の開催場所や日時の調整を組合に求めるものであり、このようなY2会社の対応を団体交渉を拒否したものということはできない。
 よって、組合の本件団体交渉申入れに対するY2会社の対応は、正当な理由のない団体交渉の拒否には当たらない。
(3)不誠実団体交渉について
 28.10.24団交の中で、組合が損害賠償請求内容を具体に取り上げたり、Y2会社が議題を限定しようとしたことを認めるに足りる証拠はないことからすると、28.10.24団交において具体的な賠償額の交渉にならなかったのは、本件労災の発生原因や労働環境についての交渉に時間をとられたためであるとみるのが相当である。また、28.10.24団交において、組合は次回の開催日時を調整して当該団体交渉の継続をしようとしなかった。
 以上のことからすると、Y2会社が損害賠償請求内容の交渉に一切応じなかったものということはできない。
 よって、28.10.24団交におけるY2会社の対応は、不誠実な団体交渉には当たらない。
3 争点③(Y2会社が、組合に対し、28.8.12警告書を送付したことは、組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。)
 C1会社及びC2会社は本件労災とは全く関係のない第三者であり、これらの者に対して宣伝活動をしても、本件労災に端を発する一連の問題の解決に直結するものとはいえない以上、Y2会社が組合に28.8.12警告書を送付したことには相応の理由があると認められる。
 よって、Y2会社が組合に28.8.12警告書を送付したことは、組合の運営に対する支配介入には当たらない。
4 争点④(Y2会社が、本件審査手続において、組合にはA2の損害賠償請求権について、その行使を事実上代行したり、代理交渉をする権限がない旨の28.8.23主張をしたことは、不誠実な団体交渉及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。)
 28.8.23主張はもっぱら本件審査手続の場において、本件損害賠償問題に関する組合の活動に対し、自らの自由な見解を準備書面で指摘したにすぎないのであるから、不誠実団体交渉とは無関係である。加えて、Y2会社が28.8.23主張をしたことが、組合活動に影響を与えたということもできない。
 よって、Y2会社が28.8.23主張をしたことは、不誠実な団体交渉及び組合の運営に対する支配介入には当たらない。 
掲載文献   

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