労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成27年(不再)第43号
神戸学院不当労働行為再審査事件
再審査申立人  X組合 
再審査申立人   
再審査被申立人  学校法人Y 
再審査被申立人   
命令年月日  平成29年9月6日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、Yが准教授であったAを平成25年12月17日の常任理事会で解雇することを決定し、同日通知し、同月31日付けで解雇したことが、①解雇理由の十分な説明等を行わないまま団交を一方的に打ち切ったもの、②事前協議を定めた労使協定に違反し、また、Xの頭越しに行われたもの、③組合に加入し組合活動を行った故をもってなされたもの、であり不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
 初審大阪府労委は、救済申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。
 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する  
判断の要旨  1 解雇理由の十分な説明等を行わないまま団交を一方的に打ち切ったものとして、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当するか
ア 第4回団交において、XはYがAの身分上の取扱いについて常任理事会の結論に基づく対応を実施する前に第5回団交を行うよう明示的に求めることなく、同団交の日程調整を行うよう求め、Yは当該対応の実施後に第5回団交を行うものかを明確にしないまま、自らが日程調整を行うことを明示的に否定しなかった。これらの経過からすれば、YがAの身分上の取扱いについて予め第5回団交で組合に提案することが労使間で了解されていたとはいえず、第5回団交を開催せずに本件解雇予告通知や解雇をしたことが団交の一方的な打切りに当たるものとはいえない。
 イ Yが第5回団交の日程調整を行わなかったことに問題がなかったとはいえないが、第4回団交以後の経過や、本件解雇予告通知後もXは団交の開催や日程調整を求めておらず、Yが団交を打ち切る旨の意思表明をしたとの事情もないことを勘案すると、団交に一切応じない態度をとったとはいえない。
 ウ Yは第1回団交以降Xに対し、Aの解雇を含めた身分上の取扱いについて具体的な説明や協議を行っており、それらの対応が不誠実であったとはいえない。
 エ よって、本件解雇予告通知及び本件解雇は労組法第7条第2号には当たらない。
2 事前協議を定めた協定に反し、また、組合の頭越しに行われたものとして、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当するか
 ア Yは第1回団交以降Xに対し、Aの解雇を含めた身分上の取扱いについて具体的な説明や協議を行っていた等の経過からすれば、Xとの事前協議の努力を怠ったとはいえず、労使協定に違反する対応をとったとはいえない。
 イ YがAの身分上の取扱いについて予め第5回団交でXに提案することが労使間で了解されたいたとはいえず、また、労使間の了解がなくても提案すべきだったとはいえず、また、Yが本件解雇予告通知を行う前又は同時にXに連絡すべきであったともいえない。
 ウ よって、本件解雇予告通知及び本件解雇は労組法第7条第3号には当たらない。

3 Aが組合活動を行った故をもってなされたものとして、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当するか
 ア 解雇に向けた手続きの開始時期について、Aの勤務状況については採用以降継続的に問題が発生し、Yはその都度改善指導等の対応をとっており、Aの組合加入が通知された時点で既に、同人の解雇に向けた手続きは進められていた。したがって、Aが組合に加入し団交を行ったが故に解雇に向けた手続を進めたものと推認することはできない。
 イ Yが挙げる解雇事由4点はいずれも一応の理由があり、本件解雇予告通知及び本件解雇が合理的な理由のないものであったとはいえない。
 ウ 解雇に向けた手続きについて、①Yが団交で資料を提出しなかったこと、②Aの弁明の機会の付与、③X提出資料の検証に関するXの主張はいずれも採用できず、当該手続きが不相当であったとはいえない。
 エ よって本件解雇予告通知及び本件解雇は、労組法第7条第1号には当たらない。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成26年(不)第2号 棄却 平成27年9月18日
 
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