労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  都労委平成28年(不)第34号
交通機械サービス不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年8月1日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   A2は、会社との間で有期雇用契約を締結していたところ、会社より、契約更新しない旨を示唆されたことから組合に加入した。本件は、A2の雇用契約更新に係る第4回の団体交渉に会社が応じなかったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、東京都労働委員会は、会社に対し、誠実団交応諾、文書の交付及び履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合が平成27年12月22日付けで申し入れた組合員A2の雇用契約更新に係る団体交渉に、必要な資料を提示し、同人の契約不更新理由の根拠を説明するなどして誠実に応じなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。

年 月 日
 組合
  執行委員長 A1 殿
会社              
代表取締役 B1

 当社が、貴組合の組合員A2氏の雇用契約更新に係る第4回の団体交渉の申入れに応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)
3 被申立人会社は、前項を履行したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。  
判断の要旨  1 会社がA2の雇用契約更新に係る第4回団体交渉に応じなかったことに正当な理由はあるか否か
① 会社は、雇用契約更新をしなかった事例は1年半の間にA2を含めて2名しかいないことを明らかにした。
 組合が、契約不更新となることは異例であるとして、会社主張のA2の契約不更新理由の内容を確認し、その合理性について判断するため、会社が主張する洗剤の拭き残し等A2の作業ミスやクレームの内容・回数等につき、具体的な事実の摘示及びその根拠となる客観的な資料の提出を求めることは当然の要求であったといえる。
 ところが、会社は、自らの説明の基となる資料を所持しており、それを組合に提示することに支障があるような事情は特に認められないにもかかわらず、一貫して根拠資料の提出を拒否し、根拠資料を示さない合理的な理由も説明していないのであるから、会社が、組合から疑義のあった事実の存否やクレーム回数等につき、組合の疑義の解消を図り、組合の理解や納得を得るよう努力したということはできない。
 加えて、会社は、3回の団体交渉に応じてはいるものの、第2回及び第3回の団体交渉においては、組合との話合いがまとまっていないにもかかわらず、前回よりもさらに短い交渉時間を一方的に予定し、交渉の流れにかかわらず予定した時間が経過すれば交渉を終了させるとの姿勢で臨んでいたことが窺われるのであるから、会社の対応は、団体交渉において、組合と真摯に語し合う姿勢に欠けていたといわざるを得ない。
 以上の経緯からすれば、会社は、A2の契約不更新の理由について、口頭で一定程度回答してはいるものの、それ以上の説明を行う姿勢をみせず、それを裏付ける根拠として組合が求める資料も一切開示しないという不十分な対応に終始していたのであるから、組合に対し必要な説明を尽くしたとする会社の主張は採用することができない。
② 会社は、団体交渉が行き詰まりの状態であったと主張するが、組合は、第2回団体交渉において、事実を示す資料を提出すれば検討する旨を述べ、第3回団体交渉においても、団体交渉が進展しないのは会社が根拠を示していないことが理由である旨述べていることからすれば、会社が不更新理由として挙げたA2の作業ミスの内容・回数、クレームの内容・回数等を示す客観的な資料を開示することにより、合意に向けて団体交渉が進展する可能性はあったといえる。
 また、そもそも上記①の判断のとおり、会社が必要な根拠資料を一切開示しないなどの不十分な対応に終始したことが団体交渉が進展しない主たる要因であるから、主張を出し尽くして行き詰まりの状態になっていたと認めることはできない。
③ 以上のとおり、第1回ないし第3回団体交渉における会社の対応からすれば、団体交渉が行き詰まりの状態に達していたとはいえず、組合が団体交渉を放棄したとも認められないのであるから、会社が、交渉の行き詰まりを理由に、組合からのA2の雇用契約更新に係る第4回団体交渉の申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるといわざるを得ない。
2 救済利益の存否
① 会社は、本件審査手続の第3回調査期日において、組合が金銭的解決を求めるとし、更なる団体交渉を行うことは希望しない旨を述べたとして、組合が救済を求める意向を有しておらず、団体交渉を求める救済の利益は失われた旨主張する。
 しかし、そもそも、本件審査手続の中で和解に向けた調整を行っている場面において、組合が、会社が主張するような発言をしたとしても、当該組合の発言は、A2の雇用契約不更新問題の早期和解解決に向けて相互に譲り合うことを前提に和解案を述べたものとみるのが相当であるから、和解が成立しなかった本件において、それが組合の確定的な見解であると評価するのは相当でない。
 したがって、組合が団体交渉を行うことを希望していないとの前提に立った会社の主張は採用することができない。
② 組合が会社に対し撤回を求めているのは、あくまでも「これ以上団体交渉を継続しても進展がみられない」との見解についてであるところ、会社は、自身が独自の解釈により付け加えた見解を前提に、組合は会社からの説明の機会を必要としないと判断したものとみなす旨回答しているにすぎない。したがって、組合がA2の雇止めの撤回という要求に応じない限り団体交渉を再開する必要はないとの対応を行ったものとみることはできない。
 以上の経緯からすれば、組合は、A2の雇止めの撤回要求に会社が応じない限り団体交渉を再開する必要はないという対応をしたとは認められず、その後も一貫して団体交渉における会社の誠実な対応を求めているのであるから、組合が会社と折衝する機会を自ら放棄したとする会社の主張は、採用することができない。
 また、本件審査手続においても、会社は、組合に対する必要十分な説明はしているとの主張を維持しているのであるから、会社に対して、誠実に団体交渉に応ずるよう命ずる必要性が失われたということはできない。
③ したがって、組合が救済の意思を放棄したとは認められず、また、救済の必要性が失われたということもできない。 
掲載文献   

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