労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成28年(不)第18号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y法人(「法人」) 
命令年月日  平成29年9月25日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、被申立人が、前年度中に申立人が申し入れた賃上げに係る団体交渉に対し、前年度内に回答できるにもかかわらず、新年度の理事会開催時期や業務多忙を理由に拒否し、組合活動を阻害したこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、法人に対し、文書の手交を命じた。 
命令主文   被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

年 月 日
 組合
  委員長 A1 様
法人        
理事長 B1

 当法人が、貴組合から平成28年3月15日付けで申入れのあった団体交渉に速やかに応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 
判断の要旨  争点(28.3.15組合文書による団交申入れに対する法人の対応は、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為に当たるか。)について
1 団交申入れに対する法人の対応についてみると、法人は、28.3.15組合文書に対して、①平成28年度の賃金については、現時点では回答できない、②賃金改定に関しての4月以降の取扱いについても理事会開催後に回答する、などを記載した28.3.24法人回答書を提出したことが認められる。
 法人は、28.3.24法人回答書において、理事会後の団交開催を提案しつつ、一方で、理事会前に組合との団交に応じる姿勢を示している旨主張するが、現時点では回答できない、理事会開催後に回答するとしており、これは団交開催に先立ち予め理事会前には合意達成の意思が全くないことを表明したものとみることができる。そうすると、理事会前の団交開催に応じる姿勢を示しているとの法人の主張は採用できない。
 また、法人は、28.3.24法人回答書において「確定的に申し上げる内容がない」等と回答したのは、前年度決算が確定するまでは賃上げ又はべ一スアップを行うか否かについて確定的な回答ができないからである旨主張する。
 しかし、①例年、予算組みと予算確定は前年度3月末の理事会において行われ、予算組みにおいては人件費に係る方針も立てられていること、②職員給与規程及び教員給与規程にそれぞれ4月から昇給を行う旨規定されていること、③昇給規定のない非常勤就業規則及び嘱託職員給与規程の適用を受ける有期限雇用者の契約も前年度3月末に締結されていること、④嘱託職員給与規程の適用を受けるA2組合員の基本給の増額も例年前年度の2月か3月に行われてきたこと、が認められる。
 これらのことからすると、法人では、予算組みにおいて立てられた人件費に係る方針に基づき、正規職員の定期昇給や有期限雇用者の契約締結が行われているとみられ、前年度3月末の理事会で予算が確定していることから、前年度決算が確定していないことが賃上げ又はベースアップについて団交を行うことの妨げとなるとはいえず、法人の主張は採用できない。
 さらに、法人は、28.3.24法人回答書において、年度末から年度初めにかけては業務多忙であることから団交開催について組合に配慮を求めたと主張する。
 確かに、高等学校や専門学校等を運営する学校法人である法人は年度末から年度初めにかけて業務多忙であったといえる。
 しかしながら、これらの業務は例年実施されているもので、28.3.15組合文書による団交申入れから1か月を超える期間にわたり、団交開催のための時間を全く確保できないほどの業務があったとする疎明はなく、この点に係る法人の主張も採用できない。
 そうすると、28.3.15組合文書による団交申入れに対し、速やかに応じなかった法人の対応は、団交を拒否しているといえ、このことに正当な理由があることの主張も疎明もないから、正当な理由のない団交拒否に当たる。
2 次に、法人は、組合との団交に応じる姿勢を示しており、現に28.5.31団交は開催されており、仮に当該団交の結果、同年4月からベースアップ又は一律的な賃上げがなされることになれば、同年4月分の給与から遡って適用されるのであるから、労働条件の変更に労働組合を関与させないということもなく、支配介入に当たらない旨主張する。
 しかし、28.3.15組合文書による団交申入れに対する法人の対応が正当な理由のない団交拒否に当たることは前記のとおりである上、仮に遡って適用する等の対応がなされるのであれば、速やかに団交に応じてこのことを説明すべきであったところ、このような説明を全くしていないのであるから、法人の主張は採用できず、このような法人の対応は、団交拒否により労働条件の変更に組合を関与させないものであり、それによって組合員の組合への信頼を失墜させて組合を弱体化しようとするものである。
 よって、法人が28.3.15組合文書による団交申入れに速やかに応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否に当たるとともに、組合運営に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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