労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成27年(不再)第49号
東海旅客鉄道(掲示板設置)不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  Y会社 
再審査被申立人  X1組合、X1組合X2地方本部 
命令年月日  平成29年4月19日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が①組合の組合員全員を運輸区に配転し、配転先で組合が申請した組合掲示板の設置を許可しなかったことが、労組法第7条第3号に、②組合掲示板の設置等を議題とする団体交渉に応じなかったことが労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして救済申立てのあった事案である。
2 初審の三重県労委は、①の掲示板設置不許可は不当労働行為に当たるとして会社に対し文書交付を命じ、また、②の団交拒否は不当労働行為に当たるが、事後に組合掲示板の設置に関する協議が行われたこと等により救済の必要性が消滅したとして、本件団交拒否に係る救済申立てを棄却したところ、会社はこれらを不服として再審査を申し立てた。  
命令主文  1 再審査申立てのうち、初審命令の理由中の判断である団体交渉の拒否について不当労働行為の成立を認めた部分の取消しを求める申立てを却下する。
2 初審命令主文第1項(本件掲示板設置不許可が不当労働行為と認められた旨の文書の交付)を取消し、同部分に対する組合らの救済申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 掲示板設置不許可は労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか
 本件労使間においては、組合掲示板の設置には会社の許可を要する旨の労働協約の定めによって組合掲示板が設置されている。具体的な設置基準は明文化されいないが、組合掲示板設置許可基準があり、会社は社内に存在する全ての労働組合について一律にこの基準どおりの取扱いをし、また、各労働組合に対しこの基準を説明を行ってきたことが認められる。
 会社は各労働組合に対し組合掲示板設置許可基準に基づき一貫した取扱いをし、組合に対しても同様の取扱いをしている。組合の情宣文書の記載をみれば会社が組合掲示板設置許可基準による取扱いを行っていることを組合も認識していたことが認められる。また、本件配転は合理的理由に基づいて行われたものであって、本件掲示板設置不許可について、組合の弱体化を企図したものと疑わせる事情も認められない。
 会社が、本件組合員の配転先で組合が申請した組合掲示板の設置を許可しなかったのは、組合掲示板設置許可基準を満たさなかったことが理由であると認められる。組合と会社の間には、従前から、組合掲示物をめぐる多数の紛争があり、また、本件設置許可取消し及び本件掲示板設置不許可により、支店管内には組合の組合掲示板が一つもない状態となって、結果として組合は、支店管内において組合掲示板を用いた情報宣伝活動を行えなくなったことが認められるが、会社が、それを目的として上記取扱いをしたとまで認めることはできないし、その他の事情を勘案しても、本件掲示板設置不許可を不当労働行為とまで認めることは困難である。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
三労委平成25年(不)第1号 一部救済 平成27年10月21日
 
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