労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成28年(不再)第11号
川崎陸送不当労働行為再審査事件 
再審査申立人   X組合 
再審査被申立人   Y会社 
命令年月日  平成29年4月19日 
命令区分  棄却 
重要度   
事案概要  1 本件は、①事業の一部閉鎖に際して貨物自動車の運転手(乗務職)を対象に行われた早期退職募集に伴う解決金をめぐる会社の交渉態度、②会社が、当該事業所の乗務職であった組合員に対し、平成25年5月以降、売上歩合給や残業手当を支給せず、基本給及び通信費補助のみ支給したこと、③会社が、上記組合員に対し、平成24年以降、新給与制度に基づく給与と旧給与制度に基づく給与との差額(本件差額)を支給しなかったことが不当労働行為であるとして、東京都労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審の東京都労委は、本件救済申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 団体交渉において、会社が解決金として「2000万円」を支払う旨を具体的に提案したとはいえないから、同団体交渉の後、会社が組合員4名の再雇用を前提に解決金を総額600万円とする旨回答したことは、そもそも従前の提案を撤回したものとはいえず、また、それ以後の団体交渉において、社長が「2000万円と言ったのは再雇用なしの場合だ」などと発言したことは、従前の提案につき当初なかった組合員の再雇用なしという条件を付け加えたものともいえない。
2  事業所の一部閉鎖に関する団体交渉が妥結に至っていない状況であったとしても、会社が、事業所の一部閉鎖を実施して、組合との交渉が終了するまでの措置として、閉鎖された部門で乗務職として就労していた組合員を人事総務部付けとして乗務職から外したことに労使関係上特に不自然な点はない。そして、このような会社の措置の結果、乗務職として運行に従事しなくなった組合員に対し売上歩合等の手当が支給されず、基本給及び通信費補助しか支払われなくなったとしても、これが不当労働行為意思に基づくものであるとか、組合の運営に対して支配介入したものであることを推認させる事情は認められない。
3  新給与制度の移行に係る本件差額の取扱いについては、労使協定により労使間の合意に委ねられていたところ、当該合意が労使間で成立していない結果、本件差額は組合員に支払われていないのであって、また、上記合意の不成立が会社の交渉態度によるものと認めるに足りる証拠もない。さらに非組合員にはすでに新給与制度が適用されていることからすると、非組合員には本件差額が生じる余地はなく、本件差額の不支給によって組合員が非組合員よりも差別的に取り扱われているわけではない。その他本件当時の労使事情を考え合わせても、本件差額の支給が会社の不当労働行為意思によるものであるとか、組合の運営に対して支配介入したものであることを推認させる事情は認められない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
都労委平成25年不第59号・第63号 棄却 平成28年1月12日
 
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