労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成19年(不再)第62号
エクソンモービル(住宅手当整合化等)不当労働行為再審査事件 
再審査申立人   組合X 
再審査被申立人   法人Y1 
命令年月日  平成29年3月15日 
命令区分  棄却 
重要度   
事案概要  1 本件は、当時の法人Y2およびY3が、Y1と事業統合を行うことになったことに伴い、人事・給与制度等を統一するため、①住宅手当や通勤手当の内容等を変更したこと、②労働条件合意等に関する協定を破棄し、又は新たな協定を締結しなかったことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事案である。
2 初審東京都労委は、本件申立てを棄却したところ、Xは、これを不服として、再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 住宅手当整合化等について
 住宅手当整合化(住宅手当の額を減額し、減額分を基本給に上乗せすること)等は、Y2、Y3及びY1の労働条件統一の一環として実施されたものということができるところ、使用者として同じ事務所で働く従業員の間で労働条件を統一する必要性があることは一般的に是認できるといえることからすると、相応の合理性が肯定できる。
 住宅手当整合化等は、X以外の他の労働組合にも同一時期に同一内容が提案されていて、全従業員を対象に実施されたものであって、Xの組合員をそれ以外の従業員と比較して殊更不利益に取り扱うものとはいえないし、Y2及びY3はXの組合員についてはそれ以外の従業員より実施を延長する配慮をしていることからしても、Xの組合員であるが故をもって実施されたものであるとはいえない。また、Y2及びY3がXの理解を得るよう説明しているなどの実施に至るまでの経緯からすれば、Xの団結を否定しているものとはいえないし、これがXの活動や運営等を損なうような行為ということもできない。
 団体交渉におけるY2及びY3の対応は、Xの理解を得るよう繰り返し説明をおこなったものであり、団体交渉が進展しなかったことの責任がY2及びY3の対応にあったとすることはできない。
 以上によれば、Y2及びY3の対応は不当労働行為に当たるということはできない。
2 Y3協定破棄通告及びY2協定締結拒否について
 Y3が労働条件及び退職手当金等に関する協定の破棄を通告したこと(Y3協定破棄通告)及びY2が労働条件だけでなく、労使関係に関する部分(債務的部分)を含めた包括的労働協約の締結を求めてXの求めた協定を締結しなかったこと(Y2協定締結拒否)は、Y2、Y3及びY1の労働条件統一の一環として実施されたものということができるところ、Y3が従前の労働条件に関する協約が現状と合わなくなってきたとすること及びグループ会社共通の退職手当金等の制度を適用したこと並びにY2が他の労働組合と同一の包括的労働協約を締結するよう求めたこと自体には相当の合理性がある。
 Y3は他の労働組合にも同一の提案を行っているのであるから、Xの組合員を他の労働組合の組合員と等しく取り扱おうとするものであり、Y3協定破棄通告はXの組合員を殊更に不利益に取り扱うものとして実施されたものであるとはいえないし、Y3にそのような意図があったということもできない。
 またY3の対応およびY2の行為が、他の労働組合と同一の取扱いをするという名目でXの団結を否認するものとはいえないし、これがXの活動や運営等を損なうような行為ということもできない。
 以上によればY3協定破棄通告およびY2協定締結拒否は、不当労働行為に当たるということはできない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成14年(不)第4号)外8件 棄却 平成19年9月18日
 
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