労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成27年(不再)第41号
京都生活協同組合不当労働行為再審査事件 
再審査申立人   組合 
再審査被申立人   生協 
命令年月日  平成29年3月1日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事案概要  1 本件は、生協が、① 平成26年度(以下「平成」の元号を省略)覚書締結交渉(以下「本件交渉」)において、組合に対し、従前の覚書になかった「雇用契約の当事者」に関する項目(雇用契約の当事者は、あくまでもパート職員と生協である旨等)を新設すること等を内容とする同年度覚書案を提示したこと(以下「本件変更提示」)、② 組合員に対し、同年度覚書が締結されないまま、26年2月7日以降、同年度における雇用契約(契約期間26.3.11~27.3.10)の更新手続を進めたこと(以下「本件手続実施」)、③ 組合員を含むパート職員に対し、同年3月5日付け組合宛て書面(以下「26.3.5書面」)のコピーが掲載された同月6日付け書面(以下「26.3.6書面」)を提示したこと等が、それぞれ労組法7条3号の不当労働行為に当たるとして、組合が京都府労委に救済を申し立てた事案である。
2 初審京都府労委は、組合の救済申立てをいずれも棄却したところ、組合は、初審命令を取り消し、組合との協議を排除する内容の覚書提案の禁止、覚書締結前の雇用契約締結強要の禁止、文書掲示等を求めて、再審査を申し立てた。 
命令主文の要旨  1 初審命令主文中、生協が、組合員を含むパート職員に対し、組合員の組合執行部への信頼を損なう記載がある26.3.6書面を提示したことについて、救済申立てを棄却した部分を取り消す。
2 26.3.6書面提示に係る文書手交
3 その余の再審査申立ての棄却 
判断の要旨  1 本件変更提示の労組法7条3号該当性
 本件変更提示は、あくまでも本件交渉において、組合の要求に対する回答として、生協としての提案を行ったにすぎないものである。また、組合員の労働条件の変更に関しては、労働協約において、事前に組合と協議した上で実施する旨の条項が定められているところ、26年度覚書案には、組合員の雇用契約の更新について、上記条項の適用を排除する旨の定めは一切なく、そうすると、仮に同年度覚書案により同年度覚書が締結された場合であっても、上記条項が適用されることに変わりはないし、このことは、生協も自認するところである。したがって、本件変更提示は、組合員の労働条件の変更に関して組合の関与を排除するものとは評価できず、労組法7条3号の支配介入に当たらない。
2 本件手続実施の労組法7条3号該当性
 当該年度における雇用契約の更新手続を開始するに支障の生ずる時期まで、当該年度覚書が締結されず当該年度における上記更新手続が開始されなかった事実は、5年度以降では一度も認められない。上記経緯に照らすと、覚書締結交渉により、組合員の上記更新手続を開始するに支障のない時期に覚書が締結された場合において、その後に上記更新手続を開始するという労使慣行が存在するとはいえるが、覚書締結交渉により、上記更新手続を開始するに支障の生ずる時期まで覚書が締結されない場合においても、その後覚書が締結されない限り、上記更新手続を開始しないなどという労使慣行が存在するとまではいえない。そうすると、26年2月上旬までに26年度覚書が締結されないまま、同月7日以降、パート職員就業規則に基づき、生協が同年度における組合員の雇用契約の更新手続を進めたことについて、生協及び組合間の労使慣行に反するものであると認めることはできない。また、本件交渉経緯等を考慮すると、生協は、遅くとも25年度雇用契約期間満了日までには、非組合員を含めて全てのパート職員の雇用契約の更新手続を完了させなければならないという必要性に基づいて、組合の理解を得ようと試みた上で、上記のとおり同年度における組合員の雇用契約の更新手続を進めたものであると認められる。したがって、生協が、26年度覚書締結に関する組合の要求をないがしろにしたり、組合の存在を軽視して、同年度における組合員の雇用契約の更新手続を進めたとまでは評価できず、本件手続実施は、労組法7条3号の支配介入に当らない。 
3 26.3.6書面提示の労組法7条3号該当性
 26.3.5書面の記載は、本件交渉における組合執行部の対応を批判する内容を含み、同年度覚書が締結できない責任が専ら同執行部にあるかのような行き過ぎともいえる部分があるといえるのであるが、その多くは、生協の立場からみた意見の表明やその前提となる事実等の指摘として許容される範囲に収まっているとも判断できる余地がないわけではない。しかし、少なくとも同書面第2項(4)の「パート労組執行部は、「私たち(労組執行部)はこの内容で理解できるが、代議員に納得させる自信がないので、人事教育部が代議員会に出席し説明してほしい。」と述べました。」との記載については、それらと同列に扱うことができない。
 すなわち、上記記載は、26年2月11日の経営協議会において、組合書記長が、26年度覚書案に「雇用契約の当事者」に関する項目が残ることについて、組合代議員に説明することなどできないので、生協人事教育部関係者が同代議員会に来て説明してほしい旨を発言し、その直後に、組合委員長が、同書記長のその発言の趣旨について、組合としては、同項目が残ることを認めることはできないのであり、生協において同項目が当然のことを記載したにすぎないというのであれば、同人事教育部関係者から同代議員に説明すべきである旨を発言したことに関するものである。しかるに、上記記載は、同委員長の上記発言から導かれる同書記長の上記発言の趣旨や真意を無視して、言葉じりのみを捉え、本意とは全く異なる文脈となる表現部分のみを記載しており、同書面の他の記載や、本件交渉に関する組合員を含むパート職員に対する生協の直接的な働きかけ等の状況と相まって、組合員の同執行部への信頼を損ない、組合の内部的混乱を生じさせるような影響を与える要素を含んでいるといえるのであって、生協からの意見の表明に当たって、その前提となる事実等の指摘としてきわめて不適切であるといわざるを得ない。
 したがって、毎年度における組合員の雇用契約の更新は、生協及び組合間の交渉により締結された当該年度覚書に基づいて行われてきたところ、26.3.6書面提示は、平成26年度覚書締結交渉の膠着状態を打開し、同交渉を有利に進めるために、いまだ同年度覚書締結に至っていないのは、組合執行部の対応に問題があるからであるかのようにパート職員に印象付け、組合執行部を批判にさらさせることにより、組合に対し同交渉再開に応じるよう圧力を掛け、組合の運営に影響を与えようとしたものといわざるを得ず、労組法7条3号の支配介入に当たる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
京都府労委平成26年(不)第3号 棄却 平成27年9月7日
 
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