労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成28年(不再)第6号
光摂会不当労働行為再審査事件 
再審査申立人   法人 
再審査被申立人   組合 
再審査被申立人   分会 組合と併せて、「組合ら」 
命令年月日  平成29年2月1日 
命令区分  棄却 
重要度   
事案概要  1 本件は、① 法人が組合らに提示した就業規則の改定案にかかる4回の団体交渉において、法人の対応が不誠実であり、労使協議について定めた確認書にも違反するものであって、労組法7条2号及び3号に当たり、② 大阪府労委から提示された調停案を法人が受諾しなかったことは、確認書に違反するものであり、労組法7条3号に当たるとして、組合が大阪府労委に救済を申し立てた事件である。
2 初審大阪府労委は、法人に対し、大阪府労委が提示した調停案を受諾したものとして取り扱うこと及び今後同様の行為を繰り返さない旨の文書手交を命じたところ、法人は、これを不服として、本件再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 就業規則の改定案を議題とする本件各団交に関する法人の対応は、労組法7条2号及び3号の不当労働行為に当たるか。
 就業規則の改定が確認書の協議事項に当たることについては、両当事者間に争いがなく、同確認書は、協議事項について、労使双方が誠意をもって十分に協議し、自主的に解決することを求めているものと解される。
 しかし、法人は、就業規則改定案を協議する1回目の団体交渉において、組合からの求めに応じて再検討を約しながら、その後、組合員を含む法人職員に、個別に、同改定案への同意を求め、約8割の同意を得たとして、2回目の団体交渉の前日に労働基準監督署に届け出たこと(本件届出)は、組合らとの協議を軽視した余りに性急なものである上、その後の団体交渉においても、「1回でも協議は協議」と述べたり、持ち帰って理事会に話してみると回答した改定案を白紙撤回する旨述べながら、飽くまで生きているのは届け出た就業規則であり、以前の就業規則に戻す気はない旨述べたりして、対応を大きく変遷させるなどしていることからすると、本件届出を含む就業規則改定案を議題とする本件各団交に関する法人の対応は、不誠実な交渉態度であるとともに、確認書に反するものであって、組合との合意事項を殊更軽視し、組合への信頼を損なわせることにより組合を弱体化させ、組合の運営に介入するものと言わざるを得ず、労組法7条2号及び3号の不当労働行為に当たる。
2 法人が大阪府労委から提示された調停案を受諾しなかったことは、労組法7条3号の不当労働行為に当たるか。
 確認書4項の適用範囲について労使間に争いがあるものの、① 同項の文言をみると、1項ないし3項の協議に限定することなく、協議が整わず争議が発生するおそれがあるときは、大阪府労委からの調停案を労使双方が受諾することによって解決を図る旨規定したものと解するのが自然な解釈であること、② 確認書締結に至る経緯をみても、当時の団体交渉において、法人が4項の適用範囲は1項に限られるとの見解を示したりしたことはなく、4項がいわゆる平和条項であって、争議を回避することの重要性は共通認識となっていたものと認められること、③ 確認書成立後も、法人は、組合から2項に係る協議に法人が応じなかったことについて4項に基づく調停申請がなされたのに対し、調停案を受諾して団体交渉に応じていることなどからすると、就業規則の改定は、2項の協議事項に当たり、4項の適用範囲にも含まれる。
 また、本件調停の申請は、4項の要件をすべて満たしているから、法人が大阪府労委の調停案を受諾しなかったことは確認書4項に違反する。
 この法人の対応は、組合との合意事項を殊更軽視し、組合への信頼を損ね、組合を弱体化させるものであり、労組法7条3号の不当労働行為に当たる。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成26年(不)第12号 全部救済 平成28年1月5日
 
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