労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成26年(不)第66号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年1月20日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、①組合員1名の解職に係る団体交渉において、被申立人が、当該組合員の加入確認を行うとともに、同人が組合員であるかどうかが確認できないことを理由に当該議題について回答しなかったこと、②申立人が、被申立人の未使用の部屋を組合事務所として使用したい旨求めたところ、被申立人が、他の組合には組合事務所を貸与しているにもかかわらず、申立人組合に組合事務所を貸与しなかったことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、組合事務室の貸与及びその具体的な条件の協議並びに文書の手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人に組合事務所を貸与しなければならない。なお、当該組合事務所の場所、面積等の具体的な条件については、当事者間において協議の上、決定しなければならない。

年 月 日
組合
 支部長 A1様   
会社         
代表取締役 B1
 平成26年9月30日に開催された団体交渉において、当社が、貴組合に対し、貴組合員A2氏の加入確認を行い、組合員であることの確認が取れていないとして同人の解職に係る議題について交渉を行わなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
3 申立人のその他の申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 争点1(26.9.30団交において、会社が、組合に対し、A2組合員の加入確認行ったことは、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為に当たるか。)について
(1) 組合は、会社が組合員の加入確認を行うことはある種の思想調査であり、憲法で保障されている「思想・信条の自由」等を侵害するもので、組合員であるが故の不利益取扱いである旨の主張する。26.9.19団交申入書に、「当組合所属A2」組合員と記載されていることからすると、組合自身が会社に対しA2組合員が組合の組合員であることを明らかにしたとみるのが相当であり、26.9.30団交にはA2組合員は出席していないのであるから、団交においてA2組合員が組合員であることの加入確認を行ったことをもってA2組合員が何らかの不利益を被ったとはいえない。
 そうであれば、26.9.30団交において会社が組合に対してA2組合員の加入確認を行ったことは、その余を判断するまでもなく労働組合法第7条第1号に該当しない。
(2) 26.9.30団交において、A2組合員が組合員であることの確認が取れていないとして、A2組合員の解職に係る議題について交渉を行わなかった理由について、会社は、ア会社としては、組合から26.9.19団交申入れを受けた時点で、A2組合員が組合に加入している事実を把握していなかった旨、イ団交議題がA2組合員個人に関する事項であり、会社としては同人のプライバシーに配慮して慎重に対応する必要があると判断した旨、ウA2組合員は組合が団交を申し入れる以前から個別にB2支社とやり取りをしていたが、その際の同人の主張と組合の主張は矛盾していた旨等主張する。
① 26.9.19団交申入書には、組合に属する組合員としてA2組合員の指名が明記されていたのであるから、当該申入書をもって、会社はA2組合員が組合に加入している事実を把握でき、ことさら、26.9.30団交において、A2組合員が組合員であることを確認しなければならなかったとはいえない。
② 組合員個人に関する事項について団交で議論している中で、当該組合員のプライバシー保護の観点から労働組合からの質問に対し、解答できない事態が生じることは否定できないが、プライバシー保護を理由として、質問について一切解答しないことまで容認されるわけではない。
③ 26.9.30団交の場で、会社が、26.9.26誓約書と26.9.19団交申入書の内容に齟齬が生じていたことを示唆するような発言をしたと認めるに足る疎明はなく、会社は、26.9.30団交の場で組合員の加入確認を行う必要があると判断した理由を説明していないといえる。
(3) 会社が交渉を行わなかったことに正当な理由があったとはいえず、会社の対応は、積極的に交渉を行う姿勢を欠いたものであって、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとともに、これにより問題の解決を遅らせ、組合活動が妨害されたというべきであるから、支配介入にも当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
2 争点2(会社が、組合に対し、組合事務所を貸与しないことは、組合に対する支配介入に当たるか。)について
(1) 組合に組合事務室を貸与しないことについて、会社は、ア会社がC労組に組合事務所を貸与しているのは、昭和25年から現在に至るまでユニオン・ショップ協定を締結してきた経緯に基づくものである旨、イC労組に対し既に貸与済みの組合事務所の一部を返還することが可能か照会したが拒絶された旨、ウ業務に影響を与えずに組合に貸与できる部屋はない旨主張する。
① 本件審査において、会社がJP労組に対して、当初から5部屋貸与していたのか、どのような交渉経緯があったのか、組合事務所の貸与経緯といった詳細な経緯については判然としないところであり、必要性を考慮しないまま貸与していたともいえる。また、仮に会社とC労組との間で昭和25年以降、ユニオンショップ協定が締結されていたとしても、それのみをもって会社がJP労組に対しては、少なくとも5部屋組合事務所を貸与しなければならなかったかは疑わしい。
② 本件審査において、会社が、本件申立てまでの間に、いつ、誰が、誰に、どのようにして、どの程度の頻度で、C労組に対して、組合事務所の一部返還を求めたかについて判然としないことからすると、会社が、C労組に対して、真摯に組合事務所の一部返還を求めたとまではいえない。
③ 本件審査においても、組合が主張する部屋の使用実態については判然としないところがあるが、これらの部屋が、常時使用されていないと認めるに足る疎明がないことからすると、B2支社内に常時使用されていない空き部屋があったとは断定できないが、本件審問における会社側証人の証言からすると、会社がB2支社内における部屋の使用実態を詳細に調査しないまま、業務に影響を与えず組合に貸与できる部屋がないと証言したとみるのが相当である。
 したがって、会社の主張は採用できない。
(2) 以上のことを総合的に勘案すると、C労組と組合の間で、組合事務室の貸与に関し取扱いが異なることについて合理的な理由があったとはいえず、会社は労働組合間の差を漫然と放置していたとみるのが相当である。
(3) 会社が、組合に対し、組合事務所を貸与しないことは、組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約244KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。