労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  石労委平成27年(不)第2号
全日本海員組合不当労働行為審査事件 
申立人  X組合 
被申立人  Y組合 
命令年月日  平成28年12月12日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、Y組合が、平成27年4月10日、同年5月20日及び同年7月29日に開催された団交(以下それぞれ順に「第2回団交」、「第3回団交」及び「第4回団交」という。)において、Y組合が「再雇用職員規定の改定と期末手当の不支給」(以下「団交事項①」という。)及び「組合従業員規定の労働基準監督署への届出」(以下「団交事項②」という。)について誠実に対応しなかったことが不当労働行為に当たるとして救済申立てがあった事件で、石川県労働委員会は、Y組合に対し、誠実団交応諾及び文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。  
命令主文  1 被申立人は、「再雇用職員規定の改定と期末手当の不支給」に関する団体交渉において、Y組合の財政事情について具体的に数値を示すなどして説明し、誠実に対応しなければならない。
2 被申立人は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人に交付しなければならない。
 申立人 X組合
 組合長 A1
平成 年 月 日
Y組合     
組合長 B1

 当組合と貴組合との間で行われた平成27年5月20日及び同年7月29日の団体交渉において、団体交渉事項「再雇用職員規定の改定と期末手当の不支給」及び「組合従業員規定の労働基準監督署への届出」に係る当組合の対応が、石川県労働委員会において労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 今後このような行為を繰り返さないようにします。

(注 年月日は、文書を交付した日を記載すること。)
 
3 申立人のその余の申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 第2回から第4回までの団交において、Y組合は、団交事項①について誠実に対応しなかったか。誠実に対応しなかったとした場合、それは不誠実団交の不当労働行為に当たるか。(争点1)
(1)Y組合は、再雇用職員規定改定の理由として①再雇用職員はもともと就業形態や勤務条件が一律でないため個別の労働契約を締結していること(以下「理由①」という。)、②東日本大震災により生じた財政事情(以下「理由②」という。)と説明しているので、これら理由について、必要な資料を提示するなどして、具体的誠実な説明がなされているかを検討する。
(2)理由①について
 第2回から第6回までの団交において、X組合がY組合の説明に納得することはなかったが、Y組合は、各回の団交において、X組合の求めに応じて、再雇用職員の期末手当不支給は個別契約の結果であるとする自己の主張を繰り返し説明しているのであるから、第2回から第4回までの団交におけるY組合の対応が不誠実であったとまでは認められず、不当労働行為には当たらない。
(3)理由②について
ア 理由②「23年3月11日の東日本大震災による被災の結果生じた財政事情」についてのY組合の対応は、第2回団交でX組合から指摘されるまで理由②については言及せず、第2回団交でX組合から具体的に数値を示した資料を提出して説明するよう求められていたにもかかわらず、第3回団交ではこれを提出せず、第4回団交になって初めて資料を提出したもののA2の地位確認訴訟で証拠として提出した単年度の決算見込み資料を提出するに留まり、X組合が求める複数年度にわたる会計報告書等の資料を提出しなかったというものであった、その後、第5回団交で財政事情について口頭でこれまでの団交よりも詳細な説明をしていることが認められるものの、X組合が求める特別会計を含めて数値を示した詳細な資料を提出せず、第6回団交になってようやくY組合の定期全国大会で使用した予算説明資料を提出した。しかし、この資料もX組合が求める特別会計を含めて数値を示した詳細な資料とまでなっていなかったことから、次回の団交においても継続して説明することとなった。
 これら一連のY組合の対応と財政的事情を理由とすることの説明には特別会計を含めた複数年度の会計資料に基づく説明をすることが合理的であることからすると、Y組合の財政事情に係る説明は十分になされたとまでは認められない。
イ 本件申立てがなされる前の第5回団交までは、年度別収支推移や第67会計年度の勘定科目収支表を提出し一般会計が赤字であることの説明はしているものの、X組合の求める特別会計についての説明はなく、全体としての会計状況の説明はほとんどないといってよい程度であった。
ウ 以上のことから、団交におけるY組合の対応は、第6回団交までを含めてみても、使用者に求められるところの労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなどの誠実交渉義務を十分果たしたとまでは認められず、第2回から第4回までの団交における理由②に係るY組合の対応は、不誠実であったと認められる。
 ただし、第2回団交については、平成26年1月28日の第1回団交の開催から1年3ヵ月を経ており、実質的に第2回団交が1回目の団交であったものと認められること等に鑑みれば、第2回団交におけるY組合の対応については、誠実交渉義務を十分に果たしたとは認めがたいものの、不当労働行為に当たるとまではいえない。
(4)したがって、当委員会は、第3回及び第4回の団交における団交事項①に係るY組合の対応のうち理由②「海員組合の財政事情」に係る部分について、不誠実団交の不当労働行為に当たるものと判断する。
2 第2回から第4回までの団交において、Y組合は、団交事項②について誠実に対応しなかったか。誠実に対応しなかったとした場合、それは不誠実団交の不当労働行為に当たるか。(争点2)
(1) Y組合は、従業員規定が就業規則の労働基準監督署への届出未了の理由について、X組合から何度も質されているにもかかわらず、届出のため専門家のアドバイスを受け整理中であるとか、整理ができ次第届け出るなど、抽象的・形式的な回答に終始し、第2回から第6回までの団交において、同じ回答を繰り返すのみであった。
 また、Y組合は、X組合が説明を求めた組合従業員規定の整理状況や同規定を就業規則として届け出る時期の見通しについても、第2回から第4回までの団交において、具体的な回答は一切しなかった。
 このようなY組合の対応は、団交において使用者に求められる労働組合への説明とその理解を求めるための努力義務を十分に果たしたものとは認められない。
(2) Y組合の対応は、第6回団交まで含めてみても、使用者に求められる誠実交渉義務を十分に果たしたとは認められず、第2回から第4回までの団交における団交事項②に係るY組合の対応は、不誠実であったと認められる。
 なお、第2回団交におけるY組合の対応ついては誠実交渉義務を十分に果たしたとは認めがたいものの、上記1(3)ウただし書きで述べた事情に鑑みれば、第2回団交が実質的には1回目の交渉であったと認められ、不当労働行為に当たるとまではいえない。
(3) よって、当委員会は、第3回及び第4回の団交における団交事項②に係るY組合の対応について、不誠実団交の不当労働行為に当たるものと判断する。  
掲載文献   

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