労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西日本旅客鉄道(減給処分) 
事件番号  中労委平成25年(不再)第14号 
再審査申立人  ジェーアール西日本労働組合(「組合」) 
再審査申立人  ジェーアール西日本労働組合関西地域本部(「関西地域本部」) 
再審査申立人  X(個人) 
再審査被申立人  西日本旅客鉄道株式会社(「会社」) 
命令年月日  平成27年12月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事案概要  1 本件は、組合員Xに対する本件日勤指定及び本件減給処分が不当労働行為であるとして、組合、関西地域本部及びX(「組合ら」)から救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪府労委は、本件救済申立てを棄却したところ、組合らは、これを不服として再審査を申し立てた。 
主文  本件各再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 本件日勤指定の労組法7条1号及び3号該当性
 (1) 本件事象の内容は、次のとおりであった。
 平成23年5月14日、Xは、駅を折り返して運転するために列車を電留線に停車させていた際、約30分間運転席で車両看視を行うべきであったところ、客室に移動して、通信・通話機能がなくアラームとして使用していた私物の携帯電話(「本件携帯電話」)のアラームを設定した上で、運転台に戻り、運転台に設置されているGPS携帯電話(車両の定期検査期限切れ防止等を目的とする車両検査管理支援装置の一部であり、GPS機能を有する。)を充電器から取り外し、代わりに本件携帯電話を充電した。その後、Xは、再度客室に移動し、時刻表を確認した上で、社内規程類集の整理を約10分間行った後に運転台に戻り、アラーム設定を解除したが、充電器への接続をそのままにして、終着駅まで列車を運転した。Xは、到着点呼を済ませた後に、本件携帯電話を充電したままであることに気が付き、自区当直に連絡した。
 (2) 会社においては、事故その他不適切な事象の発生に関して、現場長の判断により、当該乗務員(運転士、車掌)に対し、事実関係の調査等の必要性に基づき日勤勤務が指定される取扱いがされている。本件事象発生前には、私物の携帯電話の取扱いに関する不適切な事象を発生させた少なくとも7名の乗務員(いずれも組合とは別の労働組合に所属)に対して日勤勤務が指定されたことがあった。
 平成23年4月4日の奈良線事象(会社の運転士が列車運転中に私物の携帯電話のゲーム機能を約50秒間操作した事象〔運転士は懲戒解雇〕であり、この事象の発生について、会社は国土交通省近畿運輸局から厳重に警告する旨の指導を受けた。)(本件命令書別表2の事例8)の発生を受け、私物の携帯電話の取扱い等について周知及び指導を強化していた矢先に本件事象が発生し、その内容が会社の再三再四にわたる周知及び指導内容に違反していたこと、しかも私物の携帯電話とGPS携帯電話の各取扱いの両方に違反していたこと等から、会社は、Xの乗務員としての資質に疑義を呈し、事実関係を明確にした上で、Xの資質を見極めるためには同年5月15日の事情聴取のみでは不十分であるとして、業務上の必要性に基づき、Xの次の勤務日である同月19日の勤務を日勤勤務に指定したものと認めるのが相当である。
 会社は、同月19日にXに対する事情聴取を行ったが、Xが反省の弁を述べて、事実関係に関して会社が作成した書面へ署名押印したにもかかわらず、翌日には言を翻して同書面の返却を求め、その後も事実関係を争うかのごとき対応をしたことを受けてさらなる事実確認が必要となった。会社は、同年6月2日に最終的な事実確認が終了した後、Xに対して、乗務員としての資質に関する確認事項として合理性を有する内容の書面への署名を求めたが、Xはこれを拒否したことから、次善の策として、Xは同書面の内容に異論がないことを確認したことをもって、一応乗務員としての資質に関する疑義が解消されたとして、同月8日に日勤勤務の指定を解除した。このような経緯を踏まえれば、会社が同月8日まで(休日を除く13日間)Xの日勤勤務の指定を継続せざるを得なかったのは、Xの対応が主な原因であったと認めるのが相当である。
 (3) 前記(2)のとおり、会社は、業務上の必要性に基づき、Xに対して平成23年5月19日の勤務を日勤勤務に指定したものであり、その後同年6月8日まで日勤勤務の指定を継続したことも合理性を欠くものとはいえない。したがって、本件の労使関係を前提としても、Xが組合の組合員であること及びXの組合活動の故をもって本件日勤指定が行われたものであると認めることはできず、本件日勤指定は労組法7条1号の不当労働行為に当たらない。そして、これまでの認定・説示に照らせば、本件日勤指定は、同条3号の不当労働行為にも当たらないというべきである。
2 本件減給処分の労組法7条1号及び3号該当性
 (1) 本件減給処分(平成23年7月分賃金について、平均賃金の2分の1〔8956円〕減給)は、就業規則、社員等管理規程等に基づき、大阪支社賞罰審査委員会の審査を経た上、同支社長が決定し、近畿統括本部長名により発令されたものであり、関係社内規程に違反した手続により発令されたことを認めるに足りる証拠はない。
 (2) 本件事象について、本件事象発生前に会社の乗務員が私物の携帯電話及びGPS携帯電話の各取扱いの両方に違反した唯一の事例(平成22年9月30日発生)(同別表2の事例6)と比較すると、本件事象は、前記1(2)のとおり会社が奈良線事象の発生を受け、私物の携帯電話の取扱い等について周知及び指導を強化していた矢先に発生したものであり、奈良線事象前に発生した事例6と同一に論ずることはできない上、事例6の当該車掌は、運転席から離れて車両看視を約10分間怠るという本件事象のような業務からの離脱を伴うものではなかった。さらに、運転士においては、業務上ヒューマンエラーを生じさせた場合、車掌のそれに比べ重大な事故を引き起こす可能性が高いこと等を併せて考慮すると、事例6の戒告より一段階量定が重い本件減給処分が過重であるとまではいえない。その他本件事象と類似の事例等と比べても、本件減給処分が過重であるとまではいえない。
 (3) 前記(1)及び(2)のとおり、本件減給処分の手続は不当なものとはいえず、その量定は、他の処分事例等との均衡を欠くものではない。したがって、本件の労使関係を前提としても、Xが組合の組合員であること及びXの組合活動の故をもって本件減給処分が行われたものであると認めることはできず、本件減給処分は労組法7条1号の不当労働行為に当たらない。そして、これまでの認定・説示に照らせば、本件減給処分は、同条3号の不当労働行為にも当たらないというべきである。  
掲載文献    

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成23年(不)第50号 棄却 平成25年3月5日
 
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