労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  桐蔭学園 
事件番号  神労委平成25年(不)第19号 
申立人  フリーター全般労働組合 
被申立人  学校法人桐蔭学園 
命令年月日  平成27年5月28日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人法人が①法人の運営する大学で専任講師として勤務していた組合員X4を同人が中心となって進められていた「アウトドア実習Ⅰ」の担当から外したこと、②大学運営会議でX4の雇用を継続しない件について審議することとしたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 神奈川県労委は法人に対し、文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、本命令受領後速やかに下記の文書を申立人に手交しなければならない。
  当学園が、貴フリーター全般労働組合の組合員であるX4を平成25年度アウトドア実習Ⅰの担当から外したことは、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると神奈川県労働委員会において認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
    平成  年  月  日
  フリーター全般労働組合
    共同代表 X1 殿
     同   X2 殿
     同   X3 殿
学校法人桐蔭学園
理事長 Y1

2 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合員X4を「アウトドア実習Ⅰ」の担当から外したことについて
 組合員X4が平成25年度のアウトドア実習Ⅰの開講に向けて前年度から準備活動を行っていたこと等からすると、同人が同実習の担当から外されたことには職務上の不利益性が認められる。
 法人は、法人がX4の組合加入を認識したのは申立人組合が平成25年7月13日付けの文書で同人の組合加入を通知した後の同月17日であり、スポーツ健康政策学部の学部運営会議で同人をアウトドア実習Ⅰの担当から外すことを決定した同月11日及び同人にそれが伝えられた同月16日よりも後であると主張する。
 しかし、法人が、同年3月4日以降、同学部の教授X5らが組合員であることを認識していたこと、X4がそれ以前からX5らの集会に参加していたことを知っており、X5やX4などの教員を総称して「X5グループ」と呼んでいたこと、同月19日に行われたビラ配布等の組合活動にX4が参加したことについても認識していたといわざるを得ないことなどからすると、法人は遅くとも同日の時点でX4が組合員であると認識していたものと推認することができる。
 また、同月18日の教授会において別組合の組合員である教授Aが、組合があたかも危険な集団であるかのような印象を与える発言をしたことに対して、法人は組合から要求があったにもかかわらず、何らの対応もしようとしなかった。このことは、法人が組合の要求について対応することを避け、Aの発言の内容が法人内に広がることによる組合への悪影響を放置したといえるのであり、法人の組合敵視の姿勢の故であったと考えざるを得ない。
 以上のことに加え、X4が本件申立て後の26年4月30日付けで解雇されるまでの間、7名の組合員のうち5名が法人を退職することになった経緯からすれば、法人は組合を好ましからざる存在ととらえていたといわざるを得ず、X4をアウトドア実習Ⅰの担当から外したことは組合に対する嫌悪の意思をもって行われたものと判断すべきである。
 さらに、法人はスポーツ健康政策学科の学科会議で一度も問題とすることがなかったヨットの危険性を理由にX4をアウトドア実習Ⅰの担当から外しているところ、このことに十分な理由があるとは認められない。
 以上から、法人がX4をアウトドア実習Ⅰの担当から外したことは、同人が組合員であることを理由とするものであるところ、法人の行為に合理性は認められず、労組法7条1号に該当する不当労働行為であると判断する。
2 X4の雇用を継続しない件について大学運営会議で審議するとしたことについて
 法人が25年7月26日開催の大学運営会議でX4の雇用を継続しない件について今後同会議で審議することを決定したこと及び同日、X4に「説明書」と題する文書を交付したことが認められるところ、これらは法人の大学教員就業細則で教員の解雇に当たり必要とされている手続にすぎず、このことのみをもって同人に対する不利益性があると一概に論じることはできない。したがって、その余を判断するまでもなく、労組法7条1号の不利益取扱いには当たらない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成27年(不再)第28号
桐蔭学園不当労働行為再審査事件
取消 平成28年10月5日
 
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