労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成26年(不)第21号 
事件番号  大阪府労委平成26年(不)第21号 
申立人  X労働組合、同Z支部 
被申立人  Y市 
命令年月日  平成27年5月19日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   ①平成26年度の組合事務所の使用料に関する団交の申入れに対する被申立人市の対応、②市が申立人組合からの組合事務所の使用料減免申請を不承認とし、使用許可に条件(同年度の使用料と未納になっている25年度の使用料を期限までに納付しないときは許可を取り消すこと等)を付したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は市に対し、1 上記団交の誠実応諾、2 文書手交を命じた。
 なお、本件の関連事件として、大阪府労委平成24年(不)第24号事件(命令年月日:平成27年1月13日)がある。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X労働組合及び同X労働組合Z支部が平成26年3月13日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人X労働組合及び同X労働組合Z支部に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略) 
判断の要旨  1 平成26年度の組合事務所の使用料に関する団交の申入れへの対応について
 申立人組合からの本件団交申入れに対し、被申立人市は、行政財産の目的外使用許可や使用料に関する事項は管理運営事項であって、交渉の対象とすることはできないと定めれているため、受けることはできない旨回答したことが認められる。
 しかし、行政財産の目的外使用許可に当たり、いかなる条件を付するかということ自体は管理運営事項に該当するというべきであるものの、本件団交申入れの議題として、従前とは異なり、組合事務所の使用料の減免申請を不承認としたことの理由を説明し、協議を行うことや、代替手段・措置の可能性の存否やその条件、検討状況について説明し、協議を行うこと等が明記されていることが認められ、組合らは組合事務所のあり方や使用条件全般について団交を申し入れたというべきである。そうすると、本件団交申入れの議題は、行政財産の目的外使用許可の際の条件付与のみを対象にしたものとみることはできず、市が、使用料に係る問題が組合らとの団体的労使関係に影響を及ぼす範囲において、組合らとの団交に応じるべきもので、義務的団交事項に当たるというべきである。
 以上のとおりであるから、市は正当な理由なく本件団交申入れに応じなかったというべきであって、かかる行為は労組法7条2号に該当する不当労働行為である。
2 組合事務所の使用料減免申請を不承認とし、使用許可に条件を付したことについて
 認定した事実によれば、市は昭和49年度から平成24年度まで使用料を免除してきた組合事務所について、25年度以降、使用料を徴収することにしたものと解される。これについて市は、①税外収入の増大による歳入確保策の一環として、行政財産の目的外使用許可及び使用料賦課・徴収のあり方の見直しを行い、組合事務所の無償使用許可を改め、有償とすることとした、②市は使用料の減免の許否等について相当程度の裁量権を有しており、組合事務所について使用料を賦課する決定をしたことは合理的かつ正当な裁量権の行使である、③歳入を確保する高度の必要性がある状況に照らせば、組合事務所については無償使用を認めるに足るほどの高度の公共性、公益性はない旨主張する。
 しかし、組合事務所の使用が有償となれば、組合らは新たな負担を課され、その活動に一定の影響を受けることになるのであるから、市は使用料を徴収することに変更するとしても、その理由を明らかにして説明を行い、組合らの理解を得る努力を行う必要があるというべきである。
 そこで、市の組合らへの説明状況等についてみると、25年2月、市の総務部の職員が組合に対し、市長の指示を受け25年度から使用料を取ることにしたい旨通知したが、その際、その理由として市の財政状況を挙げたと認めるに足る疎明はない。また、市は、24年度には組合事務所は公共用その他公益上の目的で使用するものであるとして使用料を減免しながら、25年度以降はこれには当たらないと判断を変更し、減免を不承認としたと解されるところ、以前と異なる判断結果になった経緯や理由を具体的に示して説明したと認めるに足る疎明もない。さらに、前記1のとおり、市は使用料の減免申請を不承認としたこと等に関する団交に応じていない。
 以上のとおりであるから、市が26年度の使用料減免申請を不承認とし、使用許可に条件を付したことは、使用料徴収に係る方針変更について必要な説明のないまま、一方的に負担を強いたものであって、組合らに対する支配介入に当たり、労組法7条3号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成27年(不再)第4・6・26・27号 棄却 平成28年11月16日
 
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