労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ブリタニカ・ジャパン 
事件番号  中労委平成26年(不再)第9号 
再審査申立人  ユニオン東京合同(「組合」) 
再審査被申立人  ブリタニカ・ジャパン株式会社(「会社」) 
命令年月日  平成27年6月3日 
命令区分  棄却 
重要度   
事案概要  1 本件は、① 会社及び平成23年9月29日に清算結了したN社が、N社の清算結了後に組合が申し入れた、A組合員の解雇撤回等をめぐる団体交渉に応じなかったこと、② 組合とN社との間で、N社の清算結了前に行われた団体交渉において、N社が代表取締役を出席させず、音声録音も拒否した上、議題について発言せず沈黙を続けたことが、いずれも労組法第7条第2号の不当労働行為に当たると主張して、救済を申し立てた事件である。
2 初審東京都労委は、本件申立て中、N社に対する申立てを却下し、会社に対する申立てを棄却したところ、組合は、会社のみを再審査被申立人として再審査を申し立てた。 
命令の概要  主文
 本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 会社は、N社と実質的に同一性のある企業、又は、N社の事業及び雇用関係を承継したものとして、組合に対し、団体交渉義務を負うか。
 (1) そもそも、A組合員は、N社に雇用されていたのであって、会社との間に雇用関係は一切存在しなかったのであるから、会社は、原則として、A組合員の解雇撤回等につき労組法第7条の「使用者」には当たらない。
 (2) 会社とN社は、事業目的や事業内容、代表取締役、本店所在地等を異にし、それぞれ別個独立に事業を行っていた別法人であり、直接の資本関係や取引関係はなかった上、従業員の採用・解雇や労働条件の決定、従業員に対する指揮命令等もそれぞれ独自に行っていたものであり、会社がN社の事業運営に関与していた事実も認められないから、両社が、実質的に同一性のある企業であると認めることはできない。また、N社の事業閉鎖に伴い、同社の事業の大部分を占め、かつ、A組合員が従事していた事業は、会社に承継されておらず、会社がN社から移管を受けた事業は、N社の事業のわずか1%ほどにすぎないこと、A組合員を含むN社の従業員は、同社の事業閉鎖と同時にその全員が解雇されているのであって、同社の事業閉鎖後に会社に雇用等されたのは、全従業員約340名中3名にとどまること、さらに、事業閉鎖の際、両社の間で、N社とその従業員との間の雇用関係を全体として会社が承継する旨の合意もなされていないことからすれば、会社が、N社の事業及びその従業員の雇用関係を承継したものと認めることもできない。
 (3) 以上のことから、会社が労組法第7条にいう「使用者」に当たるということはできず、会社が、N社の清算結了後に組合が申し入れた団体交渉に応じなかったことは、同条第2号の不当労働行為には当たらない。
2 仮に、N社が清算結了前において組合との間で団体交渉義務に違反していたとした場合に、会社は、救済命令を受けるべき地位を含めてN社の地位を承継したといえるか。
 組合は、N社の清算結了前にN社と組合との間で行われた団体交渉におけるN社の対応が労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるとした上で、会社が、N社の不当労働行為責任(救済命令を受けるべき地位を含む。)を承継した旨主張するが、上記1(2)でみたとおり、上記団体交渉においてその解雇が主な議題となっていたA組合員が従事していた事業は会社に承継されておらず、また、両社の間で、N社とその従業員との間の契約関係を全体として会社が承継する旨の合意はなされていないことなどからすれば、会社とN社との間で、会社分割等救済命令を受けるべき地位を含めた法律関係を承継する効果をもつ合意あるいは手続がなされていないことは明らかであり、両社が実質的に同一性のある企業であるとは認められないことも、上述のとおりであるから、会社がN社の不当労働行為責任を負うべき地位を承継したとはいえない。
3 以上のとおり、初審命令は結論において相当であるから、本件再審査申立ては理由がない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成24年(不)第4号 請求棄却 平成25年12月17日
 
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