労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ロイヤル 
事件番号  中労委平成25年(不再)第93号 
再審査申立人  株式会社ロイヤル(「会社」) 
再審査被申立人  全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(「組合」) 
命令年月日  平成27年2月4日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、その経営する理容室において店長を務める組合の組合員A1及びA2(以下 「A1ら」)を、従前の給与を保証しつつ、店長の職務を解いてスタイリストとし(以下「本件解任」)、フルサービスを行う店舗から、カット及びシャンプーにサービスが限定された店舗へと配置転換した(以下「本件配転」 といい、本件解任と併せて「本件人事異動」)ことが、不当労働行為に当たるとして、大阪府労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪府労委は、本件人事異動は不当労働行為に当たると認め、会社に対し、本件人事異動がなかったものとして取り扱うこと及び文書手交を命ずる救済命令を発し、会社は、これを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  初審命令主文を次のとおり変更する 。
1 再審査申立人株式会社ロイヤルは、再審査被申立人全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の組合員であるA2に対して行った平成24年9月1日付け人事異動がなかったものとし、同人を原職又は原職相当職に復帰させなければならない。
2 再審査申立人株式会社ロイヤルは、再審査被申立人全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部に対し、本命令書受領後、速やかに下記の文書を手交しなければならない。
年 月 日
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
執行委員長 A3 殿
株式会社ロイヤル
代表取締役 B1

当社が、貴組合員A1氏及び同A2氏に対して行った平成24年9月1日付け人事異動は、中央労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第3号に該当する不当労働行為であると認められました。 当社は、今後、このような行為を行わないようにいたします。
(注: 年月日は文書を手交した日を記載すること) 
判断の要旨  1 本件人事異動は、労組法第7 条第1 号の不当労働行為に当たるかについて
 (1) 本件人事異動は、「不利益な取扱い」に該当するかについて
 本件解任のように、店長の職に就いていた者が、その職を解かれ、スタイリストになるということは、会社内の一般的な認識として、2段階の降格と受け止められるのが自然であり、従前の給与が保証されることになっていたとしても、降格が行われたとの上記認識が解消されることにはならないと考えられる。
 また、本件配転のように、フルサービス店から、カットとシャンプーだけを行う低料金店である男流散髪屋に配置転換された従業員は、過去にも数人いたが、いずれも自ら希望した者であった上、店長が男流散髪屋にスタイリストとして配置転換された前例はなかった。 また、男流散髪屋が、会社と請負契約を結ぶ個人事業主が主体となって営業している店舗であって、本来、会社の従業員が動務することを予定している店舗ではなかったことを考え合わせれば、希望に反して男流散髪屋へ配置転換されることは、キャリア上、人事上の不利益な取扱いであると受け止めるのが、会社内の一般的な認識であったと認められる。
 したがって、A1らが、本件人事異動により、キャリア上及び人事上の不利益や、これに伴う精神的な不利益を受けたことは明らかであるというべきである。
 (2) 本件人事異動は、組合の組合員であることの 「故をもって」 行われたものといえるかについて
 本件人事異動は合理的なものであったとは認められないこと、さらに、会社が、組合に対し、絶対に許さないくらいの気迫をもって対決する姿勢を明らかにした上で、本件人事異動を内示し、その際行われた団交においても、組合の街宣活動を理由に本件人事異動を行う旨を述べていたこと等を併せ考えれば、本件人事異動は、正にA1らが組合の組合員であることの「故をもって」行われたものといわざるを得ない。
 (3) したがって、本件人事異動は、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たると認めるのが相当である。
2 本件人事異動は、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるかについて
 本件人事異動は、会社の社長らが組合への加入や組合活動を牽制する発言を行い、 会社が組合に対する対決姿勢を強めていた状況下で、会社により、組合の組合員であることを理由として行われた不利益取扱いの不当労働行為であった。
 そうすると、本件人事異動は、組合の組合員が組合活動を行うことや、会社の従業員が新たに組合に加入することを困難にするものであったというべきであるところ、これが組合の組織や活動に打撃を与えるものであることは、会社においても、容易に推察することができたと考えられる。
 したがって、本件人事異動は、労組法第7 条第3 号の不当労働行為に当たると認めるのが相当である。
3 救済方法について
 本件人事異動は、不当労働行為として行われたものであるから、これをなかったものとし、原職又は原職相当職に復帰させるよう命じることとする。ただし、A1は既に会社を退職していることから、原職又は原職相当職への復帰を命じるのは、現に会社に在職中のA2のみとするのが相当である 。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成24年(不)第78号 全部救済 平成25年12月10日
 
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