労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  リコー(管理職ユニオン・関西) 
事件番号  中労委平成26年(不再)第19号 
再審査申立人  管理職ユニオン・関西(「組合」) 
再審査被申立人  株式会社リコー(「会社」) 
命令年月日  平成26年10月15日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、組合が、平成25年5月2日(以下「平成」の元号は省略)付けで、会社に対し、当時会社からC会社へ出向していたA1組合員(以下「A1」)の復帰等を交渉事項とする団交を申し入れた(以下「本件団交申入れ」)ところ、会社がこれを無視し、回答しなかったことが、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして大阪府労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪府労委は、本件団交申入れに対する会社の対応は不当労働行為に当たらないと判断して、組合の救済申立てを棄却する旨の初審命令書を交付したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てたものである。  
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合の主張: 団体交渉において使用者側の交渉担当者となり得るのは、使用者の代表者又は当該企業組織内において代表者から交渉、決定権限の委任を受けた者等に限られ、弁護士は、たとえ使用者から委任を受けたとしても、飽くまで法的アドバイザーにすぎないから、団交申入れに対する代理人弁護士の回答は会社の回答ではなく、会社が本件団交申入れを無視し、回答しなかったことは不当労働行為である旨について
 弁護士は、当事者その他関係人の依頼により法律事務を行うことを職務とし(弁護士法第3条)、これに関する限り、交渉等を含むあらゆる行為をすることもその職務の範囲内であると解されるところ、団交も上記法律事務に当たるから、使用者の依頼により交渉担当者として団交に出席し、交渉等をすることも弁護士の職務に当然含まれる。具体的な場合に、弁護士にどのような権限が認められるかは、この点に関する労使間の合意等がない限り、使用者が当該弁護士にどのような権限を委任したかによるのであって、 弁護士という一事をもって、団交における弁護士の権限が法的な助言等に限られるわけではない。
 本件についてみると、組合と会社間には交渉担当者に関する合意等は存在しなかったところ、①代理人弁護士が、会社の代理人として本件の対応について委任を受けた旨、今後は代理人弁護士が本件に関する連絡先となる旨通知していること、②25年4月18日団交(以下「4.18団交」)において、会社側交渉担当者として交渉権限及び一定の妥結権限を付与されて出席している旨説明していること、 ③会社が、申立外労組との間で行われた、4.18団交と同種の事項を交渉事項とする団交においても、代理人弁護士を会社側交渉担当者として出席させていたことなどの事実を総合すると、会社は、代理人弁護士に交渉事項であるA1の復帰等に関する窓口交渉を含む交渉権限及び一定の妥結権限を委任したものと推認でき、本件団交申入れに対する代理人弁護士の同年5月10日付け回答(以下「5.10回答」)は、会社から委任された権限に基づいてされたものといえる。
 そうすると、代理人弁護士による5.10回答は会社の回答そのものであると認められるから、組合の主張は、前提に誤りがあり失当である。
2 会社代理人弁護士による本件団交申入れには応じられない旨の回答(5.10回答)は、正当な理由のない団交拒否に当たるかについて
 4.18団交において、代理人弁護士は、会社から交渉担当者としての交渉権限及び一定の妥結権限を付与されていること等を説明するなどして交渉事項について交渉するよう促したにもかかわらず、組合は、弁護士は法的アドバイザーにすぎず、弁護士が中心となって発言することは認めないなどという主張に固執し、 代理人弁護士に発言を控えるよう述べるなどといった態度をとり続けた。 また、4.18団交後も、代理人弁護士による再三にわたる説得にもかかわらず、組合は、従前の主張に固執し、これを譲る姿勢を全くみせなかった。こうした組合の態度に照らせば、本件団交申入れ当時、このまま交渉担当者の問題について解決せずに組合と団交を行っても、4.18団交と同様に、組合が弁護士を交渉担当者として認めないという自己の見解に固執し、交渉事項について実質的な交渉をすることができない可能性が高かったということができる。
 代理人弁護士による5.10回答は、こうした状況の下で行われたものであり、その回答内容も考慮すると、その趣旨は、弁護士が交渉担当者として出席することを認めないという組合の主張には応じられないとしつつも、4.18団交と同様の事態が生ずるのを回避し、正常な団交を行うべく、本件団交申入れを応諾する前提として、本来労使間で合意の上取り決めるべき団交ルールの一つである交渉担当者の問題についてあっせん手続において話し合い、交渉担当者の問題が解決した後に団交を行うことを提案したものと解するのが相当であり、これをもって団交を拒否したものと認めることはできない。
 仮に、5.10回答が団交拒否に当たるとしても、上記のとおり、本件団交申入れ当時、交渉担当者の問題を解決せずに組合との間で団交を行っても、組合が弁護士を交渉担当者として認めないとの自己の見解に固執し、交渉事項について実質的な交渉ができない可能性が高かったという事情の下においては、代理人弁護士が本件団交申入れを拒否したことには、正当な理由がある。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成25年(不)第25号 棄却 平成26年2月25日
 
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