労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  富山通運 
事件番号  富労委平成25年(不)第1号 
申立人  一般合同労働組合・北陸ユニオン 
被申立人  富山通運株式会社 
命令年月日  平成26年8月5日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人会社が①富山県労委での労働争議のあっせんにおいて組合員X2ら5名に対して解雇を通告したこと、②団交における確認事項に基づき申立人組合が申し入れた団交を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 同労委は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合員X2ら5名に対する解雇の通告について
 認定した事実によれば、X2らは富山貨物駅構内の被申立人会社の営業所で運転手助手として就労していた。同人らの就労の方法は、営業所において依頼したい仕事がある場合に、営業所の所長が、会社本社でアルバイトをしていた申立外Aに声をかけ、Aから連絡を受けた者が就労するという形であった。このような就労依頼の方法及び平成23年4月から24年6月までの就労実績からすれば、会社とX2ら5名との雇用契約は日々雇用のアルバイトと認められる。
 そして、日々雇用のアルバイトの場合、解雇に関する法理を類推適用することはできないし、就労実績からすれば、雇用関係の継続がある程度期待されていたとも認められない以上、契約関係の終了を制限すべき理由もない。
 よって、会社がX2ら5名を解雇したとの申立人組合の主張は認められない。
2 団交申入れへの対応について
 平成24年12月4日の第1回団交において、X2ら5名に対する就労依頼がないことが「解雇」か否かについて、労使双方が自らの立場を主張し合い、平行線であったことが認められる。
 会社は、その後の団交を拒否したものの、組合が申請した当委員会のあっせんを受諾した。しかし、上記の団交のときと同じく「解雇」か否かについて組合と会社がそれぞれの立場を主張し、合意に至らず、あっせんが不調に終わったという経緯がある。
 このような一連の経過からすれば、会社は、当委員会のあっせんを受諾したことによって事実上団交を継続したといえること、また、2度のあっせんでも合意に達する余地は全くなく不調に終わったことからすれば、交渉の行き詰まりに到達したと認められる。
 よって、会社の対応は、団交を拒否したとは認められず、また、誠実交渉義務に違反したともいえない。
 なお、会社は、第1回団交においてアルバイトの雇用データを後で文書で提示する旨回答したにもかかわらず、後日、組合への「回答書」でこれに応じられない旨回答しているが、上記のとおり、本件では交渉の行き詰まりに到達したと認められるから、会社が雇用データを提出しなかったとしても誠実交渉義務に反するものではない。 
掲載文献   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成26年(不再)第42号
富山通運不当労働行為再審査事件
棄却 平成28年10月19日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約215KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。